「ハースストーン 魔法学院スクロマンス」レビュー

ハースストーン 魔法学院スクロマンス

「デュアルクラス」、「魔力活性」、「予習」! 魅力的な新ギミックが満載

ジャンル:
  • デジタルカードゲーム
発売元:
  • Blizzard Entertainment
開発元:
  • Blizzard Entertainment
プラットフォーム:
  • Windows PC
価格:
基本無料(アイテム課金)
発売日:
2018年8月7日

 Blizzard Entertainmentは、PC/モバイル向けデジタルカードゲーム「ハースストーン」の新拡張パック「魔法学院スクロマンス」を8月7日に実装する。

 今回の新拡張では、135枚の新カードが登場する。その中には、今回からの初要素となる、2つのクラスからインスパイアされた「デュアルクラス」カードが40枚入っている。「ハンター/デーモンハンター」や「ウォリアー/ローグ」などのように、2つのクラスに共通するもので、どちらのクラスでも同じカードを使うことができる。

 新たなキーワードとして追加されるのは「魔法活性」。呪文を使った時に1回限りで強力な効果を発動する。また、新登場の呪文系統「予習」カードは、使用するとすぐにカードを発見できる上、予習したタイプのカードを次に使用する際に、マナコストを減らしてくれる効果がある。

【「魔法学院スクロマンス」シネマティックトレーラー | 告知ビデオ】

 今回、7月31日から8月1日に開催されたオンラインイベント「ハースストーン:Theorycrafting Summit(セオリークラフト)」に参加する機会を得た。イベントでは、新拡張パックのカードが、既にすべて揃った状態で、実際に新カードを使って対戦することができた。

 今回の新拡張は「魔法学院」という名前のとおり「魔法」、つまり呪文カードが活躍しそうな期待があった。事前発表されたカードの中でも、ローグの1マナエピックカード「秘密の通路」や、ドルイドの1マナコモンカード「自然学の予習」など、低マナかつ、活躍してくれそうな呪文カードが多く、それがどのようにデッキで回ってくれるのかを、1日も早く試したくてウズウズしていた。

 そのため、今回のイベント参加についても2つ返事で引き受けた。ちなみに筆者のランクは、やっとゴールデンに上がれるかどうか。予想外の嬉しいハプニングも起きたイベントの様子を、対戦で気になったカードの情報も添えつつ紹介したい。

新拡張パック「魔法学院スクロマンス」

 まず、新拡張パック「魔法学院スクロマンス」の新要素と、カードについて紹介したい。

2つのクラスにインスパイアされた「デュアルクラス」

 今回、2つのクラスにインスパイアされたユニークなメカニクスの「デュアルクラス」カードが初登場している。「デュアルクラス」カードは、「ドルイド/ハンター」や「ウォリアー/ローグ」など、10種類の組み合わせがある。それぞれのクラスの持つ特徴が両方含まれており、どちらのクラスのデッキにも使用可能だ。また、それぞれのデュアルクラスのペアには、共通レジェンドミニオンが1種類含まれている。

【組み合わせ】
・ドルイド/ハンター
・ハンター/デーモンハンター
・デーモンハンター/ウォーロック
・ウォーロック/プリースト
・プリースト/パラディン
・パラディン/ウォリアー
・ウォリアー/ローグ
・ローグ/メイジ
・メイジ/シャーマン
・シャーマン/ドルイド

【エースハンター・クリーン】
デーモンハンター/ハンターのミニオンカード
【ドクター・クラスティノフ】
ローグ/ウォリアーの急襲ミニオンカード
【ロード・バロフ】
パラディン/ウォリアーのミニオンカード

新たな呪文系統「予習」

 「予習」系呪文を使用すると、特定の種類(呪文や悪魔など)のカードを発見でき、さらに予習した種類のカードを次に使用する際のマナコストを減らしてくれる。

【自然学の予習】
ドルイドの1マナカード。「呪文を1つ発見する。自分が次に使用する呪文のコストが(1)減る。」
【根源学の予習】
メイジ/シャーマンの1マナカード。「呪文ダメージを持つ ミニオンを1体発見する。自分が次に使用する呪文ダメージを持つミニオンのコストが(1)減る。」
【悪魔学の予習】
ウォーロックの1マナカード。「悪魔を1体発見する。自分が次に使用する悪魔のコストが(1)減る。」
ハンターの1マナカード「歴死学の予習」を使用したところ。「断末魔ミニオンを1体発見する。自分が次に使用する断末魔ミニオンのコストが(1)減る。」ので、3体のうち「ヘンチ・クランの騎豚」を選択し、選択後、1マナになっている(一番右)

新たなキーワード「魔法活性」

 新キーワード「魔法活性」を持つミニオンおよび武器カードは、呪文を使った時に、1回限りの強力な効果を発動させる。自陣の盤面に並んだミニオン達が、カードを生成したり敵を破壊したりする。

 例えば、ドルイド/シャーマンのデュエルカード「自然の語り手ギドラ」の場合、急襲、疾風で、「魔法活性」の効果があり、「使われた呪文のコストに等しい攻撃力と体力を獲得する。」なので、このカードを盤面に出して、ドルイドの7マナ呪文カード「洪水」を使用すれば、1/4のスタッツが、8/11というとんでもなく大きなスタッツを持ったミニオンに変身することになる。使い方次第でかなり大きな効果を得られるため、今後活躍してくれそうだ。

ウォーロックとデーモンハンターのシナジーカードも!

 ウォーロックとデーモンハンターのみに入っているシナジーカード「魂の欠片」も追加されている。「魂の欠片」は、特定のカードから生成されるカードとなっており、0マナで「自分のヒーローの体力を2回復する。」効果がある。

 例えば、デーモンハンター/ウォーロックの1マナ悪魔カード「霊魂の獄吏」は、「『魂の欠片』2枚を自分のデッキに混ぜる。」という雄叫びを持つ。また「魂の欠片」を使って効果を発揮するカードも存在する。デーモンハンターの5マナミニオンカード「魂石細工師」は、「自分のデッキの『魂の欠片』を1つ破壊し、このターンの間自分のヒーローに攻撃力+5を付与する。」という雄叫びを持つため、あらかじめデッキに「魂の欠片」を入れておけば、それを使って、ヒーローの攻撃力を+5にすることができる。

1ターン目に「霊魂の獄吏」で、「魂の欠片」を2枚デッキに入れておく
5ターン目に、「魂石細工師」を盤面におき、デッキに入れておいた「魂の欠片」を使ってヒーローの攻撃力を+5にできた

レジェンドカードを紹介

【クラス別】
最優秀生徒ステリーナ/デーモンハンター
森番オム/ドルイド
スレイト先生/ハンター
決闘修士モザキ/メイジ
終身教授テュラリオン/パラディン
精神与奪者イルシア/プリースト
潜入者リリアン/ローグ
ファイアハート先生/シャーマン
大魔女ウィロー/ウォーロック
ラトルゴア/ウォリアー
ヴェクタス/中立
ケルスザード校長/中立
智慧の宝珠/中立
伝承守護者ポルケルト/中立
万鍵支配者アラバスター/中立
【デュアルクラス】
社会心霊学者マリシア/デーモンハンター、ウォーロック
エースハンター・クリーン/デーモンハンター、ハンター
自然の語り手ギドラ/ドルイド、シャーマン
シャンドー・ワイルドクロー/ドルイド、ハンター
ジャンディス・バロフ/メイジ、ローグ
ラス・フロストウィスパー/メイジ、シャーマン
ロード・バロフ/パラディン、ウォリアー
大修道院長アルーラ/パラディン、プリースト
冷血なる教師ギャンドリング/プリースト、ウォーロック
ドクター・クラスティノフ/ ローグ、ウォリアー

注目デッキは「武器ローグ」!

 今回、特におもしろかったのは武器ローグ。新拡張パックで追加されたローグの3マナの武器カード「自己研鑽の剣」は、「自分のヒーローが攻撃した後攻撃力+1を獲得する。」という効果があるため、攻撃するたび、攻撃力が1ずつ増えていく。武器破壊カードで、武器をはがされたりしなければ、合計4回攻撃ができるだけでなく、1回目は攻撃力「1」、2回目は「2」と、段々攻撃力が強くなっていく。

 また、今回ローグには武器カードをレベルアップするカードも追加されている。3マナのミニオンカード「ヴァルペラの毒刃研究者」は、「自分の武器は 攻撃力+2を得る。」効果があるため、「自己研鑽の剣」と一緒に使用すれば、かなり大きな攻撃力を得ることができる。さらに、ローグの1マナ呪文カード「致死毒」を重ねれば、より大きな攻撃をすることができる。今回、オンラインイベントという限られた時間での対戦だったが、その中で一番楽しめて、少ない勝利のうちの、貴重な1勝を与えてくれたデッキだった。

 さらに、イベント終了後に分かったことだが、その1戦はなんと、某有名選手との対戦だった。今回のイベントでは、参加者のアカウント名がイベント用のものとなっていて、何気なく見ていた、某有名選手がゲストで参加されていた配信中に、筆者のアカウントが映っていたのだ。こんな有名選手と対戦できてしまうのも、オンラインゲームならではの嬉しいハプニングだろう。

マリガンは、「自己研鑽の剣」を含め武器2つと「致死毒」、そして注目カードの「自己研鑽の剣」。しかも、後攻なので、コインがつくため、コンボカードを持つローグには絶好のラインナップ
3ターン目に手札に来た「昏倒」が、後に勝利の鍵となる
2ターン目、コインを切って、コンボの3マナ武器カード「鉤付きシミター」を出し、コンボの効果で「攻撃力+2」がつき、攻撃力が4になった。次の3ターン目に「自己研鑽の剣」を盤面に置いたことで、さらに、攻撃力が6になる
4ターン目に今回新しく追加された、ローグ/ウォリアーのデュエルカード4マナの「スティールダンサー」を置く。(左)「自分の武器の攻撃力に等しいコストのランダムなミニオンを1体召喚する。」という雄叫びがあるため、この時の攻撃力「4」コストのミニオン、基本の中立ミニオン「チルウィンドのイェティ」が登場した。スタッツ4/5なのでかなりおいしい展開になった
6ターン目。「自己研鑽の剣」をセットし、「致死毒」を使って攻撃力が3に
向かえた7ターン目。ここで、今回ウォリアーの注目カードともいえる7マナの呪文カード「学位授与式」を切られた。「自分のデッキからミニオンを1体召喚する。それに挑発と聖なる盾を付与する。」という効果で、9マナのレジェンドミニオンカード「ラトルゴア」に挑発と聖なる盾がつけられてしまう
しかし、3ターン目に手札に来た「昏倒」で、そのカードを相手の手札に戻すことができ、なんとかしのぐ
8ターン目に「乱闘」で盤面をクリアされるも
なんとか勝利となった。まさに「昏倒」1枚に助けられた対戦だった

バンドルカードパック販売中! ログインするだけで中立ミニオン「転校生」2枚がもらえる

 「魔法学院スクロマンス」のバンドルパック2種類が発売されている。「魔法学院スクロマンス」バンドルには、「魔法学院スクロマンス」カードパック55個、カード裏面デザイン「ケルスザード」、そして「魔法学院スクロマンス」のランダムなゴールデンレジェンド1枚が含まれてる。価格は6,100円(税込)。

 「メガ・バンドル」には、「魔法学院スクロマンス」カードパック80個と、初登場のゴールデン「魔法学院スクロマンス」カードパック5個が入っているほか、ランダムなゴールデン「魔法学院スクロマンス」レジェンドカード1枚、メイジヒーロー「ケルスザード」とカード裏面デザイン、酒場パス、闘技場チケット4枚がオマケに付いてくる。価格は10,000円(税込)。

「魔法学院スクロマンス」先行購入バンドル
「魔法学院スクロマンス」メガ・バンドル

 17.6パッチが配信されたのに合わせて、全てのプレーヤーがログインするだけで、エピックの中立ミニオン「転校生」2枚が無料でもらえる。1つのアカウントにつき2枚のみとなる。「転校生」は、合計25種類もの効果を持つカードで、対戦時のゲーム盤に合わせて、どの効果を使えるかが変化する。入手してすぐにデッキに入れることができる。なお、「転校生」カードを無料で受け取るには、10月21日(日本時間)までにログインする必要がある。

 今回の新拡張は、新たにデュエルカードが追加され、2つのクラスのデッキで、同じカードを使用できるようになったため、今まで以上に、バラエティ豊かなデッキが登場してきそうだ。例えば、「ドルイド/ハンター」のレジェンドカード3マナ3/3の「シャンドー・ワイルドクロー」は、「自分のデッキの獣全てに+1/+1を付与する。または、味方の獣1タイのコピーに変身する。」という選択カードで、ハンターのデッキで使用する場合、今まで選択カードがなかったハンターのデッキの幅が広がるだろう。一方、このカードをドルイドのデッキで使用する際には、3マナなので、序盤まだミニオンが並んでいない時には、獣ミニオンを育てておけるし、後半、攻撃力が欲しい時に、大型ミニオンをコピーして使うこともできる。

 「魔法活性」のカードであれば、「ドルイド、シャーマン」のデュエルカードで3マナ1/4の「自然の語り手ギドラ」のように、呪文を使うだけで「使われた呪文のコストに等しい攻撃力と体力を獲得する」といった大きな効果を持っているほか、無料で配布される「転校生」は、対戦時のゲーム盤に合わせて、どの効果を使えるかが変化するというような、今までにないおもしろいカードが豊富に入っている。そのカードを使い、早くデッキを試してみたくて8月7日になるのが待ち遠しくてたまらない。

 これから「ハースストーン」を始めようという人も、お休みしていてやってみようかなという復帰組の人も、是非、1度遊んでみてほしい。