E3 2011レポート

Ubisoft、本物のギターで遊ぶ音楽ゲーム「Rocksmith」に挑戦!
ゲームで遊んでいるうちに、名曲を弾けるようになるかも


6月7日~9日開催(現地時間)

会場:Los Angeles Convention Center



ゲームプレイの雰囲気。ギターをかっこよく弾きたいと思いつつ挫折する人の多さは、洋の東西を問わないようだ

 本物のギターを使って、洋楽の名曲を弾くことができる新感覚の音楽ゲーム「Rocksmith」の試遊は、ブースの中ではなく、サウスホールとウエストホールを結ぶ屋台コーナーの一画に現れたバスの中で行なわれた。バスの中には3つ分の試遊スペースがあり、ギブスンのギターを実際に弾いて体験することができた。

 本物のギターを使ってというところがなかなかぴんとこない人もいるだろう。通常、エレキギターの音はジャックソケットに接続したアンプから流すが、今回はジャックソケットにゲーム機をつないでゲームと接続しているスピーカーからギターの音を流す。簡単に例えるとカラオケに近い。BGMとなる楽曲の音に、自分がギターで弾いた音が乗るわけだ。

 今回のE3出展タイトルの中でもかなりの異色作だけに話題性も高く、連日試遊バスには長い行列ができた。筆者もカリフォルニアの陽光が降り注ぐなか1時間以上並んでようやく試すことができた。

 並んでいる最中、出てきた人たちはみな満足そうな顔で「I like it」と言いながら親指を立てて去っていった。実際に遊んでみると、なるほど、遊びなのに遊びではない。ギターを弾いた気にさせるのではなく、ギターを本当に弾くぞという意識が感じられた。では実際のプレイを紹介しよう。


タコスや中華料理の屋台がある休憩スペースの一画に現れた試遊バス。ツアーバスをイメージしているのだろうか?



■ レベルを上げて観客を増やしながら楽しく練習

北米では発売当初は50曲から選択できる
プレイ時間でポイントを獲得できる。ポイントとともに背景の観客が増えていく

 起動して最初に行なうのはギターチューニングだ。普通、チューニングにはチューナーや音叉を使うが、「Rocksmith」にはチューニング用のモードがあるので、画面の指示を見ながら弦の張り方を調整するだけで初心者でもチューニングができてしまう。

 ゲームはいくつかのモードに分かれている。今回はプラクティス用のミニゲームと、初心者用の曲、すこし難しめの曲を試してみた。ただし難しい曲は筆者の手には負えなかったため、案内してくれた人に弾いて見せてもらった。

 ミニゲームではギターの音階を表すフレットがボーリングのレーンの用に並んだ画面下からアヒルの絵が現れる。練習で使うのはギターを構えた時に一番上にある一番太い6弦だけ。アヒルの絵があるフレットの弦を指で押しながらピックで弦をはじくと画面下から弾がでてアヒルを撃ち落とす。アヒルが画面上端に達する前にすべて落とさなくてはならい。ギターのフレットにはヘッドに近い側から番号がついている。どのフレットが何番かを身体に覚えさせるのがミニゲームの目的だ。ミニゲームは他にも何種類か用意されているそうだ。

 さて、いよいよ実際の曲を弾いてみた。始まると画面下にフレットと弦が表示され、指で押さえる場所を指示するマークが出る。画面奥から流れてくるマーカーが、1番手前にくるタイミングで弦をつま弾くと得点が入る。初心者用の曲なので実際の楽曲の中に使われている1つの音だけを拾う形で、ペースもゆっくりだ。それでもギターを弾いたことがないと押さえる場所が分からずワタワタしてしまった。最初はいっぱいいっぱいだったが、次第に曲にのって弦をはじくことができるようになった。


説明してくれたお兄さんは、かなりギターが上手だった!難しい曲になると、コードの指定が流れてきて、より本物の演奏に近くなっていくレベルを上げるとゲーム画面の背後に観客が現れ、声援を送ってくれるようになる

 その後見せてもらった少し難しめの曲では、実際にコードを押して音を出すようになる。また、ただピックで弦をはじくだけではなく、曲の雰囲気合わせたギターテクニックが必要になってくる。上級者用のモードでは画面の背後にエキサイトしているライブの観客が現れ、曲に合わせて声援を送ってくれた。さらに指定されたコードを正しく弾いていれば間に自己流の音が挟まっても得点には影響しない。だから弾ける人はどんどんアレンジしていってライブ気分を満喫することができる。観客は、たくさん曲を弾いてポイントを獲得することで増えていく。小さなライブハウスから、だんだんとステージを大きくしていくイメージだ。

 これまで楽器型のコントローラを使って、ミュージシャン気分に浸るゲームは様々に出てきたが、「Rocksmith」は素人が苦労せずにミュージシャン気分を味わうためのゲームではなく、楽器を弾けるようになりたい人のための練習ソフトと言えなくもない。実際ゲームをやりこんでいけば自然にコードが覚えられるので、その後はゲーム以外でも弾けるようになるだろう。

 北米では2011年秋にプレイステーション 3とXbox 360から発売される予定。日本では発売時期は未定だが、PS3用の発売が発表されている。まだ詳細は発表されていないが、マルチプレイの要素もあるようだ。楽曲は当初は50曲で、ローンチ後にDLCとして20曲が追加される予定だ。ギターを志しながらも挫折した経験を持つ人は少なくないだろう。使わなくなって押入れに眠っているギターがあるなら、もう一度活躍させるチャンスかもしれない。


【スクリーンショット】
難易度によって流れてくるマークの種類や形が変化する

(2011年 6月 10日)

[Reported by 石井聡]