レビュー
「アサシン クリード シャドウズ」レビュー
コンテンツ量十分! 戦闘、風景、ストーリーのどれも楽しめるオープンワールド作品
2025年3月19日 02:00
- 【アサシン クリード シャドウズ】
- 2025年3月20日 発売
- 価格:8,328円
ユービーアイソフトは、プレイステーション 5/Xbox Series X|S/PC用ステルスアクション「アサシン クリード シャドウズ」を3月20日に発売する。本作は日本の安土桃山時代にスポットを当てた「アサシン クリード」シリーズの最新作で、伊賀のくノ一・藤林奈緒江と、織田信長に仕えたとされる異国の黒人男性・弥助の二人が織りなす物語が展開されていく。
今回はゲームの発売前にユービーアイソフトから本作を提供していただき、一足早くプレイすることができた。過去にお届けした先行プレイの内容と一部重複している箇所もあるかもしれないが、本稿では改めて製品版としての特徴や冒頭のストーリー展開などを振り返りつつ、ゲームをプレイして得られた所感をお届けしていく。
戦う理由も立場も異なる二人の道が交錯していく物語
まず始めに紹介しておくと、「アサシン クリード」シリーズのナンバリング作品には、近未来SF要素を散りばめた現代編のパートと、過去のアサシンの記憶を追体験していく過去編パートの2つで構成されていたことがあった。プレーヤーは現代編でアブスターゴ社の開発したマシン「アニムス」を利用することで、自身のDNAから祖先の記憶を辿っていくという流れである。
本作ではそうした現代編にまつわるところが部分的なエッセンスとして散りばめられている程度で、過去作の現代編を知らなくても特に問題はない。なんだか凄そうなアニムスのテクノロジーにより、現代から過去の先祖の記憶を追体験していると思われる“誰か”として、歴史に迫っていくのだ。
こうした現代編を絡める流れそのものはシリーズ第1作目から続くものだが、実際のところ現代とは名ばかりのものだ。というのも「アサシン クリード」の世界は、かつて高度な文明が発達したものの、災厄によりそれが失われてから築かれた人類史という前提がある。
そのせいなのか“現代”といっても「アサシン クリード」で描写される現代は、我々現実のプレーヤーが住まう世界より、テクノロジーが発達した近未来の印象を与えることが多い。第1作目「アサシン クリード」から、そんな過去文明の大いなる遺産を巡る戦いが、歴史の裏で繰り広げられ続けており、「アサシン クリード シャドウズ」においても、物語のコアになるのはそうしたところになり得ると考えて良い。
それゆえ我々の生きる世界の過去を追うものではなく、オーバーテクノロジーがチラつくパラレルな“SF現代”の過去を追っている......と、考えるのがゲームそのものの見方としては適切だ。
2人で打倒百鬼衆を目指す
さて、前置きはこの辺りに留めて本編冒頭の展開を見てみよう。ゲームは冒頭でも触れたように奈緒江と弥助の視点から展開されていく。信長と弥助の出会いから始まり、信長軍が行った伊賀への攻撃、何か大きな使命を帯びている伊賀忍者の事情と、面を付けた秘密結社の手により父を失う奈緒江。流れるようにして物語冒頭の場面は移り行く。
奈緒江は幼い頃より父・藤林正保から忍びとしての手ほどきを受けている若者だ。冒頭では窮地に陥った伊賀の里にて、父に代わり山の古墳に隠された“とある箱”を守るよう言い渡される。しかし、いざ古墳についてみれば、忍びとしてまだ未熟さが残る奈緒江は、敵を察知できずに背後からの襲撃を受け、大事な箱を奪われてしまう。
意識を取り戻した奈緒江は自身に課せられた使命を全うしようと、一時的に箱を奪い返すことに成功するものの、そこで待ち構えていた「百鬼衆」により深傷を負い、今度は目の前で父を殺害されてしまうのであった。
瀕死の奈緒江は槇尾寺で目を覚まし、僧侶の宗元と少年・順次郎の手当てを受けて、次第に回復していく。二人との時間を過ごしながらリハビリを重ねていき、忍びとしての力を取り戻していった奈緒江。父を知る百姓の女・とみの力を借りて隠れ家を築き、百鬼衆への仇討ちを計画する。
ストーリーのネタバレになるのでこれ以上は詳細を割愛するが、やがて因果の巡り合わせか、立場的に敵対関係にあたる奈緒江と弥助の道は重なり合い、共に打倒百鬼衆を目指すこととなる。奈緒江は父の復讐と箱を守る使命を果たすため、弥助は仕える主のために。
新たなアサシン「藤林奈緒江」が魅力的
前項の紹介からでも察せられるように、シリーズの主人公らしさを内包しているのは奈緒江で相違ない。それでは弥助はどうなのか。弥助は異国の出自という元々の身分から、武士の生き方を少しずつ学んでいくような見せ方がされている。織田信長や明智光秀、羽柴秀吉らの関係性を近くから描写するという役割も担っていた。日本人にとって馴染み深い武将たちでも、海外のプレーヤーにとってはイメージが付かないこともあるだろう。そうした観点では弥助を経由することで、信長勢力の人物たちの表層を捉えることができる、という効果もあるだろう。
ただ、作中で弥助が見せる"理想の武人としての性格"は、信長の寛大さや弥助が異国出身であることによって独自に形成されたもの、として描かれている。これを構築するために、物語では信長のもとで鍛錬を積み、活躍する弥助の過去が描かれる。
こうした回想録が物語に一種の爽快感をもたらしているとはいえ、少々都合が良過ぎている……と感じる部分はある。プラスに考えれば、信長と行動を共にし、奴隷から一端の武士に成長する過程があったからこそ、理性的で優しい武人にはったとも言える。そして、感情に揺れやすい奈緒江の良き相棒にもなっている。
これは奈緒江に並ぶプレイアブルキャラクターゆえ、フィクション込みで主人公格相当のドラマ性が必要だったのだろうと推察できる。一応、ゲーム開始時には「歴史フィクション作品」と明記されているし、冒頭で触れたように「アサシン クリード」の世界を前提に考えても、弥助の一騎当千ぶりはファンタジーのように楽しむのが妥当なところだ。
ゲーム的には、弥助が信長に仕えている立場を上手く利用することで、伊賀のくノ一でしかない奈緒江が、多くの協力者を味方に付けられることになる。それは、百鬼衆との戦いにおいて重要な足掛かりにもなる。
弥助も弥助でこの時代に誉れを持ち、命を賭して戦う者たちの生き方に触れ、そこから多くの知見を得たことで、ある一件からは奈緒江との協力関係に進んで前向きに。戦う理由も立場も異なる二人ではあるが、百鬼衆は二人にとって倒すべき共通の敵だ。
その大きな存在に飲まれないためにも、奈緒江と弥助が協力関係を結ぶのはストーリーテリングとして納得できるものがあったし、プレイアブルキャラクターが二人だからこそできる演出も多く見受けられ、物語の描き方に意欲を感じられる。
そして、奈緒江のキャラクター性についても評価したい。奈緒江は若さから感情を爆発させる場面が度々描写され、十分な修練を積んで高い実力を持つ一方、精神的な未熟さと幾分かの幼さを備えていて、そこが人間くさい。
異国からやって来て武士の生死観や、道理を知っていった成熟済みの弥助とは、あえて対比するかのように描かれていると思う。筋が通らず、我慢の効かないところを弥助が理性的になだめる場面があれば、弥助と相撲を観戦していたり、弥助と夜通し酒を飲み明かし、翌朝起きた場所が一人屋根の上といった、いささかだらしない部分も適度にユニーク。「忍者」だからと言ってヒロイックな暗殺者ではなく、プレーヤーが親しみを感じられる一人の女性に仕上げられている。
コンテンツは町に集中。遊びやすいが移動時は少し寂しい
「アサシン クリード シャドウズ」のゲーム進行プロセスは、オープンワールドゲームらしい自由度の高さが特徴的。広大なマップの中で息づくさまざまなNPCとの出会いを機に、クエストも枝分かれするかの如く増えていく。
百鬼衆との戦いを進めるためには、ときにこうしたNPCたちから引き受けられるクエストをこなさなければならないが、それは物語の都合上、百鬼衆の情報収集を行う過程で、奈緒江たちが交換条件的に依頼をこなしている、といった方が正しい。
また各クエストには適正レベルがあり、こうしたサブクエストによるレベル上げも攻略上必要となる。クエストの適正レベルから奈緒江らが2、3ほど下であるならそれほど問題にはならない。が、それ以上になると、どんなザコ敵の攻撃でもこちらが即死してしまう。最低限レベルのギャップを埋めなくてはまともに攻略することができないので、結果的に広々としたマップ内を駆け回ることになるのだ。
風景に関しては、舞台が日本の封建時代ということで、木々の生い茂る山が多めな印象を受ける。移動の障害も多いような印象も受けるが、一応、移動そのものの自由度は高めだ。
獣道とすら呼べないような道なき道を強引に突き進めるほか、崖の起伏に富んだ場所であれば、奈緒江に限定されるものの、従来通りのフリーランで場所を選びつつ、壁をよじ登って踏破することも可能だ。だからといって弥助が不便なわけでもなく、実は面倒でも馬で山を迂回した方がスムーズに目的地へ行けたりする(馬はいつでも呼び出せる)。
コンテンツの密度については、マップの広さに対し、その配分は町側に集中している。マップはたしかに広いが、クエスト目標だったり、依頼人NPCだったりは概ね町の方に集中している上、ファストトラベル機能、探索ポイント、商人、その他アクティビティも町の方が多い。
アクセスしやすさ、遊びやすさを考えれば、この形は親切と呼ぶべきだろう。町周辺にはサブクエストが数多く存在するので、着手できるタスク数についてはあっという間に山積みになり、寂しさを感じることはないだろう。
ただそれゆえに、アンバランスに感じることも事実だ。町から町へと馬で移動する際に興味を惹かれる要素と出会うこともあまりなく、ただ道なりに移動し続けるだけの時間が流れることがしばしば。マップの広さに恩恵を感じ難いのが実情だ。
無論、寄り道が全くないというわけではなくて、地域によっては育成に関連する供え物や神社、レアアイテムが最奥で待ち受けるアスレチック要素ありの探索ポイントが見つかる場合もある。通りすがりの浪人に戦いを吹っ掛けられることも多々あるのだが、戦うメリットが薄いので素通りしがちだった。
オープンワールドについて回る特有の課題という感じだが、ここについてはプレーヤーがマップ移動の中に何を求めているかで意見が分かれそうだ。寄り道的な遊びを求めているのか、あるいはマップ移動をしながら景色を楽しむことなのか、などといったところだろうか。本作はどちらかと言えば、後者を意識しているように思える。個人的には、馬での移動だけでもオートラン機能が付いてると嬉しいと感じた。
四季の風情を楽しめる雅な風景
本作では、ゲーム中にファストトラベルやキャラクター切り替えを行う、またはクエスト目標を達成すると、季節が変化していく。日本という舞台を取り扱う中で、四季を通じて自然が移り行く様子を見どころとしているのが伝わる。
春になれば蕾が花を咲かせて、夏には緑が生い茂る。秋は紅葉が美しく、冬は厳しい寒さと雪に見舞われる山々。四季折々の過度な優美さはフィクションとして脚色されたものにしろ、見応えのある情景なのは間違いない。ゲーム中の随所で視覚に訴えるハイトーンな色遣いは実に雅だ。
雑木林を歩いていると、昼間は木漏れ日が差し込み、夜はうっすらと漂う霞が面妖。木の葉が漂う風の強さを感じたり、横殴りの雨に降られて鬱蒼とした気分になったり、ときには草原を駆ける鹿を目撃することもある。
楽しみ方を、クエストなどのアクティビティから、こういったロケーションの変化と美しさ由来の視覚的なものに意識を向けていけば、細やかながらオープンワールドで再現された封建時代の日本に想いを馳せることができそうだ。フォトモードも完備されているので、カメラ設定をチューニングして、映えるスナップショットを狙いたくなる。
隠れる気がまったくない弥助は堂々対戦が楽しい
暗殺者が暗躍するシリーズなので、度々隠密プレイを求められるのは言うまでもない。それでも「アサシン クリード シャドウズ」で新鮮なのは、アサシンと程遠いポジションの弥助の存在感だ。
弥助は奈緒江と違ってアサシンブレード(ヒドゥンブレード)や鉤縄を装備しておらず、隠密行動もかなり取りづらい。言ってしまえば、ステルスアクションが苦手、というプレーヤーに向けての救済措置のようにすら思えてくるほど、パワータイプなキャラクター性能に仕立てられている。その戦闘は豪快の一言だ。
本作では刀、薙刀、金棒、弓、鉄砲と、5種類の武器から2つを装備して、リアルタイムに切り替えながら戦うことができるが、これらの武器種からして、弥助自身に忍ぶ気配は微塵も感じられない。
マップ内には敵が密集している城だったり拠点だったりが存在し、これらの施設で特定の条件を満たすと経験値が獲得できるようになっている。さらに探索していくと、新しい装備アイテムを入手できる場合もあって、キャラクターを強くするためには欠かせない寄り道要素になっている。
ステルスプレイが下手な筆者の場合、これらの拠点攻略にあたっては、弥助をチョイスして、堂々と正面入り口から喧嘩を売るという遊び方が楽しい。
こんな遊び方をしていると「『アサシン クリード』ってこんなゲームだったっけ?」と、思うことも少なくはなかったが、オープンワールドゲームのように攻略法に自由度のあるジャンルなら、むしろこんな遊び方ができても許されると思えてくる。
弥助ではなくあえて奈緒江を使って同じような遊び方をしても、忍ばない忍者として遊べてしまう。弥助は戦闘に特化しているので、耐久値が高めかつ複数の敵を1度に相手取っても戦えるが、奈緒江は武器を鎖鎌に持ち替えるなどしなければ結構厳しく、アクションゲームの歯応えを味わえる。
屋根を走り影に隠れる。奈緒江の忍者プレイも楽しい
ステルスプレイが苦手だとしても本作は隠れる場所が豊富なため、時間を掛ければ奈緒江の忍者プレイをちゃんと楽しむことができた。草むらに身を屈めて口笛で敵を誘導し、他の敵の視線から外れたタイミングを見計らって暗殺を決めていくのだ。
屋内なら刀でふすま越しに対象を串刺しにして、スマートに始末できる。クナイや手裏剣といった消音性の高い飛び道具も攻略面では非常に優秀かつ便利。過去作から続く暗殺アクションの数々はそのままに、まるで時代劇の仕事人を彷彿とさせる必殺具合が奈緒江の面白さでもあった。
時代背景や国柄的な話にはなるが、登場する建物の多くが日本家屋になる関係で、歴代シリーズに比べると建築物の高さは控え目に映る。よって城などの拠点以外では、高所から監視する敵の数が少ない。櫓から見張っている者も稀にいる程度だ。
なので、奈緒江でのプレイ時にはステレオタイプな忍者のイメージ通り、屋根伝いで忍びながら移動するのが攻略法的にかなり有効である。もちろん、それだけで拠点を攻略できるわけもなく、目的の暗殺対象は大体屋内でくつろいでいるから、地上でコソコソと動くことも必要だ。
特定のクエストを除き、基本的にはいつでも奈緒江と弥助を自由に切り替えられるので、その時々の気分に合わせて変更するのがおすすめ。また、町中の拠点を攻略する際、あまりに派手に動き回った結果、そのときに操作している奈緒江か弥助がお尋ね者として指名手配されてしまう場合がある。
そうすると町中だけではなく、馬を走らせている最中にも、見つかり次第問答無用で、侍たちと敵対関係になってしまう。そのため、状況が落ち着くまではキャラクターを切り替えて行動するといったことが必要に。敵をナメて挑んだ結果がこのようなペナルティに繋がっているわけである。
バトルは攻撃・防御・回避と、3つの基本アクションを中心に立ち回っていく。戦闘の基本アクションについては、奈緒江も弥助も共通している。攻撃は弱攻撃と強攻撃の2種に加えて、最大3つのスキルを使用可能だ。防御は敵の攻撃を防げるが、赤く発光する攻撃だけは防ぎ切ることができないので、回避行動を取るといった具合である。
攻防戦ではジャストガードやジャスト回避のような、アクションジャンルのお馴染みの要素がベースにあって、アクションゲームに慣れているユーザーならゲーム冒頭の戦闘だけで早期に感覚を掴めることだろう。
ちなみにゲームの戦闘難易度設定は4つ用意されている。これは後からでも自由に変更が効くところだ。ストーリー<イージー<ノーマル<エキスパートの難易度順になっているのだが、遊ぶ人にとってはイージーでもそれなりに手強く感じられる可能性がある。
というのも本作は、敵から受けるダメージの量はもちろんのこと、奈緒江と弥助を使い分けて、各々の強みを活かしたゲームプレイが求められるため。本作はいわゆる“死にゲー”ではないものの、ノーマル、エキスパート設定での特定のシチュエーションについては、それに近いプレイフィールを感じることになりそうだ。
こだわりたくなる「隠れ家」や個性的な登場人物たちの出会いもミソ
奈緒江はゲーム序盤で、百鬼衆に対抗するために活動拠点として自分たちの隠れ家を所有する。隠れ家はマス目で仕切られたフィールドの中を自由に改装し、自分好みの集落を築く要素となっている。改装で選べる各オブジェクトは、サブクエストを進めていくほか、町の商人から直接購入するなどの方法で増えていく。MMOなどのハウジング機能が好きな人であれば、琴線に触れることだろう。
クエストを進めて、色々な出会いをきっかけに隠れ家へやって来る者も次第に増えてくる。そうした彼らの居住空間と考えれば、伊賀の里を失った奈緒江の心理的にも、道筋を整備してやったり動物を放し飼いにしてみたり、趣のある茶室の配置にこだわったりなど、隠れ家の改装で間接的な世話焼きをしたくなるというもの。なお、プレーヤーの弄った隠れ家は通常のエリアとは異なって独立している。
奈緒江たちに協力してくれる仲間たちもキャラクターが立ってて悪くない。中でも女好きの盗賊・源之丞は下世話で軟派な性格だが、その実只者ではない気骨のある色男。彼を演じるのは人気俳優の新田真剣佑さんなのだが、源之丞の演技がしっかりハマっていてかなり自然である。
キャスト陣の情報をシャットアウトしていたため、真剣佑さんが演じていることを後から知って驚いた。奈緒江にとって最初の協力者となる百姓のとみについては、夫を亡くして一人乱世の荒波を生きてきたためなのか、他の者に比べてやや倫理観のズレを感じるが、決して悪い人間ではない。鬼百合は少女らしい可憐さを持つものの、狡猾で手段を選ばない一面を覗かせる。激動の時代を生き抜く、芯の強さを持ったキャラクターたちばかりだ。
本レビューにあたってはPS5版にて、メインクエストを中心に膨大なサブクエストによるレベル上げを交えたプレイスタイルで進行した。奈緒江と弥助をメニュー画面からわざわざ切り替えなければいけないちょっとした不便さ、馬での長距離移動時に感じる空虚さ・退屈さといったもの、その荒唐無稽な出で立ちに流石にツッコミを入れたくなる百鬼衆の初登場シーンなど、プレイ中で気になるところはチラホラと見つかる。
しかしながら、本作は日本を舞台にした念願の「アサシン クリード」であり、"忍者×アサシン"の掛け合わせもテーマ的にはピッタリだ。シリーズではこれまで「暗殺者」という、殺しに手を染めている反社会的な主人公たちを、ありありと人らしく、それでいて魅力的に描いてきている。
奈緒江もそんな先代暗殺者たちに負けじと、魅力溢れる人物だ。暗殺者ではないが、弥助というもう1人の主人公も、奈緒江にとって友のような存在で、彼女のお茶目さを引き出すことに貢献しているから個人的にもアリだと思う。隠密プレイの奈緒江とバトル主体の弥助の棲み分けは、シリーズを初めて遊ぶ新規プレーヤーに優しい配慮でもあるだろう。
季節によるマップの変化、サブクエストの豊富さも十分に楽しめるポイントである。いちオープンワールドアクションとして、きっちりと全体が作り込まれていることは確かに感じ取ることができた。このままプレイを続け、サブクエストの全消化までぜひとも遊び込んでいきたい。
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