「eBASEBALLパワフルプロ野球2020」レビュー

eBASEBALLパワフルプロ野球2020

シリーズ最大級のボリュームで野球を様々な角度から楽しめる!

ジャンル:
  • 野球・育成
発売元:
  • コナミデジタルエンタテインメント
開発元:
  • コナミデジタルエンタテインメント
プラットフォーム:
  • PS4
  • Nintendo Switch
価格:
7,980円(税別、PS4)
 
6,980円(税別、Switch)
 
発売日:
2020年7月9日

 7月9日に発売予定のコナミデジタルエンタテインメントによる人気野球ゲームシリーズ最新作「eBASEBALLパワフルプロ野球2020(以下、パワプロ2020)」。プレイステーション 4とNintendo Switchでリリースされる本作は、新モードの登場や、古参キャラクターへの声優の起用など注目ポイントが多く見受けられる。

 そもそも「実況パワフルプロ野球(以下、パワプロ)」シリーズは1994年のリリース以来、25年以上の歴史を誇っており、実際のチームや選手のデータを収録し、デフォルメされたキャラクターながら、リアルな野球を楽しむことができる。シリーズを通して、基本となる野球をプレイすることは勿論、オリジナルの選手を育成したり、チームを運営したりと様々な角度から野球の魅力を表現している野球ゲームの代表選手的な存在だ。

 現在では日本野球機構(NPB)との共催で、プロ野球eスポーツリーグ「eBASEBALL プロリーグ」を開催している。こちらは現実のプロ野球チームの代表としてプロプレーヤーが試合をすることや、プロ野球のシーズン終了後からキャンプ開始までの期間(所謂ストーブリーグ)に行なわれることから「もう一つのプロ野球」 としても注目されており、更なる拡大を見せつつある。

 今回はそんな「パワプロ」シリーズの中でも最大級のボリュームを謳い、残念ながら延期になってしまったオリンピックを体験できる新モードまでも搭載した「eBASEBALLパワフルプロ野球2020」の先行プレイの機会を得ることができた。早速、気になるサクセスや新モードなどを中心に紹介していこうと思う。

【「eBASEBALLパワフルプロ野球2020」プロモーションムービー】

新モード「東京2020オリンピック」で一足先に世界戦を

 まず、全ての基本となる野球の試合をプレイしてみると、前作(パワプロ2018)に比べて「ミート打ち」が強くなり、ヒット性の当たりが出やすいと感じた。本作は今まで以上にホームラン狙いの強振と、単打狙いのミート打ちを使い分けることになるだろう。他にも新たにシンキングツーシームとパワーカーブといった変化球が実装されたり、カーブ系の変化球が打った時にやや飛ばなくなったりと、前作からプレイしていた人なら数試合触るだけでわかる変更点もしっかりと感じられた。

 また、試合中の演出も「パワプロ」の魅力。デフォルメされていながらも、忠実に選手のフォームを再現しているほか、バットの真芯でボールを捉えたときなどには派手な演出が入る。さらに試合中に表示される全選手の紹介文が一新されるなど、演出や細かい面でも追加・ブラッシュアップが行なわれている。

 観戦モードやリプレイ機能も搭載されており、試合の内容と共に演出も存分に楽しむことが可能。また、リプレイ・観戦機能で自分や他のプレーヤーの動きを振り返り、次の自分のプレイへの参考にすることもできる。

長打狙いの強振、単打狙いのミートの使い分けがより重要になった
実在の選手は2020年度プロ野球の開幕予想選手データを搭載。今回はシリーズ初となる現役選手に通常の特殊能力より強力で、OB選手などにしかついていなかった「超特殊能力」がついた。現在は中村選手の「恐怖の満塁男(満塁時能力大アップ)」だけだが、シーズン中も選手能力をアップデートする予定なので今後新たに獲得する選手がでてくるか期待がかかる。

 本作では新モードとして「東京2020オリンピック」が実装された。このモードでは開催国の日本だけでなく、オリンピックの出場権を得ている韓国やメキシコといった10カ国を収録。日本代表となって実際のオリンピックと同じ形式の試合をプレイし、金メダルの獲得を目指す。代表チーム全体を操作する「チームチャレンジ」だけでなく、それぞれのプレイヤーが日本代表選手1人を担当する「選手チャレンジ」も存在し、最大4人での複数人プレイも可能だ。オリンピックが待ち遠しい今だからこそプレイしたくなるモードではないだろうか。

 他にも新モード「大会」では、最大8チームを参加させて競わせることができる。このモードではリーグ形式やトーナメントに加え、東京2020オリンピック形式でもプレイ可能となっている。

日本代表として金メダルの獲得を目指す「東京2020オリンピック」

 またNintendo Switchでは今までプレイできなかったモードもプレイ可能に。過去作に登場したサクセスチームと戦うことのできる「パワフェス」、プロ野球のその日に実際に行われた試合を追体験できる「LIVEシナリオ」、高校野球の監督を体験できる「栄冠ナイン」が初めてプレイ可能になった。一方PS4版では最大4人までの協力プレイが初めて実装。また、新モードとして全国のユーザーと、各モードを一定期間にクリアした回数と評価値の合計で競い合うオンラインイベント、「パワアリーナ」も追加された。

ゲームモードは実に多彩。高校野球の監督となって甲子園優勝を目指す「栄冠ナイン」や、現実のプロ野球の試合を追体験できる「LIVEシナリオ」など、人気モードも実装

矢部くんにも声優が! サクセスは大学編

 「パワプロ」といえばオリジナル選手をつくることができる「サクセス」は外せない。今作のサクセスは大学野球を舞台に選手を育成することができ、完全新規ストーリー「パワフル農業大学編」、「提供国際大学編」、「エジプト大学編」の3本のストーリーが収録されている。それぞれ特色豊かなシナリオでオリジナル選手を育成することが可能だ。特に印象的なのが「エジプト大学編」。この大学では野球の練習ではなくピラミッドを建造することで経験値を獲得し、ピラミッドの建設が進むほど魔法の恩恵が受けられる......という思わず「野球とは?」とツッコミを入れたくなるストーリー。当然のように登場する新規キャラクターも個性豊かだ。また、大学野球編ということもあり、全編通して過去にサクセスの舞台となった大学野球チームが敵として出てくることもある。

 前作とは異なる点として「センス」のシステムがなくなり好きな時に能力を挙げられるようになったことや、「デート」システムが復活し、女の子と自由に遊びに行けるようになったことが挙げられる。また、細かい調整ではあるが、テキストスキップ機能がオン・オフ式に変わり、テキストを一気に飛ばすことができるようになった。何度も周回する「サクセス」では非常に助かる。どの大学もそれぞれに癖があるので、何度もプレイしながら攻略・効率化していく楽しみが味わえそうだ。

 特に今回のシナリオは、どのシナリオもシナリオ・育成システム共に個性的なので攻略しがいがある。強い選手を作るにはシナリオに対する知識や野球の腕が問われるだけでなく、運も絡んでくるが強力な選手ができれば他モードでも活躍させることができるので頑張りたいところだ。

 サクセスで作ったオリジナル選手はアレンジチームの一員として活躍させることができるほか、プロ野球選手としての人生を体験できる「マイライフ」などでも使用できる。また、前作同様作った選手やアレンジチームはオンラインで公開することも可能。時間をかけて”オールサクセス選手のチーム”を作り上げるのも、シリーズを通した楽しみ方のひとつだ。

「パワフル農業大学編」では、練習をしながら畑で種を育てることができる。練習中に作物を収穫して体力を回復したり、経験値を得ることができる
「提供国際大学編」ではスポンサーを獲得すべく、テストを受ける。スポンサーが付けば機材が手に入り練習の効率が上昇する
「エジプト大学編」では野球の練習ではなくピラミッドの建設を行なうという変則的なシナリオ。ピラミッドの建設が高まるほど魔法の恩恵を受けれられ、強い選手を作りやすくなる
手軽にオリジナル選手を育成できるサクサクセスも実装されている

 また、本作では、「パワプロ」シリーズではお馴染みのキャラクターにもボイスが搭載された。シリーズ通しての相棒的な存在である「矢部くん」こと矢部明雄を含む定番キャラがゲーム中に喋ってくれる。

矢部明雄役に大谷育江さん、ダイジョーブ博士役に堀内賢雄さんなど、豪華声優が担当している

 さらに、歴代サクセスキャラクターが登場する「パワフェス」は、空中スタジアムを舞台に、シリーズ歴代最多キャラが登場。トーナメントを勝ち上がりながら、オリジナル選手の育成に加え、サクセスキャラクター達が集う最強チームの結成を目指せる。

パワフェスには歴代最多キャラが参戦。難易度は少し高いが、何度も挑戦し甲斐があるゲームモードだ

 筆者は小学生のころから「パワプロ」シリーズで遊んでいるが、本作も充分に楽しめる内容になっている。ミートうちの強化のような野球の根幹に関わる部分だけでなく、サクセスのスキップ機能など、細かい点にも調整が行き届いているのが好印象だった。現実でもプロ野球がようやく開幕できたということもあり「LIVEシナリオ」なども楽しみだ。アップデートも頻繁に行なってくれると期待している。

 純粋に野球の試合をプレイするのは勿論、「ペナント」や「栄冠ナイン」でチームを運営したり、サクセスで選手を育成できたりと、野球の魅力を存分に味わえるモードが盛りだくさん。さらに既存のモードにも、ここでは紹介しきれなかった細かい調整がいくつも入っている。読者の皆さんも一緒に、2020年もパワプロで「やきゅうしようよ!」