★ Xbox 360ゲームショートレビュー★
あの「アラド戦記」がXbox 360に登場!
オフ/オンラインでダンジョンバトルを楽しもう!!
「Dungeon Fighter LIVE: Fall of Hendon Myre」
ジャンル:
アクション RPG
開発元:
Nexon/Neople/Softmax
発売元:
マイクロソフト
プラットフォーム:
Xbox 360
価格:
800MSP(約1,200円)
発売日:
7月13日
レーティング:
CERO B(12 才以上対象)

 「Dungeon Fighter LIVE: Fall of Hendon Myre」は、ネクソンが運営しているWindows用オンラインアクションRPG「アラド戦記」をXbox LIVEアーケードタイトルとして移植したものだ。プレーヤーはWindows版「アラド戦記」を上回る高解像度グラフィックスで、レベル20までのゲーム前半部分を楽しむことができる。オンラインプレイはもちろん、オフラインでも最大4人のマルチプレイが可能だ。

 Windows版と同じように、アイテム課金の要素が一部盛り込まれており、ゲーム内で復活できる「復活石」は、マイクロソフトポイントを消費して購入する(最初は10個所持している)。この復活石は強力なアイテムの購入にも使える。

 「オンラインゲームをどうコンシューマ化するか」というテーマには、いくつかのタイトルが取り組んでいる。この「Dungeon Fighter LIVE」のアプローチはどのようなものだっただろうか。ショートレビューとして、紹介していきたい。


■ ゲーム性はそのまま、高画質グラフィックスで。コンテンツはWindows版のレベル20まで

キャラクターイラストは本作オリジナル。アメコミ風のイベントシーンが入っている
町は「アラド戦記」と違いMMO要素はない。NPCとの会話をもカーソルで選ぶ形に
オフラインでも最大4人でのプレイが可能だ

 「Dungeon Fighter LIVE: Fall of Hendon Myre」は、日本ではネクソンでサービスされているオンラインアクションRPG「アラド戦記(原題DUNGEON & FIGHTER)」のXbox 360版である。「アラド戦記」は町がMMO空間で、仲間と共にパーティを組み、MOのダンジョンに挑む。日本でのサービスは2006年11月、開発元の韓国に加え、中国や台湾、北米などでもサービスされ、特にアジア圏でヒットした。その後の韓国オンラインゲームに強い影響を与えた作品だ。

 「アラド戦記」は、「ファイナルファイト」や「キャプテンコマンドー」などの日本の横スクロールアクションゲームを彷彿とさせる、画面構成とゲーム性で人気を博した。コマンドで様々なスキルを使用可能で、PvPにも力が入っていた。「Dungeon Fighter LIVE」はその「アラド戦記」のエッセンスを抽出したものとなっており、オフラインでのソロプレイでもストーリーのクリアは可能になっており、マルチプレイでさらなる高みが目指せる内容となっている。

 現在のところ「Dungeon Fighter LIVE」はPvP要素はなく、PvEのみだ。コンテンツとしては「天城(あましろ)」というダンジョンまでが実装され、キャラクターのレベルキャップはレベル20、現在の「アラド戦記」から見れば、“ゲーム前半部分”といえるボリュームと言える。選択できる職業も「鬼剣士(男)」、「格闘家(女)」、「ガンナー(男)」と3キャラクターのみで、新職業や2次職、3次職が入っている「アラド戦記」と比べると、ずいぶん少なめだ。

 ゲームをスタートさせると、キャラクターを作成でき、その後チュートリアルとして剣を持つキャラクターを操作できる。このシーンでは、アメコミ風のイベントシーンが入る。チュートリアルのキャラクターがどうなったかは、ゲームを進めていくことで明らかになる。チュートリアルが終わると作成したキャラクターでの冒険がスタートする。プレーヤー達冒険者は、突如数を増やしたモンスターがまき散らす奇病「ファンタズマリア」から世界を守るため戦っていくことになる。

 ストーリーの展開、タウンマップ、ダンジョンも「アラド戦記」と同じだ。異なっているのはグラフィックスで、全体的に「アラド戦記」と比べると高画質で細かく描き込まれている。また、NPCと会話するときに表示されるイラストも本作オリジナルとなっている。「アラド戦記」のプレーヤーならば、グラフィックスのアレンジを確かめてみるのも楽しいだろう。

 そして、「アラド戦記」と最も違うところが町だ。「Dungeon Fighter LIVE」の町は自由に歩くことができず、静止画の状態でNPCや自宅を選び、クエストやアイテムの売買などを行なっていく形になっている。「アラド戦記」のようにMMO空間ではないため、他のキャラクターも見えない。町で他のキャラクターに会えないのは、オンラインゲームとしては寂しいところだ。他のユーザーとは、ダンジョンに入る際ロビーで検索することでパーティを組むことができる。パーティを作成してからダンジョンに入る事で、途中から他のユーザーが参加可能になる。逆に言えば、本作はダンジョン内だけでしか他のキャラクターを見ることができない。

 ちなみに、「Dungeon Fighter LIVE」のサーバーは独立しており、「アラド戦記」とは全く別となっている。アカウントはゲーマータグで管理され、1つのタグで5人までのキャラクターの作成が可能だ。本作ならではの要素としては、オフラインでも複数のプレーヤーによるマルチプレイが可能というところだ。この場合はホストが画面を選択する。ダンジョンでもホストが画面の中心となる。

 今回はガンナーでプレイしてみた。攻撃速度は遅めで多少癖があるが、敵から距離を取って戦うことができる職業だ。スキルはキック技が中心で、敵を蹴り上げる「ジャックスパイク」が追加攻撃に繋げやすい。周囲を攻撃できる「ウインドミル」などのキック技もあるほか、巨大なガトリングや、爆発するロボットも使える。スキルはショートカットに登録するか、コマンド入力で発動する。コマンドを入れるのはアナログステイックより、方向キーの方が使いやすかったが、移動中意図せずに技が出てしまう場合があった。ショートカットはRトリガーかRボタンと一緒に、X、Y、A、Bボタンを押して使う。ガンナーは現時点ではあまり人気が無いのか、オンラインプレイで一緒になるのは鬼剣士か格闘家が多かった。

 戦闘システムは操作感も含めて「アラド戦記」そのままだ。動きが若干もっさりした横スクロールアクションで、敵の攻撃パターンは少なく、モーションも少なめ。「アラド戦記」サービス開始時に“懐かしいベルトスクロールアクションだ”という印象だったが、現在の視点から見るともはやレトロゲームそのままだ。

 

 しかし大事なのが、その古い感触が本作ならではのウリになっているというところだろう。横スクロールアクション独特のゲーム性と、新しいモンスターが出てくるワクワク感、徐々に増えてくるスキルと、強力になってくる敵との駆け引き……。「アラド戦記」は、レトロさを感じさせつつもどこかしら魅力を感じてしまう間口の広さと、オンラインゲームならではのやり込める要素が多くのユーザーの人気を集めた。本作はこういった「アラド戦記」の魅力もそのまま再現している。ファンアイテムとしてはもちろん、カジュアルなやりこみ型アクションRPGとしても注目のゲームだろう。


オープニングとチュートリアル。このキャラクターとは、ストーリーを進めることで再開する
町の住人にはそれぞれオリジナルイラストが用意されている
今回プレイしたガンナー。遠距離攻撃が得意で、キックや重火器も使いこなす。フィールドの敵を一掃するとイラストがカットインされる


■ 強化やアイテム作成、課金アイテムで強力装備をゲット。アップデートは現在は未定

Windows版では課金アイテムだった壺は、ゲーム内マネーで購入でき、中からランダムでアイテムが入手できる
本作の課金アイテムは「復活石」というもの。20個で40MSP(約56円)、150個で200MSP(約280円)
オンラインプレイ。火力が増えているだけに、展開はとてもスピーディだ

 「Dungeon Fighter LIVE」はソロプレイでも進められる様にバランスが調整されているという。本作はオリジナル同様ダンジョンに難易度が設定されており、「ノーマル」、「エキスパート」、「マスター」、そしてレベルキャップのレベル20に到達してから挑戦できる「キングロード」の4つがある。ゲームが進むことで、より高難易度に挑戦できる。ストーリーを先に進めるにはノーマルだけで充分だが、高難易度の方がアイテムのドロップ率が高い。

 ソロプレイではマスターはかなり厳しい。反面、マルチプレイの場合はかなりスピーディーにダンジョンを攻略できる。マルチプレイではアイテムの入手に制限はないため、取り合いになる。全体的にせっかちなプレーヤーも多いが、この先へ先へ進む感じは楽しいものがある。パーティプレイだとクエストアイテムも取り合いになって集めづらいところもある。パーティプレイでレベルを上げ、そこからクエストを進めるためソロでダンジョン攻略、というのが有効な感じだ。

 武器・防具の強化や、製作システムもあり、装備を集めるのは楽しい。「アラド戦記」では課金アイテムだったランダムで武器や防具が出る「ツボ」は、ゲーム内マネーで買えるしダンジョン内でもドロップする。レベルを上げ、装備を常に向上させ、新たなスキルを習得していく……。RPGならではの成長要素、装備のカスタマイズはやはり楽しい。マルチプレイでの仲間の頼もしさ、ソロプレイでの緊張感、本作は「アラド戦記」の要素をよく表現していると感じた。特にオンラインプレイは楽しい。

 火力が集中できるパーティプレイでも、ゲームを進めていると倒されてしまうことがある。この時は「復活石」があればその場で復活できる。復活石は最初10個持っているが、追加購入はMSP(マイクロソフトポイント)が必要な課金アイテムである。復活石を消費することで普通より強いアイテムも買える。復活石は20個で40MSP(約56円)、150個で200MSP(約280円)となっている。

 復活石は「アラド戦記」の「コンティニューコイン」と同じような機能を持つが、コンティニューコインは1日に1枚新たに支給されるが、復活石の無料支給はない。もう1つ大きな違いは、本作には“疲労度”がなく、何度でもダンジョンに挑戦できるところだ。復活石は強力な「レアアイテム」購入にも使える。現在のところはまだ入っていないが、ダンジョンの評価画面には、「アバターアイテム」の項目もあり、今後何らかのアイテムが実装されるのかもしれない。

 「Dungeon Fighter LIVE」のキャラクターのレベルキャップはレベル20だ。レベル20になると最高難易度の「キングロード」が開放され、さらに「天城」のダンジョンに行けることになるという。これは「アラド戦記」ではレベル20周辺のマップである。「アラド戦記」から見れば、「Dungeon Fighter LIVE」のコンテンツはゲーム前半部分のボリュームと言うことになる。今後ダンジョンが拡張されるかは未発表だ。

 全体的に、「Dungeon Fighter LIVE」はグラフィックスが少しリッチになっている点を除けば、「アラド戦記」の序盤部分をそのまま移植したゲームだ。800MSP(約1,200円)という手軽な値段を考えれば、ボリュームとしても充分だ。友人が家に来たときに一緒にオフラインで遊べるというのも楽しいだろう。現在はまだ未定だが、アップデートはユーザーの反応を見てから行なっていくということで、この点も期待したいところだ。

 しかし一方で、ユーザー待望のコンシューマー版なのだから、もっともっとアレンジをしてもよかったと思う。確かに本作はXbox 360で「アラド戦記」がプレイできるという、最も求められる命題を果たしている。オリジナルの持つ面白さをきちんと再現していると思う。しかし、本作は「アラド戦記」ユーザーにも注目される作品である。だからこそ、Windows版とコンセプトは同じでも、現在のコンシューマーアクションゲームに負けない、“アクションによる敵との駆け引き”や、“濃いストーリー展開”、“多彩な動きを見せるモンスター”など、“現在の技術力だからこそできた「Dungeon Fighter LIVE」”を見せて欲しかった。「この『Dungeon Fighter LIVE』の要素を『アラド戦記』に入れてくれよ!」とユーザーが思わず叫んでしまうようなコンシューマー作品を見せてもらいたかったところだ。


左から、ショートカット設定画面、アイテムの強化、レシピによる作成画面
スキル習得、レアアイテム購入。右はダンジョンクリア時の報酬選択画面
オンラインプレイは激しく、スピーディだ。高難易度ダンジョンもガンガン攻略できるが、気がつくと体力が減ってる場合もあるので気をつけたい。常に回復アイテムは多めに持っていたいところだ



(2012年7月18日)

[Reported by 勝田哲也]