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Microsoftのクラウドゲームサービス「Project xCloud」、いよいよ日本展開へ

DUALSHOCK4に対応し、Xbox Game Passの導入も間近! プレイフィールもかなり改善

2020年サービス開始予定

 Microsoftは、現在βテストを行なっているXbox Oneのクラウドゲームサービス「Project xCloud」において、最新アップデートの報告を行なった。

【スピーカー】
Microsoft Corporate Vice President, Project xCloud Kareem Choudhry氏
Microsoft General Manager, Project xCloud Catherine Gluckstein氏

 今回の発表は3つにわかれている。1つはPreviewプログラムの対象地域を拡張し、2020年より日本でも提供を開始すること。1つは対応タイトルを4タイトルから一挙に54タイトルに拡張すること。そして3点目は、提供プラットフォームをスマートデバイスに加えて、Windows PCにも広げることだ。

 ビジネスモデルについてもさらに踏み込んだ言及が行なわれ、Project xCloudの利用自体は無料で、パッケージ購入もしくはXbox Game Passの加入で対象タイトルをProject xCloudでプレイできるというもの。正式サービス開始時期は、以前から変わらず2020年中を予定している。

 現在、Project xCloudは、グローバルでのサービスインに向けてAzureベースのクラウドゲームサーバーの準備が整った地域から順次βテストを開始している。現在は米国、英国、韓国の3カ国で、タイトルはわずか「Killer Instinct」、「Sea of Thieves」、「Gears 5」、「Halo 5」の4タイトル。

 このPreviewプログラムを2020年からは、日本、インド、カナダ、東ヨーロッパにも拡張する。タイトルも4タイトルから、従来のファーストパーティータイトルに加えて、25のサードパーティーの協力を得て全54タイトルに拡張し、新たに20億人を対象に提供を開始していく。

 ポイントなのはなんといっても10億人以上の人口を抱えるインドが含まれているところ。ゲームコンソールすら十分に普及しておらず、ネットワーク環境も玉石混交の新興国だが、だからこそProject xCloudが活きると考えているようだ。

 今回、UKのクラウドサーバーに接続する形でのPreviewプログラムを体験することができたが、E3やgamescomのタイミングと比較してプレイフィールは格段に向上していた。ラグがあるかないかで言えば確実に存在するが、ほぼ支障がないと言って良いぐらいまで改善されている。

【Project xCloud試遊コーナー】
E3、gamescomとみてきたが、今回の出展規模は過去最大規模。それだけクオリティに自信を持っているということだろう

 開発者に話を聞いた限りでは、ストラテジーをサービス対象地域を“先進国限定”から、“新興国も含めたグローバル”に舵を切ったことで、設計思想も大きく変化している。具体的には、レイテンシーにこだわるのではなく、レイテンシーの値が悪い環境でもゲームとして成立させる形にチューニングしている。

 以前のバージョンでは、グラフィックスは綺麗だが、ラグが大きいという残念な状況だったが、今回プレイしたバージョンは、プレイしているとすぐブロックノイズが発生するものの、動作そのものはスムーズという印象に変わった。つまり、グラフィックスをある程度犠牲にする代わりに、ゲームとして成立することを重視したようだ。

 筆者が個人的に気になっていたのは、Project xCloud独占タイトルの有無だが、回答は濁されたが、まだそこまで投資するフェイズではないと判断しているように感じられた。クラウドゲームプラットフォームであるStadiaは、自社ゲームスタジオを設立しており、Stadia独占タイトルが開発されているとされる。インタビューを実施した感触では、Project xCloudはあくまでXboxのサービスの1つで、完全に独立したクラウドゲームプラットフォームになることはないという印象を受けた。

 ただ、ユニークだと感じたのは、ゲームプラットフォームとしてPS4の公式ゲームコントローラーであるDUALSHOCK4にも正式対応するところだ。基本的にはスマートデバイス側のドライバアップデートに相乗りする形だが、スマートデバイスならXbox Oneワイヤレスコントローラー以外に、RazerのゲームパッドやDUALSHOCK 4でもゲームを楽しむことができる。スマートフォンにDUALSHOCK 4を接続して、一見PS Nowを遊んでいると見せかけて、実はProject xCloudをプレイ中という、ややこしい未来がまもなくやってくる。

 ちなみに今回拡張されたタイトルラインナップには、「鉄拳7」(バンダイナムコエンターテインメント)や「Devil May Cry 5」(カプコン)、「ぷよぷよeスポーツ」(セガゲームス)など、日本産タイトルも複数含まれており、日本のゲームファンでも手に取りやすいタイトルが揃っている。

【新たな対応タイトル】
「鉄拳7」(バンダイナムコエンターテインメント)
「Ori and the Blind Forest(オリとくらやみの森)」

 もっともPreviewプログラムに参加するためにいずれかのパッケージを買うかというと、いきなりそこまで投資できないというゲームファンも多いと思われる。それだけにXbox Game Passの早期対応が待たれるところだ。Project xCloud自体が完全にXbox Game Passを前提に設計されており、Project xCloudの日本展開の前に、あるいは合わせる形でXbox Game Passの導入が確実視される。

 余談だが、デモ機はAndroid端末ばかりだったが、インタビュールームにはiPhoneバージョンも用意されており、グローバル展開に向けて着々と準備が進められているという印象を受けた。来年のサービス開始が楽しみなところだ。

【iOS版Project xCloud】
インタビュールームにさりげなく置かれていたiOS版。日本向けのプレビュープログラムでは、このiOS版も間に合いそうだ