★ DSゲームレビュー★
物質の刻を操る導刻術でアイテムを作り出す
豪華スタッフが手がける新作RPG
「ノーラと刻の工房 霧の森の魔女」
ジャンル:
  • 新生マイスターRPG
発売元:
開発元:
プラットフォーム:
  • DS
価格:
6,279円
発売日:
2011年7月21日
プレイ人数:
1人
レーティング:
A(全年齢対象)

 7月21日、アトラスから「ノーラと刻の工房 霧の森の魔女」が発売される。初代「アトリエ」シリーズのプランナー・吉池真一氏、世界樹シリーズのディレクター・小森成雄氏、同シリーズのキャラクターデザインを手がけた日向悠二氏が参加している力の入った新作だ。

 材料を採取し、アイテムを作るRPGなのだが、本作で最も特徴的なのが「導刻術」。導刻術とは「導刻術師」のみが使える、対象の時間を操る術。あくまで対象の時間を変化させるのみで、導刻術師自身がタイムスリップできるわけではない。導刻術を使えば、通常よりも遥かに短い時間で種を花にしたり、果物をドライフルーツにできる。

 全ての操作は十字ボタン+ボタンで行なえる。タッチペン操作は、採集などで利用できる。

 早速、本作の魅力を紹介していきたい。



■ 1人前の導刻術師になるべく修行にやってきた少女ノーラの3年間の物語

 みならい導刻術師である主人公・ノーラは「3年間の間、異国で導刻術の修行をしながら生活しろ。ただし、人々にばれてはいけない」という導刻術師の一族に伝わる掟のため、霧の森へとやってくる。その霧の森にはこんな伝説があった。

 むかしむかし、湖の真ん中にある霧の森にヴェーラという魔女が住んでいました。
 ヴェーラはにらんだだけで人を殺せるほどの力を持っていました。
 町の人たちはいつヴェーラが森から出てくるか、と毎日おびえて暮らしていました。
 あるとき、1人の若者が「ヴェーラを倒しに行く」と言って霧の森に行きました。
 若者は力持ちで、またとても賢く、ヴェーラにも負けないほどでした。
 若者はヴェーラと戦い、ついにヴェーラを森から出てこられないようにしました。
 でも、若者も魔女の呪いを受けて倒れてしまいました。
 町は平和になりましたが、若者はついに戻って来なかったのでした。

 ノーラは霧の森に住むことから、町の人々に魔女ヴェーラと間違われてしまう。ノーラは疑いを晴らすべく、人々と触れあい交流を深め、依頼を達成していく。果たしてノーラは立派な導刻術師になれるのか、疑いを晴らすことができるのか? そして、魔女ヴェーラの正体とは?

導刻術の修行のため、霧の森へとやってきたノーラとケケ。だが、ノーラは霧の森の魔女と勘違いされてしまう。人々の誤解を解くべく、町のためになる仕事を請け負うことを決める

 ヴェーラの正体といった謎もあるが、ゲームの目的は大きく分けて“1人前の導刻術師になる”ことと、“町の人と交流を図り、疑いを解く”の2つ。これらを3年という限られた期間で達成することを目指す。何か行動をするたびに日時が経過していくため、目的を達成するためには無駄のない行動が必要となる。

 掛け声など多くの場面でキャラクターは声を発する。開発陣も豪華だが、声優陣も竹達彩奈さん、大谷郁江さん、鈴村健一さん、櫻井孝弘さん、花澤香奈さん、子安武人さんら、豪華な面々となっている。キャラクターについては後ほど紹介させていただく。



■ アイテムを作り、依頼を達成し、人々からの信用を勝ち取る!

1つ依頼を達成すると交流度が1上昇する。交流度を上げることで様々なイベントが発生し、物語が進行する

 ノーラは、3年という短い期間で、1人前の導刻術師となり、町の人々からの信用を得なければならない。1人前の導刻術師になるには導刻術を用いてノーラ自身の導刻術レベルを向上させ、信用を得るには人々からの依頼をこなしていく必要がある。多くの依頼はアイテムの納品。このため、依頼をこなしていけば自然と導刻術レベルは向上し、2つの目的達成に近づける。

 ノーラは霧の森の自宅で、アイテムの時間を操作し、状態を変化させる「導刻術」、材料を組み合わせてアイテムを作り出す「加工」、アイテムを分解して別のアイテムにする「分解」の3つが行なえる。

 導刻術を行なうには対象となるアイテムと時間経過に応じたクロノ水溶液が必要となる。クロノ水溶液はアイテムを分解することなどで得られ、導刻術を施すアイテムに応じて、必要な水溶液の色が異なる。最初は時間を送ることしかできないが、物語を進めていくことで時間を戻すことも可能になり、作成できるアイテムの幅が広がる。花から実を作ったり、種に戻したりできるわけだ。

導刻術でアイテムの時間を変化させるにはクロノ水溶液が必須。必要な水溶液の色や数はアイテムや変化させる時間で異なる。材料さえ揃えれば、失敗することはないので、どんどん導刻術を行なって、導刻術のレベルを上げていきたい

 加工するには、作成するアイテムのレシピを習得し、加工に必要な材料と道具を揃えることが必要。レシピは人々から教わったり、本を購入することで増えていく。大工道具、調理道具といった道具は購入したり、自分で加工して作成する。なめし台セットなど、一部のアイテム作成に特化した道具があれば、作成に必要な時間が短縮できる。

加工で作れるアイテムは、家具、消耗品、クロノ水溶液など様々。道具を揃え、レシピを習得し、多くのアイテムが加工できるようにして、どんな依頼にも対応できるようになっておきたい

 分解に必要となるのが材料と道具。加工と異なり、レシピは必要ない。材料やクロノ水溶液の入手に利用することになる。

材料と道具さえ揃えれば分解できる。別の材料だけでなく、クロノ水溶液を得るためにも分解にはお世話になることが多い

導刻術・加工・分解に必要なもの
レシピ道具
導刻術××
加工
分解×

 導刻術、加工、分解の作業には時間が必要。アイテム毎に決められた作成日数×個数が必要な日数になる。アイテム作成時間を短縮してくれる道具だけでなく、作成する数も日数短縮に関係してくる。例えば、作成数3で1日、10でも1日、11で2日ということも発生するため、より効率良く作ることで日数が短縮できる。なお、導刻術で作成するアイテムに限り、初回のみ作成できる数は1つに限定される。

作るアイテムだけでなく、数も考えて作成することで余計な時間経過を減らし、効率良く作成できる。多く作るとその分、材料を消費してしまうが、同じアイテム納品の依頼が出てくることも多々あるので、その日数で最も多く作れるようにするのがオススメだ

 ストーリー進行に大きく関係する一部の依頼以外には、納品期間が設けられている。複数の依頼をこなすためにも効率良くアイテムを作成したい。町への移動など、ワールドマップでの移動では時間は経過しないので、作成したらすぐに納品するようにしておくといいだろう。

ワールドマップでは、イベントが発生する場所に黄色の吹き出しがつく。町との往復では日数は経過しないので、町に吹き出しがついていたら、すぐに立ち寄るようにしておくと短い期間で多くのイベントがこなせる。町との往復で日数が経過しないので、アイテムの購入や売却も気軽にできる。ただし、町以外の場所に行くと、帰るのに1日を要する

 ここで、アイテムの売買ができるお店についても紹介しておきたい。アイテム購入での支払い方法は、お金とアイテムの2つ。アイテムでの支払いの場合、必要な個数のアイテムを渡せばOK。必要以上に渡すこともできるが、無駄になってしまう。アイテムの売却は、店によって買い取ってくれるアイテムが異なる。基本的に、その店で扱っているタイプのアイテムを買い取ってくれるというイメージだ。受け取る代価として、お金ではなく、アイテムが選択できる場合がある。交換品としてレアアイテムや加工が面倒なアイテムが提示されることも。また、購入、売却に加え、交換も可能。交換で獲得できるアイテムには、店に並んでいないアイテムもあるので、チェックしておきたい。

序盤、行ける範囲や利用できる施設は少ないが、交流を深めたり、物語を進めることで増えていく。お店では、道具、レシピなど、アイテム作成に欠かせない重要な品物が購入できる。また、ノーラは道具や消費アイテムは作れても、装備品は作れないので、装備が購入できる点でもお店は重要だ


■ 単にアイテムを取るだけでない、戦略性の高い採取

 導刻術など、アイテム作成に必要な材料は主に分解、採取、戦闘、購入で入手する。分解は分解するアイテムがなければできないし、購入は序盤の懐の寂しい状況ではそれほど利用できない。そこで最も活用することになるのが採取。

 採取可能な場所では、専用の採取画面になる。草や木といったアイテムアイコンにカーソルを合わせてAボタンを押せば採取が完了。1回の採取行動につき、1日が経過する。また、採取した際にはモンスターが出現し、戦闘になることがある。

採取可能な場所へ行き、アイテムアイコンにカーソルを合わせて、Aボタンを押せば採取完了。非常にシンプルだ。初期画面では見えない場所にも採集ポイントがある。カーソルを上下や左右に動かせば、画面がスクロールする

 アイテムアイコンにカーソルを合わせてAボタン(またはタッチペンでタッチ)するだけの簡単な採取だが、フィーチャーという要素が戦略性をアップさせている。フィーチャーは入手する採取で獲得できるアイテム数の増加、モンスターとのエンカウント率アップなど、採取に様々な影響を及ぼす。

 上画面右上には得られるフィーチャーの一覧が表示される。光るアイテムアイコンを採取するといずれかのフィーチャーがアクティブになる。つまり、1つしかフィーチャーがなければ、光るアイテムアイコンも1つしか存在しない。

 光っていないアイテムアイコンを選択すると非アクティブなフィーチャーのレベル(効果)がアップする場合がある。得をするフィーチャーがあるなら、光っていないアイテムアイコンでフィーチャーのレベルを上げてから、光るアイテムアイコンでフィーチャーをアクティブにすれば、高い効果が得られるわけだ。

 フィーチャーを考慮に入れて、採取を行なえば、より多くアイテムが獲得できたり、余計な戦闘が回避できる。どのように採取するか、プレーヤーの腕の見せ所だ。

様々な効果のあるフィーチャー。何が起きるかは上画面右上のアイコンで確認できる。例えば、上のスクリーンショットであれば、アイテムロストとアイテム増加のフィーチャーがある状態で、アイテム増加のフィーチャーが発動し、アイテムが増加。そして、残るフィーチャーはアイテムロストのみに。このような場合、光っているアイテムアイコンは採取すべきではない。アイテムアイコンの効果を頭に叩き込んで採取を行ないたい

画面右下の「もっと採取」を選択すれば、画面上のアイテムアイコン、フィーチャーが再配置される。使えるのは1回限りで、1日が経過してしまうが、同じ場所で採取を続けたい場合や狙ったアイテムアイコンがない場合などに利用したい採取を終えるには画面左したの「家に帰る」を選択すればOK。1日が経過し、霧の森の自宅へと帰還する


■ 馴染みあるターン制、コマンド選択式の戦闘を採用

 戦闘はターン制、コマンド選択式で、「攻撃」、「アイテム」、「秘技」、「防御」、「隊列」、「退却」から選択する。RPGとしてはベーシックな戦闘なのでプレイするのに迷うことはないだろう。

 「攻撃」は前列に配置されたキャラクターのみが使用できるコマンドで、目の前の列にいる敵に装備武器で攻撃する。「アイテム」は、回復、攻撃、防御と様々な効果のあるアイテムを使用するコマンド。「攻撃」や「秘技」が通用しない場合にはアイテムを試すことで想像以上の効果が得られることも。「秘技」ではキャラクター固有の特殊技を繰り出す。使用には技毎に設定されたSPが必要。ただし、戦闘終了後にSPは全回復するので、バンバン使っていける。「防御」は被ダメージを減らすコマンド。「隊列」は位置を別の列へと移動させるコマンド。なお、後列にいる場合、「攻撃」はできないが、「秘技」や「アイテム」は使用できる。事前に設定しておけば、戦闘中に隊列変更を迫られる場面はほぼない。「退却」は戦闘から逃げ出すコマンドとなる。

 攻撃には属性の有無が存在する。非属性攻撃を受け付けない敵もいるので、状況に応じて攻撃手段を使い分ける必要がある。主に頼りになる属性攻撃は、属性タイプの秘技だ。

 敵を全滅させると、経験値が獲得できる。また、アイテムをドロップした場合には、そのアイテムも獲得できる。

馴染み深いターン制、コマンド選択式の戦闘。秘技で必要なSPは戦闘終了後に全回復するので惜しみなく使っていきたい。なお、戦闘中やられてしまっても、戦闘終了後にHP1の状態で自動で復帰する。隊列を下げておくと、敵からの「攻撃」コマンドでダメージを受けることがないので、低レベルの仲間を連れていく場合には下げておくといいだろう

 次に、戦闘に参加させられる本作の主要キャラクターについて簡単に紹介していこう。

 ○ ノーラ・ブランドル CV:竹達彩奈

 1人前の導刻術師になるために霧の森を訪れた、16歳の少女。つねにポジティブ思考で元気な性格をしており、たとえ悪口を言われても自然にスルーする。ただし、悪口を気にしていないわけではなく、しっかり覚えているらしい。

 ノーラは攻守のバランスの取れたキャラクター。物理、属性両方の秘技が使えるため、場面を問わずに活躍できる。なお、ノーラをパーティーから外すことはできない。


 ○ ケケ CV:大谷郁江

 ノーラと一緒に霧の森へやってきたティック族の1人。お目付け役であり、ノーラの親友でもある。言いたいことを言いまくるが、スルースキルの高いノーラにはいつもスルーされている。いいコンビ。

 攻撃力は高めだが、盾が装備できず、防御面にやや不安がある。敵からアイテムを盗む秘技や、倒すとアイテムをドロップしやすくなる秘技が使えるが、ダメージアップにつながる秘技は覚えてくれないので、敵からのアイテム調達に役立つ盗賊のようなキャラクターだ。


 ○ ルッツ・アレニウス CV:鈴村健一

 冒険者として一獲千金を夢見る16歳。霧の森の魔女の伝説を聞き、魔女を倒して有名人になってやると燃えている。負けず嫌いな熱血漢。が、新米冒険者は大した戦力にならず、しばしばトラブルメーカーになっている。

 物理攻撃に特化したファイタータイプ。序盤に仲間になり、ノーラより高い威力の物理攻撃が可能なのはありがたい。ただ、属性タイプの秘技が使えないため、属性攻撃しか受け付けないタイプの敵が多く登場する場所では活躍できないだろう。


 ○ カルナ・アスターラ CV:ゆかな

 イサルミィの町に雇われた傭兵で、現在は剣兵詰め所に居候中。かなりの剣の腕を持ち、近隣では敵う者なしとウワサされる、最強の女傭兵剣士。戦闘では一分の隙もないが、普段はおおらかで明るい性格。うっかり者の一面も?

 最強の女傭兵剣士というだけあって、高い攻撃力を誇る。さらに秘技には範囲攻撃があるため、多数の相手と戦う場面でも活躍してくれる、とても頼れるキャラクターだ。


 ○ エルシー・クイン CV:今野宏美

 テンペリナの武器屋クインズの1人娘。親の手伝いがしたいお年頃。年の割りにはシッカリしていて、頑張り屋。店を手伝っているうちに、鉱石に対して並ならぬ興味を持つようになったその鑑定眼はもはや大人顔負け?お茶会を開くのが大好きな女の子らしい一面も。

 戦闘での大きな活躍は見込めない非力な少女だが、採取の際には通常より多く鉱物を獲得できる秘技を持っている。鉱物採取に連れていきたいキャラだ。


 ○ メロウ CV:藤田咲

 ある日ノーラの庭に迷い込んできた少女。おっとりとした性格でいつも微笑んでおり、怒った姿は誰も見たことがない。記憶を失くしているらしく、自分の名前以外は何も覚えていない。

 属性攻撃や回復の秘技が使える、後列に配置して使いたいサポートタイプ。採取で植物系のアイテムが多く獲得できる秘技も持っている。


 ○ オクトーヤ・レイストローム CV:石塚運昇

 テンペリナの平和を守るために自警団を作り、1人奮闘している心優しき大漢。「強き者は紳士たれ」をモットーに、町の人に信頼される人間を目指し、紳士として日々町を守っている。幸か不幸か、元から平和な町のためさほど仕事がなく、懐はさびしい。

 特徴は高い防御力。さらにノーラが敵に狙われたときに自動でかばってくれる秘技やガードを固めて攻撃を跳ね返す秘技も習得するため、パーティーの防御力を一気に向上させてくれる盾役。攻撃力もなかなかのもの。


 ○ キト・ベールマン CV:櫻井孝弘

 イサルミィの商家のおぼっちゃん。主に商工会議所に出入りして、取引先とのつなぎ役をしている。真面目でカタブツ、口は立つのだが、実戦経験が少ない事を気にしているようだ。

 仲間になるタイミングは遅いが、バランスが良く使いやすいキャラクター。攻撃タイプの秘技に加え、レアアイテム獲得率アップ、普段店に並ばないアイテムが並ぶ秘技の「目利き」を習得する。目利きで増える品揃えは様々だが、作ると日数のかかる面倒な材料が買えたりするので、お金に余裕がある場合の材料集めに大活躍してくれる。


 ○ シルカ・ビョルン CV:花澤香奈

 病人や子供のためにテンペリナにある小さな診療所を手伝う無口な少女。感情を表に出す事は少ないが、内に秘めた思いは強く意思を曲げることは少ない。職業柄、薬草を見つけるのが得意。

 アンデッドに大ダメージを与えることができ、必ずクリティカルヒットになる秘技を習得するという、見た目に反して攻撃的な対アンデッドのエキスパート。植物採取量増加の秘技も持っている。


 ○ ユカ・ワルタネン CV:子安武人

 テンペリナの酒場「吹きだまりの泉」でジャーキーを食べてばかりいる青年。定職についている様子もなく、目的があるようにも見えず、他人をからかってばかりいる。いつも熱いルッツとは犬猿の仲。

 物理攻撃が強く、最終的に敵全体への攻撃秘技も習得してくれる。また、最も特徴的なのが値切りの秘技。お店でのアイテムが安く購入できる。


 採集、買い物など、場面に応じてパーティーメンバーを切り替えたいところだが、3年という期間や加入時に習得している秘技は1、2つだったりと、慣れていない初回プレイでは切り替えて使うのは多少難しいかもしれない。序盤に仲間になる頼もしい盾役オクトーヤ・レイストロームを組み込み、その後に加入するカルナ・アスターラを入れたりすると戦力は申し分ないはず。とはいえ、ゲームに慣れ、装備を揃えれば、どんな構成でも大抵の戦闘で勝利できるので、好きなキャラクターをパーティーに編成してプレイするのがいいだろう。ただし、買い物の際には加入時から値切りの秘技を有するユカ・ワルタネンを入れておくことをオススメする。



■ 自分だけのコーディネートができるハウジングとガーデニング

 霧の森にあるノーラの家は、1階、2階、庭の3マップで構成されており、それぞれに家具や道具などが設置でき、ハウジングやガーデニングが楽しめる。これらは単なる見た目の変化だけでなく、ゲーム進行に役立つものも存在する。いくつか例を紹介したい。

 加工や分解に必要な道具などは所持しているだけでも効果を発揮するが、設置し、Aボタンを押すと、「その道具でのみ加工・分解などが行なえるアイテム一覧」が表示される。メニューからの場合、加工・分解・導刻術に分類されるが、使用する道具に関係なく、全候補が表示されるため、ゲーム終盤ともなると数が多くなり、検索するのは一苦労。そんな場合に役立ってくれる。

 庭に種を植えれば成長し、育った植物は収穫できる。また、庭ではペットを飼うこともできる。中でも「ピンころ」というペットは花を食べてクロノ水溶液を生んでくれる。「ピンころ」は種類によって生み出す水溶液の種類が異なり、成長すると生み出すクロノ水溶液の数が増加する。導刻術にはクロノ水溶液が欠かせないので、「ピンころ」を庭に放しておけば導刻術の助けとなってくれる。これらペットは、庭にある掲示板に“とりもちチャンス”など、捕まえるヒントが出た際に必要なアイテムを庭に設置することで捕らえることができる。

左が初期状態。家具、道具、ペットなどの配置次第で中央や右のように様変わりする

■ 最後に

 豪華スタッフにより生み出された本作。3年と言わず、もっと長い年月があればと思ってしまうほど、アイテム作成、採取、戦闘などやれることは多く、プレーヤーを飽きさせない。発生するイベントも多く、導刻術レベルや仲良くなった人物によって、エンディングが変化するなど、何度も楽しめるように作られている。

 クリア後には所持金、ペットを引き継いでプレイできることが中毒性を高めている。プレイを重ねることでどこで何が採取できるかもわかるし、ペットが引き継げるのでクロノ水溶液が簡単に入手でき、所持金が多いため、装備、材料、道具、レシピ本などがすぐに購入でき、依頼が1周目より日数をかけずにこなせるようになる。町で受けられる依頼は月初めに更新され、5つの依頼を受けられるが、早く依頼がこなせるので、空いた時間で、これまでに作成したことのないアイテム作りに挑んだり、戦闘を繰り返しレベル上げなどもできるわけだ。筆者の場合、2度目のプレイでは、1度目の3年間では最大まで上げられなかった人々との交流度が2年かからず最大まで上げられたし、3度目や4度目のプレイでは、それまで出てこなかった新しいマップが登場したりもした。

 シンプルでわかりやすいゲーム性と、ついつい時間を忘れてプレイしてしまう中毒性をあわせ持つ本作。誰にでもオススメできる秀逸なタイトルだ。


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(2011年 7月 20日)

[Reported by 木原卓 ]