「コール オブ デューティ ブラックオプス4」レビュー

コール オブ デューティ ブラックオプス4

マルチ、バトロワ、ゾンビも!一粒で3度美味しいFPSの鉄板作品!

ジャンル:
  • FPS
発売元:
  • Activision
開発元:
  • Treyarch
プラットフォーム:
  • PS4
  • Xbox One
  • Windows PC
価格:
8,532円(税込)より
発売日:
2018年10月11日

 正式なナンバリングタイトルであるものの、シングルプレイをまるまる削ぎ落とし、マルチプレイ専用タイトルとして登場した挑戦作「コール オブ デューティ ブラックオプス4」。

 これまでのシリーズ作品でもシングルプレイの人気はもちろんだが、やはりマルチプレイの人気は高かった。シングルのキャンペーンは1周プレイしてストーリーを満喫、2周目は難易度を上げたり収集品を集めたりというプレイスタイルになるので、作品を買って長い時間プレイしているのはやはりマルチプレーヤーモードとなる。そういった意味では限られた開発リソースをシングルモードではなく、マルチプレイに振り切ったのは合理的な判断だったのだろう。

 そういったわけでこれまでも力を入れて作られてきたマルチプレイのモードだが本作はより一層気合が入っている。他のプレーヤーと熱い対戦が楽しめる「マルチプレイ」、もはや説明不要の人気ジャンルであるバトルロイヤルを楽しめる「BLACKOUT」、そして他のプレーヤーと協力しながら迫りくるゾンビの群れを倒していく「ゾンビモード」の3種類が遊べる。それぞれが別のベクトルを向きつつも、どれも完成度が高くまとまっている。
 まだ発売から1週間程度しか経っていないが、ここまででプレイできた印象を語っていきたい。なおマルチプレイBLACKOUTについてはβテストを実施しており、そちらでもゲームシステムとインプレッションを紹介しているのであわせて読んでいただけると幸いだ。

個人技も生きるが、連携がより生きる!「スペシャリスト」を活かした白熱のバトル!

 個人的には「CoD」シリーズのマルチプレイといえば「チームデスマッチが戦場の華」と感じていた。移動スピードが早く、死んでもサクサクとリスポーンし、また銃弾飛び交う激戦地に飛び込んでいくという印象だった。

 そして本作はどうかと言うと、半分はイメージ通りで半分は予想外だった。特に「CHAOS TDM(チームデスマッチ)」や「FREE FOR ALL(自分以外は全員敵)」などではスピード感に関してはやはりブレずにシリーズらしさを感じた。ダッシュで走り込み、アサルトライフルやサブマシンガンで銃弾を撃ち込む。

 ガンガン倒せればスコアストリークでUAVを呼んで敵の位置を表示させたり、ヘルストームというクラスター爆弾を空中から投下し、さらに戦闘に貢献することができる。もし死んでしまってもすぐにリスポーンできるのでガンガン突っ込んでいける。この辺りは個人技が活きるモードだ。

チームデスマッチはカジュアルに楽しめる。最初は撃ち負けることも多いが、深く考えずにガンガンプレイしていこう

 一方、新モードの「CONTROL」では連携が重要だ。マップ内に決められている拠点を攻撃側は奪取する、防御側は守るというシンプルなルールなのだが、ここで本作に10種類登場する“スペシャリスト”が生きる。スペシャリストはそれぞれが異なる特殊能力、装備を持っており、これが本モードとの相性が抜群に良い。

 個人的には前方に銃弾から身を護るシールドを持てる「AJAX」がお気に入りだ。前方からの攻撃をほぼ無効化できるので、特に戦闘が激しい拠点では恐ろしいほどの能力を発揮する。さらにフラッシュバンも持っており、まさに切り込み隊長的な役割を果たす。ただ、これらの特殊能力や装備は使い放題というわけではなくゲージが溜まらないと使えないので、使い所が重要なポイントだ。

 他にもTORQUEというスペシャリストはレーザーワイヤーを使い敵の進行を妨害することもできる。この辺りはゲーム序盤からかなり役立てそうだ。

 他にも「HEIST」というモードもユニークで印象的だ。ルールはマップ上に落ちている現金を奪取し、脱出地点まで持っていって脱出するか、相手のチームを全滅させるというものだ。こちらがユニークなのは最初は全員ハンドガンしか持っておらず、ラウンドスタート時にクレジットを使って武器やPerkなどを購入するというシステムになっている。

 要するに「Counter-Strike」のようなシステムと考えていただいてほぼ間違いはない。武器にガッツリとお金をかけてアタッチメントをつけるか、Perkなどを購入して撃ち合い以外での役割を作っていくかなど戦い方の幅が広がる。何よりこれまでのシリーズにはなかったタイプのモードなので、非常に新鮮に感じた。

 チーム戦の場合は5人5人なのでマップはそれほど広くないが、裏取りなどをしやすいに複数のルートを選べる作りになっている。まっすぐぶつかっていっても良いが、水の中を潜ったり、狭いダクトの中を通ることができたりと、様々なルートが用意されているので裏取りなども可能なので、マップを覚えて立ち回りを研究していくやりこみがいのあるモードだ。

チュートリアルでは気合の入ったムービーで各スペシャリストの特徴を紹介してくれる
「CONTROL」では個人技よりも連携が重要になる。それぞれのスペシャリストの特徴を活かしつつ、マップの構造を覚えるのが勝利へのカギになる
「HEIST」はユニークな新モード。限られたキャッシュをどう使うか。プレイスタイルや自分の得意な戦い方にあわせてカスタマイズしよう

定番だけど新しい!テンポ感が良く完成度の高いバトルロイヤル「BLACKOUT」

 「BLACKOUT」はゲーマーの読者には説明不要、絶賛大人気のバトルロイヤル的なモードだ。「DayZ」をルーツに数々のMODやゲームが登場してきたが、2017年に発売された「PUBG」である種の完成形を迎えたジャンルである。そして本作のバトルロイヤルモードはかなり保守的……ストレートに言うとかなり「PUBG」に寄せて作られている。

 「SOLO(1人)」、「DUO(2人)」、「SQUAD(4人)」でプレイでき、徐々に狭くなっていくマップの中で装備を現地調達、ライバル達を蹴落とし最後まで生き残るのが目的、というベースは王道のスタイルだ。

 もちろん「PUBG」のコピー作品というわけではなく、「CoD」らしさのアレンジとしては「ゾンビ」という第3勢力の存在や、「消耗品Perk」という一定時間効果を発揮する特殊能力などがあげられる。

 「ゾンビ」はかなり厄介な存在だ。良いアイテムが入手できるのはわかっているのだが、弾薬を消耗するのはもちろん、こちらがダメージを受けてしまうと回復アイテムを使うことになるし、派手な銃声で付近に潜んでいる他のライバルたちをおびき寄せる結果にもなってしまう。もちろん戦わずに避けていければよいのだが、安全地帯が狭くなってきており、必死で移動しているときのルート上にゾンビたちの群れがいた時は困った。結果的には回り道をすることになり、エリア外のダメージペナルティを受けることになってしまった。

 また「消耗品Perk」も面白い。安全地帯の外にいるときに受けるダメージを軽減するようなピンポイントなものから、近くに落ちているアイテムを可視化するという強力な効果を持っているものまでピンキリで落ちており、バトルロイヤルの「良い装備を拾えるか」という要素に、「良い消耗品Perkを拾えるか、上手く活用できるか」という要素が加わることになる。

 地味だが意外と効果が大きいと感じたのが「付近にいる他のプレーヤーの足音が大きくなる」というものだ。体感レベルで恐縮だが本モードは他のプレーヤーの足音がかなり大きく聞こえる上に、試合全体のテンポが速いので、多くのプレーヤーが走って移動していることが多い。そこにさらに足音が大きくなるという効果がつくと、そこそこ遠くを走っているプレーヤーでも、その存在と向かっている方向がなんとなくわかるのだ。やはり情報を持っている事が本モードでは強い。

 筆者はソロでプレイしていたのだが、足音を追いかけずに、あえて走っていくのを見送ることにした。そして案の定向かっていった方向では派手な戦闘が繰り広げられていたようだ(現場を見ていないが激しい銃声を聞いた)。アグレッシブに使っても良いし、リスクを避けて生き残ることを優先しても良いという、改めて遊び方の幅を広げてくれるアイテムだと感じた。

 他にも個人的にはマルチプレイモードで使用できるグラップルガンやRC-XD(ラジコン)が使用できたり、乗り物にヘリが出現したりと、アクロバティックな印象だ。ヘリやグラップルガンで「え!そんなところに!?」という位置取りができるのは面白い。一見バランスブレイカーのようにも見えるが、安全エリアが狭くなるので、良い場所を陣取れてもずっとキャンプができるわけではないのがまたミソだ。

 βテストの時から通して感じていたがやはりこちらもテンポ感がすごく良くできている。移動スピードも速いし、戦闘可能エリアが狭まるのも速い。マップの広さもそこそこなので、試合のトータルの時間はかなり短め。序盤から武器も集めやすい印象で、早々にドンパチが始まる印象だ。「マルチプレイ」もそうだが短時間でもバトルロイヤルの密度をガッツリと感じられるので、どっしりと腰を据えずとも寝る前のちょっとした時間などでもラフに楽しめる印象だ。

もはや説明不要のバトルロイヤル。他作品に比べるとマップが狭めで、アイテムは多い。そのため試合展開はかなり早くなる。また過去作のマップが登場している部分も注目だ

 そして「CoD」のマルチプレイといえば定番のゾンビモードもプレイできる……のだが、こちらも単体でかなり遊べるし、これまでのゾンビモードにはなかった新しい要素なども盛り込まれている。こちらに関してはまだプレイが足りないため、週明けにじっくりとレポートさせていただきたい。

 3つのゲームモードをプレイできる本作だが、全体を通して感じたのは“どのモードも気軽にテンポよく遊べる”という印象だ。かなり試合展開がはやく1試合が短めに終わる。例えば学校や会社から帰ってきて軽く数戦、お風呂に入ってから寝る前にまた数戦とカジュアルに楽しめる印象だ。

 殺伐としたマルチプレイモードに疲れたなと思ったら、他プレーヤーと協力するゾンビモードをプレイすれば良いし、ヒリヒリとする緊張感が欲しくなったらBLACKOUTモードをプレイすれば良い。「CoD:BO4」だけでグルグルと回せばFPSの主要な遊び方はすべてプレイできるのだ。

 あえてネガティブな表現をするとするならば、“本作でしかプレイできない強烈な個性”がないことだろうか。乗り物が多数登場するようなお祭り感があるわけではないし、飢えや乾きなどまで考慮する必要があるようなコアなサバイバル要素はない。変な例えなのは百も承知だが、本作はファミリーレストラン的な存在なのだ。

 和食も洋食も中華も楽しめるし、それぞれにバリエーションがある。ただ専門店ではないので、貴重な部位を使った焼き加減のレアな肉汁たっぷりなステーキや、背脂こってりのラーメンを食べることはできない。だが王道のメニューが並び、王道のバリエーションがあるからこそ多くの食事客(プレーヤー)が訪れるのだろう。

 「PUBG」や「Fortnite」の爆発的なヒットでこれらからFPSを始めた読者の方もいるだろうし、これまでの「CoD」シリーズでマルチプレイに没頭してきた歴戦の兵士もいるだろう。前者の方にはマルチプレイを遊んでほしいし、後者の方にはぜひBLACKOUTの熾烈なバトルロイヤルを楽しんでほしい。

 そして後日公開予定の後編ではゾンビモードをガッツリとプレイし、こちらの要素についてもお伝えする。そちらにもぜひ期待してほしい。