レビュー
「スターレネゲード」日本語版レビュー
パズルの様なプレイ感が魅力!戦闘にランダム要素のないローグライクRPG
2021年4月27日 18:00
- ジャンル:ローグライクRPG
- 発売元:DMM GAMES
- 開発元:Massive Damage Inc. / Raw Fury AB.
- プラットフォーム:プレイステーション 4/Nintendo Switch/PC(DMM GAME PLAYER)
- 価格:3,300円(税込)
- 発売日:4月28日
DMM GAMESが4月28日に発売予定のプレイステーション 4/Nintendo Switch/PC(DMM GAME PLAYER)用ローグライクRPG「スターレネゲード(Star Renegades)」。本作は”ランダム生成されるマップ”や、”死亡すると拠点に戻される”などローグライト的なシステムが取り入れられているほか、戦闘システムも特徴的で、コマンド選択といった王道のRPGのバトルシステムを基盤にしつつも、何が起こるかが事前にわかり、ランダム要素の存在しないタイムライン型のシステムを導入。パズルのようなプレイ感覚を有している。
加えてドット絵で描かれるグラフィックスも魅力的で、特に戦闘シーンでのアニメーションは見どころだ。今回はそんな本作の先行プレイの機会を得たので、その手触りをお伝えしたい。
探索ルートの選択が攻略のカギ
本作は宇宙の支配を目論む別次元からの侵略者「帝国軍」に抵抗する「宇宙反乱軍」のヒーローとして、星々の自由を取り戻していくことが目的となる。一癖も二癖もある仲間たちとともに、毎回異なるステージを、これまた毎回異なるアイテムやイベントなどを活用して道を切り開いていく。
ゲームは全4ステージとなっており、各ステージにボスとなる「ベヒーモス」が存在。ラストステージではラスボス的な存在の「監督官」が待ち構えている。プレーヤーは3人のヒーローでパーティを組み、ランダム生成されるステージ上で敵と戦いつつ、装備アイテムを集めたり、ヒーロー同士の友好度を上げたりすることでパーティを強化しながら進んでいくこととなる。なお、途中で全滅=ゲームオーバーとなると、装備やレベルなどは全てリセットされ、拠点へと戻されることとなる。
惑星に降り立った後、1ステージ中に動けるのは3日だけで、4日めにはベヒーモスと強制的に戦闘となる。また、マップはエリアとエリアの間に障壁が存在し、これを解除しながら進むことになる。障壁の解除は1日3回までとなっている。つまり、1日のうちに3回行動が可能で、これを3日に渡って行なうというわけだ。
マップは全体を見渡すことができ、探索前にどこにどんな敵がいるかや、アイテムやイベント等の存在を把握することが可能となっている。配置される敵の中には強敵である「敵将校」も存在しており、こちらは倒すとレア度の高い報酬を得ることができる。マップには他にも体力を回復できたり、後述するキャンプで使用できるカードを手に入れられるイベント等が散りばめられており、アイテムをとるために強敵と戦うか、ライフを温存するために避けるか、イベントや宝箱のために迂回するかといったことを考えながらルートを決めることが重要となる。
マップの生成やルートの選定といったローグライク要素はそこまで重くはなく、ダンジョンで突然路頭に迷うような理不尽な難しさはない。むしろランダム性が丁度良く、2度目3度目と複数回プレイする際にルーチンのようになりにくくしてくれている。本作は戦闘の難易度が高く、何度も同じステージに挑むことになるので尚更だ。
ヒーローの成長が戦略を決める!そして夜はキャンプで絆を深める
マップ上では武器や防具といった装備だけでなく、ヒーローのレベルアップに必要となる「DNA」や、ベヒーモスを倒した後のインターバルにあるショップで使用できる「クレジット」なども手に入る。DNAやクレジットはこちらは3回行動した後に訪れる、夜のマップを探索することでも入手可能だ。クレジットはもちろん、DNAも全ヒーロー共通のリソースとなるのでレベルアップさせるヒーローは戦略によって選択する必要がある。
ヒーローはレベルアップすることでステータスがアップするほか、スキルやキャンプで使用できるカードも解放される。そのため、あるヒーローのレベルは特定のスキルやカードが解禁されるところで止め、別のヒーローにDNAを全てつぎ込むといった取捨選択が有効だ。
また、夜になるとキャンプをして翌日を待つことになるのだが、ここではカードを使用することで、バフを得たりヒーロー同士の絆を深めることができるのも本作の特徴だ。カードは各ヒーローがそれぞれ持っており、書かれた行動力を消費して使用していく。別のヒーローを対象にカードを使用すれば、効果を適用するだけでなくお互いの信頼関係を高めることができる。キャンプで使用できる行動力は決まっており、行動力がなくなるとヒーローは眠りにつき、キャンプも終了する。
カードにはステータス上昇やライフの回復といった効果があり、次の日の戦闘に備えることができる。特にベヒーモス戦前のキャンプでは、HPの回復はもちろん、強力なバフを付与しておきたい。
また、ヒーロー同士の好意が高まることでアビリティを解禁できるほか、特定のヒーローの組み合わせでは子孫を残すことができ、ヒーローとして使用できるようになる。解禁されるアビリティは、ステータスを恒久的に上昇させるものと、2人で放つ必殺技的な「コンボ」が存在。どちらも強力なので、できるだけヒーロー間で絆を結んでおくことで戦闘を楽にできる。
コンボや恒久的なバフはヒーローの組み合わせによって異なるので、色々なヒーローに絆を結ばせて好みのものを見つけるといいだろう。ヒーロー同士の掛け合いでは、ヒーローの個性が垣間見えたり、会話の中にはクスリとくるものもあり、そうした物語も楽しむことができる。
探索とキャンプをそれぞれ3回行なうとステージボスであるベヒーモス戦へ。ベヒーモスはかなりの強敵なので、マップの探索やキャンプなどの準備を怠らずに挑む必要がある。なお、ステージにいるベヒーモスの種類は固定されており変動しないので、何度かプレイしていると有効な戦略が見えてくる。
本作は序盤から難易度が高く、1つ目か2つ目のステージでゲームオーバーになることも多々ある。筆者は特に2体目のベヒーモスが難所に感じたが、プレイを続けていく中でコツをつかみ、何とか突破することができた。次章で解説する戦闘システムを理解し、的確な判断を下すことができれば勝利はグッと近くなるはずだ。
戦闘システムの核となる「行動タイムライン」と「ブレイク」
さて、本作のキモは何といっても特徴的な戦闘システムだ。冒頭でも述べた通り、本作はタイムライン型のバトルシステムを採用しており、プレーヤーは敵味方含めてた全てのユニットの行動の結果を確認しながらコマンドを選択していくことになる。ダメージにランダム要素はなく、攻撃が外れることもないので、運の要素は殆どない戦略的なバトルを楽しむことができる。
戦闘で重要になってくるのは、各ユニットの行動順を示す画面上部の「行動タイムライン」。各ラウンドの初めに敵ユニットの行動順と、その内容(攻撃の対象やそのダメージ)が表示されるので、それを参考に戦略を練り、ヒーローの行動を決めていくこととなる。
ユニットの各行動は発動時間が細かく決まっており、その値に応じて行動タイムラインに配置されていく。行動が早いユニットほど左側に配置されていき、全てのヒーローの行動を決定すると、自動的に行動タイムラインの左側から処理が進んでいくこととなる。
また、攻撃の種類によって発動速度は大まかに決まっており、例えば「軽攻撃」は発動時間が短い代わりに威力が低く、「重攻撃」はその逆で発動時間が長い代わりに威力が高い。タイムライン上では基本的に、軽攻撃を選択したヒーローは左寄りに、重攻撃を選択したヒーローは右寄りに配置される。
本作では敵より早く攻撃をすると自動的にクリティカルとなり、攻撃ごとに設定されたクリティカルボーナスを適用する。クリティカルボーナスは追加ダメージや、後述するアーマーへの破壊ボーナスなどがあるが、中でも重要なのは敵の行動を遅らせる「よろけ」と「ディレイ」だ。
よろけが適用されると、攻撃を受けたユニットの行動タイムライン上のアイコンは左に移動し、行動順が遅くなる。また、これによってユニットのアイコンが行動タイムラインからはみ出た場合、その敵は「ディレイ」し、そのラウンド中に行動することができなくなる。
ディレイした敵を追加でよろけさせることもでき、2ラウンド以上ブレイクさせることも可能。ただし、敵には「よろけ耐性」が設定されており、ディレイできる回数が決まっているので、永遠にブレイクし続けることは不可能となっている。
このディレイとブレイクをどのタイミングで発動するかが、本作の攻略のカギとなっている。まずサポートヒーローの軽攻撃で敵をディレイし、別のヒーローの重攻撃をクリティカルにしつつ、さらに追加のディレイをかけたり、ブレイクした敵を放置して別の敵に集中攻撃を仕掛けたり、ピンチならば態勢を整えたりと用途は様々なので、場面に合わせて的確に使いこなしていきたいところ。よろけをどれだけ与えるかは攻撃ごとに異なっており、中には全くよろけさせないものや、行動タイムラインの半分以上よろけさせるようなものも存在している。よろけ耐性を踏まえて、よろけが最大効果をもたらすように各ヒーローの行動を決めていくのはさながらパズルのようで、戦闘の面白さに繋がっている
一方注意したいのが敵の攻撃にもよろけ効果がある点。敵からの攻撃を敵からのクリティカルで受けてしまう場合は、防御が有効な手段となる。また、強力なAOE(範囲攻撃)に対しても防御は有効な手段となっている。
ライフを管理できるかが生死を分ける
各ユニットには、「ライフ(ヒットポイント)」の他に、「シールド」と「アーマー」で守られている。ダメージはまずシールドで受け、シールドが破壊されるとライフで受けることとなり、ライフが0になるとそのユニットはダウンする。アーマーはライフが受けるダメージをシールド値だけ減衰させる効果があり、特定の攻撃でしか破壊することができない。この体力に関する3つのステータスが、より戦闘を面白くしてくれている。
ヒーローのシールドは戦闘毎に回復するが、ライフとアーマーは特定のイベントや、キャンプカードでしか回復することができないので、連戦に備えてアーマーとライフを温存し、なるべくシールドだけで攻撃を受けるように意識することが求められる。逆に攻撃の際は、シールドのない敵から優先的に攻撃したり、アーマーを削ってダメージの通りをよくする立ち回りができれば、効率よく戦闘を進めることができる。
なお、ライフを失ったヒーローは戦闘が終了すればシールドのみが回復し立ち上がる。次にライフへダメージを受けた場合はまたダウンしてしまい、全てのヒーローがダウンした時にゲームオーバーとなる。
他にも本作の戦闘には様々なシステムが存在するが、代表的なものをいくつか上げると、まずヒーローにはチームで共有する「激情」ゲージがある。ヒーローはこれを使用することでターンを消費しない特殊なスキルを発動できるほか、上述した「コンボ」も発動することができる。激情のゲージはクリティカルやブレイクによって溜まっていく。
属性の要素も存在しており、攻撃には軽攻撃や重攻撃といった攻撃の種類を表す「コアタイプダメージ」と、火や電気といった属性を表す「属性ダメージ」が存在。2種とも敵の弱点や耐性として設定されていることがあるほか、エレメンタルタイプの攻撃は特殊な追加効果を発生させる。ヒーローは属性武器を装備することで、エレメンタルタイプを攻撃に付与することができる。
さらに、前列・後列と射程の要素もある。攻撃は基本的に前列の敵にしか届かないが、一部の攻撃は後列にいる敵にも届く。全員で前衛に攻撃を集中させるか、射程の長い攻撃で後衛をディレイさせて凌ぐかなど、戦況に合わせてターゲットを決めることが大切だ。
本作の戦闘システムはとにかく複雑だが、実際にプレイすると行動タイムラインが各行動の結果やディレイといった要素をを視覚的に説明してくれるためか、意外にもすんなり理解することができる。加えてチュートリアルはマップ・戦闘中問わずどこでも見返すことができるので、途中で何かを忘れてしまったとしても安心だ
自由度の高いパーティ編成と高いリプレイ性
本作に登場するヒーローはどれも特徴的で、様々な役割を有している。例えば、主人公の「ウィン・サイフェックス」は高い攻撃力を持ち、アーマーの破壊が得意なヒーロー。「セニャ・ラノドラ」はシールドの再生や味方をバフするオーラを付与できるサポートヒーロー、「ジェンス・マーリック」は高火力の後衛といった風だ。
プレーヤーはこうした特徴豊かなヒーローから3人を選んでミッションに挑むことができる。前衛2人、後衛1人のようなバランス重視のパーティで安定したクリアを目指したり、タフな前衛3人でごり押しのようなプレイを楽しんだりすることが可能だ。また、どのヒーローも個性豊かなバックストーリーが存在し、ゲーム上で読むことができる。読んでみるとわりとネジの外れたキャラクターが多く、中々楽しめるので是非確認してみてほしい。
「レネゲード基地」では”失われない”アップグレードを
本作では全滅してゲームオーバーになるか、監督官を倒しミッションをクリアすると「レネゲード基地」と呼ばれる拠点へと戻される。全滅すると経験値や装備、ヒーロー同士の絆はリセットされるが、基地で行なえる様々な強化は次の冒険でも活用でき、失われることはない。
基地では2種類の「リサーチ」を使用して多種多様な要素のアンロックが可能だ。ベヒーモスを倒すことで入手できる「名声」は新たなヒーローを解禁したり、ヒーローをバフする「恩恵」を解禁するのに使用する。恩恵は出撃時に選択でき、一人のヒーローに複数存在するが、ミッションに持ち込めるのは1つだけ。パーティ構成も踏まえて、有効な恩恵を選択するといいだろう。
もう一つの「テクノロジー」は装備のアンロックやアップグレードや、「ドロイド」のアップグレードを行なうことができる。ドロイドはマップやキャンプでプレーヤーを有利にしてくれる要素で、アップグレードを1つだけ選択してミッションに挑むことができる。デフォルトでは夜に探索済みのマップでDNAやクレジットが発見できるものを装備しており、キャンプ後にアーマーを回復するものや、ベヒーモス戦後に現われる商人の人数を増やすものなどがアンロックできる。
本作は1週目クリア後にも新たな展開が待っているほか、より高い難易度でのプレイも可能。ランダムなマップ生成や幅広い難易度、パーティ構成の自由度等もあり、高いリプレイ性を有している。戦闘シーンに早送り機能がついているのも、プレイをスムーズにしてくれるので好印象だ。このリプレイ性の高さが、運の要素のない戦略的な戦闘システムと噛み合って、プレイするほど魅力を感じるゲームになっていると感じた。
難点を上げるとすれば、1週クリアで小さな変化こそあれど、ストーリーに大きな変化はなく、収集要素も存在せず、ワンプレイも長いので周回プレイをするモチベーションとなるのが「より高い難易度で遊びたい」というチャレンジ精神しか無いように感じたことだ。実際1プレイは3時間~4時間もかかり、ジャンルに「ローグライク」の文字が入るゲームとしては長い部類に入る。もちろん、これに関してはそれだけ考えることの多い、骨太なゲームだと見ることもできるだろう。
本作は特徴的なグラフィックスや育成要素などによって、ダンジョンを探索する古典的なローグライクとはまた違ったプレイフィールを備えており、仮に一度ゲームオーバーになってしまってももう一回、もう一回とプレイしたくなる魅力がある。ローグライト好きには是非プレイして欲しいタイトルだ。
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