「BOSSGARD(ボスガルド)」レビュー

ボスガルド

昨日の悪役は今日の主役!? チームワークの達成感やボスプレイの爽快感が楽しい非対称バトル、ここに開幕!!

ジャンル:
  • 非対称マルチプレイヤー・ボス・バトル
発売元:
  • DMM GAMES
開発元:
  • Sand Sailor Studio
プラットフォーム:
  • PS4
  • Nintendo Switch
  • Windows PC
価格:
2,200円 (税別)
発売日:
2020年7月2日

 DMM GAMESは、プレイステーション 4/Nintendo Switch/PC用非対称マルチプレーヤー・ボス・バトル「BOSSGARD(ボスガルド)」の日本語版を7月2日に発売する。なお、PC版はDMM GAMES PCゲームフロアでの専売となる。

 本作は、1人のプレーヤーが孤独ながらも強大なパワーを誇る「ボス」、残りのプレーヤーが単体の強さでは劣る「ヴァイキング」チームとなって勝敗を競う、いわゆる「非対称型」の対戦ゲーム。見下ろし型のマップ上で、ヴァイキングを操作する際はボスに死闘を挑むチームワークの楽しさを、ボスとして君臨する際は強力無比なパワーで群がるヴァイキングを蹂躙する快感を堪能できる。この相反する2つのプレイ感覚を存分に味わえるのが、本作の大きな特徴だ。

ボス1体vsヴァイキング(最大)5人の非対称型対戦ゲーム「ボスガルド」

 今回のレビューでは、シンプルかつ奥深いゲームシステムをはじめ、ヴァイキング側とボス側それぞれの醍醐味、そして発売前のレビューとしては極めて異例なDMM GAMESスタッフ陣とのマルチバトルの模様をお伝えする。なお、今回はPC版にてPS4のコントローラーを用いたテストプレイを行なったため、記事内の画像に映るボタン表示はすべてPS4に準じたものとなっている。

北欧神話の世界観で繰り広げられる奇妙な戦い

 本作の対戦の流れは至ってシンプルだ。凍てつく氷の大地やマグマが煮えたぎる遺跡といったアリーナ式の平面マップを舞台に、プレーヤーは最大5人のヴァイキングチームと、唯一無二のボスキャラに分かれて戦い、互いの体力ゲージを先にゼロにしたほうが勝者となる。通常攻撃やスキル、回避もボタン一つで簡単に出すことができ、そのボタンも自由に割り当てられるので、操作は直感的でわかりやすい。ヴァイキングはキャラの頭上に個別の体力ゲージがあり、またチームで一つの体力ゲージも共有。一方、ボスの体力ゲージは2段階あるのに加え、攻撃手段が豊富で体力も回復できるなど、まさにボスキャラの風格だ。固有のアビリティやスキルを駆使して戦う点では条件は同じでも、ボス側が四面楚歌の中、傍若無人なパワーで孤高の勝利を独占できるのに対し、ヴァイキング側は協力して強敵に挑み、勝利の喜びを分かち合える。このプレイ感覚の非対称性のおかげで、どちらの側に回っても一戦一戦が印象深く、つい何度もプレイしたくなってしまう。

 ラグナロクやヴァルハラなどの用語、オーディンやロキといった神々の存在など、本作は北欧神話の影響が色濃い。だが、神話の主役とも言うべき神々は裏方に徹しており、代わりに表舞台で戦いを繰り広げるのは国際色が豊かなヴァイキングたち。そして神々に恨みを抱く巨大な食パンやラバーカップ(いわゆるトイレ詰まり解消用の器具)といった、間抜けすれすれの奇抜なボスたちだ。一見すると「バカゲーなのか?」と思ってしまうキャラデザながら、誰でも気軽に楽しめるゲーム設計、ボスごとに異なる操作性、そして何度でも遊びたくなってしまう絶妙な難易度など、プレーヤーを飽きさせない工夫も光る。風変わりな見た目とは裏腹に、本作は対戦ゲームとしての完成度が際立つ一作なのだ。

 今回のプレイでは、最初にチュートリアルに当たる「イントロ」モードで、ヴァイキング側の操作やバトルの進め方などを確認した。イントロの段階ではステージが進むごとに仲間が増え、最終的にプレーヤーを含めた5人のヴァイキングで、食パンのボス「オラフ・オブ・ブレッド」と対決。ただ、正直に言えばチュートリアルではそこまで手強さを感じることはなく、ボスの凶悪さを痛感したのは本番のマッチ対戦になってからだった。

イントロでは、近接タイプの「マグナス」と遠距離タイプの「イネス」のどちらかを選択してゲームを進行
食パンを寄ってたかって攻める光景に、ちょっと哀れな気もしていた筆者。この考えが甘かったことを後に思い知るはめに……
死亡してもボタンの長押しで簡単に復活できるが、チームの体力ゲージが減る。チームのゲージがゼロの状態で全員やられると、ヴァイキング側の敗北となる
バトル終了後に不名誉な称号を受ける筆者。「はかないカゲロウ」って辛辣~!

 イントロを終えると、いざ本番の対戦プレイへ。本作はオンラインマルチプレイのほかローカルでの対戦モードも充実しており、2~5人のヴァイキングと1人のボスの対戦だけでなく、自由に条件を変更できるカスタムゲームなどもある。初期の段階で操作可能なキャラクターは、ヴァイキング側とボス側で各4種類。近接と遠距離タイプのバランスも良く、そのままでも十分にゲームを楽しめるだろう。とはいえ、対戦後に獲得できるゴールドで解放していくと、最終的にヴァイキングは10種類、ボスは6種類のキャラクターから選べるようになる。対戦で敗北しても少額ながらゴールドは手に入るので、気になるキャラクターがいれば少しずつ増やしていこう。

CPUとのローカルプレイでも様々な対戦モードがあり、好みに応じて楽しめる
ヴァイキング側は近接と遠距離タイプで、最大5種類ずつのキャラクターが登場
CPUは未解放のキャラからもランダムに選ばれるので、バトル中に動きや性能を確認し、次に解放するキャラの参考にしよう
「カスタムゲーム」モードでは体力ゲージなども調整できるが、報酬は出ないため、普段は練習用に使うのがオススメだ

ヴァイキング同士のチームワークで強大なボスに打ち勝つ達成感!

 ざっと本作の概要を紹介したところで、ここからはいよいよ実際のプレイ内容に迫っていきたい。まずはヴァイキングとしてローカル対戦をやってみたのだが、チュートリアルとは何だったのか……というくらいにボスの攻撃が激しく、まあ勝てない勝てない。勝てなさすぎて笑えてくるほどに勝てないのだ!そもそも前述のとおり、ボスの行動はバリエーションに富んでおり、1発あたりの攻撃も重い。体感的には遠距離タイプのヴァイキングで1~2発、近接タイプでも3~5発も食らうとあっさり死亡するため、あれよあれよという間にチームの体力ゲージが削られていく。しかも、マップごとに火を吹く装置があったり、つららが落ちてきたりと、仕掛けも多彩。ヴァイキング側は、ボスとマップのギミックの双方を相手に立ち回る必要があるわけだ。最初は5人もいればこちらが有利と思っていたが、体力の回復手段がなく、終盤は残機数が減って復活が段々できなくなるため、1人、また1人と仲間が減っていく。真綿で首を締められるような、ジワジワとなぶられる恐怖とでも言おうか。CPUが全滅して筆者1人で孤軍奮闘した際の絶望感は、半端ではない。それも食パンやトイレ用具に目が生えた程度?のボスに負けるのだ。こんな屈辱があるだろうか!?

 ヴァイキングとボスの戦力差が顕著な本作において、ボス撃破の鍵となるのはチームワークだ。ヴァイキングはそれぞれに固有の「アビリティ」の他、戦闘開始前に3種類の「レイジ」スキルから1つを選んでバトルに参加できる。レイジは近接と遠距離タイプで内容が異なり、例えば近接タイプなら敵に強力な一撃を食らわせたり、攻撃を防ぐシールドを発生させたりと前線向きのスキルが揃う。一方で、遠距離タイプの場合は味方の攻撃力を上げたり、ボスに毒を与えたりと後方支援向きだ。最大5人のチームでスキルの組み合わせを考え、役割分担を決めて連携し合えば、理論的には勝率はグッと上がるだろう。ただし、ローカル対戦ではCPUとスキルの組み合わせはランダムのため、勝利までの道のりは想像以上に険しい。

筆者お気に入りのイネス。固有アビリティのサーベルタイガー召喚が囮としても有能で、遠距離から弓で攻撃しつつ、隙を見て毒を食らわせる戦法がやりやすかった
レイジスキルの「ポイズン」は攻撃範囲も広く、ダメージ+毒を与えるサポート技として使いやすい
同じ遠距離タイプの強攻撃でも、イネスは強力な弓の一撃を加えるのに対し、「ミコ」は広範囲に弓を射るなど差別化が図られている
近接タイプの「アシャ」は固有アビリティでオートタレットを設置できる。自動追尾で射撃を加えるので、ダメージソースとして優秀だ

 対戦前にヴァイキングの組み合わせを確認して、自身のスキルや使用キャラを決めて勝利を狙うのも面白い。ただ、何度も対戦を繰り広げるうちに、ランダム性こそが面白さの本質では?とも思うようになった。CPUとスキルの組み合わせによっては、ボスの一撃であっという間にチームが半壊、ということもある。かと思えば、あと一歩というところまでボスを追い詰めることもあるので、このランダム性のおかげで「もう1回!次こそは!!」と何度でも挑戦し、奇跡的な勝利の可能性に賭けたくなるのだ。CPUの難易度は低・中・高の3段階あるが、デフォルトの「中」でも慣れないうちは全く歯が立たない。まずはヴァイキング側としてのプレイに慣れ、ボス撃破を目指してみよう。

チキンの筆者は味方がシールドで敵の攻撃を防ぐ間、遠距離からチクチク攻撃を加えるスタイルでがんばる!
ボスは体力ゲージの1本目が尽きると第2形態に変身する。ここからが本番!と言っても過言ではない

 なお、先ほども少し触れたとおり、本作では報酬のゴールドで使用キャラやアイテムを解放できる。アイテムはキャラの見た目を変えるだけで、ステータスには影響しない。各キャラもそこまで極端な性能差はないので、バトルの勝敗はあくまでCPUやスキルの組み合わせといったランダム性と、各プレーヤーの純粋な腕前の2つで決まる。チームプレイでは自分がいくら上手でも負ける時は負けるし、逆に自分が下手でも仲間との連携次第で勝利につながることもある。チームで強敵に立ち向かうからこそ得られる達成感や白熱したバトルの緊張感は、ヴァイキングとしてのプレイならではだろう。ボスのデザインに目が行きがちな本作だが、実はヴァイキングたちもなかなか突っ込みどころ満載で面白い。ぜひ、お気に入りのキャラを見つけて、仲間と共に勝利をつかもう!

ボスに止めを刺したプレーヤーは戦闘後に紹介される
報酬はゴールドの他に、まれにアイテムが手に入ることもある
武器や鎧などのアイテムはステータスに影響しないため、好みで選べばOKだ
日本のヴァイキングなのに武器は中国で手に入れたクロスボウ……そこは刀じゃないんかい!

個性豊かなボスの凶悪な能力で、ヴァイキングを叩き潰す快感!

 ヴァイキングを操作した際は、敗北を重ねながらも他者と協力して難敵に挑む面白さがあった。一方、立場を変えてボス側に回れば、今度は逆に圧倒的なパワーで弱者を蹂躙する背徳的な快感を味わえる。これまで自分を苦しめてきたボスになった途端、目の前の景色が180度変わるのだ!それが非対称型の対戦ゲームの特徴でもあるわけだが、本作ではこの立場の差、非対称性が激しく、まるで違うゲームをしているかのようなプレイ感覚を楽しめる。

 例えば、ヴァイキングを苦しめるマップのギミックは、ボス側から見ればボタンひとつで起動できる攻撃スキルのひとつだ。苦労して減らした体力を回復された時の悔しい思いも、ボスからすれば安心感でしかない。体力ゲージが2本ある点も同様だ。必死に攻撃してくるヴァイキングたちをゲージが1本目のうちに全滅させた日には、「おやおや。まだ私は本気を出していませんが?」的な余裕を見せつけられる。これが、この強者感が、プレイしていると想像以上に気持ちいい!1人、また1人と倒れていく光景は、ヴァイキングには恐怖でも、ボスにとっては約束された勝利への安堵だ。そう、マップを支配しているのは、この私(ボス)なのだ!

筆者お気に入りのボス、サイコロの「バー・ブート」。本作のボスは神々に雑に扱われた物が原型であることが多く、設定がジワジワくる
各ボスの持つスキルは独特なので、戦闘開始前にひと通り確かめておこう
バー・ブートの遠距離攻撃は範囲が広く、当たればヴァイキングを引き寄せるので、近接攻撃で更なる追撃も可能だ
大量のサイコロをばら撒き、その数だけ回復できるなど、使い勝手がいい印象

 一方で、ボスたちにも弱点がないわけではない。基本的にどいつもこいつも図体がデカいせいか回避ボタンがなく、回復手段もヴァイキングから妨害されれば無駄に終わる。一部のボスに至っては移動ができないなど、操作性のクセがものすごい。ただ、このボスの個性とも言える操作性の差がけっこう楽しく、ゲームプレイに幅を持たせているのだ。そもそも強者たるボスが、弱者の攻撃をいちいち避けてやる必要があるか?圧倒的なパワーや手数で、やられる前にやればいい!!そんな開発者の声が耳元で聞こえそうなくらい、ボスプレイはシンプルで奥深い。

食パン野郎は任意の地点にパンくず爆弾を投げつけ、ザコ敵を召喚するなど、手数の多さで押し切るタイプ。自由に移動ができないので、実は玄人向けだ
ラバーカップの「プランジ・D」はジャンプして敵を押し潰す、ハエを飛ばして回復するなど、独特な哀愁(臭)が漂う
「ザ・ジャックハンマー」は必殺技で敵を轢き潰せるなど、機動性に長け、かなり操作が気持ちいい!

 ローカルプレイの序盤ではヴァイキングとして苦戦しつつも、ボスに回ってからは連戦連勝を挙げ、報酬のゴールドを貯め続けた筆者。顔付きもワルになってきた頃、まずはボスの「フォートレス」をアンロックしてみた。自身は動けない代わりに、壁を作ってヴァイキングの攻撃や移動を妨害し、光線やミサイルで攻撃するなど、隙のない技構成が魅力だ。上級者の手にかかれば、恐ろしいボスとなるのは間違いないだろう。かく言う筆者はうまく壁を作れず、タコ殴りの憂き目に遭い、最初の対戦で敗北を喫した……。まあ、そんな日もある!

 前述のとおり、ボスは操作性のクセが強いし、多勢に無勢なので負ける時は負ける。が、基本的な性能はヴァイキングより格段に高く、ボタンを連打するだけでも敵をバッタバッタ倒せるので、初心者でも気持ちよく対戦を楽しめるだろう。何より、この背徳的なまでの爽快感は、ボスプレイでしか味わえない。特に制限はないが、この快感を最大限に堪能いただくためにも、筆者としては先にヴァイキング側で遊ぶことをお勧めしたい。立場が変われば、見える景色はここまで変わるのか!と感じられるはずだ。

本作では珍しい、如何にもボスっぽいデザインのフォートレス。この悪者感を見よ
宇宙船のマップと組み合わせると、砦というより、もはやエイリアン
ボスタロウ(筆者)の通った後は、ぺんぺん草も生えぬわ!

対人マルチプレイで更に盛り上がるボスバトル!!

 記事の冒頭でも触れたとおり、特別に発売前にDMM GAMESのスタッフと対人マルチプレイも体験。当日はスタッフさんたちと筆者、そして担当編集を交え、ワイワイガヤガヤと騒ぎながらも、際どい名勝負を繰り広げた。やったことはないが、昭和の接待ゴルフとかたぶんこんな感じだろう。(えっ、違う?)

 プレーヤーが操作に慣れているかどうかで、ボス側は動きがだいぶ異なるし、互いにあと1発で勝敗が決まるような接戦にもつれ込むことも、対人プレイならではだ。示し合わせてもいないのに、ヴァイキング側のレイジスキルがポイズンだらけ、みたいな珍事があったり、最後の1人になったヴァイキングがボスの攻撃を避けまくる超絶技巧を周りで応援したり……楽しい時間はあっという間に過ぎていった。始まる前はめちゃくちゃ緊張したが、正直マルチプレイがこんなに楽しいとは! ローカルプレイの出来も秀逸な本作ではあるが、読者の皆様にはぜひ対人戦でのドキドキ、ハラハラ感も味わってみてほしい。

ホストが4桁の数字を設定して参加者に共有すれば、友人や知人だけで遊ぶことも可能
下手だと嘯きつつ、クセのある食パンでヴァイキングを圧倒する担当編集。きっと試験当日に勉強していないと言うタイプだろう
ローカルでは無敗を誇ったサイコロも、対人マルチプレイではこのザマ!
あまり活躍できず、最後のほうで一度だけ止めを刺すことができた筆者。まさか、接待されていたのは私のほう……?

 なお、本作ではヴァイキングチームとボスに分かれて戦うモードの他にも、ヴァイキング同士でのチーム戦や個人戦、「サバイバル」モードといった遊び方も用意されており、ソロプレイも充実していることは改めてお伝えしたい。また、ゲーム自体にチャット機能がない分、マルチプレイのハードルは同ジャンルの他のゲームと比べても相対的に低いと言えるだろう。ただし、ご注意を。性能で勝るボス側の操作は確かに病み付きになるが、負けた日には悔しさも百倍!さあ、諸君。今日も終わらないラグナロクを楽しもう。

ヴァイキング同士のチーム戦では、先に10キルを達成したチームが勝者となる
サバイバルモードでは、3人称視点でマップ内のザコ敵や中ボスと戦いながら、最終的にボス討伐を目指すというRPGっぽい遊びも楽しめる
日本よ、これが世界の食パンだ!