「スペシャルフォース」の日本一クラン決定戦「スペシャルフォース ゴールデンカップ2011」が開催
NHNから2名のプロゲーマーが誕生! 勝負を分けたプロの腕で観客を魅了


4月30日開催

会場:ベルサール秋葉原



 4月29日から5月5日まで開催されている株式会社サードウェーブによるPCゲームの祭典「第3回 秋葉原PCゲームフェスタ Powered by Galleria」の会期2日目は、NHN Japan株式会社が運営するオンラインFPS「スペシャルフォース」の日本一クラン決定戦が行なわれた。

 ベルサール秋葉原の地下メインイベント会場にて実施された「スペシャルフォース ゴールデンカップ 2011」と題されたこのイベントでは、日本トップを争う4クランが出場し、日本最強の座をかけて熾烈な試合を展開した。またこの日、NHN Japanが公式に支援する専属プロゲーマー2名の誕生が発表され、その腕前にも注目が集まった。


会場にはゲーム内アイテムを獲得できる景品コーナーも設置され、試合の合間をぬってチャレンジする来場者が相次いだ


■ 公式イベントの場で新たなプロゲーマーが誕生

解説を担当した「スペシャルフォース」ディレクターの佐野亘氏と、解説を担当したYukishiro氏
会場全体が見守る中、プロゲーマー契約にサイン
SpyGea選手(中央左)とYuti選手(中央右)、2人の専属プロゲーマーが誕生した

 サービス開始から4年が経過するオンラインFPS「スペシャルフォース」。日本のオンラインFPSの中でも最も長い歴史と最も多くの延べ会員数を誇る本作では、オンライン・オフラインを問わず、これまで幾度もの公式大会が開催されてきた。

 今回開催された「スペシャルフォース ゴールデンカップ 2011」では、冬と春に開催されたオンライン大会の上位2クランずつ、計4クランが一同に介して「春の日本一」を決める戦いに挑んだ。

 試合の解説担当として登壇した「スペシャルフォース」のプロデューサー佐野亘氏は、会場まもなく重大発表を行なった。その内容はNHN Japanの後援により、2名の若いプレーヤーが「スペシャルフォース専属プロゲーマー」として契約を行なう、ということだ。

 その2名とは、高橋“SpyGea”恵氏と、荒木“Yuti”祐介氏。両名とも、「スペシャルフォース」の強豪クランのメンバーとしてこれまで数々の国内・国際大会に出場経験を持つトッププレーヤーだ。会場ではNHN Japanによるプロゲーマー契約書が披露され、このSpyGea氏とYuti氏が衆目のなか、ステージ上でサインした。この瞬間、専属プロゲーマーが正式に誕生した。

 NHN Japanが支援するプロゲーマーの役割とはなんだろうか? 会場で披露された「プロゲーマー契約条件」にはこうある。ひとつ、「スペシャルフォース」の普及のため、精一杯の努力と精進を持ってプロモーション活動を行なう、ひとつ、「スペシャルフォース」を代表するプレーヤーとしての誇りを持ち、プレーヤーの模範となる行動を取る。ひとつ、他のプレーヤーの技術向上を促す助言、提言を行なう。ひとつ、「スペシャルフォース」を愛し続ける。

 イメージとしては、かつて「サドンアタック」公式インストラクターを務め、現在は「Alliance of Variant Arms」アドバイザーを務める南“KeNNy”慶紀氏のような活動を期待されているようだ。そのみちのりはほとんど先例のないものであり、活動の中で様々な困難に直面することもあるだろう。若い2人のプレーヤーがどのような覚悟をもって臨むのか。

 仙台市に住んでいたというSpyGea氏は意気込みをこう語った。「東北沖大地震を経験しゲーマーとしての復帰を諦めていたこともありましたが、本日皆さんとお会いすることができ大変嬉しく思っています。震災を受け日本全体があまり元気がない状態ですが、関係各位のサポートを受け、皆さんを元気づけるプレイをしていきたいと思います」。

 中学生の頃からオンラインFPSの世界に入ったというYuti氏はこう語った。「オンラインゲームに長い時間を費やしてきた自分の経験を少しでも活かしていきたいと考えてきました。今回の契約は大変嬉しく、感謝しております。3年間、日本代表として世界に挑戦してきましたが、台湾の大会でその本格的なことに衝撃を受けました。この日本でもEスポーツの認知度を上げて、盛り上げていくために、プレーヤーとしての活動はもちろん、宣伝活動も重視していきたいと思います。応援よろしくお願いいたします」。

 SpyGea氏とYuti氏の2名は、クラン「UHS Athlete」のメンバーとしてこの大会にも出場する。まずは腕を証明する場がいきなり与えられたというわけだ。

皆を元気づけるプレイをしたいと、SpyGea選手eスポーツを盛り上げていきたいと、Yuti選手

そして、続く決勝大会の試合にはオフライン大会で結果を残した4クランが登場。2人のプロゲーマーは「UHS Athlete」に所属しての出場だ


■ プロゲーマー強し! その実力を証明した日本一決定戦

準決勝の使用マップは「Desert Camp」
試合に臨む選手たち

 続いてメインイベントの「スペシャルフォース ゴールデンカップ 2011」の試合が行なわれた。出場する4クランはいずれも先に行なわれた冬と春のオンライン大会で上位2位を獲得した実力者ぞろい。第1のチームはSpyGea選手とYuti選手が所属し、かつての大会で最強を誇ったクラン「Racpy」のメンバーを多数擁する「UHS Athlete」。そして「Emotive Moment」、「vouLus」、「STD Gaming」と、オンライン大会で結果を残したチームが続く。

 大会ルールはこの4チームによるトーナメント戦。準決勝2試合、決勝1試合の3試合で日本一クランが決まる内容だ。第1戦では「Emotive Moment」と「UHS Athlete」が対決。使用マップは比較的狭い「Desert Camp」となった。

 準決勝のルールは、爆破ルール・7ラウンド攻守交替で全14ラウンド制・8ラウンド先取がチーム勝利条件。第1戦では「Emotive Moment」が序盤の数ラウンドで良い戦いを見せたものの、すぐに「UHF Athlete」が調子を上げて連続でラウンド勝利、結局は力の差をみせつけた形でYuti先取率いる「UHF Athlete」が勝利を収めた。

 準決勝第2戦では「STD Gaming」と「vouLus」が対決。「vouLus」は結成間もないクランながら、それぞれの力不足を連携でおぎなうという戦略をとり、試合中に大声で連絡をとりあって優位に戦いを進める。序盤4ラウンドを連続勝利した「vouLus」は、前半だけで5-2と大差をつけリード。後半戦では「STD Gaming」が防衛側の利を活かして食い下がるが、序盤のリードを活かす形で「vouLus」が8-6と僅差の勝利を挙げた。



・決勝戦、「UHF Athlete」の好敵手となった「vouLus」

先攻・後攻を決めるジャンケンを行なう両チームの代表者
SpyGear選手、Yuti選手の活躍が光る
対する「vouLus」も、連携を生かし各所で素晴らしいラウンドを披露した

 そして決勝戦。プロを含め古参の強豪プレーヤーがー集まる「UHS Athlete」と、新参クラン「vouLus」という対照的な2チームの対決だ。決勝戦では最大3マップで対戦し、2マップ先取したチームが勝利という特別ルールで行なわれた。第1のマップは狭い通路の多い「Missile」だ。

 1マップ目、先攻した「UHS Athlete」は、障害物が多く防衛側が有利に思われる「Missile」マップで、果敢なラッシュ作戦に出る。「vouLus」の組織的な守りを勢いのある波状攻撃で撃破しつつ、4ラウンド連続勝利するなど破竹の勢いだ。

 特にプロゲーマーのYuti選手とSpyGea選手の勝負強さが光った。Yuti選手は度々2人、3人抜きという破壊力を見せ、SpyGea氏はスナイパー担当ながら近距離戦に持ち込まれても無照準の高速射撃で打ち勝つテクニックを披露。対する「vouLus」の連携プレイも見事で、各局面で数的優位を作って「UHS Athlete」のメンバーを撃破、ラウンドを取り返す。しかし力及ばず、1マップ目は8-5で「UHS Athlete」が勝利した。

 第2マップ目は、非常に広く入り組んだ構造を持つ「Satellite」。マップの広さのためある程度の戦力分散がやむを得ないこともあり、両チームとも慎重にゲームを進める展開だ。こうなると、個々のスキルで上回る「UHS Athlete」が、「vouLus」のメンバーを各個撃破して徐々に追い詰める流れが多くなってくる。特に「UHS Athlete」が防衛側で臨んだ前半戦はラウンド取得数5-2と大差がついた。

 そして後半戦。ここでも「UHS Athlete」が優位にプレイを進める。しかし2ラウンド目では「vouLus」が相手チームのラッシュを見越した見事な防衛戦術を見せ、飛び出してくる「UHS Athlete」メンバーを次々に打ち倒してパーフェクト勝利を上げるなど、底力を感じさせるプレイを披露。しかし、前半のリードを生かした「UHS Athlete」が押し切って、総ラウンド取得数8-4で第2マップ目も勝利をあげ、優勝を確定させた。

 試合後、「UHS Athlete」を率いるYuti選手は対決した「vouLus」をライバルとして認めた。「『vouLus』は凄く強いチームで、大会前から何度もクラン戦をやってきました。僕達とは良いライバルなので、これからもよろしくお願いします」。

 新たなプロゲーマーと古豪が集う「UHS Athlete」と、まだ新しいながらも連携力で決勝まで上り詰めた「vouLus」。2つの勢いのあるチームが今後どのような活躍を魅せるか、「スペシャルフォース」ファンの皆さんは是非注目していって欲しい。

優勝した「UHS Athlete」。プロゲーマーの実力を証明した準優勝の「vouLus」。リーダーのJin選手は本当に悔しそう。大きな成長が期待されるクランだ
試合終了後には、来場者全員参加のじゃんけん大会が開催。NHN JapanやSteelSeriesから各種賞品が提供され、運良く勝った来場者が笑顔でゲットしていった




(2011年 4月 30日)

[Reported by 佐藤カフジ]