PS3/Xbox 360ゲームレビュー

ギターと末永くお付き合いするための“最良の一歩”
「ロックスミス」

  • ジャンル:リアルギターゲーム
  • 発売元:ユービーアイソフト
  • 開発元:ユービーアイソフト
  • 価格:各8,880円
  • プラットフォーム:PS3/Xbox 360
  • 発売日:発売中(10月11日発売)
  • プレイ人数:1~2人
  • CEROレーティング:B(12歳以上対象)


「E3 2011」で公開されたイメージショット。本物のギターでプレイする音楽ゲームが出るなんて、凄い時代になったなぁと実感する

 いきなりで恐縮だが、日本で“エレキギター”が普遍的な趣味として世間に認知されるようになったのは、そんなに遠い昔の話でもないように思われる。これまで何度か“バンドブーム”が巻き起こっているが、黎明期といわれる1960年代に青春を過ごした諸先輩方に話をきくと「あの頃はエレキ(ギター)を持ってるだけで不良扱い。学校やPTAがエレキギターを目の敵にしていた」というから恐ろしい。普遍的な趣味どころか、まるで“社会の敵”扱い。当時は「勝ち抜きエレキ合戦」というTV番組も放映されていたそうだが、話をきく限りではエレキギター(というかバンド活動そのもの)に対する世間の風当たりは相当厳しいものがあったようだ。

 そんな理不尽な風潮も、時代の流れとともに変化していく。筆者がエレキギターに興味を持った1980年代中盤は(あくまでも当事の筆者周辺の話だが)学年にひとりかふたりはエレキギターを弾く奴がいて、イコール不良みたいな偏見はさほど感じられなくなっていた。趣味としてメジャー感が出てきたのは、1990年代のTV番組「三宅裕司のいかすバンド天国」ブーム以降だろうか。このあたり、読者のなかにも「あの頃バンドやってたよ、懐かしいなぁ!」という人が結構おられるはず。ただ……「今でもギター弾いてます?」となると、「仕事が忙しくて」とか「もう昔みたいにメンバーが集まらないし」など、だいぶ遠のいてしまった方々が圧倒的多数と推察される。

 かくいう筆者も、一応部屋にギターは置いてあるものの、片隅で埃をかぶったまま。たまにギターへの愛が再燃して安物を1本とか新製品のエフェクターやパーツを衝動買いするも、案の定長続きなんてしない。そんな折、昨年の「E3 2011」に出展された“とある作品”に目を釘付けにされた。世界中のギターファンから高い注目を集めたその作品こそ、今回ご紹介するユービーアイソフトの「Rocksmith(ロックスミス)」。楽器を模した音楽ゲームは数あれど、本作は“本物のエレキギターを使って遊ぶ”という点で、すでに違う次元に存在していた。弊誌に掲載されたプレイレポートを読んで「ただギターを使っただけの音楽ゲームではなく、ギターを弾くことに主眼を置くなんて凄すぎる!」と心底ワクワクさせられた。本物の楽器を使うゲームを夢想したことはあるが、まさかこんなに早く現実になるなんて! しかも各楽曲をオリジナル音源でプレイできるというのだから、本当にたまらない。

 既に購入してギターライフを満喫されている方々も多数おられると思うが、その一方で「本物のギターがないと遊べないんでしょ? そんな簡単には手を出せないよ」などと逡巡しておられる方々も少なくないと思う。そこで今回は、僭越ながら筆者が本作の主だった機能などをご紹介していく。興味をもたれている方々にとって、なにがしかのご参考になれば幸いだ。



■ セットアップと基本操作 ~プレイに応じてゲーム側が難易度を常に自動調整~~

TV単体でもいいが、サウンドは外部オーディオ機器を利用するのが理想的

 ゲームを起動すると、デモ画面の後に付属品の「ロックスミス・リアルトーンケーブル」でゲーム機本体とギターをつなぐよう指示される。ギターは標準フォーンジャックがあるものなら問題なく、当然ながらEMGやBlackoutsなどアクティブピックアップ搭載モデルでもプレイできる。起動直後のロード画面で外部オーディオ機器との接続が推奨されるが、これは実際の演奏と画面出力、音声のずれ(ラグ)を最小限にする意図があり、筆者もできればあったほうがいいと感じた。外部オーディオ機器をお持ちの方は、使用する液晶モニタとあわせてオプションで調整して気持ちよくプレイできる環境を構築しておくといいだろう。

 ゲーム機本体とギターの接続が終わり、利き手にあわせた設定などを経てサウンドチェックに移行。チュートリアル映像ではストラップをかけて立った状態が示されるが、別に座ったまま弾いてもかまわない。続けて弦をかき鳴らして入力信号のピークを調べるが、エレキギターといえども弦の生音は結構大きな音がするので、アパートやマンションで壁が薄い人は隣人トラブルを招かないよう気持ち控えめにピッキングしたほうがいいかもしれない。要はゲーム機側がギターの音をちゃんと拾えるかどうかが重要なので、「LOUDER!」と表示されたからといって限界を超えるほど強く弾かなくてもいい。

 続いては最も重要なチューニング。本作は6弦がレッド、5弦がイエロー、4弦がブルー、3弦がオレンジ、2弦がグリーン、1弦がパープルで色分けされ、パッと見で判別がつきやすくなっている。6弦から順にチューニングしていくが、初心者の方でギター本体に“トレモロ(バーを上下させて音程を変える器具)”がついている人は要注意。ボディ裏のスプリングでテンションが保持されるギターは、1度全部あわせたつもりでも他の弦を合わせているうちに他弦がずれてくる。また、ペグに緩みがあってもチューニングがずれる原因になるので「ちょっと面倒くさいな」と感じても、ここはしっかりやっておきたい。

 本作があればギターの基本的なことはだいたいわかるが、「これがキッカケで、本当にギターに初めて触ります」という人は、同時に「エレキギター入門書」や弦交換に便利なニッパーやペンチなどの基本工具を手元においておくことをおすすめする。また、弦を弾く「ピック」や「予備の弦」を買うこともお忘れなく! 弦は消耗品なので、数セット予備を持っておくと心強い。余裕がない人は切れやすい1弦、2弦だけバラで買い足してもいい。一般的な太さは.009~.042か.010~.046。握力がない人は.008~.038でもいい。細い弦はやわそうで怖いと感じるかもしれないが、エレキギターはスピーカーから出る音がすべてなので、太いほうが音が云々よりもまずは手ざわりやイージーなプレイ感覚を優先されたい。


セッティングからチューニングまで、簡単かつ丁寧に教えてくれる。ただし、それらはあくまでも基本中の基本なので、ギター本体に関するメンテナンスなどは「エレキギター入門書」を1冊買っておくといいだろう。最近はギターショップに持ち込んで弦交換から調整まですべて任せてしまう人も少なくないと聞くが、そのあたりは自分でやれたほうがいいに越したことはない


 セッティングを終えると、次はいよいよ演奏方法。本作は、ギターのネックを半透明にして裏から見る独自のインターフェイスを採用。自分が所持しているギターと同じ視点でネックを見ることになり、これが物凄くわかりやすい。弦は上から6弦、5弦~となるが、TAB譜のように上が1弦、2弦となるように表示を変更することも可能。ネックも右利き、左利きが選択できる。プレイをはじめると、画面奥に向かって「ノートウェイ」と呼ばれるラインが表示される。各フレットのノートウェイの奥から長方形の「ノート」が迫ってくる。ノートが弦に接触するとき、タイミングよく弦を押さえつつ弾くと成功。フレットを抑えず開放弦を引くときは、長いバーが画面奥から迫ってくる。このあたりはいかにも音楽ゲームという感じだが、“本物のギターを使って演奏している”という事実はとてつもなく大きく、他にない充実感をともなう、まさに本作ならではの醍醐味だ。


デフォルトはネックを裏から透かして上から6弦、5弦~と見るようになっているが、TAB譜のように上から1弦に設定することも可能。演奏の仕方は、ノートウェイの奥から手前に流れてくるノートにあわせて弦を弾く。基本はコレだけ。4列のノートウェイは指を置く基本ポジションを示しており「どこに指を置いていいかわからない」という人もこれならひと目でわかる


 ギターにはさまざまな奏法があるが、本作が対応しているのはサステイン、スライド、チョーキング、ハーモニクス、ハンマリング・オン、プリング・オフ、パームミュート、トレモロ。これらはノートごとにマークが異なるため、画面奥から迫ってくる際に「あぁ、次はそうやって演奏すればいいんだな」というのがひと目でわかる。テクニックは「テクニック」メニュー内の「テクニックチャレンジ」で個別に練習できる。項目はサステイン、シフティング、ハンマリング・オンとプリング・オフ、スライド、チョーキング、ハーモニクス、パームミュート、トレモロ、コード、ダブルストップ、パワーコード、バレーコードがあり、プレイ内容に応じてゴールド、シルバー、ブロンズといった評価が与えられる。いずれも解説ムービーが用意されており、説明だけでなく実際の動きを見て理解できるよう配慮されている。


後述するメインモードからいきなり始めた場合でも、未修得の必要なテクニックがある場合はゲーム側から「これを覚えたほうがいいですよ」と提案いてくれる。もちろん最初からテクニックを練習してメインモードに備えてもいい


 基本を大切にする人は上記の「テクニック」から入ってもいいが、本作はプレイ中に“難易度が自動的に変化”するため、いきなり実践形式でプレイし続けてもかまわない。「この人は上手にプレイできているな」とゲーム側が判断した場合は難易度が少しずつアップし、逆にミスが続くと「難しすぎたのかな」と難易度が下がる。一般的な音楽ゲームはミスが続くとゲームオーバーになるが、本作は“ギターを弾く”ことに主眼を置いているため、常にプレーヤーのレベルにあわせてくれる。

 本作最大の特徴は、この難易度の自動変更にあるといっていい。これまでギターの練習といえば、指のストレッチ、スケール練習、メトロノームでリズム感を鍛えるなど、地道なメニューを黙々とこなすイメージがあった。CDなどの音源にあわせてTAB譜を見ながら弾くにしても、まずは譜面を覚えることが第1。

 ところが、「ロックスミス」はざっくりした部分から「まずはこんな感じから初めてみましょうか」と、大局的な視点からプレーヤーの手を優しく引っ張ってくれる。難易度が低いとき、ノートウェイに出現するノート数は片手で数えるくらい。最初は「こんなので弾いてるっていえるのかな?」と思うが、実はこれがとても重要。できるところからやる、という練習では当たり前のことが、ひとりで黙々とやっているとなかなかできない。だが、「ロックスミス」は大事な音を押さえつつ少しずつステップアップさせてくれるので、本当に覚えやすい。初見の曲でもなんとなくプレイできてしまうのは、このあたりが徹底的に考え抜いて作られているからだ。

 ノートの音が増えて難しくなっても、プレーヤーには不快感が生じない。なぜなら、それは自分が上達した証でもあるからだ。失敗しても一時的に難易度が下がるだけで、そのまま続けて練習できる。1曲通しで練習できるほか、苦手な部分だけを選んでリピート練習する機能も用意されている。上手くできている部分、できていない部分がハッキリとわかるため、プレイ(練習)が苦痛にならない。ギターの挫折要因に「練習がつらい。面倒くさい。全然上達しない」というのがあるが、「ロックスミス」はそうした従来型の練習、特に初心者を遠ざけてきた悪因子をいとも簡単に消し去ってしまった。

 楽器なのでコンディション維持のメンテナンスは必要だが、それはさておき。これまでギター、TAB譜、音源、チューナー、シールド、アンプ、必要ならエフェクターなどをそれぞれ用意しなければならなかったものが、「ロックスミス」ではギター、リアルトーンケーブル、TVとPS3またはXbox 360があればいい。開放弦のチューニングはゲーム内で随時行なわれるためチューナーは不要(事前にオクターブピッチだけは要チェック)。ギターテクニックを覚えるのに最適な“選びに選び抜かれた51曲+DLC”で、気持ちよくギターに慣れていける。

 面白いのは、まったく知らない曲でも弾いているうちに「あれ、この曲凄くいいなぁ」となってくること。ギタープレイを前提とした名曲が選ばれていることもあるが、プレーヤー視点で曲に接することで、これまで感じたことのなかった新たな視点や魅力に気づかされる。このように、「ロックスミス」はプレーヤーのやる気を引き出すだけではなく、音楽の幅まで広げてくれる。従来の音楽ゲームでも似たような感覚はあったが、本作は本物のギターを使うからこそ、より深く広く音楽との接点が生じていく実感がある。これは本当に素晴らしいことだと思う。


リアルタイムで難易度を常にあわせてくれるため、初心者は初心者なりに1曲弾ききることができる。従来の音楽ゲームにはない、弾くことを第1としたシステムは秀逸の一言。ノートが増えても、それは自分が上手くなった証なのでがぜんやる気が出る



■ CONTINUE JOURNEY ~課題曲をクリアしていく本作のメインモード~

 本作のメインモードで、ギターまたはベースで課題曲を練習し「イベント」をクリアして先に進んでいくというもの。提示される楽曲は、ゲームプレイに応じてたまる「ロックスミス・ポイント」やプレーヤーランクなどを基準に選定される。ゲーム開始時は2曲がリストアップされ、各曲ごとに設定されたスコアをクリアすることでイベントに進めるようになる。課題曲の変更も可能だが、おすすめ楽曲は今のプレーヤーに最適と判断されたものが選ばれるため、基本的にはそのままチャレンジしたほうがいいだろう。

 イベントは、オーディエンスが待ち受けるステージでライブ演奏という体をとる。上手に演奏するとアンコールが発生。曲は自動的に選ばれるため、知らない曲がいきなりかかることが多々ある。最初のアンコールで上手く演奏できれば、さらにアンコールが発生することもあり、これがなかなか熱い。「初見の曲なんて弾けるか!」と叫びたくなるが、そこは難易度が自動調整される本作ならではの「ぶっつけ本番の楽しさ」がある。アドリブ的なスリルと、やりきったときの充実感。ぜひぜひ多くの人に味わっていただきたい。

 ちなみに本モード、当然ながら要求されるハードル(スコア)はどんどん高くなっていく。ギター経験者で中級以上を自認する人をのぞけば、恐らくどこかで“壁”にぶち当たることが予想される。そんなときは、クリアに執着することなく、後述の「SONG」などで色々な曲を演奏して気分転換をおすすめする。本作は“ギターを弾く”ことに主眼が置かれているので、よほど才能がある人でもない限り、ある日突然スラスラと弾けるようになる、なんてことはない。できていない部分を意識しつつ、マイペースで少しずつ、楽しくプレイするのが上達への近道かと思われる。


課題曲を練習してイベントに挑戦。一定以上のスコアを達成するとクリアとなり、会場など色々な要素が少しずつアンロックされていく。当然先に進むほど難しくなるが、プレーヤースキルに合わせてレベルアップをはかれるので焦らずじっくり“楽しみながら”ゲームを進めていくといい



■ SONGS ~好きな曲を選んでプレイ!~

 本作には「ロックスミス リコメンズ」という機能があり、プレーヤーのランクや腕前を考慮して“おすすめの3曲”を提示してくる。当然これらをプレイするのが上達に1番近いのだろうが、「でも俺には好きな曲、弾きたい曲があるんだ!」という人も多々おられるだろう。そんなときは無理をせず、「SONGS」で好きな曲を選んで納得するまでプレイすればいい。

 「SONGS」には、ゲームディスク収録の51曲のほか、後述する「ROCKSMITH SHOP」で購入した曲がリストアップされる。演奏したい曲とアレンジタイプを決めるが、ライブ会場のみメインモードの「CONTINUE JOURNEY」でアンロックしていないものは使えない。また、「SONGS」モードのプレイ記録はメインモードにも反映されるので、ここでプレイしてイベント参加条件をあらかじめ満たしておくといったことも可能だ。


好きな曲を選んでプレイ。あらかじめ収録された51曲のほか、後述の「ROCKSMITH SHOP」で購入したダウンロードコンテンツもリストアップされる



■ GUITARCADE ~ミニゲームでギターテクニックを磨け!~

 「GUITARCADE」は、ギターやベースでミニゲームをプレイして、楽しみながらギターやベースのテクニックを身につけよう! というもので、次々と出現するダックを撃ち落す「DUCKS」、各弦に対応するDUCKを撃ち落す「SUPER DUCKS」、スケールを弾いてランナーを遠くまで走らせる「SCALE RUNNER」、素早くピッキングして宇宙ダチョウを走らせる「QUICK PICK DASH」、対応する弦をタイミングよく弾いてピッチャーが投げるボールを打ち返す「BIG SWING BASEBALL」、上から落ちてくるブロックをスライドで動かし同色を揃えていく「SUPER SLIDER」、画面に表示されるコードを弾いてゾンビを倒す「DAWN OF THE CHORDEAD」、制限時間内に正しいハーモニクス音を記憶したとおりに鳴らして時限爆弾を止める「HARMONICALLY CHALLENGED」の8種類が用意されている。

 いずれもよくできているが、特に感心したのが「DUCKS」と「SUPER DUCKS」、そして「DAWN OF THE CHORDEAD」。前者ふたつは出現したフレットに(SUPER DUCKSは対応する弦にも)あわせて弾いて倒すのだが、ネックを見ずにポジション移動をするというギター初心者にとって難しい練習が、とても楽しくこなせる。低音弦のハイポジションなどは中級以上を自認する人でも「あれ?」ということが多々ありそうなほど(ギターによってはフレット音痴で押したはずが実音がずれているということもあるので要注意&確認)。最初にプレイしたとき「俺がバンドをはじめた頃にコレがあればなぁ……絶対にもっと上手くなってた(はずだ!)」と、超久々に指先の皮がめくれるほど熱中してしまった。

 「DAWN OF THE CHORDEAD」は、これまたギター初心者がつまづきがちなコードがゲーム感覚で覚えられるというスグレモノ。筆者はコードを覚えるのが本当に苦手だったので、これまた「当事これがあれば!」と躍起になってプレイしてしまった。ギターテクニックと直結したゲームは、確実に初心者のスキルアップにつながるはず。いまだネックをガン見しないとまともに弾けない筆者だが、いつか前を向いたままパーフェクトなポジション移動とコードチェンジを身につけたいと思う。


メニューは全部で8種類。それぞれゲーム感覚でギターのテクニックが身につけられる
初心者ならずともおすすめしたいのが「DUCKS」、「SUPER DUCKS」、「DAWN OF THE CHORDEAD」の3つ。これは本当に熱くなる



■ アンプとトーンを自在にセッティング ~自分好みの音を模索しよう!~

 本作に収録された各楽曲には「オーセンティック・トーン」と呼ばれる、その楽曲を再現するために必要なギターやベースサウンドのセッティングが付随している。通常はこのセッティングどおりにサウンドが再生されるが、それとは別にユーザー自身がトーンをカスタマイズすることが可能だ。

 トーンのカスタマイズは、ペダル(ディレイ系、ディストーション系、ダイナミクス系、フィルター系、モジュレーション系を計3つまで)、アンプ、キャビネットの3項目を独自にエディット。ゲームを始めたばかりの頃は機材がないが、メインモードを進めていくと少しずつアンロックされていく。そんなのじれったくて我慢できない! という人は、後述の「ROCKSMITH SHOP」で有償解除できる。

 設定したトーンはコントローラーにある3つのボタンに割り当てることができ、プレイ中にボタンを押すことで3つのトーンが使いわけられる。実際の練習やライブでも「クリーン」、「バッキング」、「ソロ」など音の使いわけはとても大切。最初はパラメータの設定やマイク位置など要領がつかめないかもしれないが、練習の合間に色々試して“自分なりの音”を探してみてはいかがだろうか。


ゲームを進めてギター、エフェクター、アンプ、オーセンティックトーンをアンロックすることで、音作りのレパートリーがどんどん広がっていく。内容は中級以上向けといった雰囲気だが、自分だけの音作りはとても楽しいので「ちょっと難しそうだな」などと尻込みせず色々と試していただきたい



■ ベースモード ~本物はもちろんギターでエミュレートも可能~

 北米でDLCとして配信されたベースモードだが、日本語版には標準で収録されている。余談ながら、対応するのは4弦ベースまで(ギターは6弦)。昨今は5~6弦、ときには8弦以上を駆使して超絶プレイを披露するベーシストも珍しくないが、本作はあくまでも初心者がメインターゲットということで、使用は可能だがゲームがサポートするのは4弦までとなる。

 面白いのは、ベースを持っていない人向けにギターでベースサウンドを再現するエミュレーション機能がついていること。使用するのはギターの6弦~4弦で、オクターバーなどのエフェクターで単純にオクターブを下げたような音がする。エミュレーションなので1~2弦をひいても音は再生されるが、特に使い道はない。本物に比べると音質は微妙だが、練習の代用としては十分なレベル。スラップなどのテクニックもサポートされているので、ギタリストだけでなくベーシストも本作をチェックして損はないはずだ。


北米版ではDLCだったベースモードを標準収録。本物のベースだけでなく、ギターでベースをエミュレートすることも可能だ



■ ROCKSMITH SHOP ~DLCで楽曲を配信~

 ゲームディスクに収録された全51曲。先日行なった肥後氏のインタビューにもあったとおり“選びに選び抜いた曲”ばかりなのだが、当然人には多種多様な嗜好があるので「大好きなあの曲がない!」ということも多々あるだろう。そんな希望に少しでもそうべく、本作には多数のダウンロードコンテンツが用意されている。

 10月中旬の時点で、配信楽曲は70曲以上。曲単位のほか「Rocksmith - Classic Guitar Pack」、「Rocksmith - Classic Hits Pack」、「Rocksmith - Alternative Rock Pack」、「3 Doors Down パック」、「Judas Priest パック」、「Megadeth パック」、「My Chemical Romance パック」、「Queen パック」、「The Black Keys パック」などパッケージで販売されている曲もあり、これらは曲単位で買い揃えるよりも価格が安くなるよう設定されている。

 DLC楽曲で注意して欲しいのは、曲によって「シングルノート」、「コード」、「コンボ」、「ベース」、「オーセンティックトーン」などの対応項目に違いがあること。このあたりは購入予定の各楽曲を「SONGS」のほうであらかじめチェックしたほうがいい。ちなみに「SONGS」で対応を確認する際、パックに収録されている曲はその旨がきちんと明記されている。DLCは定期的に追加配信されるといい、どんな曲がリストに名を連ねるのか、今後の展開に期待大だ。


10月中旬の時点で70曲以上をラインナップ。今後も順次追加配信が行なわれる。楽曲だけでなくゲーム中のアイテムの有償アンロックも用意されている



■ もう三日坊主なんていわせない! ~ギターと末永く付き合うための“最初の一歩”にぜひ!~

 肥後氏インタビュー記事に目を通されている方々はご承知のとおり、本作のメインターゲットは「これからエレキギターを始める人」、「初心者ギタリスト」。その一方で、中級以上を自認する人にも、本物のギターで遊べる唯一無二の音楽ゲームとして相当な訴求力を備えている。

 個人的には、音楽ゲームという前提以上に“ギターと初心者の距離を縮めてくれるツール”として、「ロックスミス」は本当に良くできていると思う。ギターに限らず楽器は、少しでも“弾ける”ようにならないと、本人のやる気がどんどん削がれていく。弾けるようになるには、天賦の才がある人をのぞけば練習あるのみだが、音楽教室に通ったり身近に教えてくれる人がいるケースを除けば、たいていは教則本などで独習ということなる。

 「教室にお金払っちゃったし」、「学園祭までに弾けるようにならないと!」など、何らかの強制力が働くケースはともかく、そうでない人は独習で“壁”にぶつかると挫折する可能性が高い。独習は問題点の洗い出しが難しく、特に「チューニングって弦が切れそうで怖い!」という初心者レベルであればなおさら。昨今は動画サイトなどで練習方法を公開している人もおられるが、それがプレーヤー個別の案件にマッチするとは限らない。

 その点において、「ロックスミス」はリアルタイムでプレイを分析し、難易度を随時変化させることでプレーヤーを手厚くサポートする。音楽ゲームとして曲をプレイしつつ、ポイントとなる音使いやギターテクニックを少しずつ身につけていく。各テクニックの習熟度もチェックされており、未修得の場合は事前に練習をうながし、1曲弾き終えたあとで「このコードやテクニックができていない」と判断されたときは、それぞれ必要とされる練習を提案してくれる。上達度合いもスコアや難易度といった“目に見える”形でハッキリわかるため、プレーヤーのモチベーションが維持されやすい。スパルタじゃないとダメという人もいるだろうが、「ロックスミス」の場合は“褒めて伸ばす”というか、優しく手を差し伸べて常にこちらのペースにあわせてくれる感じが実にいい。

 そして……初心者だけでなく、筆者達のような“リタイア or セミリタイア”組にも、「ロックスミス」は光明を与えてくれる。部屋で埃をかぶってうなだれているギターをお持ちの方は、ぜひ本作を手に取っていただきたい。画面奥から迫ってくるノートにあわせて弦を弾いた瞬間、心の奥から沸々と湧き上がってくる若かりし頃の情熱。それとは別に「もう歳だけど、趣味でギターをはじめたい」という人にも本作は向いている。年配の方ほど仕事に追われる生活サイクルで「そんな暇はないよ」となりがちだが、前述のとおりギター、TV(できれば別途外部オーディオ機器やスピーカー)、PS3またはXbox 360があれば、ちょっとした合間に「1曲弾くかな」と気軽にやれるのがいい。昨今はギター練習ツールも多数リリースされているが、それらは一定以上の知識や経験が必要とされるものばかりで、とっつきやすさと継続性では「ロックスミス」に遠く及ばない。

 先行発売された海外で100万本以上のセールスを記録している本作だが、筆者としては日本でもそれくらい売れて欲しいと願っている。理由は簡単で、国内で売れれば日本人アーティストのDLCが制作される可能性が高まるからだ。日本ではTwitterでリクエストキャンペーン(受付期間:~10月31日、17時まで)を実施中。また、本家UBISOFT「ロックスミスフォーラム(英語)」でもリクエストを受け付けている。リクエストすれば必ず反映されるといった類のものではないが、要望がある方はぜひぜひ投稿していただきたい。


(C)2012 Ubisoft Entertainment. All Rights Reserved. Rocksmith logo, Ubisoft and the Ubisoft logo are trademarks of Ubisoft Entertainment in the U.S. and/or other countries.

Amazonで購入

(2012年10月23日)

[Reported by 豊臣孝和 ]