Electronic Entertainment Expo 2010現地レポート

2K Games、「Civilization 5」のゲーム内容をクリア直前まで紹介
内政、外交、戦争。すべての面に新鮮味溢れる作品に


6月15~17日開催(現地時間)

会場:Los Angeles Convention Center



 E3エキスポ会場の2K Gamesブースでは、この秋PC向けに発売される予定の「Civilization 5」のデモプレイを見ることができた。タイトルを紹介してくれたのは開発元「Firaxis Games」のマーケティングディレクターPete Murray氏と、2K GamesのプロデューサーTiffany Nagano氏。

 発売が近づいていることもあり、今回のデモではゲーム開始時の古代から、勝利目標が達成目前となる現代のシーンまで、幅広い年代のゲーム画面を確認することができた。内政、外交、そして戦争と、シリーズを通じて守られてきた基本はそのままに、様々な面で新鮮味のあるゲームに仕上がっている。


■ 6角形ヘックス採用でゲーム性も変化。すっきりしたUIでサクサクとプレイできる

プレイ画面。ローマのカノン砲でイングランドのライフル兵に遠隔攻撃を仕掛けようとしている
都市管理をしているシーン。メイン画面が切り替わることなくシームレスに操作できる
外交画面のナポレオン
エリザベス

 順を追ってご紹介していこう。まずシリーズ最新作として大きな特徴となっているのは、本作ではじめて6角形のタイルが採用されたことだ。これにより従来の4角形タイルに比べ、東西南北の距離感が正確になり、ヘックス同士の隣接関係も的確に表現できるようになっている。

 地形表現は前作とほぼ同じ、平野、森林、丘陵、山岳、海といったタイルセットになっている。今作では各タイルのデザインが文明圏によって変わるようになっており、Murray氏の解説ではアジア、ヨーロッパ、アメリカ、アフリカといった形で別々のタイルセットがデザインされているそうだ。

 軍事面での最大の違いとなるのは「1タイル1ユニット」という厳密な制限が導入されたこと。従来のシリーズ作品では1タイル内にいくらでもユニットを置く(スタックする)ことができたため、数10個のユニットを同じタイルに溜め込んで運用する「地獄スタック」というプレイスタイルが発生してしまっていた。それではゲーム性が大味になってしまうので、本作では1タイルに駐留できるユニットは1つだけとなり、全体としても生産できるユニット数は大幅に減っている。例えば鉄資源1つにつき剣士1体、といった制限がある。

 このような仕様のため、「Civilization 5」における戦争は常に高い戦略性とともにプレイすべきものになっている。特に重要なのは、領土を守る/攻めるために「どのタイルを確保するべきか」という判断だ。各ユニットは前作と同じく丘陵や森林による防御ボーナスを受け、渡河作戦では攻撃力にペナルティが発生するといったルールが継承されている。その中でユニットをどう運用するか、常に配慮する必要があるのだ。

 有利な位置を確保するためには、外交オプションの活用も有効になってくる。本作ではメインの文明のほかに、1都市で構成されるマイナーな文明「都市国家」が登場。これに文化圏の拡張や金銭の供与といった手段で政治的影響を与えることで、国境開放や軍事ユニットの提供など、自文明に有利な条約を締結することができるのだ。ライバル文明の背後にある都市国家を味方にできれば大きな戦略的アドバンテージとなる。

 ユーザーインターフェイスの変更点についても知ることができた。特に便利そうに思われたのは、重要イベントの「お知らせシステム」。探索での重要な発見や、内政・外交での重要イベントが発生すると、メイン画面右側にお知らせ用のアイコンが常駐するのだ。これによりクリティカルなイベントを見過ごしてしまうことが激減する。

 また、都市運営のユーザーインターフェイスも前作に比べてかなり違うものになっている。具体的には、前作のように明確な「都市画面」というものがない。都市をダブルクリックするとメイン画面の両脇から都市運営に関する情報・操作のパネルがスライドしてきて、画面を切り替えることなくすべての操作が可能になっているのだ。

 人口の概念や食料・交易・工業といった都市労働のシステムはシリーズの基本ルールを継承している。だが文化圏の拡張については、自然に拡大することを待つ以外に、1タイルあたりいくらかの金銭を支払って「タイルを買う」ことができるようになっている。これにより都市の成長を加速したり、重要資源タイルを早期に確保するようなことが可能だ。

 また内政面では、文明の政治・経済の体制を制御する「政策」パネルの存在を確認することができた。前作では5つのカテゴリーに分けられた「公民」により文明の様々な傾向を調整することができたが、今作では「権利」、「信仰」、「経済」といった単位で8つのカテゴリーが用意され、しかもそれぞれのカテゴリー内に技術ツリー状のものを確認できた。どうやら内政面は相当細かいコントロールができるようになりそうだ。


■ 宇宙船を「これ見よがしに」可視化。勝利目前のデッドヒートはあの兵器で……

現代の場面。強力な兵器が戦線に配備されている
海洋ユニットは都市砲撃能力があるため非常に重要。制海権の確保が戦争の行く末を握る

 今回のデモでは、古代・中世と来て最後に現代のプレイシーンまでが公開されている。勝利目標の達成が近くなる現代のシーンでは、アステカ文明のモンテズマが技術勝利を目指して宇宙船のコックピットを建造しているところからデモがスタートした。

 「これはうまいな」と思わされたのは、今作では建造された宇宙船のパーツがメイン画面上で可視化され、首都に輸送されていく様子が見えることだ。これみよがしにタイル上に表示されるアステカ文明の宇宙船コックピット。これを目の当たりにしてみすみす技術勝利を許すプレーヤーはいるまい。これが当然火種になるわけである。

 というわけで現代における戦争の様子も見ることができた。今作では都市自体が防御ユニットのような役割をもち、ヒットポイントが設定されている。占領を行なうためにはこれを削ってから歩兵などのユニットを送り込む必要があるが、その場面で大いに役立つのが船舶系のユニットだ。強力な遠隔砲撃で効率的に都市のヒットポイントを削ることができるためだ。

 現代の軍事ユニットとしては、攻撃ヘリ部隊や機甲師団、機械化歩兵、対戦車砲といった前作に似通った構成を見ることができた。やはり守りに入ると相当硬いようで、技術勝利目前の文明を阻止するのは至難のわざ。そこでMurray氏が「おなじみの、究極の方法」として使用したのが、シリーズを通じて登場しているICBMだ。

 今作のICBMも相当強力で、最大レベルまでに発展した都市に着弾するや、画面中が閃光に包まれた。巨大なキノコ雲が晴れると、都市の周囲数タイルにいたユニットは消滅。都市そのものも人口が半分以下に減り、近くに配置されていた宇宙船のコックピットも破壊されてしまっていた。

 当然、核兵器の使用はプレーヤーの評判を下げ、世界中を敵に回してしまうことにつながる。占領した都市は「併合」、「傀儡化」、「破壊」の3オプションから処遇を選択できるが、放射能に汚染された都市を占領しても当分使い道はない。しかし、それが首都なら話は別だ。首都の喪失は文明の敗北を意味するからである。

 というわけで、シリーズを通じて守られてきた醍醐味はそのままに、新鮮味溢れる内容が楽しめそうな本作。Windows PC向けにこの秋発売予定だ。日本語版についても情報が入り次第お伝えしたいと思う。

【Civilization 5】


(2010年 6月 17日)

[Reported by 佐藤カフジ ]