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ロボットトイ「toio」に「がんばれ森川くん2号」が復活? 森川幸人氏新作「ウロチョロス」
AIが守る美術館から宝物を奪い出せ!これまでに無いボードゲーム「大魔王の美術館と怪盗団」
2019年11月12日 20:12
ソニー・インタラクティブエンタテインメントは、ロボットトイ「toio(トイオ)」で新たなゲームや遊びを楽しめる「~みんなでもっと楽しめる~トイオ・コレクション 拡張パック」を12月5日に2,980円(税別)で発売する。11月12日に開催された発表会では、あわせて来年に向けて制作中のタイトルのお披露目が行なわれた。
「toio」は、工作やプログラミングなどを通じて自分のおもちゃを作り出すことができるおもちゃの“プラットフォーム”とも言えるもので、セットはキューブの形をしたロボットと周辺機器で構成されている。別売りの「toio」専用ソフトを使うことで、様々な遊びが可能となる。また、プログラミングなどを通じて学習することもできることから、学校などへの導入なども進んでいる。
今回発表となった制作中タイトルは、音楽ソフト「おんがくであそぼう ピコトンズ(仮)」、ボードゲーム「大魔王の美術館と怪盗団」、ゲーム用AI制作会社モリカトロン制作のAIアプリ「ウロチョロス」など。
3月の発売以来、対応ソフトが発売されてきたが、11月14日にはクルマの運転を楽しめる「トイオ・ドライブ」が発売されるほか、「toio」の基本とも言える工作と各種ゲームを楽しめる「トイオ・コレクション」(既発売)の拡張パックとなる「~みんなでもっと楽しめる~トイオ・コレクション 拡張パック」も12月5日に発売となる。
「トイオ・コレクション 拡張パック」は、ユーザーから「みんなで楽しめるゲームが欲しい」という声に応えるかたちで制作された。これから年末を迎え、パーティゲームなどが好きな子供にはぴったりで、子供と一緒に楽しめるという点ではファミリー向けの定番タイトルと言えるだろう。
例えば「かいじゅうバスターズ」は、フィールド上にはかいじゅうとむらびとの2つのキューブが配置される。ゲーム参加者はおはじきをかいじゅうに当てて撃退していく。もちろん、おはじきがむらびとに当たるとミスとなる。聞くだけだと単純そうだが、開発者によれば、うまくかいじゅうとむらびとが接近するようなタイミングを作ることで、絶妙にカオスなタイミングを作り、みんなでプレイすると盛り上がるようにプログラミングしているのだという。
また、単なるミニゲーム集で終わらないために、ゲームをプレイしていくことで新たなミニゲームがオープンになるなど、これまで「プレイステーション」プラットフォームを育ててきた同社が培ってきたゲーム的な楽しみ方を盛り込み、長く遊びながら学べるようになっている。
キューブがペットのように動き出す?現代の「がんばれ森川くん2号」!「ウロチョロス」を無料提供
プレイステーションのころを知るゲームファンにとっては有名なタイトルの1つ「がんばれ森川くん2号」でも知られ、ゲーム業界に留まらずAI関連の研究では古くから活躍している森川幸人氏だが、6月に「toio」のキューブの仕様(API)が一般に公開されて以来、「キューブの動きが可愛い。このキューブに心が入っていたら良いなぁ」という想いから、ゲーム専用AIを開発しているモリカトロンでキューブにAIを対応させる作業を行なっている。
スマートフォンやタブレットの専用アプリ「ウロチョロス」と、「toio」のキューブを接続することで、キューブがまるで意思を持った動物のように動き始める。基本的にはキューブの動きを見守ることになるが、アプリからキューブに対して「自分のことどう思っている?」と質問すると、行動決定AIにより何ともそれらしい動きをして応えてくれるという(四択の答えに対応した場所に移動することで答える)。このほかにもダンスや鬼ごっこ、モノマネ、合唱やおしゃべりなどを行なってくれる。
AIのプログラム自体がキューブの中にあるわけではなく、センサーで得た情報をもとにサーバーのAIプログラムが一括して処理して各キューブに動きをフィードバックする方式なので、サーバーで連動しているところでは同じ行動となる。ただし、今後は各キューブの行動ログを元にして個別に行動のフィードバックを行なえば、それぞれのキューブに“個性”が生れることになる。ユーザーとのふれあいがログとして残れば、自分だけのキューブとなることから、より愛情もわいてくるだろう。今後はこういった要素にも対応していきたいという。
11月下旬にはAndroid/iOS用アプリの配信が無償で開始となる。
AI相手にいつまでも楽しめる新感覚ボードゲーム「大魔王の美術館と怪盗団」
「大魔王の美術館と怪盗団」は、ボードゲーム制作のプロが手がける、これまでに無いボードゲーム。プレーヤーは怪盗団として美術館に潜入し、キューブロボットが守るお宝を盗んでいく最大4人までの対戦型のゲームだ。キューブロボットに見つかるとすべてのお宝は募集されてしまう。4人のプレーヤーは、より多くのお宝を取った人が勝ちとなる。
もちろんそう簡単にお宝を取ることはできない。美術館の中にはキューブロボットが一定のロジックで見張っている。しかし影や死角の多い美術館なので、こういった暗闇に隠れていれば、キューブロボットに見つかることはない。敵の動きなどを計算し、プレーヤーの反撃手段として用意されている“罠”をうまく設置してキューブロボットの動きを封じることが重要だ。
ゲームとして非常によくできているなと感心するのは、お宝を取れば取るほどプレーヤーの行動できる範囲が狭くなること。お宝を集めることが目的なのだが、そのバランスが重要で、敵はもちろん、他プレーヤーのお宝の取得状況など様々な要素を考えながらプレイしなければならない、駆け引きの要素がたくさん盛り込まれたゲームとなっている。
さらにさらに「大魔王の美術館と怪盗団」のすごいところは、ボードのデザイン(美術館の構造)をプレーヤーが作ることができるということ。時間が無ければ狭い美術館を作ってさくっとプレイすることもできるし、広い美術館を作ることはもちろん、暗闇が少ない難易度の高い難攻不落の美術館をデザインすることもできる。まさに永遠にプレイできるゲームなのだ。
制作者によれば、ハプニングなど面倒なことはすべて「toio」がやってくれ、戦略とストーリーを純粋に楽しめる。遊び応えのある要素を盛り込んだゲームになるという。
発売は2020年秋とかなり先になる。会場で見ているともうかなり出来上がっているように見えたが、話を聞くとキューブロボットの動きをプログラミングするのが難しいほか、対人戦メインのボードゲームということで、そのバランス調整にかなり時間を要するようだ。ゲーム好きとしては楽しみに待ちたいところだ。
さわって音楽の楽しさを学べる「おんがくであそぼう ピコトンズ(仮)」
「toio」のキューブロボットには、加速度センサーやタッチセンサーなど様々なセンサーが搭載されている。これらのセンサー類を使いこなすことで直感的に音楽を学ぶことができるのが、この「ピコトンズ(仮)」だ。
音楽にはピッチや音階など様々な要素があり、正しく理解することでより高度な音楽体験を実現できるようになる。学校では学術的にまじめにこれらを勉強することになるが、「ピコトンズ(仮)」では体験として学ぶことができる。
例えば紙に蛇口とコップが描かれている。この状態でキューブをコップの絵の上に置くと「カチャン」と音がするだけ。そこでその上にある蛇口の絵の所にキューブを持って行きキューブをクルクルと回すと水が出る音がし、コップに水が溜まっていくのがわかる。そこで再びキューブをコップにもっていくと、今度は水の量に応じた音が鳴る……。こうやって、音階のことを体験として学ぶことができる。最終的には作曲まで学べるというから本格的だ。
もちろんこういった学習的なところで終わるわけではなく、ギターの弦の上を滑らせるとギターが鳴り演奏できたり、ピアノやドラムなども用意されており(なんとターンテーブルも用意されており、スクラッチまでできる!)、バンド演奏を手軽に楽しむことができる。この日、同作のプレイングアドバイザーとして制作に関わることが発表されたアーティストのSASUKEさんが演奏している姿がムービーで流されたが、普通の演奏と全く遜色のない見事なものだった。
一通りの仕組みをブースで受けていると周りの来場者からは、「小学校の頃にこれがあればなぁ」といった声も聞かれたが、子供はもちろん大人になっても音楽を演奏できるようになれば、生活が楽しくなることこの上ないだろう。もちろん子供にとっては体験を通じて音楽を学べる最強ツールとなる。
発売は2020年夏を予定しており、ちょっと先になるが、発売までに体験できる機会を設けたいとしているので、機会があれば体験してみると良いだろう。
戦略バトル対戦ゲームも開発中!
このほかには、「みんなのGOLF6」などプレイステーション用タイトルを手がけてきた小番芳範氏が現在「戦略バトル」ゲームを制作中だという。ユーザーからの声として「自分で作った命令や動きのパターンで、動かしたい」が心に残ったという小番氏。「toio」らしさとして「工夫と気付き」とマッチした要望ということで、これらの要素を盛り込んだゲームの制作を進めているという。
会場では、矢印の描かれたカードの図が公開されただけだったが、「カードはスキャンのためだけではない」といった説明もあり、どういったゲームになるかはまだまだ謎が多いタイトルだ。ただ、「キャラクターとのコラボレーションも……」といった言葉も聞かれたので、何かコラボも進行中なのかもしれない。
「toio」システムソフトのバージョンアップが決定。ビジュアルプログラミングもWindows 10に対応
toioコンソール、キューブシステムソフトウェアアップデートが実施される。「トイオ・ドライブ」以降のカートリッジをセットすると自動的にアップデートが行なわれるほか、12月からはアップデート専用アプリの配信も行なわれる。
最新システムソフトでは、操作性や走行性能が向上している。また、ビジュアルプログラミングに関してはこれまでMacしか対応していなかったが、ついにWindows 10に対応する。学校の教育現場としては大きな一歩となるだろう。また、これまで1台しか対応していなかったが2台動作が可能となる。