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こいつはロボゲーの新境地だ!「Titanfall」βテストレポート

ロボ&パイロット、華麗に融合する2つの戦いと連携の妙

巨大なるタイタン、躍動す

 2月14日にスタートした「Titanfall(タイタンフォール)」のクローズドβテストが盛況だ。本作はPC、Xbox 360、Xbox One向けのFPSで、国内では3月13日にPC版、Xbox 360版が3月27日に発売される予定となっている。

 本クローズドβテストはEAサイトから参加申し込みを行なったユーザーを対象に、マルチプレイモードのうち3種のゲームルールがプレイできる。フレンドとのチーム単位でのプレイや経験値取得によるレベルアップ要素も実装されており、ロボットとパイロットが織りなす痛快なゲーム性を確かめることができた。

スゴいのはタイタンの迫力だけじゃない。大胆かつ緻密に編み込まれたゲーム性

呼び出すとタイタンが空から降ってくる。乗り込め!
タイタン同士の戦いはド派手で迫力たっぷり
歩兵視点で見ると、デカいわ地面は揺れるわでもう大変

 本βテストでは「ATTRITION」(チームデスマッチ)、「HARDPOINT」(コンクエスト)、「LAST TITAN STANDING」(リスポーン無しのタイタン殲滅戦)の3ルールが遊べる。1チームは6人編成で、両チーム合わせて12人での対戦となる。

 体高10メートルにも及ぶ巨大ロボ、タイタンは、まさに重戦車のような存在だ。生身のパイロットを一撃で粉砕する火力、強力なシールドと膨大な耐久力。周りに他のタイタンがいなければまさに無敵、ゴリ押しで前線をぶち抜いていく。

 プレーヤーはこの超兵器を乗りこなすパイロットだ。ラウンド開始時はパイロット同士の銃撃戦が中心となる戦場も、やがてタイタンの出撃準備が整い、大地を揺るがすような巨獣を中心とした戦いが展開し始める。

 これにパイロット視点で相対すれば、それはもう体の芯で恐怖を感じるほどのスゴい迫力だ。パイロットとタイタン、全くスケールの異なる2者がひとつの戦場を創りだす、未体験の感覚。ただ巨大ロボ同士で同士で殴りあうだけのゲームであれば、このような迫力は生まれなかっただろう。

 戦場にはプレーヤーだけでなく、ドロップポッドから多数出現するAI制御の雑兵たち「ミニオン」もいる。ミニオン単体はパイロットに比べてはるかに弱いが、要所に多数出現し地味に応戦してくるため放置すると厄介だ。プレーヤー相手には負け越すカジュアルゲーマーでも、ミニオン相手には無双状態。楽しくストレス解消しつつチームに貢献できる。

 そういった本作ならではの要素を楽しみつつ1セッション10~15分、数十戦のプレイを通してみて感じたのは、新奇性のあるたくさんの要素が過不足なく絡み合って、ひとつのゲーム体験として非常によくまとまっているということだ。

 たとえば、ウォールランでスタイリッシュに戦場を駆け巡り、銃撃でミニオンを排除。拠点を制圧しながらタイタンを呼び出し、操縦席にジャンプイン。屋内に敵が潜んでいれば飛び降りてタイタンを自動戦闘モードに任せ、ダブルジャンプで建物内の制圧へ。敵を排除し、そのまま屋上に駆け上がって敵タイタンを上空から急襲。劣勢と見れば自機に飛び移り、再びタイタンで戦う……。様々なアクションがとてもスムーズに展開できて、気持ちが良い。

しかしあくまで主人公はパイロットたち
拠点を防衛するミニオン。1体1体は弱いのでなぎ倒せる
「Vortex Shield」で敵の攻撃をキャッチ。ハハハもっと撃ってこい!
多くの攻撃を受けるほど、お返しは激烈に
カウンター狙いの敵をぶん殴れ!

 パイロットとタイタン、両者をスムーズに行き来できることと同時に、それぞれの戦いで展開する独特の駆け引き要素も注目点だ。

 例えばタイタンの補助装備の一種である「Vortex Shield」。これは敵の攻撃をマグネットシールドに受け止め、解除と同時にそっくりそのままま反射できるというものだが、チャージが残っている限りは何度でも小刻みに発動できるところがポイント。

 敵が「Vortex Shield」を発動したらむしろ全力で攻撃を撃ち込み、跳ね返されるタイミングで今度はこちらが「Vortex Shield」を発動。さきほど自分が撃った弾と、それに続く敵の攻撃もまとめて受け止め、塊となった砲弾・ミサイルを叩き返す。直撃すれば一瞬で敵のシールドを剥ぎ取り、体力の大半までを奪うほどの一撃となる。

 タイタン同士の全力斉射はこのような反撃に繋がるリスクがあるため、「Vortex Shield」の発動タイミングを伺い合う展開が常だ。例えばこちらが「Vortex Shield」を一瞬だけ発動して見せて、敵の反射狙いを誘発。そこで敵がより長く「Vortex Shield」発動すれば、続く反射合戦で必ず勝てる状況が成立する。逆にこちらがチャージ切れなら、反射不能のパンチでボコれ! ……といった工夫の見せ所である。

 一発逆転を狙うなら、あえて劣勢に身を晒すのも手。敵の集中攻撃を全て受け止めれば、カウンターの威力は敵1体を1発で粉々にするほど。「Vortex Shield」ひとつでこれだけの戦略性が生まれる。リスクとリターンの関係が非常に明確で、突き詰めれば詰将棋のように展開を計算可能であることも、本作における駆け引きを面白くしている。

致命傷を負わせたタイタンの胸部を殴ると、中身を引っこ抜いてパイロットキル
火力勝負の性格も強いため、複数での囲い込みが非常に有効
自由度の高いパルクールアクションで屋根から屋根へ、自在に飛びまわれる
敵タイタンの背中にとりつく「ロデオ」アタック

 こちらも新奇性の高い、パイロットの2段ジャンプ、壁走り、壁登りなどのパルクールアクションは「Mirror's Edge」や「PROTOTYPE」と同様の切れ味があり、3階建建ての屋上にも数秒で登れるほどだ。これは単に格好いいからあるわけではなく、タイタンスケールの地形をパイロットが自由に動き回るため、さらに言えばタイタンに上空からの奇襲をかけるために存在する。

 タイタン同士が大口径砲やミサイルで撃ちあう中、生身のパイロットが細かく動きまわり、敵タイタンの背中に飛び乗る。この「ロデオ」アタックでタイタンの後頭部にあるメンテナンスハッチを開け、脆弱な機関部にマシンガンの連射を叩き込む。この攻撃はタイタンのエネルギーシールドを貫通して耐久度を直接削り、3マガジンほど撃ちこめば体力満タン状態のタイタンでも破壊できる。

 かたやタイタン同士の撃ち合いは時に慎重になりすぎ、互いにシールドを削り合うだけの膠着状態に陥りやすい。それだけに、立体機動からのロデオアタックで状況を打開できるパイロットとの連携は極めて重要だ。

 たとえ自分のタイタンが撃破されても、緊急脱出による上空への射出は、敵タイタンへの奇襲に繋がる新たなチャンス。俯瞰で敵味方の配置と地形を見極め、次の最善手を探る。状況的にロデオが無理なら対タイタン武器で火力支援を展開してもいい。それとも、味方に張り付いてロデオ中の敵プレーヤーを先に撃破すべきか。どれもプレーヤーの判断次第、すべてが必然的に展開して新しい局面を生み出す。

 このように、タイタンとパイロット、あらゆる状況で有効な選択肢が過不足なく用意されていることが、本作のゲームメカニクスの真髄だ。判断とテクニックを磨くほどにプレイが深まり、スキルの差が如実に結果へ現れる。常に新たな挑戦と達成を求めるゲーマーにとって、非常に好ましい内容になっている。

純粋なパイロット同士の戦いでも、地上戦と空中戦のメリハリがあり、テクニカルで楽しい
タイタン同士の戦いに割り込み、パイロットの身でタイタンキルを狙う。本作の立ち回りはとても自由だ
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(佐藤カフジ)