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PS Vita「俺の屍を越えてゆけ2」イベントレポート

桝田省治氏が台北で語った、“極端な子孫”を残すことで広がるゲームの楽しさ

1月23日~27日開催

会場:Taipei World Trade Center

 Sony Computer Entertainment Taiwan(SCET)は、「Taipei Game Show 2014(台北国際電玩展)」にブースを出展し、非常に豪華なステージイベントを毎日開催している。初日である23日は、PlayStation Vita用RPG「俺の屍を越えてゆけ2」のゲームデザイナーの桝田省治氏をはじめ、PlayStation Vita用アクション「ソウル・サクリファイス デルタ」のコンセプターの稲船敬二氏など多数の日本人クリエイターが登壇し作品の魅力を語った。

 弊誌ではこれらのイベントを積極的に取り上げていきたい。様々なメーカーが次々と登壇するステージイベントはとてもリッチな雰囲気だ。これだけのクリエイターが一堂に会する機会は、それほど多くないだろう。

 そして何より台湾ユーザー達の反応が良い。惜しげもなく声援を送り、覚えた日本語で語りかけ、歓声を上げる。イベントの前はコンパニオンが「○○さん!」という感じで会場にクリエイターに呼びかける練習をさせるのだが気持ちが良い素直さで大きくクリエイターの名前を叫ぶのが微笑ましい。クリエイターと出会えることを心の底から楽しんでいるのが伝わってくる。

 また、各イベント終了後は台湾メディア向けの囲み取材があり、ここではゲームの内容に関してさらに突っ込んだ質問なども行なわれていた。弊誌ではイベントレポートと共に、インタビューの内容も紹介していきたい。本稿では「俺の屍を越えてゆけ2」ステージの模様をお伝えしたい。

「俺の屍を越えてゆけ2」は台湾でも日本とほぼ同じ2014年夏に発売!

「俺の屍を越えてゆけ2」のゲームデザイナーの桝田省治氏
コンパニオンの顔を取り込みプレーヤーキャラクターに

 今回、最初に登壇したのはPS Vita用RPG「俺の屍を越えてゆけ2」のゲームデザイナーの桝田省治氏だ。桝田氏は1月22日が54歳の誕生日で、初めてスイカジュースを飲んだと言う。挨拶で桝田氏が誕生日のことをコメントすると、会場から「おめでとう」という言葉と共に、大きく拍手が上がった。

 「俺の屍を越えてゆけ2」は2014年夏に日本で発売予定で、繁体字中文版もほぼ同時期に発売予定だという。前作同様「俺の屍を越えてゆけ2」は非常に特殊なRPGとなっている。プレーヤーキャラクターは常人の数倍で成長し、2年しか生きられない「短命の呪い」と、人と交わり子孫を残せない「種絶の呪い」を受けており、神々と交わり子孫を残しながら目的を果たすべく代を重ねていくこととなる。

 物語の舞台は平安時代。今作ではプレーヤーキャラクターは京の人々が鬼のたたりを恐れ、人身御供として一族もろとも惨殺された武家一族である。一族の一員であるプレーヤーキャラクターは、“黄川人”(きつと)と名乗る天界の使いによって復活させられ、京に攻め上り一族の復讐を果たすこと、呪いから解放されることを目指し、短い生を生き、神との子をもうけていく。強大な鬼と立ち向かうために、プレーヤーは代を重ね、強くなっていく。

 桝田氏は本作のテーマは「我々はどこから来て、自分が死んだ後子供達はどう生きていくのか」という期待や不安を形にし、体験させることだと語った。続いて桝田氏はPS Vitaによるデモプレイを行なった。今作ではプレーヤーの顔の特徴をゲームキャラクターに適用できる。PS Vitaのカメラによってプレーヤーの顔を認識させると、ゲームキャラクターにその特徴が受け継がれるのだ。

 今回はコンパニオンの顔をキャラクターに活かすプロセスを紹介した後、様々な神との子供を作るというシステムを紹介した。結婚する神はコンパニオンが選択したのだが、彼女は野性味のある男性を選んだ。「彼女は男らしい男性が好きみたいですね」と桝田氏はコメントした。このように本作ではキャラクターを作り、パートナーを選んでいく。「この作品の最大の特徴は主役は“家系”なのです」と桝田氏は語った。

 桝田氏は繁体字中文の字幕付きのPVも公開した。このPVでは様々な新情報が盛り込まれており、桝田氏は画面を見ながら紹介していった。プレーヤーは京から離れ自分の街を作り、街を育て上げていく。プレーヤーキャラクターの寿命は短く、早いサイクルで世代交代を行なっていくが、街を引き継ぎ、先祖から武器を受け継ぎ、能力を伝えることでより強力な子孫の誕生を目指していく。子孫は神々だけでなく、オンラインにアップデートした他のプレーヤーキャラクターとも残せるようになるという。

 最後に桝田氏は、台湾でも日本とほぼ同じの2014年夏の発売を予定していることをあきらかにした。「夏の発売を目指し、スタッフが頑張っているところです」と桝田氏はコメントした。この後クイズ大会となり、答えを当てたユーザーは桝田氏から様々なグッズがプレゼントされた。

【俺の屍を越えてゆけ2】
実機を使ったデモプレイ。右は取り込んだ顔を元に作られた顔。桝田氏は「もっと改良を加えたい」とコメント
こちらは中国語字幕を加えたPV。各要素が紹介された
子孫を残し、能力を引き継ぎ、武具を伝え、町を発展させ一族は生き抜いていく

あえて極端なプレイを他のプレイヤーに見せることも。オンラインで広がる楽しさ

桝田氏はオンラインだからこそやり込むプレーヤーに期待しているという
前作は15年以上遊び継がれるゲームとなった。今作は20年を目指しているという。プレーヤーデータがオンラインに残り続けるというのも魅力だと桝田氏は語った

 インタビューではオンライン要素に対しての質問が多く寄せられた。明らかになったところでは、プレーヤーは京から逃げる際、場所によって特技が変わってくる。北に逃げれば弓がうまくなり、南に行けば魔法を覚えるといった違いが出てくる。前作ではプレーヤーが1人でキャラクターを育て上げたが、今作では多数のプレーヤーと協力し、様々な能力を発揮していく。自分と異なる育て方をした他のプレーヤーキャラクターと結婚することで、様々な特徴を取り込めるのだ。

 他にもオンラインで他のプレーヤーが使った街に訪問もできるし、アイテムの受け渡しもできる。これらのデーターのやりとりは実際の国を飛び越え、日本のユーザーが台湾のプレーヤーキャラクターと交流することも可能だという。基本的にはあらゆるものが国境を越えやりとりできるようにしていく。現在はハングル版も作業を進めているとのこと。

 今作では4人のパーティーを組み冒険を行なっていくが増田さんは「かなりムチャクチャでやってもクリアできる様にした」と語った。プレーヤーの選択次第で様々な子孫が生まれてもゲームはきちんと進行するバランスを目指してる。

 これはプレーヤの「極端なこと」を誘発させるためだと桝田氏は語った。シングルプレイだと能力の低い神などは結婚相手に選ばれず、効率が優先させられてしまう。これがオンラインで“発表”できるようになったら変わってくる。ある能力のみに極端に特化したような、話題を集めるネタのようなキャラクターの育成も可能となる。

 街もまた極端な育成ができる。街の建物全てを薬屋にするといったことも可能で、街に薬屋を集中させると特別な薬が作れるようになったりするとのこと。また、ネコミミや尻尾を子孫に伝えることもできることも明らかになった。外見が特徴的なキャラクターは、それだけで注目を集める。

 そして、自分の街に何人が訪問したか、キャラクターが何回結婚したかなども情報としても残る。自分のプレイが、人に興味を持ってもらえたことがわかるのだ。オンラインにより、「俺の屍を越えてゆけ2」は前作以上に多彩な楽しみかたができるという。

 今回、桝田氏が“オンライン”そして“ユーザー達のやり込みプレイ”に強く期待していることが伝わってきた。「俺の屍を越えてゆけ2」はどんなプレーヤーの家系図も面白いものになる。その中でも特にユニークな家系図はどんなものになるのか、とても楽しみだ。

(勝田哲也)