2018年12月11日 12:00
新たなる「龍が如く」の伝説が始まった。
これまでのシリーズ作品の主人公だった桐生一馬による物語は2016年に発売された「龍が如く6 命の詩。(以下、龍が如く6)」で一旦の結末を迎えた。そしてシリーズの正統続編として登場したのが「龍が如く ONLINE」だ。主人公をゲーム内外でカリスマ的だった桐生一馬から春日一番という完全な新規キャラクターに変更した本作は、改めて“新しい”「龍が如く」シリーズの立ち上げを意味しているのだろう。
ファンには衝撃の展開からスタート!魅力的なストーリーは健在!
本作は基本的には1人プレイ用のカード型ソーシャルゲームで、キャラクターカードを集めて成長させていき、ストーリーを進めていくというオーソドックスなゲームシステムとなっている。成長させたキャラクターを使った対人要素もあるが、何よりも注目なのはストーリー部分だ。「龍が如く」のナンバリングタイトルは伝統的に発売年が舞台になってきた。前作の「龍が如く6」では2016年、今作の「龍が如く ONLINE」は2018年が舞台になる。
主人公は親もわからず、神室町で育ってきた春日一番。東城会系の荒川組の元若衆だ。2001年に殺しの罪を被り、17年の服役を終えて社会に出てきたところからスタートする。本来であれば彼が所属していた荒川組から出所の出迎えが来るはずだが、彼を出迎える人間はいなかった。そして彼のホームである神室町に戻るとそこは近江連合が支配する町へと変わっていた……というのがストーリー序盤の展開だ。2016年から2018年の2年間の間に神室町が完全に乗っ取られるほどの大事件。本作ではその大事件の核心に迫っていく。
補足すると「龍が如く」の世界では、東城会という巨大な極道組織が東の歓楽街である東京・神室町、近江連合という組織が西の歓楽街である大阪・蒼天堀を支配しているという設定である。これまでのシリーズ作品でも両組織による勢力争いは度々起きていたが、完全に神室町が乗っ取られるようなことはなかった。つまり今作のストーリーは外伝やスピンオフといったレベルではなく、まさにシリーズの正統派続編というだけの壮大なストーリーになっているのだ。
筆者はまだ序盤だが、それでも「そんなことが!?」という驚きの展開があった。グイグイと引き込むストーリーは相変わらず健在なのでシリーズファンにはぜひプレイしていただきたい作品だ。
脇を固めるのは相変わらず強烈な個性を持ったキャラクター達、サブクエストでストーリーを満喫!
「龍が如く」シリーズの魅力といえば桐生一馬はもちろんだが、脇を固める強烈な個性を持ったキャラクターたちも外せない。
詳細は「龍が如く ONLINE」の事前登録開始記念に行なわれた「『龍が如く』シリーズ キャラクター総選挙」の結果を見ていただければと思うが、文字通りの狂犬ぶりでシリーズファンに強烈な印象を植え付けてきた嶋野の狂犬こと「真島吾朗」はもちろん、シリーズ初期から行動を共にする刑事「伊達真」、桐生一馬の親友である「錦山彰」など……数え切れないほどの名キャラクターが登場してきた。
もちろん彼らも本作に登場する。パーティメンバーとして参加するのはもちろんだが、キャラクターごとに用意されたキャラクターストーリーが面白い。ストーリーでは過去作品で描かれていなかった「実は裏でこんなことがあったんだよ」という内容から、キャラクターの日常を描くものまで幅広く、どのストーリーもキャラクターの魅力をさらに深掘りするような内容になっている。
ここで感心したのが登場するキャラクターの幅だ。サブクエストに登場しただけのキャラクターも含めれば「龍が如く」シリーズには印象的なキャラクターが多数登場してきた。「龍が如く ONLINE」では人気投票の上位に食い込むようなキャラクターはもちろん、桐生一馬の師匠である古牧宗太郎や、ナンバリング作品ではすでに没している柏木修なども登場する。今後のアップデートでさらにキャラクターが追加されていくのだろうが、筆者の中ではすでに妄想が止まらない。
ゲームシステムはオーソドックスなオート型のカードバトルだが、メンバーに悩む!
続いてゲームシステムについても見ていこう。こちらは入手したキャラクターたちを組み合わせてパーティを作成、敵とのバトルが始まると基本的に自動で戦ってくれるという、昨今のソーシャルゲームに多く導入されている基本オート型のカードバトルシステムが採用されている。
かなりの部分がオートプレイでできるので、気軽にプレイできる点はスキマ時間にプレイするソーシャルゲームとは相性が良い。ただし、完全にオートではなくプレーヤーはゲージが溜まったら任意のタイミングでスキルを発動したり、戦闘中に登場する武器……例えばゴミ箱や自転車などを使って敵を攻撃することができたりと、“ザコ敵はオートでもOK、強敵はある程度プレーヤーの操作が必要”というバランスになっている。
また、戦闘自体はある程度オートなのだが、どんなキャラクターでパーティを組むかという事前準備が重要だ。各キャラクターは「攻撃タイプ」、「防御タイプ」、「補助タイプ」、「回復タイプ」という4つのタイプに分かれている。特徴は文字通りで攻撃タイプはダメージを与えることが得意だし、防御タイプは味方の防御力を上げるスキルなどで防御面を補助する、補助タイプは味方の攻撃力や会心率を上げたり、敵を妨害して全体をサポートするし、回復タイプは文字通りメンバーの体力を回復し、状態異常を治してくれる。。もちろんバランスよく組み合わせても良いのだが、「やはり回復タイプは必須で、ダメージを稼ぐためには攻撃タイプも、でも防御タイプや補助タイプも捨てがたい」となかなかに悩ませてくれる。
さらに「心」、「技」、「体」、「陽」、「陰」という5つの属性に分かれており、それぞれもまた相性がある。出現する敵の属性に有利な相性を調整してパーティを編成するのもありだ。
そしてシリーズファンとして何より悩ませてくれるのがキャラクターだ。筆者は真島吾朗というキャラクターが大好きなので、彼をパーティに組み込みたい。それでいくと過去にプレイアブルキャラクターとして登場した冴島大河や秋山駿も入れたいし、当然今作の主人公である春日一番も入れたい。となるとこの時点で4人になってしまう。
シリーズファンとしてはキャラクター愛を取るか効率を取るか悩ましい。さらにパーティに入れているキャラクターは戦闘が終わると絆ポイントが上がっていき、絆レベルが上がるとそのキャラクターのさらなるストーリーが解放される。つまり好きなキャラクターのストーリーを読み進めるにはパーティに編成して戦う必要があるので、自分の推しキャラがいるプレーヤーほど構成に悩むことになるだろう。というか筆者は未だに悩んでいる。
ストーリー以外の要素も充実!ゲームの遊び方を広げてくれる
ここまでは主にキャラクターやストーリーに注目して語ってきたが、本作にはまだまだ沢山の遊びがある。
ひとつは「連合」と呼ばれるギルド的な要素で、1日2回、連合同士のリアルタイムバトル「首領破血(以下、ドンパチ)」が開催される。こちらは参加者同士の総力戦といった具合で、1プレーヤーにつき襲撃部隊5キャラクターと迎撃部隊5キャラクターのバトルが展開される。
こちらはただ敵を攻撃していけば良いわけではなく、攻撃にはコストを支払う必要があり、コストがなくなると回復する必要があったり、必殺技的な「奥義」というシステムがあったりと、なかなか奥深いものになっている。ちなみに1日2回の参戦が難しい場合、1日に1回はCPUに代理で参戦してもらうこともできる。こういった細かな気遣いもありがたい。
そして「龍が如く」といえば定番のキャバクラも登場する。リアル調というよりアニメ寄りのタッチのキャラクターだが、個性が立っていてどのキャラクターも魅力的だ。会話をしながら選択肢を選んでいくという定番のシステムは健在で、何度も指名して好意的な会話をしていくと徐々に仲良くなっていくことができる。仲良くなると私服姿も見ることができるとのことだが、筆者はまだその領域にはたどり着けていない。ぜひ推し嬢の異なる姿を拝んでみたいところだ。
キャバクラは単なる遊び要素というだけではなく、キャバクラをプレイすると「遊ポイント」というポイントが入手できる。このポイントを連合に投資することで連合が成長していくというシステムになっており、単なる遊び要素だけではなく、コンテンツ同士がちゃんと連携しているのもポイントが高い。
総じてシリーズファンはマストプレイという印象で、ストーリーは面白いし、キャラクターも魅力的、キャラクターにフィーチャーしたサブストーリーも魅力的だ。逆にシリーズ未経験のプレイヤーには“龍が如くシリーズに触れるきっかけ”としてプレイすると良いだろう。これまで紹介してきたとおり、過去作品との関連も多い。例えば東城会1つとっても「6代目までを数える」という表現があるが、過去作ではその背景なども語られている。また本作に登場するキャラクター達にどんなことがあったかを知ることもできるし、スピンオフ作品ではさらに違った彼らを見ることができる。
まずは気軽にプレイできる基本無料の本作を試してみて、「龍が如く」の世界にハマったらシリーズ作品、そして今後発売予定の「新・龍が如く(仮称)」シリーズもプレイすると、奥深くてボリュームが有る「龍が如く」ワールドをより楽しむことができるだろう。「龍が如く」シリーズのナンバリングタイトルは過去作品も現行機でリメイクや移植が行なわれているので、興味を持ったらぜひプレイしてみてほしい。
本作では家庭用シリーズのように神室町というオープンワールドを自由に探索したり、細かすぎるミニゲーム群が遊べないのが少し残念ではある。とは言えここは"スマートフォンでもプレイできる”点を考慮すると仕方がないだろう。むしろ移動時間やスキマ時間のプレイで濃厚なストーリーを楽しめるというメリットの方が大きく感じたし、ミニゲームについてはもしかしたら今後のアップデートで追加される……かもしれない。
とにかくシリーズファンにはマストプレイな作品ということを伝えたい。スマートフォンでもプレイできるので隙間時間に少しずつストーリーを楽しめるし、基本プレイ無料なので気軽にプレイできる。2016年以降の神室町に何が起きたのか――筆者もまだ核心には辿り着いていないが、今後のストーリー展開が楽しみである。ぜひプレイしてほしい。
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