レビュー
「Marvel’s Guardians of the Galaxy」レビュー
宇宙を舞台に大冒険、テーマは"絆"! これぞスペースオペラの決定版
2021年10月25日 22:00
- 【Marvel’s Guardians of the Galaxy】
- ジャンル:アクションアドベンチャー
- 開発元:Eidos-Montrea
- 発売元:スクウェア・エニックス
- プラットフォーム:PS5/PS4/Xbox Series X|S/One/Nintendo Switch/PC
- 10月26日 発売(PC版のみ10月27日)
- 価格:
- 8,800円(パッケージ、デジタル、クラウド版)
- 9,900円(デジタルデラックス版)
スクウェア・エニックスが10月26日に発売する「Marvel’s Guardians of the Galaxy(マーベル ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー)」はその名の通り、マーベルコミックスのスーパーヒーローチーム「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」が活躍するアクションアドベンチャー。
宇宙船に乗って大宇宙を舞台に冒険を繰り広げる。そこで出会うのは驚異に満ちた惑星と、醜悪な怪物、様々な異星人……本作は古き良き「スペースオペラ」のエッセンスを堪能できる作品だ。チーム「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」は、「銀河の守護者」などたいそうな名前がついているが、お調子者のピーターをはじめ、元暗殺者のガモーラや、アライグマにしか見えない銃器マニアのロケットなどメンバーは癖のあるキャラクターばかり。
5人の個性豊かなメンバーの能力を使いこなす戦闘、そして何よりも"絆"をテーマにプレーヤーをぐいぐいと引き込むストーリー……。愚痴や不満、相手をこき下ろす言葉ばかりの不協和音満載なチームが、様々な困難を乗り越え結束し、本当に銀河を救ってしまうストーリー展開が本作の最大の魅力だ。ぜひチェックして欲しい。
ハチャメチャなチームが銀河を救う! "絆"がテーマの物語
「Marvel’s Guardians of the Galaxy」の冒頭、"銀河の守護者"の称号を受けた彼らがやろうとしているのは"コソ泥"だ。この銀河は恒星間の平和維持を目的とする民兵組織「ノバ軍警察」が監視している。そのノバ軍警察が銀河戦争時に危険なため処分できないものをまとめて"廃棄"している場所が「封鎖区域」といわれているところ。ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーのメンバーは封鎖区域の中の"お宝"を求めて、ノバ軍警察の警備艇の監視をくぐり抜け、探索を行なう。
しかしその試みは失敗。彼らは"何か"を解き放ってしまい、慌てて逃げ出す際にノバ軍警察に捕まってしまう。本来ならそのまま監獄行きだが、彼らを捕まえたコ・レルの温情で「罰金を支払えば罪にはならない」と言われる。
なんとか猶予期間を得たものの、一攫千金の当てが外れたチームの財布はスッカラカンだ。それでもなんとか金を工面しなければ待っているのは監獄だ。ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー達が出した解決策は「銀河中の凶暴なモンスターを集めているレディ・ヘルベンダーに、モンスターを買い取ってもらおう」というもの。そのモンスターとは……チームのメンバーだ。
もちろん本当にメンバーを売ったりしない。レディ・ヘルベンダーにうまく金を払わせた後、仲間を助け出してとんずらしようという計画だ。こうしてガーディアンズ・オブ・ギャラクシーは、女王の待つ惑星・セクナーフ9に向かうのだった……。
これが本作の序盤のストーリーである。かなりの情報量と、広大で独特な世界の提示に驚かされる。「封鎖区域って何?」、「銀河に警察がいるの?」、「モンスターを集める女王って、いきなりファンタジーっぽくない?」こういった疑問がわくだろう。そもそも本作はメンバー達がチームを結成し、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」という称号を与えられた後の話だ。前知識がないプレーヤーにとってわからないことだらけだ。
ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーはまだ仲間となって日は浅く、メンバー同士の信頼は深くない。ずっと不機嫌で悪態をつきまくっているアライグマの姿をした「ロケット」、クールな暗殺者で重い過去を引きずっている「ガモーラ」、物騒なことばかりいう戦士「ドラックス」、植物型宇宙人の「グルート」は、「私はグルート」としかしゃべらない。こんなハチャメチャなメンバーを楽観的でお調子者の「ピーター」がまとめている。彼らの過去は物騒で、お互いの不信感は強く、メンバー達は口を開けば不満ばかり。ノバ軍警察に膨大な罰金を要求されてチームとしてガタガタだ。
しかし本作はだからこそ面白いのだ。「Marvel’s Guardians of the Galaxy」の主人公はピーター。プレーヤーはピーターとしてこのハチャメチャなチームをまとめ上げていくこととなる。お調子者のピーターが主人公だからこそ、本作の雰囲気は底抜けに明るい。文句ばかり言うメンバー達の掛け合いもユーモアたっぷりで楽しい。
巨大な赤い泡ですべてのものを封印しようとする封鎖地域や、威圧的なノバ軍警察の警備船の中、雷が降り注ぐセクナーフ9でも、彼らは全く恐れない。仲間をからかったり、冗談を言ったり、口げんかをしたり……。たとえ戦闘中でも彼らはしゃべることをやめない。その会話を聞きながらだと危険な地域を歩くのも、多くの敵を相手にする戦闘もとても楽しいものになる。
そしてプレーヤーにとって彼らがとても愛おしくなるのだ。メンバー達はピーターも含めてかなり重い過去を背負っており、プレーヤーはストーリーを進めていくことでメンバー達を深く知っていくこととなる。そしてガーディアンズ・オブ・ギャラクシーは「銀河を脅かす大きな危険」に直面し、その絆を何度も試される。メンバーの心がバラバラになりそうになっていく時、ピーターはリーダとしてどう行動すれば良いか、様々な決断を行なっていく。ストーリーが進んでいくことでメンバー達を理解し、その絆をプレーヤー自身の手で強めていく中でチームに対しての愛情が深まっていく。
本作のテーマは"絆"である。絆が描かれるのはメンバーだけでなく、様々な絆、つながりが描かれる。絆は悲劇にもつながるし、銀河を救う鍵にもなる。繰り返すが本作の一番の魅力は「ストーリー」である。宇宙や異星人という壮大な世界と、世界を大きく飲み込む危険を描きながら、"人のつながり"に収束していく物語は本当に魅力的だ。アメコミや、スペースオペラといった要素にとっつきにくさを感じている人もぜひ触れて欲しい。
マップを深く攻略することで、個性豊かなチームを知ることができる!
改めて各メンバーを紹介していこう。リーダーのピーター・クイルは自称「スターロード」。故郷は地球で異星人の父を持つ。その血のせいで母との生活を壊され誘拐されるが、その境遇を脱し宇宙海賊となる。彼は他のならず者達をまとめ上げリーダーとなる。
本作では彼の過去も垣間見ることとなる。ピーターは1980年代に幼少期を過ごし、ヘビーメタルも含めその時代の音楽にドハマリしている。宇宙生活が長いが根っこは子供の頃のままであり、そのノリがプレーヤーと舞台となる大宇宙をつなげてくれる。
ガモーラは「銀河一危険な女」と呼ばれる女性。サノスという強力な力を持つ悪の帝王の娘(養女)であり、彼に殺人術をたたき込まれ暗殺者として活躍した。しかしサノスに反旗を翻しその境遇を脱した。剣を使う誇り高い女戦士だ。辛辣で冷たい態度を取るがその奥底には優しい心がある。人形集めが趣味という一面も。
ドラックスはサノスに娘と妻を殺され復讐鬼となる。銀河全体が巻き込まれる戦争のさなか、ドラックスはサノスを討ち取るが、ドラックス自身はそのことを信じられず、疑心暗鬼にとらわれサノスの関係者を無差別に手をかけてしまう。恐ろしい過去を持つ人物だが性格は竹を割ったようにさっぱりしていて、自分が信じた者には敬意を払う。真面目すぎて天然ボケなところが面白いキャラクターだ。
ロケットは見た目はアライグマだが高い知能を持つサイボーグ。その能力は「実験動物」として植え付けられたものだ。武器マニア、メカマニアで、爆発が大好き。グルートと共に賞金稼ぎをしていた。グルートには特別な仲間意識を持っている。
グルートは植物型宇宙人。種族最後の生き残りだ。彼が話す言葉は「私はグルート」としか聞こえないが、様々な意味を持つ。翻訳できるのはロケットだけである。あまり目立たないが情愛が深く、彼の優しさや思慮深さがチームを支えているところも大きい。ここぞという時に役に立つキャラクターだ。
「Marvel’s Guardians of the Galaxy」ではピーターとしてチームメンバーと共に、探索、戦闘を行なっていく。ピーターのバイザーには分析ツールが組み込まれていて、フィールド上の様々なものを解析することができる。一見行き止まりのような場所でもバイザーでヒントを見つけて前に進んでいくのだ。
地形の突破にはメンバーの協力が不可欠だ。ドラックスは巨大なものを運ぶことができるし、グルートは橋を架けることができる。彼らの能力を活用して突破口を見つけ出していく。本作は「寄り道」が楽しいゲームだ。メインの道ではなく、隠され矢道を見つけることで装備をアップグレードするアイテムや、メンバー達の衣装、さらにはチームに関連したアイテムを見つけることができる。
関連アイテムは見つけにくい場所にあるが、宇宙船・ミラノ号に戻った際にチームの過去や思い出を聞くことができる。過去どんなことがあり、今はその問題にどう向き合っているか……。もちろんピーター自身の過去も明らかになる。こうしてチームのエピソードを知ることでプレーヤー自身がガーディアンズ・オブ・ギャラクシーへの理解を深めていくこととなるのだ。