「チームソニックレーシング」レビュー

チームソニックレーシング

仲間のサポートが勝利の近道!チーム一丸でゴールを目指す新感覚レースゲーム

ジャンル:
  • レーシング
発売元:
  • SUMO DIGITAL
開発元:
  • セガゲームス
プラットフォーム:
  • PS4
  • Nintendo Switch
  • Windows PC
価格:
5,990円(税別)
発売日:
2019年5月21日

 セガゲームスが5月21日に発売したプレイステーション 4/Nintendo Switch/Steam用ソフト「チームソニックレーシング」。「ソニック」シリーズ初のチームレーシングタイトルとして完成した本作は、「ソニック」らしさ溢れるハイスピードなレースをオフライン、オンラインの双方で自由に楽しめるタイトルだ。またチーム戦であることが大きな鍵を握っており、自分だけが上位をキープしても勝利にはならない、一筋縄ではいかない難しさと戦略を持ち合わせたゲームである。

 今回はPS4版を用いた発売前のプレイということもあってオンライン対戦は叶わなかったが、ストーリーモードに該当する「チームアドベンチャー」で存分にスピードを体感することができた。

仲間を勝たせるテクニックも重要に

 本作にはソニックやテイルス、シャドウといったおなじみのキャラクターが全部で15体登場し、それぞれスピード、テクニック、パワーの3タイプに分かれている。スピードタイプはその名の通り加速力に優れ、テクニックタイプはどんな路面でも減速せずに走れる器用さが売り。パワータイプは本来なら当たると減速してしまう障害物を破壊しながら走行できる。

 スピードタイプはあらゆる局面で強さを発揮できるが、コースから外れると極端に速度が遅くなるため、テクニックタイプも魅力的。またスピードに乗っているときに障害物が現れると避けにくいので、パワータイプも一見の価値がある。どれも確かな強みを持っているので、まずはひと通りのキャラクターを試してみるのが良いかもしれない。

 コース上には定期的にアイテムボックスが設置されており、これを通過するとさまざまなアイテム「ウィスプ」が手に入る。ウィスプにはぶつかった相手をスピンさせる「ブルー・キューブ」や、ロケットを発射して直線上の相手を攻撃する「オレンジ・ロケット」、一時的にスピードが加速する「ホワイト・ブースト」など豊富に用意されている。アイテムボックスからどれが手に入るかは完全にランダム。なにが手に入るか、そしてどのタイミングで使うかが勝敗を分けることもある。

 そしてなにより本作で重要なのが、三人一組のチーム戦であることだ。本作における勝敗は獲得ポイントで決まり上位に入るほど高ポイントが加算される。極端な話、自分自身が1位を取っても、残る2人が下位に沈んだらポイントで逆転されてしまう可能性だってあるのだ。

 無論、仲間を助けるためのテクニックも多数用意されている。もっとも分かりやすいのが、味方の背後に付けるとどんどん加速するスリップストリームだ。スリップストリームをうまく決めるとラインブーストがチャージされ、一気に加速することが可能。ブーストによって飛び出したら、今度は先頭車両として味方がスリップストリームしやすい位置で走行する。これを繰り返すだけでチーム全員が上位に行けるというわけだ。

 また不要なウィスプを入手した場合は味方に渡すことも可能。自分自身が首位を走っているときは攻撃系ウィスプが宝の持ち腐れになりがち。そんなときに後方を走る味方に渡せば、有効活用してくれるだろう。

レース中はさまざまな場面で仲間のセリフが聞こえてくる。セリフの中には後方で苦労していたり、サポートを受け取ってくれたりといった情報が得られる
黄色いタイヤ痕がラインブーストの印。うまく軌道に乗ることで大きな加速を得られる

ドリフトにスタント、リング集めも……最後に物を言うのはやはり自らの腕前

 仲間との連携によって活路を見出すのが本作の醍醐味だが、基本的なドライビングテクニックを持ち合わせていなければ勝利は遠い。例えばカーブではドリフトすることで鋭く、最短距離を走れるだけでなく、長時間ドリフトに成功すればブーストがかかり、大きな加速を得られる。

 またコース上にはジャンプできる高台が設置されていることも多く、空中でのせめぎ合いが起こることもしばしば。着地点を見誤ってコースアウトするとタイムロスになってしまうので注意が必要だ。その一方で、ジャンプ中に右スティックを動かし車体を回転させると「スタント」となり、着地直後にブーストが発生する。うまく扱えば着地の瞬間に相手を出し抜くことも可能なのだ。

 そしてコース上に散らばっているリング。これは「ソニック」シリーズでおなじみの収集アイテムだが、本作では集めることで最高速度が上がるシステムになっている。また、ゴール時に取得していたリングはスコアに加算されるためできる限り沢山集めておきたいところだが、リングをすべて取るのは難しい。というのも、相手の妨害があるし、カーブで大きく膨らんだり、最短距離から外れるリスクがあるからだ。単純なスピード勝負だけではない、リングを巡る駆け引きというのも本作の醍醐味のひとつだ。

せっかくリングを集めていても、なんらかのアクシデントでスピンするとリングも撒き散らしてしまう

 ゲーム内で楽しめるレースの種類についても紹介しておこう。「チームアドベンチャー」では上述の通り3人1組で争うレースを基本としながら、いくつものサーキットを周る大規模なグランプリ、さらに1分間でどれだけリングを集められるかを競う「リングチャレンジ」、1周ごとに下位のプレーヤーが脱落していくサバイバルレースなどが混在していく。「チームアドベンチャー」では分岐があり、どのレースに挑戦するかを選択することも可能。得意なもの、興味のあるものだけを選ぶだけでもある程度進行できる。

 難易度はノーマル、ハード、エキスパートの3種類が用意されており、ハードをクリアするとエキスパートが解放される仕組み。ノーマルであれば1、2回のコースアウトでも1位を獲得できるライトなバランスだが、ハード以上は一瞬の油断も許されないシビアなバランスになる。裏を返せば、ゲームを始めたその日から緊張感のあるレースバトルを楽しめるわけでもある。腕に自身のある人であっても、序盤が単純作業にならないのは嬉しいポイントだろう。

 レースを繰り返しプレイしているとやがて報酬のコインが貯まり、ガチャを回せるようになる。ガチャではマシンをチューニングできるパーツや見た目を変えるスキン、クラクションなどが手に入る。パーツはフロント、リア、ホイールの3種類が存在し、スピードタイプのディフェンス力を上げたり、逆に長所をひたすら伸ばしたりと個性的なマシンにすることが可能だ。カスタマイズを施す事で自分の走り方にあったチューニングができるので、コインが貯まったら定期的にガチャを回し、アイテムを充実させることをおすすめしたい。

 「チームソニックレーシング」では、「ソニック」シリーズが本来持つカラフルな世界観はそのままに、一瞬の判断が勝敗を分ける歯応えのあるレースが展開する。自分が勝つことに加えて、仲間を勝たせるためのテクニックも求められ、その駆け引きの面白さは特筆に値する。これとは別にプレーヤー自身のゴーストと戦うタイムトライアルなど、ストイックにタイムを縮めていく遊び方もできる。カジュアルさと奥深さを両立させた、遊びごたえのある一作と言えるだろう。