“Stay awaile and listen...”とインストーラから懐かしさ満点。再び悪魔狩りの日々がやってきた! |
「ついに出た!」という言葉がこれほど似合うタイトルは他にない。2008年のタイトルの発表から、待てど暮らせど発売日が決まらず、「いつまで経っても発売されないゲーム」の代名詞となっていたPC向けオンラインRPG「Diablo III」が、2012年5月15日、ようやく発売となった。
シリーズ1作目となる「Diablo」は、1997年に発売されたオンラインRPG。最大4人のパーティで、自動生成により毎回異なるマップのダンジョンに潜り、より強力なアイテムを求めて自動生成のダンジョンへ何度も通うという中毒性の高いゲームデザインで、世界的な大ヒットとなった。当時からインターネットを介したマルチプレイに対応していたことからMORPGの先駆け的な存在であり、敵を倒してキャラクターを強くしていく「ハック&スラッシュ」の代表作とも言われている。
そして2作目の「Diablo II」が発売されたのは3年後の2000年。そのペースで続編が出ていれば今頃は6作目が出ている頃だが、シリーズの開発者が大量離脱したり、別ラインのMMORPG「World of Warcraft」が大ヒットしたりといった理由で停滞。2008年にようやく「Diablo III」のタイトル発表となったが、さらにその後も発売延期を重ね、先の不名誉な代名詞を頂くに至った。結果として、実に12年ぶりのシリーズ最新作となっている。
オンラインゲーム業界で12年前といえば、日本ではまだ黎明期と呼ぶ以前の時代と言ってもいい。「Diablo」と並んでオンラインゲームの代表作と言われる「EVERQUEST」の発売が、「Diablo II」の前年の1999年だったと言えば、長年のオンラインゲーマーにはその時間の流れを実感していただけるだろう。
そんな長い時間を経て登場した本作は、シリーズの持つ面白さを追求しながらも、今時のオンラインゲーム事情を反映し、細部まで妥協のない作り込みがなされている。その辺りを1つずつご紹介したい。
■ 日本語版は絶望的……だが英語版は手軽に入手可能
英語版は公式サイトでダウンロード販売されており、入手は簡単 |
最初に本作の入手方法について説明する。まず大前提として、日本語版を待っている方には、「諦めてください」とお伝えしたい。本作は始めからマルチ言語対応となっており、欧米各国のほかに中国語、韓国語といったアジア地域の言語もサポートしているのだが、日本語は含まれていない。また、今のところ日本語版が発売されるという話も全く聞こえてこない。
しかし本作は英語がわからなくても問題なくプレイできる。ストーリーがわからなければ面白さの一部は削がれる(本作はこれまでになくストーリーに力が入っている)ものの、ゲームの進行においては言葉での複雑な指示はないため、別段苦労はしない。むしろシリーズをプレイしている方の大半は、「アイテム名は英語でないと雰囲気が壊れるよね」と思っているだろう。
ソフトを入手するには、パッケージの購入と、ダウンロード版の入手という2つの方法がある。パッケージは当然ながら海外版のみで、北米版やアジア版などリージョン別のものがある。日本でプレイするなら北米版を購入しておけば間違いない。価格は秋葉原の店頭では7,000円前後だった。なおパッケージにはCollector's Editionという特典入りの豪華版も用意されている。
ダウンロード版は、公式サイトから直接購入できる。「BUY DIABLO III」と書かれたバナーをクリックして、まずBattle.netアカウントを取得(無料)。その後、クレジットカードなどで決済すれば、すぐにダウンロードできる。価格は59.99ドル。輸送費が上乗せされるパッケージより割安となるが、ダウンロードファイルは筆者の環境で約7.6GBだったので、ダウンロード時間を考慮すればパッケージを購入してしまうのも手だ。
キャラクターデータはサーバー側に保存されるため、シングルプレイでもオンライン環境が必須となる。それでも月額料金は不要というのが太っ腹。そしてWindowsだけでなくMac OSにも対応している。
■ ハック&スラッシュそのものがゲームの目的!
敵を倒してレベルを上げてアイテムを集める、というのが目的のゲームだ |
マジックアイテムはPrefixとSuffixによって多彩な能力を持つ |
前置きが長くなったが、ここからは本作の面白さについてお話ししていきたい。まずゲーム内容は、クォータービュー(俯瞰視点)のフィールドでプレーヤーキャラクターを動かし、モンスターを倒しながら進むゲームだ。グラフィックスはフル3Dになっているが、クォータービュー以外の視点には変更できない。
操作は、画面をクリックした方向に移動し、モンスターをクリックすれば攻撃する。2Dタイプのオンラインゲームではよくあるスタイルだ(もっとも、その起源は初代「Diablo」にあるのだが)。スキルやアイテムの使用はキーボードのショートカットも使用できるが、ほぼ全ての操作はマウスのみで行なえるようになっている。昔ながらのシンプルなシステムで、マニュアルなしでも何ら悩むことはない。
本作の特徴は、敵を倒してキャラクターを強くするという、ハック&スラッシュの面白さをとことん追求している点にある。最後のボスを倒してストーリーを完結させることは、本作において目標であっても目的ではない。よりダンジョンの奥へと進み、強力な敵を倒して、強くてレアなアイテムを探すことで、キャラクターを強くする。それこそが本作の目的だ。
それが目的となりうる理由は、アイテムにある。本作ではモンスターを倒すとアイテムをドロップすることがあるのだが、通常の能力を持ったノーマルアイテムの他に、特殊な能力を付与されたマジックアイテムが存在する。例えば「Long Sword(ロングソード)」という武器は、何の能力も付加されていないノーマルアイテムだ。
マジックアイテムは、ノーマルアイテムをベースに特殊な能力が付与されている。マジックアイテムには命名規則があり、例えば「Vampiric(吸血の)」というPrefix(接頭語)が付くと、モンスターに与えたダメージの一部を自分のHPに変換する効果が付加される。さらにSuffix(接尾語)に「of Winter(冬の)」とあれば、冷気による追加ダメージを与える力を持っている。この2つの能力を持った「Long Sword」は、「Vampiric Long Sword of Winter」というマジックアイテムになる。PrefixとSuffixはそれぞれに多くの種類があり、ベースが同じ「Long Sword」であっても、付与される効果によってまるで異なる能力を持つことになる。
この特殊効果は、基本的に後から付与できるものではなく、モンスターを倒してアイテムがドロップした瞬間に決定されている。つまりプレーヤーが「Vampiric Long Sword of Winter」というアイテムが欲しいと思っても、それを自分で作り出すことはできない。しかもドロップするマジックアイテムの効果はランダムで、特定のモンスターを倒せば獲得できるというわけではない。欲しければひたすらモンスターを倒してドロップするのを待つか、他のプレーヤーとトレードして手に入れるしかない。
そしてマジックアイテムの効果は、他の武器に移すこともできない。ダンジョンを進むにつれ、ベースの「Long Sword」よりも強力な武器が出てくれば、いくら強力な特殊能力がついていても物足りなくなってくる。そうなれば、より強いベースの武器で、適切な効果が付いたマジックアイテムを改めて入手せねばならない。
これが武器だけでなく、鎧や手甲、靴、アクセサリに至るまで、全身の装備品に同様の仕組みがついてくる。自分の思い描く最強のキャラクターへと近づけるため、あらゆる装備品をどんどんグレードアップしていかねばならない。
そのためには何をすればいいか。とにかく強いモンスターを倒すのだ。強いモンスターからは強力なアイテムが出やすい。本作はキャラクターの能力や装備を残したまま、ゲームを何度でも最初から、あるいは途中からやり直せるので、いま自分が倒せる中で1番強いモンスターを倒すのが1番の近道になる。そして装備を強化し、レベルを上げ、さらに強いモンスターを倒しに行く。倒せれば、今までよりももっと強い武具を手に入れられるかもしれない。そして今まで見たことのないような強力なアイテムが出た時の喜びが、さらに先へと進むモチベーションになる。
余計なことを考えず、ただひたすらに強い装備を追い求め、もっと強いモンスターを倒しに行く。キャラクターの成長というRPGの根幹にある面白さに、ひたすら注力したのが「Diablo III」だ。
【スクリーンショット】 | |
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より強力なアイテムを求めて、より強いモンスターを倒しに行く | |
ボスクラスのモンスターを倒せば、大量のアイテムを入手できる |
■ 今風なオンラインゲームへと進化した「Diablo III」
ここまでの話は、何も「Diablo III」に限ったことではなく、シリーズ全般に言えることだ。では本作は、過去のシリーズに対してどこが違い、どのように進化したのか。変化を一言で言えば、「集中と選択」だ。本作は昨今のオンラインゲーム事情を踏まえて、面倒な要素を極力排除し、シリーズの持つハック&スラッシュとしての面白さに集中している。その注目点を挙げていこう。
・レベルを上げるだけのシンプルなスキルシステム
スキルはいつでも入れ替え可能。覚えたスキルを全て試せるのが嬉しい |
前作「Diablo II」のスキルシステムは、スキルツリーを採用していた。どんなキャラクターを育てるか最初に思い描いておいて、それに沿ってスキルポイントを割り振っていくという流れだ。キャラクターの個性は出るのだが、ゲームを遊ぶ前からどんなキャラクターにするかを考えねばならないというのは、いささか面倒で無理があった。
「Diablo III」のスキルシステムは、前作とは全く違ったものになっている。スキルを覚えるには、とにかくレベルを上げればいい。一定のレベルになると自動的にスキルを覚えるので、どのスキルを覚えるかを考える必要はない。そして覚えたスキルの中から、使用するスキルを選ぶ。
同時に使用できるスキルは、左右のクリックと4つのショートカットキーで計6つ。これらは個別のカテゴリとして分けられ、6カテゴリそれぞれに複数のスキルが用意されている。スキルはプレイ中に随時切り替えが可能で、セットし直して数秒のクールタイムを待てば切り替え完了。新たに覚えたスキルをすぐに試せる。これは攻撃系のスキルだけでなく、別途用意された常時発動のパッシブスキルも同様で、何度でも切り替えられる。
ほとんどの戦闘は左右クリックのスキル2個で済む(序盤は簡単だからというのもあるだろうが)ので、カジュアルな感覚でプレイできる。しかしこれはゲームが単純になったということではない。先にいるボスに合わせたり、味方のスキルと相性のいいものを選んだりと、戦略的に切り替えて戦う。それが攻略の楽しさにも繋がっている。
・シナリオ制によるゲーム進行
シナリオを進める途中で、ムービーも挿入される。過去のシリーズの登場人物も多数現われる |
今回はゲームの区切りがダンジョン単位ではなく、シナリオ単位になっている。シナリオは一本道で、指示されたとおりに進むだけでいい。前作までのように同じような見た目のマップを長々と歩くことはなく、次々と新しいダンジョンが現われてプレーヤーを飽きさせない。またシナリオを進めるごとに、初回は経験値とお金がもらえるので、どんどん先に進むことがキャラクターの成長にも繋がる。クリアしたシナリオは、ある程度の区切りごとに好きな場所からやり直せるので、特定のボスを繰り返し狙うのも簡単だ。
ストーリーは、大聖堂に落ちた流れ星を探るところから始まる。そこから程近い場所にある街「New Tristram」は、流れ星の影響なのか、ゾンビが発生し襲撃を受けていた。プレーヤーは街の住人を助けながら、流れ星の落ちた場所へと向かう。……これが序盤に描かれる物語のあらすじだ。
シナリオは章立てになっているが、筆者は序章のAct1をクリアするだけで4時間以上かかった。その間に登場したマップやボスの数は、過去のシリーズ作品を明らかに圧倒しており、ボリューム面は十分満足できる。またAct1の終盤からAct2のプロローグにかけての展開は、過去のシリーズを知る人にはいくつも驚きがあるので、昔を思い出しながらじっくり楽しんでいただきたい。
・グラフィックスの進化
レベルが上がるにつれ、見た目にも派手なスキルが増えてくる |
12年の歳月を経て、グラフィックスも進化している。フル3Dで描かれた世界は、荒廃した雰囲気をよく伝えてくれるし、スキルのエフェクトもシャープで美しい。オブジェクトの物理演算も頑張っていて、置かれているオブジェクトを力強い攻撃で殴ると、爆発したかのように粉々に砕け散る。爆発系のスキルを受けたゾンビはバラバラになりながら吹っ飛ぶなど、モンスターのやられ表現も見ていて飽きない。
ただゲームとしてはそれほど重い処理もしていないようで、PCの負荷はさほどでもない。筆者の環境はCore i7-920とRadeon HD 4850という3年モノの組み合わせだが、グラフィックスの設定を最高にしても、今のところ処理が重いと感じたことはない。最近のミドルクラスのPCならば十分快適に動かせそうだ。ちなみにサウンドも頑張っていて、筆者の環境では5.1chサラウンドでプレイできている。
・アイテム鑑定はワンクリック
過去のシリーズを知っていると、鑑定が簡単すぎて逆に驚いてしまう |
過去のシリーズを遊んでいた人が必ず言うのが、「アイテムの鑑定はどこでやるの?」という質問。本作にはマジックアイテムとは別に、固有の名前が与えられたレアアイテムが存在する。このアイテムは入手時点では名前も能力も不明だが、鑑定することでその素性が明らかになる。
過去の作品では街にいるNPCに頼んだり、特定のアイテムを使ったりしていたが、本作では未鑑定アイテムを右クリックするだけで、誰でもどこでもすぐ鑑定できる。「だったら最初から鑑定済みの状態で落とせ」と言われそうだが、宝箱を拾って開ける楽しみみたいなものはあっていいと筆者は思う。
・装備の制限が少ない
大部分のアイテムはクラス制限がなく、レベルさえ足りていれば装備できる |
装備品は一部にクラス限定武具が存在するが、それを除けばレベル制限だけ。ステータスがいくつ以上といった条件がつかなくなり、わかりやすくなっている。ほとんどのスキルは、装備している武器の攻撃力をベースにダメージ計算されているので、基本的には使用できる武器の中で1番強いものを装備しておけばいい。ただ、重そうな斧を装備している魔法使い、といった風景をどう捉えるかは好みがわかれるところだろう。
街にはアカウント共通倉庫があり、同一アカウント内のキャラクター同士なら簡単にアイテムを受け渡せる。別のクラスで使えるなと思ったアイテムを取っておいて、1人でやりくりできる便利な機能だ。自然と複数のキャラクターで遊びたくなり、ゲームの寿命も長くなりそうだ。
・オークションが標準搭載
現在の装備品と出品物を比較しながら入札できる |
「Diablo」シリーズは、相当やり込んでもなかなか欲しいアイテムは手に入らないので、他のプレーヤーとのトレードも考えることになる。本作にはオフィシャルのオークションシステムが実装されている。出品・検索ともゲーム内のシステムになっており、検索性やアイテム情報の視認性も高い。これまでのように外部のサイトで取引する必要もなく、安全で便利だ。
今後はこれに加えて、公式のリアルマネートレードサービス「Real Money Auction House(RMAH)」も提供される予定になっている。こちらはまだ準備中で具体的な内容は不明。同様のサービスを提供する他のオンラインゲームはいくつかあるが、それらを遥かに超える数のプレーヤーが参加するものと予想されるだけに、その動向は注視しておきたい。
・日本語を入力できる
日本語版はないが、日本語入力は可能 |
意外と見落としがちなのが、日本語入力に対応している点。Windows 7標準のMS-IMEでは入力にやや不具合が出るが、ちゃんと日本語でチャットができる。筆者も最初は昔のクセで当たり前のように半角アルファベットを入力していて、誰かが日本語で喋ったのを見て気がついた(笑)。ただし、キャラクター名には日本語や記号は使用できない。
以上、プレイして気づいた違いをざっと挙げてみた。手触りはカジュアルだが、ゲームの根幹にはこだわり、ボリュームや細部の作り込みに妥協が見られない。ただ時間をかけて開発しただけでなく、今の時代のオンラインゲームをよく学び、ゲームに反映しているのがわかる。
■ 正統派からイロモノまで、尖った5つのクラス
ぜひ全てのクラスを体験してみてほしい |
続いて本作の面白さを語る上では欠かせない、プレーヤーキャラクターとなる5つのクラスを紹介する。過去のシリーズでも定番となっているキャラクターもいるが、「何だこれ?」と思わず首をかしげたくなるようなユニークなクラスも存在する。いずれも特徴や長所・短所があるので順に見ていこう。
・Barbarian(バーバリアン)
屈強な肉体を持ち、豪快な攻撃を繰り出す戦士。見た目どおり、ほとんどのスキルが接近戦用という明快なクラスだ。モンスターに密着するのでダメージを受けるリスクも高いが、強力な範囲攻撃で周囲のモンスターをまとめて吹き飛ばしたり、大きく跳躍してモンスターの群れを抜け出したりと、硬軟織り交ぜた戦いもできる。
バーバリアンはとにかくプレイしていて気持ちがいい。剣で攻撃しているはずなのに、スキルの効果音はズーン、ドーンという重低音が響く。それと同時に、バラバラになって吹っ飛んでいくモンスター達。どちらかと言えば1人で全てのモンスターを相手にするソロのほうが爽快で、実際の能力以上に「強い!」と感じさせてくれるクラスだ。
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1発1発が重く響き、モンスターを吹き飛ばす爽快感は抜群。ヒーロー気分でプレイできる |
・Demon Hunter(デーモンハンター)
弓やクロスボウによる遠距離攻撃のスペシャリスト。バーバリアンとは違い、モンスターに近づくことなく遠距離から攻撃できるのが最大の強みだが、接近されると有効な手が少ないという逆のリスクもある。
最初はさほど攻撃力も高くなく地味に見えるが、スキルを覚えてくると様変わりする。マシンガンのような連射スキルなどを持ち、遠距離攻撃とは思えないトップクラスの攻撃力を身に付ける。モンスターにまとわりつかれる前に殲滅するスタイルで、ソロでもパーティでも無難にこなせる。
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遠距離から圧倒的な火力で攻め立てる。動きに癖がなく、初心者にも扱いやすい |
・Monk(モンク)
バーバリアンと同じく近接攻撃が主体だが、スキルの傾向が異なる。近距離ながら直線の貫通攻撃や、一定距離をワープして狙ったモンスターの懐に潜り込む攻撃など、包囲を無視してキーとなるモンスターを的確に仕留めるタイプのキャラクター。
範囲攻撃が少なく、手数で攻めるタイプなので、豪快なバーバリアンより地味。また大勢の雑魚を相手にするのは不得手なので、ソロはやや辛い。パーティプレイでは厄介なモンスターから真っ先につぶせるので、活躍の場が広がってくる。細かな操作を楽しめる人にはオススメ。
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モンスターをかき分けて突進したり、回し蹴りで弾き飛ばしたりと多芸なモンク。体力を回復するスキルも持っている |
・Witch Doctor(ウィッチドクター)
インディアンのような見た目が特徴的なキャラクターで、日本語では「呪術医」といったところ。魔法使い系のクラスということにはなるが、怪しげな道具を使って攻撃するため、後述のウィザードとはまるでタイプが異なる。
ウィッチドクターの最も特徴的なスキルは、クモが詰まった壷を投げるというもの。割れた壷からはクモ達が飛び出してモンスターを攻撃する。さらにゾンビ犬を召喚するスキルもあり、ソロプレイでも仲間がいっぱいの状態になる。パーティプレイでは「どれが敵なのかわからん」と大変不評なので注意。他にも高い火力のスキルを持っており、ソロ・パーティともに安定した強さを発揮する。地味ながら筆者イチオシのクラスだ。
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一見すると地味だが、他にはないタイプの強力なスキルを多数持つ。クモや犬に任せて自分は逃げ回るというのが意外と強い |
・Wizard(ウィザード)
こちらはイメージどおりの魔法使い。範囲攻撃と状態異常を得意とするクラスで、モンスターの動きをコントロールしながら倒すというテクニカルな戦闘を展開できる。
デーモンハンターほど遠距離攻撃に特化はしておらず、近接攻撃スキルもあり、緊急回避スキルも複数持っている。あらゆる状況に対応できる強みはあるものの、操作が比較的煩雑で、なおかつ攻撃力もさほど高くはないので、難易度は高め。パーティプレイではモンスターを凍らせたり攻撃速度を下げたり、味方にまとわりついたモンスターを範囲攻撃でまとめて倒したりと、補助的な動きで活躍できる。
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状態異常系のスキルが多いため扱いは難しいが、自分なりのパターンを見つけられれば安定感が出てくる |
■ 「これぞDiablo!」と実感できる仕上がり
ゲーム開始から1分で目にする、死体とゾンビまみれの街。この雰囲気も確かに「Diablo」だ |
ゲーム中に新要素が現われると、丁寧なガイドが現われる。本作が初の「Diablo」シリーズという人でも安心して遊べる |
発売から2日ほどプレイしてみて、「これは間違いなく『Diablo』だな」という感想を抱いた。前作から12年も経って発売された続編となれば、当時の面影も失って全く違うゲームになっていてもおかしくはない。しかし本作は、シリーズの1番美味しいところをしっかりと伸ばして、どんどん武具を強化する楽しみを何倍にも増して積み上げてきてくれた。
最終的には装備探しのやりこみゲームとなるのは想像に難くないが、本作には他にもいくつかのやりこみ要素が用意されている。1つは鍛冶屋と宝石職人のアップグレードだ。鍛冶屋はマジックアイテムを分解した素材を元に、新たなマジックアイテムを作成してくれる。宝石職人は、武器に埋め込むと特殊な効果を発揮する宝石を扱う。いずれもお金を払うことでアップグレードしていき、レシピが増加する。街の設備を整えていく要素、と思ってもらえればいい。
他にはアチーブメントも搭載。シナリオの進行や、一定レベルの到達、他にも生産関連から拾ったお金の総額などなど、多数の条件が設定されている。見た感じ、100%にするのはほぼ不可能ではないかと思うのだが、それだけに達成度も競うコアなユーザーも現われそうだ。
そして今後もアップデートが行なわれる。先に挙げた「RMAH」以外にも、PvPアリーナの追加(今回はそれ以外の場所ではPKできない)なども予定されている。過去のシリーズでも、発売から何年も経った後のアップデートによって、ゲーム内容ががらりと変わったことがあるだけに、発売直後とはいえ先の展開も楽しみだ。
「Diablo III」は正当な進化を遂げたシリーズ作品であるとともに、過去のシリーズを知らない人にも、その魅力が十分すぎるほど伝わる内容になっていると感じた。発売直後のお祭り騒ぎだけでなく、今後も長く楽しめる作品に育ってくれることを願いたい。
【スクリーンショット】 | |
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鍛冶屋にお金を払ってトレーニングさせると、より強力なアイテムを作れるようになる | アチーブメントは膨大な数が用意されている。コンプリートする猛者は現われるのだろうか? |
発売翌日にこの原稿を執筆しているため、筆者もまだまだゲーム序盤。今後どんな装備が出てくるのか、またストーリーはどう展開するのか、じっくりと楽しもうと思う |
(2012年 5月 18日)