ニュース

スマホ期待のRPG「ケイオスドラゴン」の全貌が明らかに!?セガゲームスにインタビュー

国が滅びるかもしれない! ドラスティックに変化するゲームの世界とは?

初夏配信予定

価格:基本プレイ無料アイテム課金制

 「チェインクロニクル ~絆の新大陸~」など数々のヒットタイトルをリリースしてきたセガゲームス。そのセガゲームスがこの夏サービスを開始するのが、ビッグプロジェクトとして様々な会社を巻き込んで企画が進行している「ケイオスドラゴン 混沌戦争」だ。

 発端は星海社の「レッドドラゴン」のプロジェクトだ。虚淵玄氏、奈須きのこ氏、紅玉いづき氏、しまどりる氏、成田良悟氏らが集まりテーブルトークRPGを行ない、新たなる物語を生み出していくという文芸的側面の強い試み中で生み出された。すでにこのプロジェクトが小説として結実しているが、世界観を広げていくことで、ソーシャルゲームやテレビアニメーション、ボードゲームへとそれぞれのメディアの強みを活かしながら広がりを見せ、非常に大きなプロジェクトに広がり続けている。

 しかしストーリーを除けば、ゲームの内容についてはほとんど明らかになっていない。そこでセガゲームス セガネットワークス カンパニーで「チェインクロニクル~絆の新大陸~」などを手がけてきた国内事業部副事業部長の秋山隆利氏、NOW PRODUCTIONで「東京魔人學園伝奇」などを手がけてきた今井秋芳Executive Producer、そして運営を担当するセガゲームス セガネットワークス カンパニーの遠藤峻亮ディレクターにお話を伺った。

 これまでのゲームにはない、サービスの運営で大きくゲームが変わり続ける「ケイオスドラゴン」のゲームの姿がインタビューにより明らかになった。

セガゲームス セガネットワークス カンパニー
国内事業部副事業部長 秋山隆利氏
NOW PRODUCTION
Executive Producer 今井秋芳氏
セガゲームス セガネットワークス カンパニー
国内事業部
モバイルワークス課
ディレクター 遠藤峻亮氏

優秀な人材が集まり「ケイオスドラゴン」のゲーム制作がスタート

――まずこの企画の最初のところから聞いていきたいと思います。星海社のRPF(ロールプレイフィクション)「レッドドラゴン」が“原点”とされていますが、どういった経緯でセガゲームスが関わることになったのでしょうか?

秋山氏:最初は「レッドドラゴン」と「チェインクロニクル(以下、チェンクロ)」でコラボしたいと思っていまして、星海社の太田さんのところに行ったんです。「レッドドラゴン」はファンタジーの世界を舞台にしていて、作家さんや編集者さんたちが世界観にこだわって作りあげたコンテンツなので、その作品のキャラクターを通じて「『レッドドラゴン』という世界観にこだわった作品があるよ」とユーザーに興味を持って、そのうえで「チェンクロ」も、それを表現することができるよと興味を持ってもらう……そのようなコラボを想定していました。

――最初は「チェンクロ」のコラボ企画として持っていったんですね。それがメディアミックス「ケイオスプロジェクト」になっていった経緯は?

秋山氏:星海社の太田さんとしては将来的にゲームを作りたいという思いがあり、さらに当時は進んではいなかったのですが、アニメを作りたいという話もしていまして、ふわふわしていた話を「どういう形がベストなのか?」という方向で相談にのり実現していった形です。お互いの能力を最大限に生かしつつ手を組むといいますか、「プロ同士で集まったら面白いものができるんじゃないか?」ということで、文芸とボードゲームは星海社さん、アニメは東宝さん、グッズはグッドスマイルカンパニーさんがいて、「じゃあゲームは?」というところでセガゲームスがやることになりました。

――なるほど、そこから今井さんにお話がいったのはどういった経緯でしたか?

秋山氏:当初は「チェンクロ」の松永純ディレクターと仕組みや実現性を検討していたのですが、「チェンクロ」と並行で走らせつつ、新しい取り組みをやるために体制面では色々と悩みました。「チェンクロ」のエンジンを上手く使いつつ、違った楽しみを与えられる実現性の高い開発者で、こだわってゲームを作るタイプの制作者であり、ストーリーの魅力を伝えることがすごく得意な方ということで検討した中で昔から交流のある今井さんにたどり着きました。

 その後からはトントン拍子に話は進み実現できそうなところまで見えたので、「それじぁ作ろうか」という話に変わっていきました。

――今井さんとしては最初、どのように誘われたのですか?

今井氏:むかし秋山さんと一緒に仕事をしていたことがあって、そのときはけっこう自由にやっていたんですよ。それで今回も「ケイオスドラゴン」というプロジェクトのタイトルを、「こだわって作りたい」と。それでいて「原作サイドにはアクの強い方々が集まっているので、ゲームとして構築するのが大変なんだけどね」と(笑)。ただそこはいいものにしたいという話で。

秋山氏:確かに「アクの強い人たちがたくさんいる」とは言いましたね(笑)。「俺1人じゃまとめるのは無理だから、今井さんにも手伝ってもらおう」みたいな(笑)。

「ケイオスドラゴン」プロジェクトのメインビジュアル

――遠藤さんが運営サイドのディレクションとして関わり始めたのは?

秋山氏:遠藤は実は昔、僕の部下だったんです。ちょっと尖っていた人間だったのと、たまたまセガにいましたので。

遠藤氏:(笑)。

秋山氏:運営を丁寧にやることを前提に人を捜していて、ちょうど遠藤が丁寧で面白い運営をする人物であったこともあり、声をかけました。

今井氏:最初、遠藤さんを入れるって秋山さんに言われたときにネットで調べたんですよ。そしたらすごい写真がたくさんあって、これきっと俺とは合わないなって思って(笑)。

――(笑)どんな写真だったのですか?

遠藤氏:もともとはモデルだったんです。

秋山氏:たしかイケメンプロデューサーで売り出していたときもあって、執事みたいな恰好をしたり……(笑)。

今井氏:イケメンというだけで、一言でいうと「すごくチャラチャラしているキャラクターなのでは?」と(笑)。「この人と一緒にやるのか……」と思っていたんですが、初めてお会いしたときにめちゃくちゃ好青年だったのでビックリしました(笑)。今でもコミュニケーションがとりやすいですし、印象が真逆に変わったのを覚えています。

――(笑)遠藤さんは最初この企画が来た時どう思いましたか?

遠藤氏:僕はこの世界に入ったとき、PCオンラインゲームの“お約束”を、秋山さんに教えていただいたんです。それから10年来の付き合いです。しばらくはPCオンラインゲームのプロデューサーだったのですが、市場が携帯ゲームの方向に向かっているなと思っていました。ただセガとしては携帯のゲームはセガネットワークスに分業にされていたので、このままだと携帯のゲームに携われなさそうだなというところに、ちょうど秋山さんから「すごいタイトルがあるんだけど興味ある?」と声をかけられました(笑)。そのとき、ちょうどいいタイミングだったのでもう1度はじめから修業しなおそうかなという気持ちで秋山さんの下につきました。厳しい方なので他の人からは「よく行ったね」と言われるのですが(笑)。

――「レッドドラゴン」はRPF(Role Playing Fiction)、オリジナルのTRPGシステムをベースにした作品になりますが、皆さんはTRPG経験はありますか?

秋山氏:ゲーム業界に入ってきて、企画とかをやりたいというときに興味を持ってゲームの歴史などを調べていくなかで、TRPGも通りました。ただやってみようと物を揃えたりはするのですが、やり方もわからないし人もいないという状況だったんです。TRPGって人がいないとできないんですよね(笑)。

――なかなかゼロからTRPGプレーヤーを集めるのは難しいですよね。

秋山氏:だから結果的にはやれませんでしたが、資料はうちにたくさんあったんです。今回はTRPGの面白い部分をどうゲームに実現するかというのをおさえたかったのですが、僕自身はちょっとミーハーな始まり方をしているので、ちゃんとできる人として今井さんをお呼びした、というのもあります。

――なるほど、今井さんはかなりTRPGに親しんでらっしゃるというお話をうかがいましたが、実際どういうものをやられていたんですか?

今井氏:私はもともと「トラベラー」や「Call of Cthulhu」が大好きで、そこから「D&D」とか……あとは「ルーンクエスト」が好きでかなりやっていました。

こだわり抜いた世界観を作り上げ、ストーリーを体験できる

――TRPGをスマホのゲームに落とし込むうえでどういう部分が肝になると考えましたか?

今井氏:テーブルトークはストーリーテリングで世界をユーザーに感じさせるものだと思います。それって元々「チェンクロ」も持ってる理念なんですけど、今回の「ケイオスドラゴン 混沌戦争(以下、混沌戦争)」はその部分をより強くしたかったんです。だから今回、見せ方の部分はかなりこだわらせていただきました。カーソルひとつ、ウィンドウひとつとっても独特の世界観を感じられるものを重視しながら作っていて、そこがNGだとよくある薄い感じになってしまうのですが、そこは秋山さんも遠藤さんも「(こだわって作って)いいよ」と言ってくれました。

――今回原作の「レッドドラゴン」、アニメ「ケイオスドラゴン 赤竜戦役」から見て10年後の世界にあたるということですが、なぜそうなったのでしょう?

秋山氏:今回大きいマルチメディア展開なので、よくある「キャラクターをゲームに持ってきました」というのでは面白くないんですよね。そこは各社できっちり役割分担して、それぞれ「レッドドラゴン」の世界を使ってそれぞれで解釈して、世界のより深いところまで表現しきってみようというのがプロジェクト全体でやっていることですね。

――なるほど、シェアードワールド的な発想ですよね。だからこそ今井さんが先ほど言っていたようにかなり世界観にはこだわって作ってると。

今井氏:そうですね、たとえば「レッドドラゴン」では描かれていない部分の設定もゲームのために起こしています。例えば風景の絵や、各民族の衣装、各国それぞれのビジュアルや住んでいる人たちの立ち絵という風に、無かったものを新たに具現化しています。だからゲームが逆に、ベースとなっている「レッドドラゴン」やアニメ版「ケイオスドラゴン」の世界観を補完する意味も強いんです。ゲームをプレイすることで、より強く、世界を感じてもらえるかなと思います。

秋山氏:制作においてもっとも力を入れて時間がかかったところというのは世界観の構築ですからね。

今井氏:シナリオの構築も時間がかかっていますし、ディレクションする上でも原作を読んだ上で「この国にこの装飾品はおかしいよね」と半端じゃない数のリテイクを出しています。

――そういった世界観の制作はどなたが主導で行なっているのですか?

秋山氏:ゲームに出てくる設定は、ゲームの制作側で自由に作ったうえで、星海社さんを通じて三田誠さん、小太刀右京さんを中心とする原作サイドに監修してもらっています。原作側と一緒に話をして深堀りしてもらったのは、どちらかと言えばセガゲームスというよりは、今井さんという感じですね。もともとの世界観はどちらかといえば小説家さん達の世界観なので、ゲームほどディティールは細かくなかったんです。アニメを書いている作家さんとゲームを書いている作家さんがほぼ同じ人なので、基本的なアウトラインはなぞってもらいつつ、ゲームにする上で必要なディティールは今井さんに補完してもらったという感じです。

今井氏:そこはやっぱり原作サイドがプロジェクトの全部を見てくれてるのも大きいですね。さまざまな作家さんの世界観が入り交じっていても、全部の整合性は取れてるんですよ。

秋山氏:全体で一緒に事業展開しているので、すべてにかかわる原作者さんにはかなり苦労してもらっているのですが、今回我々としても極力原作者のわがままに付き合ってみようという無茶な試みをしています。そのしわ寄せのすべてがNOW PRODUCTIONさんに行くという(笑)。

――なるほど。ゲームでは各国のディティールが起こされているということですが、舞台は世界全体になるということでしょうか?

秋山氏:最初の舞台は原作やアニメと同じニル・カムイから始まり、アニメの10年後の世界に再びケイオスが蔓延した理由を調査するため、プレーヤーが旅に出ます。

 今回何人かのシナリオライターさんとイラストレーターさん、漫画家さんに国ごとの分担を割り振って、国ごとの歴史やイベント、ビジュアルまで国ごとに統一してもらっているので、かなり国の特色は出ていると思います。

遠藤氏:もうビジュアルからして全然違うので、7つの国ごとに7個分のゲームが詰まっているぐらいのボリューム感です。設定資料も膨大な量になっていますよ。

今井氏:ゲームは長いので、たとえばひとつの大陸にどんな町があってどこが戦えるのかとか設定してないと、後半が薄くなってしまうんですよ。だからそこはしっかり設計しました。

【フィールドマップ】

【登場する国の国旗】
ニル・カムイ
ジャグルドグル
ヴヴブブ
ゲルバン帝国
大蘭國
ムルルー
ヴァラガン共和国連邦

――本当にゲームが進むにつれて世界中を歩きまわれるようになるんですね。

今井氏:もちろん! また今回のゲームのために私の方で起こした「記憶を見る」という設定があります。これは「物にはすべて記憶が宿っている」という概念で、例えば過去の遺物や、歴史あるものを触ると主人公がその記憶世界を見られるんです。今回アニメの10年後の世界がゲームの世界という設定なので、アニメのキャラクターやエピソードもうまく織り込むことができました。

 「ケイオスドラゴン」の世界をすべて網羅できる、ゲームになっているという自信があります。

――地理的にも歴史的にも、メディアミックス的にも本当に「ケイオスドラゴン」の世界を楽しみつくすことができるわけですね。先ほど「チェンクロ」の戦闘をベースにしているというお話がありましたが、具体的にはどういったものになるんでしょうか?

今井氏:「チェンクロ」を戦闘シーンの演出の参考にはしてるのですが、実質的には、最初から作ってるようなものでした(笑)。勝利条件が違ったり、単純な防衛戦だけではなかったりします。

秋山氏:RPGっぽい戦った感じがするバトルは、「チェンクロ」の演出が我々の技術でいちばん最適と思いましたので、参考にはしています。

 ただ、「混沌戦争」のプレイ感は「チェンクロ」とは同じものではなく、キャラクターを操作している印象を受けるような仕組みや作りを目指しています。

 例えば、RPGらしく成長の実感が得られるよう、装備品の入手や錬成といったように、単にキャラクターを入手して育てる遊びではなく、プレーヤーが介入できる箇所を多数用意しています。ただ、あまりにハードルが高すぎると、スマートフォンゲームのプレーヤーには難しい遊びになりますから、「チェンクロ」ぐらいのプレイ感は楽しめて、本格的に遊ぶなら「三國無双」のような感じで、操作と育成で敵を殲滅できるような、ライト層にもコア層にも遊ぶことができる、両立したゲームを提供したいと考えています。

戦闘シーンで、本作独自の「フリック技」を発動したところ

「ガチャ主体で仲間を増やすゲームではない」!

事前登録でもらえるキャラクター「イザナ」。本作ではキャラクターの価値が高そうなので、事前登録をしておくとゲームを進める上でお得だ。事前登録サイトはこちら

――冒険する上での仲間の扱いはどのようなものなんでしょうか?

秋山氏:シナリオの延長線上でその都度仲間が変わるという感じです。

今井氏:そこが大きく従来のスマートフォンRPGとは違うところですね。「ガチャをどんどん回して仲間を増やす」というシステムではないです。

秋山氏:もうちょっと冒険ってストイックな感じだと思うので、「混沌戦争」は気の合った仲間と旅をするというよりは、共に死線を潜り抜けた仲間という印象を得られるように構成しています。

今井氏:やはりどんどん新しい仲間が加わるとキャラクターへの愛着が薄くなっていくと思うんですよね。私はRPGはキャラクターへの愛着を持ってほしいという感覚がありますので、キャラクター1人1人のストーリーをしっかり描こうと思っています。だから、キャラクター一覧の代わりに相関図を見られるようにしました。

秋山氏:「チェンクロ」ではキャラクターの人間性とドラマを追っていくことで絆を深めていくということがテーマなのですが、「混沌戦争」ではもっと世界観に重きを置き、その中で人間関係などを深堀りして、結果的にどういドラマがあったのかを知ってもらおうと思っています。つまるところ我々がやりたいことって“スマートフォンで楽しめる本当のRPG”を作ることなんですよね。どこまでお客さんが受け入れてくれるかというチャレンジではありますが(笑)。

――そうなると課金要素はどういった部分に充てられるのでしょうか?

遠藤氏:装備と、バトル時間を短縮するようなアイテムが主な課金要素になると思いますが、しっかり時間をかけて遊んでいくことでも、ストーリーが十分に楽しめるというバランスは重視しています。

秋山氏:時間をかけて攻略して、世界を楽しんでもらいたいのですが、時間が無い人はアイテムを上手く使って楽しく遊んでもらえればと思います。ガチャというよりは、アイテム課金の方が近いです。

――なるほど、よりオンラインゲームらしい方向性ですね。そうするとデッキではなく、装備によってキャラクターやプレーヤーごとの個性が変わっていく方向でしょうか?

今井氏:そうですね、たとえば「この土地はこの装備で挑むとスムースに攻略できる」という要素もあったりして、従来のデッキを組むゲームよりも、納得のいくものを目指しています。「火山地帯でこの装備だといいよね」とか、「このモンスターにはこの武器がいい」とか、そういうゲーム的な要素ですね。

敵に応じて、戦い方を変える必要がある!?

――なるほど、遠征するのに準備というか、装備を整えていくというのが重要になってくるんですね。

今井氏:そういった部分を地域ごとに切り替えやすいやすいように装備セットを登録できるようにしたりとか、ストレスを感じさせないプレイ感にも気を配っています。

遠藤氏:今回装備が中心となるゲームを作っているのですが、装備を変えるのが楽しいんですね。装備を変えると見た目も変わるので、集める楽しさもあります。お気に入りのコーディネートを楽しむという方向でも盛り上がって欲しいですね。

――プレーヤーが関わる部分でいうと、シナリオやマップの移動はどんな風になるのでしょうか。

今井氏:コンパスというアイテムを使ったり、装備の記憶をたどったり、シナリオをクリアしたりすることでで新たな経路が現われて進めるようになります。どういったシナリオをどの順番でクリアするのか、アイテムの出現によりどのシナリオをプレイするのかなどプレーヤーごとに異なるので、人によってプレイする感触は異なるのも特徴です。

秋山氏:さすがにメインストーリーの流れは変わらないですけど、周辺ストーリーの結果や歴史がどうなったかを追うのが今回の主人公の目的なので、結果として、人によってストーリーのナゾを知る順番が違うという現象が発生します。追えば追うほどに、情報があちこちから出てくるようになっているので、ひとりひとりが違う体験をする事ができます。

自由な運営でドラスティックに変化する国とストーリー!

――「メインが終わってからが本番!」みたいな形でしょうか?

遠藤氏:メインストーリーを追うだけでも、かなり時間がかかると思います。相当なボリュームになっていますので。あとは、先の話になりますが“国家間戦争”という遊びも予定しています。プレーヤーごとに加担する国を選択し戦いを楽しめるのですが、その結果いかんによって地理やストーリーが大きく変化することも考えています。

秋山氏:たとえば守り切れなかった国が消滅してケイオスが蔓延していく、ということも運営で演出として盛り込んでいこうとしています。

――えっ、じゃあ途中で入ったらもう国がなかったりすることもあるんですか?

秋山氏:その可能性はありますね。ですから最終的にどの国を選択するのがいいのか、ひいてはどの小説家さんとイラストレーターさんを選択するのがいいのか? みたいな話になるかもしれません(笑)。

今井氏:開発側としても大型アップデートみたいな感じで世界がちょっと変化して、「この国が崩壊しかかってる!」という情報を見せていくというイメージがあります。

――かなりドラスティックな変化を予定してるんですね。それはどういった形で行なわれるのですか?

今井氏:たとえばボードゲーム「ケイオスドラゴン 覇王春秋」のイベントと連動することを検討しています。各国の国家代表となるスタープレーヤー(作家さん)にボードゲームの対戦を行なっていただき、そのリプレイの模様を小説仕立てにしてWEBで公開します。プレーヤーがアプリゲームを頑張ることにより、作家さんの初期資源が増えますので、好きな作家さんを応援していただきたいですね。しかも、そのボードゲームの勝敗いかんで国がつぶれたりするかも? という取り組みです(笑)。

――場合によってはかなり不利な状態からボードゲームが始まったりするんですね。

秋山氏:だから、そのイベントがある前に国家元首が「俺のために働け!」という風にゲーム内メッセージを配信したりすることも予定されていますよ。

今井氏:あとはある国にケイオスの大群が押し寄せてくるというイベントがあったとして、それを防衛する戦いをボードゲームで行なっていただくのもありだなと考えています。それに失敗するとゲームの方でケイオスが大量に発生する結果になったりして。

秋山氏:実際のゲームサービスは本当にオンラインゲームに近くて、日々変化する運営の中で、プレーヤーとスタープレーヤーがどう守り抜いていくかというのを求めていこうとしています。

――国家間戦争で、プレーヤーの国への加担というのはどういう形で行なわれるんでしょうか?

今井氏:それぞれ王の都があるんです。そこから「お触れ」が出て、それを受けるかどうかで国に肩入れするかどうか決まったりします。

遠藤氏:各国の王様(スタープレーヤー)がそれぞれの思想で国を治めているので「あのスタープレーヤーが困っているから、この国に加担しよう」という贔屓はあると思います。

今井氏:先ほど言ったように、WEBで公開予定の小説仕立てのボードゲームのリプレイを読むと各国を運営するそれぞれのスタープレーヤーの思想がわかるんです。それによって支持するのかしないのかは分かれてくると思います。

秋山氏:たとえばニル・カムイの国家元首の三田誠さんが「戦争になったから助けて!」って言ったときに、「助けてくれたらこういうことするよ」ってコメントしたりするかもしれません。国に加担するときにどこに価値を見出すかという話で、イラストやお話に価値を見出すのか、キャラクターに価値を見出すのか、あるいはそういうコミュニケーションに価値を見出だすのかはプレーヤーが自由に選択できます。まだまだ調整中ですが、それぐらい緩く遊べるゲームを目指しています。

――そこはある意味TRPG的なコミュニケーションとロールプレイングのゲームに回帰していておもしろいですね。

秋山氏:国同士の戦争にユーザーが加担して、「お触れ」が出て加担して戦って頑張ったら「この『ケイオスプロジェクト』のどこかの記憶で、○○平原で○○というプレーヤーが誰を倒した」という歴史が記述されるといったような、そういう楽しみも用意したいと思っています。

――大きい意味でもささやかな意味でも歴史が刻まれていくという感じですね。お話を聞いてると運営はかなり大変そうですが、たとえば頻繁にアップデートされるとなると運営はもちろん、プレイする側としても大変な気がしますが、そのあたりはどう対応されるんでしょうか?

遠藤氏:先ほど今井さんが語られていたような、状況に合わせてケイオスが蔓延していくような表現は、実はアップデートしなくても対応できます。かなり臨機応変な運営ができるので、臨場感を感じていただけると思います。

今井氏:ベースの作成はかなり大変でしたね。

秋山氏:そこもあらかじめ計画していて、最初からゲームシステムの中に反映させてもらっているんです。その演出で“生きているゲーム”として見せようというのが今回やろうとしていることです。

 もちろん双方向的な遊び方だけでなく、1人でプレイしても原作に忠実なストーリーがあって、いろんなアイテムの記憶をたどって世界を体験するということで、今回世界観にこだわった作り方になっています。アニメなどいろんなものとの連動感によりプレーヤーがより「ケイオスドラゴン」の世界を感じられるような状態を作ろうとしています。

遠藤氏:毎日何が起きるかわからないみたいなドキドキ感が演出できる仕組みになっています。たとえば「今日はリアルな世界で雨が降ったからケイオスが発生しました」というようなこともいきなりできるようになっているので、そういう部分はプレーヤーの視点からするといつ何が起きるかわからないし、そのリアルタイム性にも注目してもらえると、運営もやりがいがありますね。

秋山氏:先ほどお話しした国家戦争はまだ企画段階なのですが、どんなふうに反映する事ができるのか、非常に楽しみですね。

――先の予定までお話いただいてありがとうございます。最後に意気込みやゲームでやりたいことをお聞かせください。

今井氏:今回はアニメもボードゲームもそうなのですが、「ケイオスドラゴン」の世界をユーザーに体感してもらおうと思って作っています。ソーシャルでもコンシューマーでも変わらずに「ゲームとして面白いもの」というのを目標に掲げているので、きっと楽しんでいただけるのではないかなと思います。

 私を知る人は、私が伝奇ものや現代ものが得意なのではと思う方も多いと思うのですが、私はもともとファンタジーものが大好きで、たとえば私が好きな栗本薫さんの「グイン・サーガ」も各国の情勢や歴史が描かれた物語なんですよね。今回「混沌戦争」を作るにあたってもそこらへんの経験や感覚が生きていると思うので、ぜひ細かいところまで楽しんでいただけたらと思います。

遠藤氏:僕は運営面でプレーヤーに様々な楽しみを提供できるように注力していきます。本作にはスマートフォンゲームの枠を超えたコンテンツをたくさん組み込んであるので、そういうところでユーザーを巻き込んで、面白い運営だよねって言ってもらえるような仕掛けを考えているところです。皆さんにはその辺を楽しみにしていただけたらなと思います。

秋山氏:セガゲームスという会社は、コアなコンテンツを作って、やれることを限度いっぱいまで詰め込み、面白いものをちゃんと創造するというのが魅力だと自負しています。「チェンクロ」ではコンシューマー的なゲームを作り上げることができたので、今度はTRPG的なゲームの魅力をたっぷり詰め込んだスマートフォンゲームを運営していきたいという思いがあります。

 制作側に面白い人たちをたくさん集めましたし、システム面も「ちょっとやり過ぎだろ」というところまで詰め込んでみたので、あとはこれが今のプレーヤーさんにどこまで受け入れられるのか? 可能性を感じてくれるのか? というのを追及していきたいと思います。私はコミュニケーションの中で一喜一憂するのがオンラインゲームの楽しさだと考えています。その楽しさをスマートフォンゲームのサイズにどう落とし込んでいくという、個人的に興味があることを実現できましたので、お客さんと一緒に作り上げていき、「混沌戦争」の世界を完成させられればと思います。

――ありがとうございました!

(大用尚宏(クリエンタ))