★ Wiiゲームレビュー★
多くのシューターファンを生んだ作品がWiiで復活!
多彩なモードと遊びやすさがポイント
「ゴールデンアイ 007」
ジャンル:
  • スパイアクション
発売元:
開発元:
プラットフォーム:
  • Wii
価格:
5,800円
発売日:
2011年6月30日
プレイ人数:
1人~4人(Wi-Fi時4~8人)
レーティング:
C(15歳以上対象)

 「初めて遊んだFPSがこれだった」という話を非常によく聞くのが、この「ゴールデンアイ 007」だ。なにしろ「ゴールデンアイ 007」はもともと、まだ家庭用プラットフォームタイトルにFPS作品があまりなかった1997年にニンテンドウ64用ソフトとして発売され、全世界で800万本を売り上げたタイトル。当時、画面分割対戦で友達や兄弟とひたすらに熱中したという人がたくさんいるだろう。

 そんな「ゴールデンアイ 007」が、Wii用タイトルとして甦った。「007」こと「ジェームズ・ボンド」となり、スパイアクションで難関を切り抜けていくストーリーでは、世界背景を現代風にリファインされており、主人公も映画の最新作でジェームズ・ボンドを演じているダニエル・クレイグのモデルになっている。また、マルチプレイでは、初代作の醍醐味であった画面分割での最大4人対戦はもちろん、オンライン対戦にも対応して最大8人対戦が楽しめるようになっている。

 たくさんのゲームファンの記憶に残るFPSタイトルのリファイン作品が、どんな魅力を持っているのか、レビューしていこう。

― Story ―

MISSION:国際テロ組織から世界を救え

イギリス情報局MI-6に、ある情報が入った。

それは
“ロシアの極秘ハイテク兵器「ゴールデンアイ」が
イギリス大使館を狙う国際テロ組織「ヤヌス」に渡る”
という内容だった。

どうやらロシア将校のウルモフが、「ヤヌス」と陰で繋がり
自国の武器を横流ししているという。

かくして、ボンドはアレックとともに、
ウルモフが所有する武器倉庫を破壊するべく
敵の施設に潜入する事となるのだが……




■ シングルプレイ ―― 映画「007 ゴールデンアイ」をベースに、現代的にリファインされたストーリー

雨が降る中、006ことアレックとともに巨大なダム施設の中へと潜入していく

 不朽の名作スパイ映画「007」シリーズから、「007 ゴールデンアイ」を題材にしている本作。プレーヤーはイギリスの情報局MI-6に属し世界を股に掛けて活躍する諜報員、007ことジェームズ・ボンドとなって、指令を遂行していく。

 物語は、ボンドが006ことアレックとともに国際テロ組織「ヤヌス」が集合しているというダムへ潜入するところから始まっていく。“ロシアの極秘ハイテク兵器「ゴールデンアイ」”が、ロシア将校のウルモフの手によってヤヌスの手に渡るというのだ。

 雨が降りしきるなか、1台のトラックが基地へと入ろうとしているのに目を付けた2人。見張りの兵に背後から近寄って無力化し、見張り台の兵からライフルを奪って006に迫る兵士を片付ける。「007 ゴールデンアイ」では、スパイとして基本的には敵に気づかれないよう潜入し、必要とあらば大胆な銃撃戦を繰り広げる。この静と動の2面性がポイントだ。

 チュートリアルでもある序盤のこのシーンでは、本作の醍醐味をあますことなく楽しめる。通風口に入って移動したり、敵の背後にしゃがみ歩きで忍び寄って無力化するなど、潜入ならではのサイレントなアクションがそのひとつだ。

 ピストルにサイレンサーをつけ、邪魔な兵士を静かに排除するが、気づかれれば敵の部隊が押し寄せてくる。銃撃戦になったら、遮蔽物にしゃがんで隠れつつ素早く顔を出して撃つのがポイント。いわゆるカバーアクションだ。カバーアクションには遮蔽物に貼り付くという動きはないが、遮蔽物にしゃがんで近寄り、そこから構えれえば自動で遮蔽物の上から撃てるようになっている。また、上とB同時押しで遮蔽物を乗り越えるというアクションもある。

 また、本作には「エイムアシスト」という照準のサポート機能があって、遮蔽物から構えて顔を出すと自動で敵に照準が合うようになっている。遮蔽物に隠れている状態から、素早く構えて撃つ、素早く構えて撃つと繰り返せば、敵をスピーディーに早撃ちできるわけだ。シュータータイトルが苦手という人でも007の凄腕気分を味わえる。

 扉の錠前を撃って壊し、監視カメラを撃ち破壊して奥へと進んでいく。ドアを開けて突入する時には、スローモーションになる演出もある。ここでは中にいる兵士を素早く撃って排除するのがポイントだ。

 現代風にアレンジされているポイントのひとつが、スマートフォンを活用するというところだ。目的の兵器の写真を撮るのはもちろん、施設内のセキュリティ機能をハッキングすることもできる。侵入者を自動で撃つガンをハッキングし、逆に敵兵士を撃たせるなんてこともお手の物だ。

 敵兵士に囲まれたボンド。背後には巨大なダムが広がる。“ロシアの極秘ハイテク兵器「ゴールデンアイ」”とは? ロシア将校のウルモフを追い、ボンドはその身を投じていく。


敵兵士の背後に忍び寄り無力化する。潜入工作ならではの、サイレントなアクションが楽しめる
サイレンサーをつけた銃で敵兵を排除。スナイパーライフルで狙撃して006をサポートする場面もある
トラックを奪い施設内部へ潜入。検問で怪しまれれば素早い判断で強行突破していく! 敵に気づかれないようにするサイレントなアクションと対照的に、ド派手で大胆な戦闘もある。そのコントラストがいい感じ
銃撃戦では遮蔽物をうまく活用していく。しゃがんで隠れ、構えで身を乗り出して射撃する。このとき、エイムアシストという照準を自動であわせてくれる機能もあるので、シュータータイトルが苦手という人でも手軽に楽しめる
スパイ道具も時代とともに変わっていく。現代風にアレンジされているポイントのひとつが、このスマートフォンだ。重要な情報を写真に収めるのはもちろん、セキュリティをハッキングして扉を開いたりと、様々な場面で活躍する
通風口を通って潜入しているシーン。トイレで休憩中の敵兵の目の前に逆さ宙づりでゆっくりと降りていって、驚いている敵に拳をお見舞いしていく! 潜入工作といえば思い浮かぶシーンも、しっかり再現されている

 「ゴールデンアイ 007」のシングルプレイでは、主人公ボンドになりきってスパイアクションを楽しめるのが醍醐味だ。ここまでに紹介してきたような潜入シーンや銃撃戦や市街戦といった戦闘のシーンももちろん魅力だが、スマートフォンの顔認識機能を使って指定された人物と合流したり、人がたくさんいる場所を紳士的な格好で歩き、目的の人物に接近して皮肉の効いた会話をするなんていう、いかにも「007」らしい場面もある。そうした映画の魅力を再現しているシーンも自分の操作で楽しめるのが嬉しいところだ。もちろん「007」シリーズには欠かせない女性も登場する。

 世界を舞台に活動するだけにエリアも、基地施設内、ナイトクラブ、ジャングル、雪原、巡洋艦など、様々なシチュエーションがあり、マップのバリエーションが豊かなところが印象的。いずれのシーンでもテロリストの組織であったり、ロシア軍であったりと多数の敵が待っている。それに対してこちらは、007というスパイによる単独潜入が基本となる。そのため、できる限り見つからないよう隠密行動がプレイ全体のベースになっている。

 敵の動きや難易度についてだが、敵に気づかれないよう潜入するこちらの動きに対して、敵のAIは適度に反応がよく自然な動きが感じられる。敵の背後へ近づくときはしゃがみ状態でゆっくり近づかなければならない。焦って走れば気づかれるし、近くにいる別の敵に見られると声を出されてしまう。敵兵が、背後に忍び寄ってくる気配に気づいて、ゆっくり振り向く様子や、ボンドに気づいて一瞬驚き、素早く身を隠す動き、遮蔽物に隠れているボンドのほうへ脅しのセリフを言いつつジリジリと距離を詰めていくところなど、違和感を感じさせない動きになっている。

 敵に気づかれずに無力化させるには周囲の状態を見てタイミングを計らないとうまくいかないが、絶対に敵に見つかってはいけない作りなのかというと、そこまで厳しくはない。敵に見つかってしまうとシーンによっては増援を呼ばれてしまい、全員を排除するのに時間はかかるようになるが、ボンドのほうがはるかに能力は高い。エイムアシストも優秀なので、バリバリ敵を倒しまくる爽快なプレイも楽しめる。


ナイトクラブで指定された人物と合流。ここではスマートフォンの顔認識機能が役に立つ
爆破していく巡洋艦の内部を駆け、視界の悪い雪山にも潜入していく。多彩なシチュエーションも魅力だ。007シリーズに欠かせない女性も登場し、物語に絡んでくる

画像はクラシックコントローラ PROのキーコンフィグ。Wiiということで、対応コントローラーは豊富だ。キーコンフィグのセットがたくさんあり、丁寧に対応しているのが好印象
Wiiリモコンでは、ポインター操作で照準合わせができるのが強み。ただ、ヌンチャクが必須でWiiリモコンのみでのプレイはできない

 Wiiのタイトルということで、コントローラーも豊富に選べるようになっている。Wiiリモコンを使う場合、Wiiリモコン+ヌンチャクが必要だ。または、その2つを装着させたWiiザッパーも使える。そしてコントローラーでは、クラシックコントローラおよびPROか、ゲームキューブコントローラとなる。

 Wiiリモコンのみとはさすがにいかないが、それ以外には全て対応しているので、いろいろな選択肢があると同時に、画面分割対戦で人数分のコントローラーを揃える意味でも、多様な対応ぶりは嬉しい。

 Wiiリモコンとヌンチャクを使う場合、照準操作はWiiリモコンのポインターで行ない、Bボタンで射撃になる。移動操作はヌンチャクのアナログスティック。ライフル型のアタッチメントであるWiiザッパーを組み合わせれば、より臨場感のあるプレイが楽しめるし、ちゃんとWiiザッパー用のボタン設定もプリセットされている。

 コントローラーでは、クラシックコントローラ PROかゲームキューブ(GC)コントローラがプレイしやすいと感じた。ZLで構えZRで射撃(GCコントローラーではそれぞれLとRの押し込み)、左アナログスティックで移動、右アナログスティックで照準操作となる。

 キーコンフィグの設定も豊富で、コントローラーそれぞれにプリセットが用意されている。もちろん、L/Rの配列が異なるクラシックコントローラとPROもプリセットはちゃんと別になっているなど、丁寧な対応に感心させられる。


左から順に、クラシックコントローラ、Wiiザッパー、ゲームキューブコントローラのキーコンフィグ。いずれのコントローラーにも多数のコンフィグが用意されていて、どれでも自然にプレイできるよう配慮されている



■ マルチプレイ ―― 画面分割で友達や家族と熱く対戦! オンラインで世界を相手に最大8人対戦!

 マルチプレイでは、画面を分割しての最大4人対戦か、Wi-Fiでのオンラインマルチプレイで最大8人との対戦が楽しめる。

・画面分割対戦で、1台4人プレイ! 友達や家族と熱く盛り上がろう!

画面をプレーヤーの人数分に分割表示することで、1台で最大4人までの対戦が可能だ。「ゴールデンアイ 007」といえばこの対戦。一緒にワイワイと盛り上がれる醍醐味は、オンライン対戦にはない魅力だ

 画面分割対戦では、その名の通り、画面をプレイ人数分に分割して表示し、その場で2~4人での対戦が楽しめる。昨今のシュータータイトルはオンライン対戦が中心となり、画面分割対戦はほとんどなくなってしまったが、それが今作でもきちんと残っているのは嬉しい。

 対戦のゲームモードは、個人戦でキル数を競う「コンフリクト」、チーム戦の「チームコンフリクト」、そして、1発で相手を倒せるが自分の位置がバレてしまう「黄金銃」、一定回数キルされると復活できなくなる「007は二度死ぬ」の4つ。

 なかでも特徴的なのは「黄金銃」のモードだろう。1キル(1人相手を倒す)で1ポイントが加算されるなか、マップ内に1つだけある黄金銃を手にして敵を倒せば5ポイントがもらえ、さらに黄金銃なら1発で相手を倒せる。ただし、黄金銃を持っているプレーヤーの位置は全員にわかってしまう。黄金銃を手にするか、そこに群がるプレーヤーを狙うか、駆け引きの熱いモードだ。

 ゲームモード以外に、対戦ルールもの細かく設定できる点も評価できる。対戦時間やレーダーに発砲したプレーヤーを映すかどうかの表示をはじめ、相手の頭部を撃たないとほとんどダメージが与えられない「ホットショット」や、弾丸がペイント弾になる「ペイントボール」、常に動き続けないとリタイヤになってしまう「棒立ち禁止」など、ユニークなオプション設定が多数ある。

 対戦用のマップは、ジャングルやシベリアの前線拠点、ナイトクラブや工業施設の廃墟など、シングルプレイにも登場した場所をベースにした10種類のマップがある。マップの広さのバリエーション、高低差のある多重構造のマップから広く見渡せるマップなど、基本的な種類がしっかりと抑えてある。どのマップも凝った構造ながら把握がしやすく、広さも適度で、遊びやすさを感させてくれる。もちろんマップによっては通風口を通ってショートカットしたり、通風口の中に潜んだりといった、本作ならではのプレイも楽しめる。

 さすがに画面分割プレイでは1画面あたりが小さく、遠くの相手も把握しづらくなるため、エイムの精密さよりは、反応の速さやマップを把握しての位置取りが重要になってくる。そのあたりからは、本作のアクションゲームライクな魅力を感じられる。

 なんと言っても分割画面での対戦の魅力は、ワイワイとその場で一緒に遊べるところ。騒ぎながら遊べばそれだけで楽しいし、豊富なルール設定によって遊び方をいろいろと工夫できるのも大きな魅力だ。この作品でまたシュータージャンルの魅力を知ったという人がたくさん生まれるのかもしれない。


キャラクターや装備、マップが豊富で、対戦のルールもユニークなものを含めたくさんあるのがポイント。より楽しく盛り上がれる遊び方を見つけていこう

・オンラインで最大8人と対戦! EXPシステムで装備やガジェットをアンロックしカスタマイズ!

オンラインのマルチプレイでは世界中のプレーヤーと最大8人での対戦が楽しめる。ゲームモードも8人という人数を活かした独特なものが楽しめる。画像は「黄金銃」のモードで対戦中の場面だ
こちらは「ブラックボックス」というゲームモード。相手が背負っているオレンジのスーツケースのようなものがブラックボックスで、MI6チームはこれの破壊を、テロリストチームは確保してデータを取得するのが目的になる

 Wi-Fiを使ったオンラインでのマルチプレイでは、最大8人での対戦が可能だ(1台で参加できるのは自分1人のみ)。オンラインマルチプレイは、ゲームモードを選ぶと自動でプレーヤー枠の空いているゲームに参加する仕組みで、ゲーム終了時に経験値を獲得、マップ投票が行なわれ、次のゲームが始まっていくという流れになっている。

 最大8人ということで、ゲームモードも画面分割対戦より多彩になっている。「コンフリクト」、「チームコンフリクト」、「黄金銃」のモードは共通だが、そのほかに、「ブラックボックス」、「ゴールデンアイ」、「ヒーロー」というモードがある。

 「ブラックボックス」は、MI6チームとテロリストチームに分かれ、MI6チームはマップに落ちているブラックボックスを撃つなどして破壊するのが目的、テロリストチームはそのブラックボックスを持って、データをダウンロードするのが目的だ。ブラックボックスを巡り、全員が1カ所に集中することになる激しい戦いとなるモードだ。

 MI6チームはブラックボックスを持ち運べないし、破壊することしかできないが、テロリスト側は持ち運べる(ただし所持者はピストルしか使えなくなる)のがポイント。ブラックボックスを上手く持ち出し、守備しやすいところまで持って行けば、仲間はそれを守りやすくなる。MI6チームはそれを阻止し、運びだそうとするテロリストチームごとボックスを撃ちまくるというわけだ。シンプルでわかりやすいが、戦いは激しい。

 続いて「ゴールデンアイ」というモード。こちらはチーム戦で、マップに複数点在している端末をスマートフォンでハッキングして確保し、兵器ゴールデンアイを操作するというルールだ。相手チームの頭上に「ゴールデンアイ」がコントロールされるまで端末を確保し続ければ勝利となる。端末を敵チームと奪い合うことになるが、チームはそれぞれ最大4人に対し、端末は5つある。確保した場所を守るか、確保していない端末へ次々に移動していくか、少し離れたところから端末を操作にきた敵を狙うかなど、戦略性のあるゲームモードだ。

 最後は「ヒーロー」というモード。これはチームでキル数を競うルールなのだが、互いのチームに1人だけ能力の高い“ヒーロー”が出現する。ヒーローは他のプレーヤーよりも装備も能力も強いが、倒されると通常のキルよりも高いポイントが相手に入ってしまうというリスクもある。しかも、ヒーローの出現は音声でアナウンスされるほか、マーカーでだいたいの位置も表示されるので、狙われるのは間違いない。ヒーローとなったプレーヤーは、前に出てアグレッシブに攻めるのか、それとも自分をオトリにして味方に倒させるのか、ヒーロー次第で勝敗がわかれてくるモードだ。

 このほか、オンラインマルチプレイでは経験値のシステムがあり、レベルが上がることでアンロック(解放)される3つのゲームモードがある。レベル25から「殺しのライセンス」、レベル30から「殺しのライセンス」のチーム戦、さらにレベル35では「クラシックコンフリクト」というモードがプレイできる。


「ブラックボックス」のモードは、ブラックボックスを中心に全員が集まってくる混戦になる。テロリストチームがうまく運び出すのか、MI6チームがテロリストごとボックスを撃ち壊すのか。シンプルで激しい戦闘が楽しめる
こちらは「ゴールデンアイ」というモード。マップ中にある5個の端末をチームで奪い合う。確保し続ければ衛星が敵チームを攻撃して勝利となる。1カ所を死守するのか、動き続けて確保して回るのか、戦略性のあるモードだ
こちらは「ヒーロー」というモード。基本的にはチームコンフリクト(チームデスマッチ)のルールだが、各チームそれぞれにヒーロー役のプレーヤーが登場するのが特徴。ヒーローは能力が高く敵を倒したときのポイントも高いが、倒されると逆にポイントを多く取られてしまう

対戦してEKPを獲得し、レベルを上げて装備をアンロックしていく。アンロックした装備やスキルで自由なカスタマイズが可能だ。ただし、レベルアップのペースはかなり時間がかかるところがあり、そこはプレイして気になったところだ

 マルチプレイ時の装備はメイン武器に、サブマシンガン、ショットガン、アサルトライフル、スナイパーライフルがあり、サブ武器にピストルを持つ。武器にサイレンサーやレーザーポインターといった改造パーツを装着させられるほか、ガジェットという特殊装備やスキルを装着できる枠が3つある。ガジェットには、地雷などの特殊装備、リロード速度や移動速度の上昇といったスキル、体力上昇などの特殊スキルなどがある。

 装備や改造パーツ、ガジェットなど全て、レベルが上がることで使える種類が解放されていく仕組みだ。そのため最初は使えるものがほとんどないが、それぞれ装備のプリセットがあり、レベルに関係なくガジェットも組み込まれている。プリセット装備の他に、自分で組み合わせを決めて保存しておけるカスタマイズ枠が複数ある。

 カスタマイズを工夫して自分のプレイスタイルにあった組み合わせを楽しんでいけるわけだが、レベルアップに必要な経験値量の多さは若干ネックに感じた。レベルが上がらなければ装備やガジェットがアンロックされず、選択を楽しめるようにはならないが、アンロックに必要な経験値はかなりの量になる。

 一応、あらかじめアンロックに関係なく装備やガジェットが組み合わせられているプリセットは用意されているが、レベルアップに必要な経験値の設定には、本作の「手軽に楽しめるテイスト」と不釣り合いなところを感じた。せめてある程度の要素を楽しめる中盤くらいまではレベルが上がりやすく形にしておいて、早い段階からカスタマイズを楽しめるたら、より良かったかもしれない。

オンラインマルチプレイでは独特のモードもあって、「ゴールデンアイ 007」ならではと言える魅力を楽しめた。シビアなプレイというより、マップの把握や立ち回り次第で大きく変化していくところが強い

 本作のオンラインマルチプレイは、オンラインだけで楽しめる「ブラックボックス」、「ゴールデンアイ」、「ヒーロー」のゲームモードがやはり魅力的。シンプルに楽しめるブラックボックスで乱戦を楽しみ、ゴールデンアイでは戦略的なプレイを楽しめる。ヒーローは通常のチームキル戦にヒーローというアクセントが加わっているのが面白い。対戦相手も世界を対象にすればいつでも事欠かず、存分にやりこめる。

 プレイして特に感じたのは、分割画面対戦のところにも書いたが、エイムの腕よりも、マップを把握して相手の意識の外から攻めるような、位置取りのほうが勝敗のカギを握るということだ。マップの作りも、どこに対しても複数のルートから背後に回り込めるような上手い作りをしている。特に屋内のマップでは、複数の階層=高さを活かした戦いもできる。正面から反応しての撃ち合いをするよりも、マップを活かした立ち回りのほうが効果的というわけだ。マップのできの良さは非常にバランスがいいと感じた。

 シングルプレイのところでも紹介したが、通風口をくぐったり、そこに潜んで待ち伏せたりといった戦い方もできるのが、本作の独特なところだ。そうしたマップを活かした立ち回り重視のなか、独自のルールでの戦い方が楽しめる。従来のFPSとはちょっと異なる手触りになっていて、エイムをはじめとしたシビアなところは薄めで手軽に、それでいて、奥深さも感じられた。

 ただ、フレームレートが基本的に低く、複数のプレーヤーが集まってくると他プレーヤーの動きががくついてくるのは気になった。これはシングルプレイや画面分割対戦でも起こることがあるが、Wi-Fi対戦ではやはり一緒に戦うメンバーの環境によって左右されやすい。特に国内ではなく世界のプレーヤーと対戦するとラグが増えたりもするのはいたしかたがないところだろう。

 ただ、こうした不満点の部分は、「ゴールデンアイ 007」という作品のテイスト、そしてオートエイムに代表される遊びやすさがある程度はカバーしてくれている。シビアに腕を競うよりも、気軽に長く楽しめる方向のデザインだ。「ゴールデンアイ 007」という作品やWiiというプラットフォームに適した作りだろう。



■ 007の魅力が詰まったストーリー、画面分割やオンラインでの対戦など“持っておきたい1本”

ジェームズ・ボンドになりきってスパイアクションを楽しめるシングルプレイ、友達や家族とワイワイ盛り上がれる画面分割での対戦、オンラインでのマルチプレイなど、楽しみ方の幅が広い。スペック的な厳しさはあったものの、操作の手触りがよく、遊びやすい。ぜひ1本持っておきたい作品だ

 Wiiで遊べる本格FPSタイトル自体が少ないこともあり、醍醐味である画面分割のマルチプレイを実現した本作の魅力は大きい。画面分割のあるFPSタイトルというのはオンライン主体の今となってはある意味貴重で、友達と一緒にワイワイ遊べる1本として活躍する。ある意味、画面分割でワイワイ楽しめるのが醍醐味だけに、そうしてゲーム好きが集まるシチュエーションがあるかが、本作を購入する上で大きなポイントと言える。

 1人で遊ぶ際には、ストーリーはもちろんとして、Wi-Fiでのオンラインプレイも魅力的に映るだろう。最大8人でプレイで、ゲームルールやマップも豊富に用意されている。EXPシステムによる装備やゲームルールをアンロックしていく要素もあるので、モチベーションにもつながるだろう。

 繰り返すが、本作はガチガチのシュータータイトルというより、ざっくりと楽しめるアクション的な魅力が強い。照準合わせのしやすさや直感的に行なえる操作など、手触りもいい。ニンテンドウ64で発売された初代と同様に、シュータータイトルの魅力を知るきっかけになるし、シューターが苦手な人でも触りやすく、友達とワイワイ盛り上がり、1人の時はオンラインで世界中のプレーヤーと対戦というように、抑えておくといろいろと活躍する1本だ。


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(2011年 7月 19日)

[Reported by 山村智美 ]