2019年2月22日 07:00
戦闘準備はいいか、モデラーの皆様がた。コトブキヤのプラモデルが大好きな筆者が今回お送りするのは「ヘキサギア」シリーズ――半永久的に使用可能なエネルギー「ヘキサグラム」がもたらした莫大な遺産のもとに構築される、企業対企業、人類対AI、破壊と創造を描き出す世界観をモチーフに展開される”キットブロック”である――の近未来ディストピア的世界の「すこし前」に生まれた、「アーリーガバナー」と呼ばれる兵士たちだ。
……その設定が長大であるため最大限噛み砕いてご紹介したが、ここで興味を持ったあなたは公式ページの「WORLD OF HEXAGEAR」をご覧頂きたい。ゴリゴリに練り込まれつつも考察や拡張の余地を多く残しており、「俺ヘキサギア」を作り出せる広大な地平線が広がっている。
そもそもヘキサギアってなんだ
世界観は先ほど述べたとおりであるが、シリーズの魅力についてご紹介したい。「ヘキサギア」シリーズは大別して”搭乗者”――ガバナーと呼ばれる全高70mmほどの人型モデルと、「ヘキサギア」の名を冠する”けもの”たちによって構成されている。
概してヘキサギアには「KARMA」と呼ばれるAIが搭載されており、獣性――機械である自身を獣と錯覚させ、破壊衝動のままに目に映る敵を殲滅するための戦闘機械へと成り下がる技術が搭載されている。ただしこれはヒト型を含め2足歩行のそれには宿らず、また強制的に発動させた際には”何らかの事故”が起きた……とされる。個人的にはもうここでアツさ爆発中二病大炎上ヒャッホーな設定だ。それを駆るのがガバナーで、最近ではガバナーにも強化された姿の「パラポーン・エクスパンダー」や「エクスアーマータイプ:白鱗角」といった単体でもカッコイイキャラクターが生まれている。第三勢力(ヘテロドックス)たる「ゾアントロプス・レーヴェ」もそのひとり。
ここで興味を持ったあなたは公式ページの「WORLD」をご覧頂きたい。有志が作り上げたヘキサギアやガバナーたちが挑んだ航跡が、「EX EPISODE」として記録されている。また「MISSION」や「FREE BUILD」からはエピソードに登場しなかった機体も閲覧できる。
ミリタリー寄りということで
5体買った。
(作戦班っぽくしたいから)5体買った。
パーツ数は多くない。兵士1名ごとの性格を柔軟につけられるようにヘッドパーツが5種付属し、背嚢(アリスパック)は細かく分割されている。手首パーツはガバナー標準の3種に加えハンドサインに使えるものが左右ともに6種。これはもう複数人で行動させて合図させるためにあるようなものだ。これまた夢が広がる。
さて、ガバナーというのは全高約70mmの中に肩甲骨、肩、手足、首、手足首と豊富な可動ポイントが仕込まれている。「アーリーガバナー」にはそれに加えてブーツの節目である脛も含まれる。これで胴体も柔らかく動くので、ボディだけでも完成するとしばらく遊べる。めっちゃ楽しい。
背嚢は背中に装備させる背負子のようなパーツを含め6つに分割され、サイドポケットやテント、タープであろうパーツもある。腰のパーツはポーチの有無も選択可能なうえ、武装はスコープ付きのライフル、ブルパップライフル、サブマシンガン、ハンドガン、ナイフ。ナイフとハンドガンは鞘とホルスターに収めたもの、抜き身のもの、鞘だけのものと3パターン存在する。当然、複数体買えば余りが出るため「サブマシンガン2丁の兵士」なんていうのも再現できるというわけ。
はいポーズでハイセンス
可動ポイントの多いモデルでありがちなのが、「ポーズをどうつけようか」という悩み。筆者はこの瞬間が特に好きだ。
アーリーガバナーはもちろん、ガバナーたちはアクションフィギュアとして非常に優秀という特性も持っている。「立つ」という動作だけでも、片足に体重をかけたり、仁王立ちだったり、背を丸めてうなだれたりと様々。手足もグリグリ動くから、人体とほぼ同じ動きができてしまう。
そう、大事なのは「人体とほぼ同じ動き」ができること。膝立ち、長座、銃の構え、腕を振るなどの動作のすべて、まず自分で再現してみるとわかりやすい。――ここは腕を回している、これだけ足を曲げている、手首をこんな風にひねっている。わざと乱暴にしない限りパーツがすっぽ抜ける程度で済むので、まずは実践するといい。
ジャンプしているとか、敵と戦うといった躍動感のあるポージングをさせたい場合は「ミニフライングベース」がおすすめ。今回は採用しなかったのだが、ガバナー向けに調整されたアタッチメントを使用してコンパクトに飾れる。
大量生産してこそ?楽しめるアーミーかも
というのが筆者の結論である。「ヘキサギア」史的に言うとこのアーリーガバナーたちには「スケアクロウ」や「バルクアームα」というヘキサギアたちも同時期を生きており、彼らと組み合わせて戦場を演出しても楽しい。今回は筆者が塗装作業中のバルクアームと組み合わせてみた。
アーリーガバナーは個としての魅力はもちろんあるのだが、ここまでのように複数で合わせて飾ることでさらに大きな魅力を発揮する「軍隊」の欠かせぬ1パーツとしての面も持ち合わせている。すでに過ぎ去ったひとつの時代に思いを馳せるように、もしくは変わりゆく歴史の只中に身を置く彼らを切り取るようにその姿を飾りつつ、筆者はこのガバナーたちを愛してみたい。
もう次が控えてるんだぞ!
このガバナーシリーズ、すでに次発装填済みである。次に発売を控えているのは、ロケットランチャーや機関銃などの武装を豊富に収録した「アーリーガバナー Vol.2」と可動範囲が向上した「アーマータイプ:ポーンA1」と「パラポーン・センチネル」のVer.1.5が控えている。
ヘキサギアでいえば汎用コックピットになる「ブースターパック004」や「アグニレイジ」に次ぐ飛行タイプ「ウインドフォール」、ヒロイックな見た目の「バルクアーム・グランツ」、接近戦を挑みかかる「バルクアームβ/ランバージャック」など。本稿が3年目を迎えさらなる広がりを見せつつある「ヘキサギア」に触れる一助になれれば幸いである。
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