レビュー

「ロジクールG PRO Racing Wheel/Pedals」レビュー

「グランツーリスモ7」でいざ走行! その前にそもそもダイレクトドライブとは!?

 話題のダイレクトドライブとはなんなんでしょうか。それまでのハンコンといえば古くはハンドルの左右回転をベルトやギア駆動でセンサーの値を変えてゲームの動きにするものでした。ロジクールとしては“GT FORCE”(2001年・PS2)で“フォースフィードバック”という振動機能を搭載してゲームシーンに一石を投じました。その後“GT FORCE Pro”や“G25”、“G29”、“G923”と進化を続けてきました。

【ロジクール ハンコンの歴史】
代を重ねるごとに着実に、大胆に進化してきました

 フォースフィードバックは当初単純に振動を与えるのみでしたが、ステアリング操作をはじめタイヤや路面の状況、クラッシュの衝撃なども再現するようになってきました。単純な振動だけではなくその強弱やステアリングへの“反力”を伝える必要が出てきたわけです。

 ベルトやギア駆動に加えて反力を与えるモーターとの組み合わせを行うことでフォースフィードバックを進化させてきたのですが、機構としては複雑なためメンテナンスも必要でそれをなくすために出力は小さくなりがちです。大きくすると損耗しやすくなりコンシューマー機には向かないということにつながります。

 そのためこの構造では伝えられる反力には限界があることになります。そこで用いられたのが“ダイレクトドライブ”という機構です。“ダイレクト”というだけありベルトやギアを介さない方式、ざっくり言えば巨大なモーターの中で制御する方式ということができます。この方式では部材も少なく強靭さも兼ね備えるため出力を大きくできます。

【PRO Racing Wheelのダイレクトドライブ機構】
巨大なモーターの中で制御されます
ダイレクトドライブで強靭なトルクがられます

 単純な構造ゆえ、高速性、高精度、高出力、高安定性といった素晴らしい恩恵をもたらしてくれます。ただし欠点は大きく(製造結果から小さくしづらい)・重い(製造された部材自体の重量と剛性の確保)・価格が高い(大きく重い・製造に手間がかかる)ということになります。

【PRO Racing Wheelのダイレクトドライブベース】
ダイレクトドライブで進化する“TRUEFORCE”

 これは筆者の憶測でもありますが、もちろん研究はされていたでしょうがロジクールとしてはこれまでコンシューマー機にコストのかかるダイレクトドライブ機は適さないと考えていたのではないでしょうか。ただ昨今のシーンを鑑みて一発入魂のシステムとして登場させたのだと思います。ありがとう、ロジクール!

 ちなみに「G29/G923」のトルクの強さが2.3N-m(ニュートンメートル、1重量キログラムメートルkgf-m=9.80665 N-m)です。今「PRO Racing Wheel」での最大値は11.0N-mとなり実に約5倍のとんでもない強さを発揮します!

ダイレクトドライブでテストドライブ!

 うんちくはさておき、レースゲーマーとしては走って感じることが第一です!設置したコクピットに搭乗してさっそく触ってみましょう。DDベースには「START/STOP」スイッチがあります。設置時から気になっていましたがこれはまさにこのシステムの電源ボタンになっています。押すと電源が入り2秒長押しで電源が切れます。

【電源ボタン】
接続しただけでは電源が入りません。最近のクルマと同じようにSTART/STOPボタンを押して電源を入れます

 最初に電源を入れるとプラットフォーム選択が促されるので接続対象に合わせます。今回はPS5とPCでテストすることになりました。ここでは“PS5”を選択します。ステアリング下部にあるボリュームスイッチを回して選択、押し込むことで設定ができます。これがシステムのメニュー操作の基本となります。その後“PS”ボタンを押してコントローラーとして認識させるの忘れずに!

【プラットフォームの選択】
対応はPS5・PS4・PCがあります
その後インジケーター画面が表示されます

 では最初は当然このシチュエーションで行きましょう!先日リリースされたアップデートで追加された「マクラーレン・ホンダ MP4/4」!舞台は3年ぶりにF1が帰ってくる「鈴鹿サーキット」です。高トルクとハイグリップを感じるならこの組み合わせが最適でしょう!DDベースの設定値は初期値のままでロジクールのダイレクトドライブを感じてみましょう。

【初プレイ!】
最初のシケイン通過でおもわず“重っ!”
とんでもない高トルクでグリップの高さを感じます
ヘアピンもきついきつい!
再びシケインを通過、今度はねじ伏せた!
【「GT7」鈴鹿サーキット/マクラーレン・ホンダ試走】

 DDベース右上にはオプションボタンがあります。これを押すとDDベースの各種設定ができますので今回わかる範囲で見ていきたいと思います。

【メニュー内容】
“PROFILE”は5つのプロファイルを選択できます。それぞれに各設定を保存できます。
“TF TORQUE”はTRUEFORCEのトルク値を変更できます。“TF AUDIO”と“TF FILTER”は成分に関する設定だと思われます
“FFB TORQUE”はフォースフィードバックのトルク値を変更できます。“FFB FILTER”は成分に関する設定だと思われます。“DAMPENER”は衝撃の度合です
“ANGLE”はステリングの最大回転角、“BRAKE FORCE”は踏力に関する設定、“L PADDLE”は左下のアナログパドルの使用方法
“R PADDLE”は右アナログパドルの使用方法、“CLUTCH BITE”はクラッチが噛む位置、“RPM MODE”はレブカウンターの点灯方法
“HOME SCREEN”にはスクリーンのインジケーターやトルク値表示の選択、“COMPATIBILITY”はPROかG923かを選択、“PLATFORM”はPS5/PS4/PCを選択

 DDベースの初期値では“TRUEFORCE TORQUE”は“5.0N-m”になっていましたがそれでもその重さに圧倒されました。思わず“重っ!”と言ってしまい、しばらく走り続けると疲労からくる溜息もでるほどです。すばらしいダイレクトドライブの効果!ここで“TRUEFORCE TORQUE”の値を変えた効果を見てみましょう。

 クルマを停止させた状態でステアリングを左右に回す「据え切り」を行いました。パワステがなければしんどい操作でタイヤにもダメージを与えると言われています。“TRUEFORCE TORQUE”の値をステアリングの回転ノブで左にめいっぱい回した時の“GME”の意味が分かりませんでしたが、これを0と仮定しました。“5.0N-m(初期値)”と“11.0N-m(最大値)”だと明らかに重さが段違いとなります。これから後の動画はすべて“11.0N-m”でのものとなります。

【据え切りチャレンジ】
“TRUEFORCE TORQUE”を最大の“11.0N-m”に設定!
指一本では回しきれない重さに!
【PRO Racing Wheelの11.0N-mのパワーを体感する】

 続けてダートと豪雨での状態を走ってみます。どちらにも言えることはトルクはほぼ変わらない印象ながらダートでは砂利をつぶさに感じられグリップも低いでしょうからステアリングも若干回しやすい感触でした。豪雨の中でもトルク感はほぼおなじながら水たまりに脚をとられる時の反応がさらに大きく、トルクアップ感が感じられます。こちらはゲームとしての難易度が上がるように感じました。こちらはDDベースのディスプレイをアップにして撮影しています。

【ダートと豪雨】
ダートは若干コントローラブルな印象
豪雨はさらに難しくなる印象
【「GT7」ドラゴントレイル/トヨタ セリカ GT-FOUR ダート走行】
【「GT7」東京エクスプレスウェイ/日産 Z Performance 23 豪雨】