5月24日、株式会社カプコンからプレイステーション 3/Xbox 360「ドラゴンズドグマ」が発売。広大なフィールドを舞台に物語が展開するオープンワールドアクションゲームだ。カプコン製、ドラゴンの登場、アクションと、同社の「モンスターハンター」シリーズを想像する人がいるかもしれないが、本作は完全な新作タイトル。また、オンライン要素はありつつも1人用であることをわかっておいてもらいたい。
PS3/Xbox 360版共に作成できるセーブデータは、1ユーザー/プロフィールにつき1つまで。PS3で複数のセーブデータを作成するには新たなユーザーを作成、Xbox 360ならメモリーユニットなど複数のストレージ機器を使用して別々にセーブデータを管理するか、新規にプロフィールを作成する必要がある。ちなみに、どちらのハードでもセーブデータのコピーは可能。コピーしたデータは作成したユーザー/プロフィールでのみ使用できる。
なお、本レビューにはPS3版を使用しており、操作方法についてはPS3版のものとなっている。
■ 竜を倒す運命を背負った“覚者”となり、広大なフィールドを舞台に冒険を繰り広げる!
とある漁村に住む主人公は、いきなり来襲したドラゴンに宣告される。 「お前こそ、選ばれた者だ」 なぜ、自分なのか?なぜ、倒さねばならないのか? その答えは、ドラゴンが知っている… 来襲したドラゴンは、主人公の体から心臓を奪い去る。 しかし、主人公は蘇る… 竜を倒す運命を課せられた“覚者(かくしゃ)”として。 |
理由もわからず、ドラゴンに心臓を奪われ、蘇った主人公(プレーヤー)は、ドラゴンを倒す運命を課せられた“覚者”となり、冒険を進めていく。その冒険の舞台となるフィールドは広大で、主人公の住む漁村ひとつとってみても、マップを見たり、何度も歩き回らないとどこに何があるか覚えきれないほど広い。自由度はかなり高く、物語に関係なく、広大なフィールドを自由に探検することができる。
広大なフィールドを冒険する本作。時間の概念(ゲーム内の1日は、現実時間で48分)もあり、同じ場所であっても昼と夜では違ったことが起きたりもする。夜間や洞窟などでは視界が悪いため、ランタンなどの明かりを必ず確保しておきたい |
もちろん、フィールドが広大なことから目的がわからず、何をすればいいかわからないことはない。人々や宿屋の掲示板からクエストが受注でき、このクエストをクリアしていくことでゲームは進んでいく。多くのゲームでは1度に受けられるクエスト数に制限があるが、本作ではその時点で受けられるクエストは全て1度に受けることができるようになっているのが嬉しい。ただし、クエストによっては、他のクエストを進めることで達成不可能になってしまうものも存在する。
メインストーリーに関係するクエストを進めていけば、物語の謎が解き明かされるだけでなく、新たな施設へと自然に辿り着くことができ、スキルの習得、転職といったシステムも利用できるようになる。
クエスト情報は、どこに行って何をするのか確認できるほか、受注したクエストのうち1つを「優先クエスト」に設定することができる。「優先クエスト」に設定したクエストは、マップに目的地の場所を示す印がつく。さらに、ポーンという仲間のNPCがそのクエスト情報を持っていればヒントをくれたりもする。そのため、ほとんどのクエストは、どうすればよいかで迷うことはないだろう。
NPCとの会話などからクエストを受注。優先クエストに設定しておけば、そのクエストの目的地がマップに記される。クリアすればお金やアイテムといった報酬が得られる |
■ 覚者と共に行動し、手助けしてくれるポーン!
主人公+ポーン3人の最大4人パーティーで冒険を進めることができる。ポーンは戦闘を重ねることで知識を蓄え、賢くなっていく | |
プレーヤーキャラクターと同様にメインポーンも細かくエディットできる |
本作では、ポーンと呼ばれるNPCを最大3人まで連れて冒険できる。ポーンとは別名「異界渡り」とも称される、人の外観を持った人ならざる存在。この世界では戦力として重宝されている一方、自発的な意志や感情を持たないことから、人間社会においては異端の存在として忌避されていたりもする。謎の多い存在だが、ポーンについての謎もゲームを進めていくことで明らかになっていく。このポーンこそが、本作の最も特徴的なシステムと言えるだろう。
連れていくポーンのうち1人は、常にプレーヤーと共に行動するメインポーン。主人公と同様に外見を自由にカスタマイズすることができる。メインポーンは冒険を通じてレベルアップし、体力や攻撃力が成長するだけでなく、戦い方や知識も習得する。
さらにメインポーンはネットワークに接続することで、異世界(他プレーヤーの世界)で冒険し、知識を得ることもある。異世界で冒険といっても、プレイ中にいなくなるわけではないので安心してもらいたい。また、経験値が勝手に増えることもない。得られるのは、知識、他のプレーヤーからプレゼントとして渡されたアイテム、リムの結晶(後述)となる。
残り2人は、サポートポーンと呼ばれる他プレーヤーの育てたメインポーンで、街などにあるリムや街中などで仲間にすることができる。リムでは、主人公よりレベルの低いポーンやフレンドのポーンは無償で雇うことができるが、自分よりもレベルの高いポーンを雇うにはリムの結晶が必要になる。
リムの結晶は敵がドロップすることもあるが、異世界でメインポーンが冒険することでより多く手に入れることができる。メインポーンと違い、サポートポーンは知識を得ることはあってもレベルアップすることはないので、一定以上レベルが上がったら、新たなポーンを雇い直すのがいいだろう。ちなみに、レベルの低いポーンを雇うと得られる経験値が増えるといったメリットがある。
ポーンの存在は心強い。手数が増えることで敵に与えられるダメージを増やすことができるし、サポート能力のある職業のポーンを仲間にしておけば回復などもしてくれる。どの職業のポーンを選び、どのようなパーティ構成にするかは攻略に大きく関わってくるので、よく考えてポーンを雇うようにしたい。
またポーンは、クエスト情報を持っていれば、クエストのヒントをくれたりするし、落ちているアイテムを拾ってくれたりもする。あらゆる面で助けになる存在なので、よほどの理由がない限り、主人公+メインポーン+サポートポーン2人の4人パーティで冒険すべきだろう。
リムではサポートポーンが仲間にできる。オンラインに接続していれば、他のプレーヤーのメインポーンをサポートポーンとして雇うことができる。高レベルのポーンを雇うにはリムの結晶が必要になるが、主人公よりレベルの低いポーンやフレンドのポーンであれば、無償で借りることができる。ゲームを先に進めているプレーヤーのポーンを借りることができれば、クエストのヒントが得られたりと、戦闘以外でも活躍してくれる |
■ 巨大なモンスターと迫力のバトル!特徴的な9つの職業!
戦闘の操作に複雑なコマンド入力はなく、1つもしくは2つのボタンの組み合わせで全ての操作が行なえる。攻撃は、□ボタンで小攻撃、△ボタンで大攻撃、L1+□/△/○ボタン、もしくはR1+□/△/○ボタンで職業固有スキルを繰り出せる。×ボタンはジャンプとなっており、ジャンプからも攻撃が可能。また、一部の職業限定ながら前転で回避したり、盾でガードするといったアクションも存在する。1つ1つのアクション操作は簡単なので、すぐに自由にキャラクターを動かせるようになるだろう。
ゲームをプレイするにあたって知っておくべき2本のゲージが存在する。その1つが体力ゲージ。主人公の体力が無くなればゲームオーバーとなってしまう。ダメージを受けると体力ゲージが減るが、そのときにグレーで表示された部分のみ魔法で回復できる。グレーで表示されている部分以外の体力を回復するには宿屋に宿泊するか、アイテムを使う必要があるため、冒険に出る際には回復アイテムを持っていくようにしたい。
主人公の体力ゲージが無くなってしまうとゲームオーバーだが、ポーンだと戦闘不能状態となる。この場合、主人公が戦闘不能状態のポーンに近寄って○ボタンを押せば復活させることができる。効率的ではないが、ポーンに戦闘を任せ、回復と復活に徹するといった戦法も可能だ。
ポーンは、戦闘不能状態となって一定時間が経過すると、ロストし異世界へと帰還してしまうため、その前に復活させるよう心がけたい。ちなみにロストした場合、所持していたアイテムは倉庫に送られるので、アイテムを失うことはない。また、ロストしてしまっても再度リムに行けば仲間にすることができる。
もう1つはスタミナゲージ。ダッシュ移動、しがみつく、特定スキルの使用などで消費するゲージで、ゲージがなくなると息切れしてしばらく動くことができなくなってしまう。しかし、弱攻撃や大攻撃中でもスタミナは自動回復するので、スタミナが残り少なくなっても充分に戦うことができる。
フィールドには、ゴブリンや野盗など様々な敵が存在し、近づくと襲いかかってくるため、街の外で行動する際には油断は禁物。登場する敵の種類は様々だが、中でも注目なのが迫力ある巨大モンスターだ。巨大モンスターは、攻撃力や体力が高く特殊な攻撃を仕掛けてくるやっかいな相手だが、得られる素材は貴重で、経験値も通常のモンスターより多いため、是非倒しておきたい。
圧倒的な戦力差があれば、何も工夫せずに戦っても倒せるが、実力が均衡している場合には特定の部位への攻撃が有効。特定の部位を攻撃することで大きなダメージを与えられたり、部位を破壊することで行動を制限できる。部位を攻撃するのに活躍するのがR2でのつかみ。敵にしがみつき、破壊したい部位までよじ登ることで、近距離攻撃しかできない職業でも部位破壊を狙うことができる。
巨大モンスターとの戦いでは、隙を見つけてしがみつき、特定部位を攻撃して倒すのが定石だ。振り落とされてしまうこともあるが、根気強く目的部位まで移動しよう。部位が高い位置にある場合、ジャンプ中にしがみつくことで目的の部位までの距離を縮めることもできる |
多彩なスキル(アクション)が本作の魅力の1つ。選択した職業により、装備できる武器や習得できるスキルが異なり、戦い方も違ってくる。また、スキルだけでなく、セット中に常時効果が得られるアビリティといったものも存在し、これらは職業に習得できるものが異なるが、1度習得してしまえば、どの職業でも利用できる。多くの職業を育て、アビリティを習得することで強力なキャラクターが育成できるわけだ。
【職業一覧】 | ||
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基本職 | 上位強化職 | 混成強化職 |
ファイター | ウォリアー | ミスティックナイト (ファイターとメイジの混成強化職) |
ストライダー | レンジャー | アサシン (ストライダーとファイターの混成強化職) |
メイジ | ソーサラー | マジックアーチャー (ストライダーとメイジの混成強化職) |
このように主人公が就くことのできる職業は9つあるが、本稿では初期に選択できる3つの基本職を紹介する。
■ ファイター
ファイターは、メイン武器に片手剣、サブ武器に盾が装備できる近距離戦に優れた職業。
片手剣のスキルでは、一気に間合いを詰めることのできる一閃突き、プレーヤーの周囲に攻撃できる円月斬りなどを習得するため対応力が高く、攻撃力もなかなかのもの。
盾は構えている最中であれば敵の攻撃を弾き返すことができ、その隙に攻撃を決めるといった使い方もできる優秀な防御手段。盾スキルは盾を構えた状態からすぐに繰り出せるため、使い勝手もいい。また、敵の注目を引くことのできる盾スキルも存在する。
攻防のバランスが良く、3つの基本職の中では最も扱いやすい職業といえるだろう。
■ ストライダー
ストライダーは、メイン武器にダガー、サブ武器に弓が装備でき、距離を問わず戦える職業。敵にしがみついてからの移動速度が速いといった特徴も持つ。
ダガーはリーチが短く、単発の威力は低めだが、スピーディーで、複数回の攻撃が叩き込めるスキルがあるため、攻撃力も充分。特に面白いのが構え直しという動作の隙を消すことができるスキル。スキルを使い、終わり際の隙を構え直しで消して、次の行動へと移ることができる。
弓での攻撃は、ダガーと比べると低めだが、空を飛ぶ敵を打ち落としたり、遠距離から安全に攻撃を決めることができる。
防御面は弱く、多少テクニカルな立ち回りが要求されるが、やれることの多い職業になっている。
■ メイジ
メイジは、メイン武器に杖(サブ武器無し)を装備し、数々の魔法を使いこなす職業。攻撃、補助、回復と様々な魔法が使えるのだが、なんといっても回復魔法が使えるのはメイジだけなので、パーティに1人は入れておきたい。
回復魔法には、体力を回復するヒーリングスポット、状態異常を回復するキュアスポットの2種類があり、魔法を使うと回復できるスポットが一定時間設置され、近寄ることで恩恵が受けられる。
回復以外の補助スキルとして、一定時間武器に特定属性を付与するギフト系の魔法がある。各モンスターには弱点属性があるため、これがあれば与えられるダメージが大幅に上昇する。ポーンが戦い方を熟知していれば、弱点となる属性を自動で選択し、付与してくれる。
防御力が低く、魔法発動には詠唱時間が必要なため、魔法を使う際には、敵から距離を取り、安全を確保しておきたい。
■ 追加クエスト、冒険に役立つアイテムのDLC!公式ポーンとして、芸能人のポーンも続々と配信!
追加クエストや新たなアイテムが開放されるDLC、芸能人のポーンが次々に配信されている。
■ DLC
6月19日までに配信されているのが、掲示板クエスト「異空より零れしもの」シリーズと、武器やリムの結晶に関連するアイテムタイプのDLC。これらは全て有料となっている。
「異空より零れしもの」シリーズは、各PART毎に10個のクエストが追加されるDLC。より本作を楽しみたい人にオススメのDLCだ。ただし、シナリオ進行によって受けられなかったり、ジョブやスキルの組み合わせによってはクリアできないクエストもあるので注意してもらいたい。
アイテムタイプのDLCには、リムの結晶、装備追加、お店が開放されるものがある。なくてもゲームを進めることに問題はないが、このDLCでしか入手できない装備も用意されている。
■ 公式ポーン
現在公式ポーンとして、芸人の井上聡さん(次長課長)、鈴木Q太郎さん(ハイキングウォーキング)、堀内貴司さん(コンマニセンチ)、声優の笠陽子さん、喜多村英梨さんらのポーンが配信されている。なお、井上さん、鈴木さん、堀内さん(ポーン隊)のポーンは、8月31日で配信が終了となる。
公式ポーンはネットワークに接続してゲームをプレイすることで、ゲーム内で借りることのできるサポートポーンである。通常のサポートポーンと同様にリムで仲間にできる。こちらも自分のレベルより高い場合にはリムの結晶が必要になる。リムの結晶はゲームをプレイしていれば貯まるが、すぐに仲間にしたいのであれば、リムの結晶が増えるDLCを購入するといいだろう。
■ 最後に
時間の概念が織り込まれ、昼と夜では違った顔を見せる広大なフィールド、巨大なモンスター、特徴的な9つの職業、人工知能で動くポーン、幾多のクエストやアイテムなど、これでもかというほど、多くの要素が詰め込まれている。
アイテムに関しては、まず装備品の種類が豊富で、装備によって性能だけでなく外見も変わるので、強さだけではない楽しみがある。また、装備以外のアイテムも非常に多い。フィールドのそこかしこで拾ったり、敵からドロップしたりと、アイテム入手の機会は多く、これらのアイテムは調合することで別のアイテムを生み出したり、装備品を強化することができる。
ただ、そのアイテム数の多さから、特定のアイテムを選ぶのが難しい点は少し残念。例えば、倉庫から武器を取り出す際、最適順/重量順/攻撃力順/魔法攻撃力順でソートできるのだが、装備可能職業でのソートが存在しないため、その職業で最も強い装備を探すのに、攻撃力や魔法攻撃力でソートし、各武器の装備可能職を1つ1つ確認することになる。アイテムの豊富さは魅力の1つでもあるので、次回作があれば是非この辺りは改良してもらいたいところだ。
ゲーム画面を見て難しそうと感じる人がいるかもしれないが、幅広い層が遊べる難易度になっている。プレーヤー+ポーン3人のパーティ構成で、ポーンは戦力として頼りになるし、高レベルのポーンを雇うこともできる。高レベルのポーンを雇うにはリムの結晶が必要になるが、フレンド登録しておけばそれも必要ない。多少強い敵であってもレベルを上げ、装備を整えれば楽に進めるし、戦闘中であってもアイテム選択の際にはゲーム内時間が停止し、ゆっくりと使用するアイテムが選べる。
オンライン要素はありつつも、1人でじっくりと遊べる本作。多くの要素に加え、DLCやクリア後の遊びまで用意され、長時間楽しみたい人も満足できるはず。親切な作りになっているため、オープンワールドタイプのゲームをプレイしたことのない人にもオススメできるタイトルだ。
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(2012年6月28日)