ASUSの最新ゲーミングノートPC「ROG Strix G G531」レビュー
ROG Strix G G531
M.2 SSDに、RTX 2070! 最新パーツ搭載で余裕のゲームプレイを楽しめるハイパワーマシン
- ジャンル:
- ゲーミングPC
- 発売元:
- ASUS JAPAN
- 開発元:
- ASUS JAPAN
- プラットフォーム:
- Windows PC
- 価格:
- 299,800円(税別)
- 発売日:
- 2019年6月14日
2019年6月14日 15:00
ASUS JAPANから2019年6月14日に発表された「ROG Strix G G531」(以下、G531)。これは同社のゲーミングプロダクトに使用される「ROG」が付いているように、ASUS ROGシリーズの最新ノートPCとなる。ROGとは「Republic of Games」の略。直訳するとゲーム共和国だが、このブランドで投入されるのはミドルクラスからハイエンド向けまでの、超ゲーマー仕様のPCが多い。このラインアップを見るだけでも、ROGブランドではゲーマーのために最高級の環境を提供しようとするASUSの意思を感じ取ることができるだろう。
今回紹介するG531は、台湾本国ではすでに4月23日に発表されており、製品はCOMPUTEX TAIPEI2019のROGブースで展示されていた。遅れること1か月半で日本へのお披露目となったわけだ。CPUにインテルCore i7-9750H、GPUにNVIDIA GeForce RTX 2070を搭載しており、ハイエンドよりちょい下、ミドルクラスよりちょい上のゾーンに位置するPCだ。メモリも16GBと十分な容量を積んでいるほか、高速なM.2 SSDに加えて1TBのHDDも用意されるなど、ゲーミングPCとして使い倒せるだけの十分なスペックを備えている。
今回は、3DMarkやPCMarkといったソフトのほかに、ゲーム向けに提供されている「ファイナルファンタジー」シリーズのベンチマークソフトを使ってこのゲーミングノートPCのパフォーマンスを検証してみた。
デスクトップPCにも引けを取らないスペックを持つ「G531」
COMPUTEX TAIPEI 2019でG531を見てからというもの、CPUとして使われている最新のCore i7-9750Hについてはまだテストしたことがなかったので、どの程度のパフォーマンスを出すのかとても気になっていた。しかもGeForce RTX 2070も搭載されているとなれば、そのポテンシャルはかなりのものがあるはずだ。1つ1つ検証していきたいと思うので、まずはハードウェアのスペックから見ていこう。事前にお借りしたG531のスペックは以下の通りとなる。
【ROG Strix G531】
CPU:インテルCore i7-9750H(2.6GHz/6コア/12MBキャッシュ、インテル ターボ・ブースト・テクノロジー2.0利用時は最大4.5GHz)
チップセット:インテルHM370
GPU:NVIDIA GeForce RTX 2070 GDDR6 8GB
ディスプレイ:15.6インチFHD 3ms IPSディスプレイ、アンチグレア
メインメモリ:16GB DDR4 SDRAM(PC4-21300/8GB×2/2チャンネル)
ストレージ:512GB M.2 NVMe PCIe SSD、1TB 5400RPM 2.5インチSATA SSHD
Wi-Fi:Intel 9560 2x2 802.11ac Wave 2ギガビットWi-Fi、Bluetooth 5.0
有線LAN:RJ45 LAN
USBポート:USB 3.1 Gen 2 Type-C(DisplayPort対応)×1、USB 3.1 Gen 1タイプA×3
その他:HDMI 2.0×1、3.5 mmオーディオコンボジャック×1
キーボード:白色WASDキー、キーピッチ2 mm、Nキーロールオーバー、およびオーバーストロークを備えたRGBバックライト付きチクレットキーボード
オーディオ:スマートアンプ付き2×3.5W
電池:66Wh 4セルリチウムイオン
ACアダプター:230W ACアダプター
バッテリー駆動時間:約4.7時間
バッテリー充電時間:約2.5時間
OS:Windows 10Home
サイズ:360(W)×275(D)×25.8(H)mm
重量:2.395kg
価格:299,800円(税別)
https://jp.store.asus.com/store/asusjp/html/pbPage.rog/?utm_source=game.watch.impress&utm_medium=article&utm_campaign=G531_launch
CPUに使われているCore i7-9750Hは最近のトレンドのようで、ここ1か月くらいに発表されたミドル~ハイエンドマシンでは搭載しているものをよく見かける。デスクトップ用のCPUであるCore i7-9700などは3.6GHzという高いクロックで動作するが、ノート向けのCore i7-9750Hは2.6GHzと動作クロックが違う。通常クロックで1GHzもの差があるのだが、ターボブースト時は4.5GHzと、Core i7-9700の4.9GHzに近いクロックまで高められるので、ゲーム体験としてはそれほど大きな差が生まれないだろう。
GPUとして搭載されているのはGeForce RTX 2070。最新のTuringアーキテクチャで、リアルタイムレイトレーシングやDLSSにも対応している。これより上級のGPUとしてはGeForce RTX 2080および2080Tiが、下位モデルとしてはGeForce RTX 2060があるので、まさにミドルクラスのGPUである。リアルタイムレイトレーシングやDLSSは対応しているゲームも増えてきており、これからマシンを購入するならばRTXシリーズを選ぶのは当然だと思う。
メインメモリはPC4-21300のDDR4 SDRAMとなっており、8GBのカードを2枚差している状態だ。理論値の最大転送速度は21.3GB/sなので、高速で動作し、容量と合わせて考えてもゲーム向けとしては十分な仕様だ。ストレージはインテル製の「SSD 660p SSDPEKNW512G8X1」が採用されており、これはPCIe NVMe 3.0×4インターフェイス対応のM.2 SSDで、高速で動作する。このほかにサブドライブとして1TBのHDD(SEAGATE製:ST1000LX015)も搭載されている。OSや主要なゲームはM.2にインストールしておき、そのほかのアプリケーションやデータなどはHDDに格納しておくといった使い方ができるのはうれしい。拡張性の低いノートPCではなおさらだ。
必要十分のインターフェイス回り。ヘアライン加工の金属がとても美しい
では搭載されているインターフェイスを見ていこう。まずは本体右だが、SDカードスロットと排気口があるだけというシンプルなスタイル。主要なインターフェイスは本体背面と本体左に集中している。
まずは本体背面だが、左右両脇に排気口があるほかは、有線LANのためのRJ-45ジャック、HDMI端子、USB3.1 Gen 2 Type-Cポート、ACアダプタのコネクタが配置されている。USB Type-CポートはThunderbolt 3に対応しているようで、Alt ModeによるDisplayPort機能も含まれている。左側面にはUSB3.1 Gen1ポートが3ポート配置されている。
キーボード面だが、ヘアライン加工の金属がとても美しい。ディスプレイ付近は上に向かってわずかにカーブがかかっており、ディスプレイを開いたときの一体感を演出している。キー配列は93キー日本語キーボードだが、このほかにも音量の上げ下げやマイク消音、ファン回転、ROGキーといった独立のボタンが配置されている。
なお特徴的なのは、ゲームで使う「W、A、S、D」キーが白くなっているところで、暗い場所でも見えやすい。またHomeやPageUp、PageDown、End、PrintScreenキーが右側に一列になって用意されていること。その一番上はDelete/Insertキーで、BackSpaceキーとも近いのでとても使いやすく感じた。
またゲームではほとんど使う機会のないInsertキーがDeleteキーと一緒になっているのには好感を持った。この2つが並んで配置されていると、ついミスタッチしてしまい、テキストエディタやWordが上書きモードになり、書いていた文字を上書きしてしまうことがあるからだ。またPrintScreenキーが単独で用意されているのもよい。筆者のような仕事ではゲームのスクリーンショットを多用することが多いので、Fnキーとの組み合わせでPrintScreenキーが用意されるととても使いづらいからだ。ゲーム配信をしている方などもサムネール作りにショットを使うことがあるだろうから、こうした配慮はうれしいところだ。
液晶ディスプレイは1,980×1,080ピクセルのフルHD対応パネルを採用しており、リフレッシュレートは120Hz。台湾では144Hzのマシンも発表されていたので期待したのだが、日本国内では120Hzにとどまったようだ。液晶自体はノングレアなので反射も少なく、ベゼル幅も薄いため、プレイの邪魔にはならないだろう。
BMWのデザインチームと協業して作り上げたデザイン
G531についてはほかにも触れておかなければならない所がある。それは本体のデザインについてだ。先ほどキーボード面でも述べたように、ディスプレイ側に少しせり上がっていたり、ほかにも本体の右から背面にかけて階段状のデザインが施されているのだ。これはASUSTeK ComputerがBMW Designworks Groupとのコラボレーションで生まれたもの。液晶ディスプレイ部は、垂直に真上方向へ開くシザーズドアヒンジを採用。さらに液晶ディスプレイ下部は非対称にカットされている。これにより周囲の空気の流れを妨げずに排熱ができるわけだ。
とても上品に光るRGB LED
ところでゲーミングPCといえば欠かせないのがRGB LEDだろう。もちろんG531にも使われており、「AURA Sync」の設定に合わせてキーボードと本体下部が光るようになっている。ただしその光り方が非常に上品。キーボードは上から見ると光っているのがわかるのだが、キータイピングを始めるポジションから見ると、何となく光ってるかなーという感じで自己主張が強くない。本体下部の左側面から正面、右側面に用意されているLEDについても、正面から見ると7色に光っていてきれいなのだが、タイピングポジションからだと光っているのが目立たず、わからないのだ。ゲーミングPCはとにかく光が強いと思うかもしれないが、G531というか、ASUSTeK Computerの思想をかいま見た気がした。
Armory CrateでPCの状態をチェック可能
G531には「Armoury Crete」という、独自のソフトウェアがプリインストールされている。これを使うとCPUのパフォーマンスがわかるほか、ROGキーに割り当てるソフトを設定したり、メモリを解放してリフレッシュさせることもできる。またG531で使えるアプリもここからインストールできる。
さすが第9世代&RTXシリーズ搭載マシンと思わせるスペック
ではここからはベンチマークプログラムを使っての性能調査をしてみたい。利用したベンチマークテストソフトは「3DMark」と、新しい「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」のほか、PCでのアプリケーション実行時の総合的なパフォーマンスを測定する「PCMark 10」についてもテストしてみた。なおエントリー向けのマシンと比較するため、CPUは同じく第9世代のCore i7-9750H、GPUにGeForce GTX 1660Tiを搭載するマシンと比較した。グラフをずらっと並べると以下の通りとなる。
まずは「Time Spy」だが、これはDirectX 12を利用したゲームのベンチマークテストだ。「Time Spy Extreme」はそれに加えて4K環境でのテストとなる。結果を見るとわかるが、CPUが同じなのでCPU Scoreはさほど変わらないものの、G531にはGeForce RTX 2070が搭載されており、もう一つのPCに搭載されているGeForce GTX 1660Tiとの性能差がストレートに出て、Graphic Scoreで大きく差が開いたため、総合の結果はG531に軍配が上がった。
「Fire Strike」関連のテストはDirectX 11における環境のテスト。「Fire Strike Ultra」ではさすがに両方とも総合点が低いが、こちらもGraphic Scoreで、GPUの能力による差が出ている。こうした傾向は「Sky Diver」、「Cloud Gate」それぞれにも見えるものの、興味深いのが「Ice Storm Extreme」。ローコストのモバイルデバイス向けの軽いテストであるので、軽すぎるのだろうか。さすがのGeForce RTX 2070でもGeForce GTX 1660Tiとの差が開かないようだ。「PCMark 10」の結果を見てもこれと同様で、ビジネス向けのソフトを使う程度なら十分対応可能だ。
RTXシリーズで使えるDLSSの威力が十分に発揮されたベンチマークテスト結果
最後に「ファイナルファンタジーXIV:漆黒のヴィランズ ベンチマーク」(以下、FFXIV)と「ファイナルファンタジーXV Windows Editionベンチマーク」(以下、FFXV)でのテスト結果を見ていこう。
「FFXIV」のベンチマークソフトは2010年に公開されて以来、ゲーム本体の拡張パックが発売されるごとにリフレッシュされ、最新版が提供されてきた。今回利用したベンチマークテストソフトも、7月2日に発売される拡張パッケージ「漆黒のヴィランズ」に対応している。
「FFXIV」もかつては重いソフトだったが、発売より9年がたち、CPUやGPUのスペックが上がってしまったので、今ではそれほど負荷がかからないゲームになってしまった。その結果を示しているのが下のグラフだ。G531と比較対象のマシンはほぼ同スコアといってよく、特に差が現われるわけではなかった。
ただし最新の「FFXV」となると話は違う。「FFXIV」と同様にDirectX 11ベースのゲームなのだが、4K HDRに対応するほか、昨年末にはNVIDIA DLSSにも対応した。NVIDIA DLSSとは、NVIDIAが開発した描写システムのことで、「ディープラーニング スーパーサンプリング」の略称だ。AIなどで使われているディープラーニングの技術を応用したもので、画面に表示されるポリゴンとテクスチャを繰り返し読んで学習し、描写を最適化してくれる。このため、重い画像であってもDLSSを利用すれば処理が軽くなる、というわけだ。
「FFXV」のテスト結果は以下の通り。GPUの能力がストレートに出ており、標準画質であれば快適にプレイできる。最高画質であっても「普通」という評価だったので、それなりに楽しめるはずだ。
DLSSについてだが、オンにしようとすると強制的に解像度が4K(3,840×2,160ピクセル)に固定されてしまう。加えてすべてのスペックを最高レベルに設定しているため、かなり処理が重くなるが、DLSSオフでは「重い」という判定だったのが、DLSSをオンにすると「普通」になった。DLSSをオンにした場合は、ベンチマークテスト最初に登場するシーンの岩肌や木の枝などの表現がよりクリアに楽しめる。RTXシリーズであればこの表現でのプレイが可能なので、性能にあったプレイを楽しめるのがG531だ。
申し分のない性能のノートPC
以上見てきたように、G531は搭載されているCPUやGPUの基本的なスペックが高く、ベンチマークテストの結果からも、負荷の高いゲームでも十分に楽しめるノートPCだということがわかる。筐体の質感もよく、持っているだけでもうれしくなるマシンであることは間違いない。触ったのは短い時間ではあったが、筆者もG531を触っていて「これは欲しい」と思うことも何回もあった。省スペースで最新のスペックでのプレイ環境を手に入れたいという人には、よい選択となるだろう。