先行体験
「TRPG ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON」レポート
「ACVI」を仲間と駆け抜ける! TRPGに落とし込んだアセンや忠実再現の世界観が魅力
2025年2月18日 18:00
- 【TRPG ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON】
- 2月20日 発売
- 価格:4,950円
「ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON(以下ACVI)」はシリーズ10年ぶりの新作であり、多数の新規ファンを獲得したメカカスタマイズアクションだ。そんな同作の世界観を丁寧に再現しつつも、友達とリアルで本作の楽しさを味わえるボードゲーム「TRPG ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON(以下TRPG ACVI)」が2月20日に発売となる。
「TRPG ACVI」は、テーブルトークRPGであり、その魅力はなんといっても友達と一緒に物語の舞台「ルビコン3」を冒険できること。「ACVI」には協力プレイがないが、こちらでは最大3人の傭兵と1人のオペレータの計4人+ゲームマスターで一緒にバルテウスやアイスワームといったボスに立ち向かえる。気分はゲーム発売前に公開された「ストーリートレーラー」のウォルターの猟犬たちに近いだろう。
本稿では、先日実施されたメディア先行体験会にて感じた所感を、「ELDEN RING」のTRPG「ELDEN RING TRPG」も担当していた著者のグループSNE・加藤ヒロノリ氏に伺った話と共にお届けする。それでは早速紹介に入る。
「ACVI」をTRPGに融合! ゲームと同じ雰囲気感じるシステム
「TRPG ACVI」は、前述した通りテーブルトークRPGだ。プレイにはトランプとダイスが必要であり、ダイスは1人10個ほどあれば十分そうな印象だった。最大プレイ人数は5人で2人からプレイ可能。内訳はゲームマスター(以下GM)1人とプレイヤー4人(傭兵3人、オペレータ1人)となっている。
また、書籍には1ゲーム辺り2時間程度必要と記載されているものの、慣れてくれば短いシナリオだとテンポよく進められるので、30分程度で終わることもあった。プレイ時間についてはプレイヤーとGMによるところが大きいので、初めて遊ぶ時には数時間かかる場合もあるだろう。
テーブルトークのためリアルタイムアクションゲームが苦手でも楽しめるが、「ACVI」で操作した機体の雰囲気は後述する「ENダイス」やTRPG用に再解釈されたパーツの性能によって十分に再現されている。本作において最も力を入れて作成したのが戦闘の楽しさとのことで、原作同様に「問題があれば、ACを用いた武力で解決する」という物語展開で遊ぶことを想定されているためだ。
そのため、一般的なTRPGの物語性やキャラクター性などのロールプレイについてはGMに一任されている。ロールプレイを楽しみたい人はそれぞれ自分なりの傭兵像を演じながらプレイしてもいいし、純粋に戦闘を楽しみたい人はそちらを満喫できる。というのも、ゲーム本編でも主人公である「C4-621」の心理描写がほとんどないことや、一部を除いて“人”の姿がほとんど登場しないので、まずは戦闘に楽しさを集約させているのだという。
かといってストーリーがないがしろにされているわけではない。オープニングの密航シーンをはじめとしてナレーションも収録されているし、ゲーム本編のミッションが多数シナリオとして収録されている。なお、収録されているのはチャプター3の「アイスワーム撃破」まで。それ以降についてはGMによるオリジナルシナリオで遊ぶのがいいだろう。詳しくは後述するが、シナリオ作りの参考になるような案も多数収録されているので、思い思いの傭兵ライフを過ごせる。
実際の戦闘の流れについては、まずターンの最初にトランプを2枚ずつプレーヤーに配り、大きい数字の方を残しその数字の大きさで順番を決める。その後、各々の機体に振り分けられた「ENダイス」の「ターン開始時」という項目にあるだけダイスを振り、準備が完了。そこからは自分の順番まで待ち、移動や攻撃に必要なコストを手持ちのダイスから支払いプレイしていくことになる。
この戦闘の際のダイスの各数値がゲームと非常に似通っているので、慣れてくれば脳内的にはゲームと同じ要領で戦えるかもしれない。実際筆者は体験会後半には思うように遊べるようになっていた。詳細なゲームルールは実際に書籍で確認してほしいが、ルールはそこまで難しくないためプレイヤー側ならば比較的簡単に慣れると思う。GM側は体験していないが、敵の動き方などを記したマニュアルもしっかりしているため、極端に難しいということはないはずだ。
自分の機体をアセンブルできる! みんなで自慢のACを持ち寄って冒険
「ACVI」が一番気になっているであろう点は「アセンブル(ACのカスタマイズ)はできるのか」ということだろう。加藤氏もここは大切にしたとのことで、しっかりと全パーツが用意されている。ただし、各種パラメーターなどはTRPG用のものに置き換わっており、OSチューニングなども実装されている。
TRPG用のものに置き換わっている例としては、EN(ブーストゲージのようなもの)が挙げられる。本作においてENは「ENダイス」となっており、手元に残せるダイスで表現されている。ジェネレータや胴体パーツの性能で持てる個数と一度に増やせる数が変わってくるので、戦っている時の感覚は比較的ゲームと共通していた。
また、パーツは本編のようにミッションクリアでもらえる報酬で購入したりする必要があるので、ゲーム序盤の「少ない所持金でどうやりくりするか」という楽しみも味わえる。もちろん報酬は弾代や機体の修理代を差し引いた額になるので、零細傭兵の気分も味わえる。
また、アセンブルについてはいくつかの参考機体も載っている。アセンブルしている時間がとれない場合や、「AC」シリーズ未経験の人と遊ぶ時など手軽に遊びたい人はまずはそちらを使ってみるのもいいかもしれない。体験会では参考機体を使って遊んだのだが、十分に惑星封鎖機構大型武装ヘリやテスターACと戦えた。
筆者はゲーム同様「軽量二脚」の機体を使ったのだが、前述した「ENダイス」の感覚はほぼ同じだった。回避にもダイスを使うため、手持ちのダイスが戦うごとに減っていくのだが、一度に増やせる数も多いため何度も回避できる場面が何回もあった。他にも、「軽量ゆえに脆くスタッガーし易い」というゲームの特徴も再現されており、油断してテスターACに切りかかった際には「切り刻まれて撃破される」という事態にも陥った。
さらに、四脚の場合はターン開始時にホバリングできるなど、各パーツやアセンブルの特徴もしっかり反映されている。自分の機体の特徴を把握しないと思うように勝てないというのはゲームと似通った点があるだろう。
なお、体験会で参考機体を使用した理由はアセンブルすると時間がかかりすぎるためだ。ゲームでは軽く組み替えているが、本作では自分で各種パラメーターやスキルなどを計算したりしなければならない。もしかしたらアセンブルで1日が終わるかもしれないほど、奥が深そうだった。本作の為に書き下ろされたACのイラストにも是非注目してほしい。
プラモデルを作っている人などは、実際にプラモデルを組み、皆で持ち寄って横においておくともっとゲームを楽しめるかもしれない。今後のプラモデルの展開にも期待したいところだ。
忠実に再現された世界観
「TRPG ACVI」の魅力は機体性能の再現だけではない。各ミッションを再現したシナリオや世界観も大きな魅力となってくる。「ACVI」において強かったボスはしっかりと強い。協力して倒した時の爽快感はゲーム本編に近いものがある。
また、ミッションによっては敵を倒すだけでなく、目標を見つける為にスキャンして周ったりしないといけないのだがそういった点もしっかりと再現されていた。本作ではマップが用意されており、網目状の各マスに敵や目標がシナリオ毎に設置されている。プレイヤーはダイスを振って移動して攻撃・スキャンなどをしていくことになる。
2次元のマップにも高低差があったり、敵の武器の射程や射線が設定されていたりと細部までこだわっているのが伺えた。加えて、敵の行動はそれぞれあらかじめ設定されているので、GMの負担も少なくて済みそうだった。
さらに、チャプター3「アイスワーム撃破」以降についてはプレイヤー各々が自分でシナリオを作れる様になっている。詳しくは次の項で紹介するが、"ifストーリー"を考えるのも楽しそうだ。なお、エネミーについてもラスボスまで用意されている。
体験会では「惑星封鎖機構大型武装ヘリ」を倒すチュートリアルや「テスターAC」撃破などのミッションをプレイできた。運が悪ければお金稼ぎ相手として狩られている「テスターAC」に撃破されたりもするので、しっかりと考えて動く必要がある。ゲーム本編と同じような達成感もしっかりと味わえる。
本編シナリオ以外にもオリジナルで楽しめる!
前述したシナリオについてだが、「ACVI」から入ってくるTRPG初心者向けにしっかりと参考になる考え方などの例も多数掲載されている。中でも興味深かったのは、ゲーム本編開始より前となる「ルビコンの火」以前を舞台にしたものや、「レッドガン」の一員となって戦うというもの。
本編とは独立したシナリオで、名もなき傭兵のひとりとして戦うこともできるし、ゲーム内勢力の走狗となって戦火に身を投じることもできる。さらに言えば、多数の傭兵が幻視した「陰険メガネ」のイラストを自分のACの横に描いてロールプレイするのもよさそうだ。
「ACVI」においてはゲーム本編の主人公「C4-621」はストーリートレーラーで簀巻きの状態しか出てこないし、なんなら他のキャラクターも収集アイテムに写った後ろ姿しか確認できない。そのため、「オマちゃん」を幻視するし、全く欠片も本編に関わりのない「アーキ坊や」や「ベイ太郎」、「大豊娘娘」などのマスコットが二次創作として生まれた背景もあると思われる。そういったキャラクターが登場する日常パートを入れた自分だけの「ACVI」シナリオを考える自由度もTRPGならではの魅力なのではないだろうか。
基礎がしっかりとゲーム本編を踏襲しているので、二次創作もしやすそうだ。「ACVI」ファンに是非遊んでみてほしい出来栄えだった。
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