「バトルフィールド 3」シングルプレイプレビュー
極限のグラフィックスと演出で迫真のバトルフィールドを体験!


11月2日発売予定

7,329円(Windows) / 7,655円 (PS3/Xbox 360)

CEROレーティング:D(17歳以上対象)


Webインターフェイス「バトルログ」

 FPSファン待望の「バトルフィールド3(Battlefield 3、BF3)」の日本での発売まで後1週間に迫ってきた。GAME Watchでは本作のシングルプレイキャンペーンを一足早く体験することができたので、取り急ぎファーストインプレッションをお届けしたい。

 本作はフラグシップとなるWindows PC版を筆頭に、プレイステーション 3、Xbox 360の3プラットフォームでリリースされる。このうちPC版ではゲームのフロントエンド機能が「バトルログ」としてWebアプリ化されており、マルチプレイ、COOP、シングルプレイキャンペーンの全モードをブラウザ経由で起動する仕組みだ。

 このため、PC版はひとりで遊ぶ際にもインターネット環境が必須なので、シングルプレイを目当てに本作を購入するなら注意が必要だ。もちろん、大多数の方がそうだと思われるがマルチプレイが目当てなら何も心配する必要はない。




■ ひとりの海兵隊員が遭遇した、奇妙で誇り高い戦い

ブラックバーン軍曹。ある重大な嫌疑により取り調べを受けている

 シングルプレイキャンペーンではシナリオに沿って様々なシチュエーションをノンストップでプレイしていく。そこで描かれるのは、海兵隊第1偵察隊に所属するヘンリー・ブラックバーン軍曹が遭遇した、戦場の裏側で進行する誇り高くも孤独な戦いだ。

 物語はこのブラックバーン軍曹が次々に遭遇した状況と、それを取り巻くそれぞれの戦いがフラッシュバックの手法を用いながら丹念に描かれていく。この手法を取ることで、プレーヤーは本作の中で歩兵戦闘から空中戦、戦車での地上戦と、「バトルフィールド」らしい総力戦のテイストを味わえるようになっている。

 物語のもうひとつの軸となるのは、本作における戦地であるイラン、そこで活動する武装組織PLRとの戦い、その裏で暗躍するとあるエージェントの陰謀である。国家的危機をもたらす、あまりにも奇妙な状況を前に、ブラックバーン軍曹の海兵隊員としての、愛国者としての矜持が試されていく。


海兵隊の中でも偵察隊は敵地深くまで侵入することもあるエリート部隊。米軍全体の耳目として戦場の裏側にまで首を突っ込むことになる




■ DirectX 11水準の圧倒的な映像美と演出

光と闇が交差する夜戦の映像美は見事。見とれている暇はあまりないが
隊員の動きは自然そのもので説得力に溢れる

 シナリオがフラッシュバック手法をベースとしているため、プレーヤーにとってはじめは謎だらけの状況だ。それゆえ最初はゲーム世界に没入するのが難しいが、「BF3」でまず楽しみたいのは、最大のウリである最先端の映像と豪華な演出の数々だ。

 グラフィックスのクオリティは前評判通り、驚きの連続だ。兵士や武器などの素晴らしいディティールの描き込みが見られるのは当然として、特に他のゲームとの差別化ポイントとなっているのがライティングとスケール感、そしてアニメーションだ。

 ライティング面では、本作では動的光源が無限となるレンダリングシステムを実現している。これはPC版においてはDirectComputeを活用した技術となっており、特に夜戦における映像のメリハリに貢献。また、Enlightenという大局照明技術を用いることで、壁面への自然な照り返し、重厚な空気感を醸しだすことに成功している。

 このような技術を用いることでPC版ではDirectX 11環境が必須となり、Windows XPの環境では動作対象外となったわけだが、そのぶんライティング以外の部分でも表現力が底上げされている感がある。戦車や戦闘機で臨む広大な戦場で感じられる圧倒的なスケール感は、同時に緻密なディティールが両立しているからこそ実現したものだろう。

 パフォーマンスも上々で、CPUにCore i7-2600K、ビデオカードにNVIDIA GeForce GTX 560といった、現在購入するならミドルクラスに属するPCでほぼ最高品質の映像が50~60fpsで動作するように調整されている。また、最新ドライバーの導入でパフォーマンスがさらに上昇する見込みもあるため、プレイ前にビデオチップメーカーのサイトをチェックしておこう。

 アニメーション面では「FIFA」シリーズを始めとするEA Sportsブランドで培われたモーションブレンディングの技術が応用されており、この面でもかつてないクオリティ。友軍の兵士達が見せる戦闘機動の自然さといったら、ゲームっぽさを見せる隙が微塵もない。本当にそこにいるかのようだ。


圧倒的なスケール感と完璧なディティールが共存し、迫真の戦場体験が得られる




■ 衝撃的なシナリオ。最後までプレイすることで感動が結実する

ヨーロッパの都市も戦いの舞台に
詳細に再現された各種兵装を通じた遊びも豊富だ

 このおかげで、ゲーム中に度々挟まれるインゲームカットシーンや、規定のシナリオに沿った作戦の進行などがゲームそのものにスムーズに統合され、プレーヤーは映画の登場人物のひとりになったかのような気持ちになれる。

 その副作用として、当然のことながらゲームとしての自由度は低い。本作のほとんどの作戦で、プレーヤーはスクリプト制御された世界や仲間の運動に合わせ、決められた手順で「ロールプレイ」していかなければならない。そこには「メダル・オブ・オナー」や「モダンウォーフェア」シリーズでも感じられた特有のストレスがある。

 どの武器を選ぶか、どの敵を優先的に倒すか、どの位置でカバーポジションを取るか、といった最低限のゲーム的かけひきは存在する。しかし、迂回ルートを見つけて敵の背後に回ろうとしたら「作戦エリアに戻れ」とカウントダウンが始まって5秒で突然死したり、仲間の指示を聞き逃して独自の行動を取ろうとしたら100%死亡するなど、プレーヤー自身もシナリオにがんじがらめだ。気分としては「やらされ感」が相当強いので、感じられる面白さは各ステージの出来に相当程度依存する。

 その意味でいうと、各ステージの面白さにはかなりのバラツキが見られる。「こりゃスゲエ!」と大興奮してしまう出来の良いステージもあれば、理不尽な覚えゲーと化している不出来なステージもある。フラッシュバック式のシナリオが相当程度進んで状況を把握し、物語に感情移入できるようになるまでは、全体的に悪い印象を抱いてしまうかもしれない。

 しかし、終わってみて全体を振り返るときに感じられるのは、すべてがこの素晴らしい結末を生み出すためだったのか、という良い充実感である。「所詮はマルチプレイのオマケ」などと言わず、ぜひ最後までプレイしてみてほしい。

 シナリオは衝撃的であり読後感も上々、その過程でプレーヤーに与えられるシチュエーションも幅広く面白い。そして何より、強力な表現力で提示される説得力のある戦場体験は、これまでのゲームでは決して得られなかった水準の感動を与えてくれる。

 シングルプレイキャンペーンで本作に登場する各種の戦場を楽しんだあとは、もちろんマルチプレイに挑戦だ。「BF」シリーズといえばやはりマルチプレイ。ラッシュモード、コンクエストモード、COOPを含むゲーム全体のレビューは別稿でお届けする予定なのでお楽しみに。



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(2011年 10月 26日)

[Reported by 佐藤カフジ]