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モバイル最高峰のグラフィックスを実現!韓国NCSOFT、「Lineage2M」を発表
次世代ゲームプラットホーム「PURPLE」の発表も
2019年9月6日 12:37
- 9月5日 発表
NCSOFTは9月5日、韓国・ソウルにあるイベントホール「ザ・ラウム」にてAndroid/iOS用MMORPG「Lineage2M」の発表会「Lineage2M 2nd IMPACT」を実施した。「Lineage2」とは韓国で生まれたPC用のMMORPGであり、3Dを用いた美しいグラフィックスと奥深いゲーム性で話題となったタイトル。かつては日本でも絶大な人気を誇り、現在でもその人気は根強いものがある。
今回の発表会はその正統進化系として作られる「Lineage2M」をテーマにしているだけあって、会場には多くの現地メディアが集まる大々的なものとなった。以下で、早速、その発表内容についてお伝えしていこう。
ハードの限界を超えた表現を目指すMMORPGに
まず、ゲーム開発総括にしてCCO(Chef Creative Officer)を務めるキム・テクジン氏が登壇。「2D表現しかなかった『Lineage2』開発当初、新たに3Dという表現方法へと挑戦したように、今回の『Lineage2M』も現在の技術で最高のものを使い、限界を超えたものを創る」と述べ「Lineage2M」にかける意気込みを語った。
具体的には、モバイルゲームとしては最高レベルの4Kグラフィックスによる表現を行なうほか、モバイル3D MMORPGでは初となるポリゴン同士の衝突処理技術(ポリゴン同士が接触しても視覚的に不自然な通過を起こさせない技術)を導入。さらにはローディングによるプレイの中断を起こさせないシームレスローディングや、1万人以上による大規模戦闘が行なえる最大規模のワンチャネルオープンワールドなど、モバイルゲームとしては異例の技術を実現しているとのことだった。
これらの技術の導入により、モンスターが本当に息づいているかのような世界観の演出を目指すだけでなく、「今後数年は『Lineage2M』を超えられるようなタイトルは出ないだろう、と思えるゲームを作りたい」とした上で、それと同時に本作をきっかけとして自分たちの技術を一段階上へと高めていく、とも語った。
つぎに、統括プロデューサーのイ・ソング氏が登壇。実際のプレイ画面動画を映像で流しつつ「フィールドが自然に見えるような、あたかも自分がそこを歩いているかのような環境を目指した」と語った。また、キャラクターにも力を入れていることをアピール。「従来のモバイル作品においてはキャラクターのディテールにこだわったものが少なかったが、本作ではキャラクターの特性までも感じ取れるようなディティールの作り込みを高いクオリティで実現した」と述べた。このことにより、本作では戦闘シーンなどもよりさまざまな見せ方ができるようになるということだった。
ワールド(フィールド)についての言及もあり、最初に「すべてのワールドは歩いてどこにでも移動ができる」とした上で「ワールドはとても広大なのだが(何らかの方法で)飛んでいくこともできるし、テレポートを利用して移動することも可能になる」と話した。世界観に没入する楽しみというのを存分に味わうことができそうだ。
戦闘シーンについての解説もあった。これについてはオートで敵をターゲッティングすることもできるが、攻城戦のように入り乱れて戦うシーンでは任意の相手をターゲッティングして戦うことも可能だという。モバイル端末ならではの操作性でも戦えるようフォローしているというところだろうか。また、解説ではソロで戦うシーンだったが、パーティメンバーと一緒に狩りを行なったりすることも可能で、いわばオリジナルの「Lineage2」で味わえた戦闘の体験を本作でもそのまま楽しめる、という説明がなされていた。
昨年、開発チームがさまざまなコミュニティに対し「Lineage2M」に期待していること、希望していることを聞いたなかで出ていたユーザーの疑問に答える一幕もあった。「前作のクラスがすべて『Lineage2M』に登場するのか」という質問には「既存クラスに加えて新クラスも登場する」というプラスアルファのある形で回答。
「前作のスキルはすべて使えるのか」という質問に対しては「すべてのスキルを使用可能にする前提で開発を進めている」ということだった。それにともないスキル回しが複雑化することが懸念されているものの、これについては「どのクラスを選んでもプレーヤーがゲームに集中できるよう、操作性をできるかぎりシンプルな形にしていく」という解決策が提示された。
「ソウルショットは課金アイテムになるのではないか」という声には「アデナ(ゲーム内通貨)での購入にとどめる」という回答があった。また、「ソウルショット」にかぎらず「アデナで購入できるアイテムは価値を高めに設定し、気軽にゲームをプレイできるようにする」という方針であるとのこと。
これだけハイスペックな中身を持つゲームだけに「自分の持つ端末ではプレイできないのでは」という不安も多く寄せられたようだが、こちらは「美しいグラフィックスを維持することに関してあきらめることはない」という姿勢を見せながらも、なるべく旧機種でもプレイできるよう、自動でグラフィックスの設定を調整する機能を導入するなどで対応する用意も考えているとのことだった。
また、このタイミングで韓国における事前登録のタイミングが、この日の12時からであることも公開された。公式サイトでは、サービスインに至るまでの間に楽しめるコンテンツも用意されること、また、事前登録することで特典が受け取れるといった内容がアナウンスされた。もちろんこれは韓国の話であり、日本における本作のサービスはまだ先の話となる。
最後に「結婚やダンスといった、戦闘以外の要素もモバイルに取り込むのか」という質問に対して「当然モバイルでも再現をする。つぎの動画を見てもらえれば、そのことがわかると思います」と述べ、ゲーム内容の発表は終了となった。
PC、モバイル間の完全なるクロスプレイ! 次世代ゲーミングプラットフォーム「PURPLE」を発表
ゲームの発表後も新要素発表はつづく。壇上にはCPO(Chief Publishing Officer)のキム・テクホン氏が登壇し、「楽しいゲームを作ることも大事だが、ユーザーに色々なゲームを楽しんでもらう環境づくりも大事だと思っています」と述べたあと、新たなゲーミングプラットフォーム「PURPLE」の発表が開始された。
映像が終わると、つぎにプラットフォーム事業センター長のキム・ヒョンホ氏が登壇。「PURPLE」というコンテンツには3つのテーマがあるといい、その1つがユーザー同士をつなぐ「PEOPLE」。もう1つがPCでもモバイルでもハードを気にせずいつでも遊べるという「PLAY」。そしてもう1つがさまざまなゲームをプレイできる「PLATFORM」だ。
この「PURPLE」の特徴は、デバイスやプラットフォームに左右されない完璧なクロスプレイを目指したものであることだという。そのときの自分の環境に応じて、モバイルでゲームを楽しんでもいいし、PCでゲームを楽しんでもいい。ハード間によるプレイ制約がなく、かつ、それぞれのデバイスに最適化された状態でゲームを体験できる、ということを表しているようだ。
また「PURPLE」を導入していることにより、いつでもフレンドとのコミュニケーションが取れる。また、ゲーム内で獲得したアイテムを共有したり、血盟同士のコミュニケーションといった、ゲームに特化した機能も備わっている。チャットには最大で10万人が同時に参加でき、エモーションによる感情表現といった意思疎通も可能となっているという。「ゲームとリアルの境界を超えて楽しむ新しい方法を提案します」とのコメントもあった。
そのほかの機能として、ゲームプレイを簡単にストリーミングできるようになるだけでなく、そのとき一緒にプレイしているパーティーメンバーの見ている画面も同時に映し出す、といった高度な機能も搭載されているようだ。この「PURPLE」は、「Lineage2M」をはじめ、NCSOFTが運営している他のIPにも適用し、順次サービスを拡大していくとのこと。
気になるリリース日はいつ? その他Q&Aを紹介
発表会の後にはQ&Aのコーナーが設けられ、「Lineage2M」についてはもちろん、新たなゲームプラットフォーム「PURPLE」について多数の質問が飛び交った。以下ではこちらの内容をご紹介する。なお、ここで得られた回答はあくまで韓国での情報となる。
Q:具体的なリリース日はいつ頃を予定していますか?
A:現在ブラッシュアップの段階でお答えできませんが、近日中のリリースを予定しています。一般的なタイトルの事前登録からリリースされるまでの期間と大差ないかと思われます。
Q:戦闘の衝突処理技術は攻城戦にどのような変化をもたらしますか?
A:MMORPGの魅力は自分の分身たるキャラクターで臨場感あふれるプレイを楽しむことだと思います。昨今の多くのMMORPGは技術的な問題にぶつかり、その要素がかなり薄まっていると感じます。「Lineage2M」はゲームなので、ほかのキャラクターが眼前に立ちはだかったとしても、空を飛んだり、オブジェクトを利用してやり過ごすことが可能です。衝突処理技術の採用によって、ゲームがより楽しめる仕掛けになると思っています。
Q:日本市場において「Lineage2」は高い人気を誇っていましたが、「Lineage2M」はどう展開していきますか?
A:日本市場の実績については承知しています。「Lineage2M」も日本での展開を検討中ですが、まずは海外展開よりも韓国で良いゲームを出すことを優先しています。
Q:「Lineage2M」の最低スペックはどれくらいですか?
A:たくさんのユーザーに遊んでいただくために、最適化作業を行なっている最中です。ここ3~4年のあいだに発売された端末であれば、プレイできるかと思います。
Q:以前はApple StoreにおいてR18タイトルは配信できませんでしたが、今は配信できるようになりました。「Lineage2M」はどのように進めていますか?
A:なるべく多くの方が楽しめるようにR12、R19の両方で検討しています。
Q:「LineageM」の成果を超えられると予想しますか?
A:良いゲームを作り、リリースし、良い実績を出すことはどのタイトルでも同じです。目標売上1位にはこだわっていません。「LineageM」は「LineageM」の、「Lineage2M」は「Lineage2M」の味がある、違ったゲームです。
Q:「Lineage2M」の装備にはどのようなものが用意されていますか?
A:ユーザーの記憶にあるような装備はそのまま再現される予定です。ステータスなどは変わっていますが、当時の感覚をよみがえらせるように作りました。
Q:ゲームの転職クエストや利便性はどのようになっていますか?
A:もともと、転職には完了するまで手間がかかりましたが、それもまた懐かしい思い出だと思います。「Lineage2M」にも転職クエストを実装しています。こちらは手間がかかるというよりも、強烈なインパクトをもたらすことにフォーカスしました。
Q:PCでも「Lineage2M」がプレイできるとのことですが、推奨スペックはどのくらいでしょうか?
A:モバイル同様、ここ3~4年で購入されたPCであれば問題なくプレイできます。
Q:現在サービスしているPC版ゲームの売り上げが落ちることの心配もあると思いますが、こちらについてはどのように考えていますか?
A:PC版「Lineage」は昔のピーク時ほどではありませんが、今もそれぞれの役割を果たしていると思います。「Lineage2M」はPC版の原作と同じところもあればちがうところもあります。もしPC版の衰退を心配していたのであれば「Lineage2M」のプロジェクトも始めなかったと思います。
Q:「PURPLE」という名前をつけた理由はなんですか?
A:色の意味にちなんでつけました。パープルは赤と青の中間的な色であり、新しい感じがするので採用しました。
Q:韓国では同じ内容のゲームでもリリースの際に別途審査があり、またシャットダウン制度もありますが、どのように対応していますか? また「PURPLE」もゲームのように課金できますか?
A:審査についてはまだ検討中です。課金は可能で、PCとモバイルで同じゲームが遊べるとイメージしていただければと思います。
Q:マルチプラットフォームのサービスはプラットフォームごとにユーザー経験が異なりますが、それに対する不平等や不満についてはどのように考えていますか?
A:韓国のモバイルゲームのほとんどはPCのエミュレーターでプレイできます。操作の有利・不利についてはお互いに認めあったうえでプレイしていると思います。UX・UIに力を入れた理由は、その不利を最低限に抑えるためでした。実際に、モバイルからプレイしてもPCに負けないぐらいの便利な操作感を実現させるために頑張りました。
Q:プラットフォーム事業を立ち上げた理由はなんですか? コミュニティ要素を強化するためですか?
A:これからはクロスプレイが一般化され、デバイス間の境界が徐々になくなると思います。また「Lineage2M」をご覧いただいてわかるかと思いますが、ユーザー間のコミュニケーションが非常に重要なゲームです。そういった部分はモバイルよりもPCのほうがやりやすく、MMORPGには最適だと思い、そのようにしました。
Q:「PURPLE」はクラウド技術と関係しますか?
A:「PURPLE」は基本的にモバイルとPC間のクロスプレイを提供するものです。以前「Yeti」もクラウドサービスに対応していたので、独自の開発と外部クラウドサービスも考慮しています。結論として、クラウドサービスは検討中です。