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「FFXIV」日比谷のシアターで映画+「漆黒のヴィランズ」完成記念イベント

朝5時に日本に到着したばかりの吉田氏がボス戦の傍ら開発秘話を披露

6月16日開催

TOHOシネマズ日比谷

 スクウェア・エニックスは、「ファイナルファンタジーXIV(以下、FFXIV)」を題材にした「劇場版 ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん」が6月27日に公開されることと、「漆黒のヴィランズ」完成を記念したスペシャルイベント「劇場版 ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん上映会 + 出張吉P散歩 in 日比谷」を、6月16日にTOHOシネマズ日比谷で開催した。

映画館の大スクリーンを使っての「吉P散歩」

 このイベントは、「劇場版 ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん」の先行上映に、プロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏がライブサーバーを訪れて、ファンと交流する恒例のイベント「吉P散歩」を映画館の大スクリーンから放送するというもの。約500席の入場券は、サプライズ発表のような形で発売されたが、約500席弱の募集はわずか30秒ほどで完売した。

 吉田氏は前日の早朝に、ロサンゼルスからの「プロデューサーレターLIVE」を放送したばかりで、その後十数時間をかけて日本に到着。家に戻る暇もなく、PLLで食べたいと漏らしていたラーメンを食べ、某温泉施設で汗を流してそのまま会場に直行してきたという。さすがに疲れた様子は隠せなかったが、吉田氏が登場すると「吉田ー!」という歓声とともに、「お帰り!」というねぎらいの声も飛んでいた。

プロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏(左)、サウンドディレクターの祖堅正慶氏(中)、コミュニティチームの室内俊夫氏(右)

 映画はネタバレになるため詳細は紹介しないが、限られた時間の中で、父親と息子の関係に視点がフォーカスされており、ドラマ版よりもまとまりのよい物語になったように思う。そして、今回専用サーバーでの撮影や、ドラマ版の時よりもグループポーズが進化したことによって、ゲーム内の表現は格段に進歩している。

 意思表示をする時に、ぴょんぴょんジャンプしたりといった実際にゲーム内でも見かける光景が再現されており、普段から「FFXIV」を遊んでいる人なら、より思い入れ深く鑑賞できるのではないだろうか。実際、観客が全員光の戦士という今回の上映では、ほろりときたという人が多かったのではないかと思う。中段あたりの関係者席で映画を見ていたという吉田氏も、周囲からすすり泣きの音がしましたね、とステージで語っていた。

スクリーン横に吉田氏らが並んでプレイ。観客は巨大スクリーンの映像を満喫できた

 20分の休憩をはさんでスタートした「吉P散歩」は、吉田氏とコミュニティチームの室内俊夫氏、サウンドディレクターの祖堅正慶氏の3人での進行となった。プレイに必死で言葉少なになる吉田氏に代わって、室内氏と祖堅氏が開発苦労話などを披露した。

 今回はGaiaデータセンターのTiamatワールドでの開催だったが、ワールド間テレポが実装されてから初の開催ということもあり、画面が映った瞬間からずっと周囲に表示しきれないほどのプレーヤーが集まるお祭り状態。最初はクガネにいたが、どんどん人数が増えてきてテレポでエリアに入れなくなり、スタッフから場所を移動するよう要請がきてイシュガルドに移動した。だが、ここでもやはり放送を見たプレーヤーが吉田氏のキャラが到着する前にすでに大挙しており、パーティ募集のUIが動かなくなるほどの大盛況を呈した。

あまりにも多くのプレーヤーが押し寄せてきたため、ラグによってUIが正常に表示されなくなることもあった

 散歩の行先は、映画館の大画面で大迫力のボス戦を楽しもうという室内氏からの提案によって、「次元の狭間オメガ零式」の「デルタ編」、「シグマ編」、「アルファ編」の4層ボスをめぐろうということになる。これら零式4層のボス戦はいずれも2段階に分かれており、前半と後半でギミックがかなり違っている。もう開発したのは2年以上前になるという「デルタ編」のボスエクスデスでは、開幕前から「前半覚えてない!」と焦る吉田氏。しかしホワイトホールが来るところで、集合を忘れたのかと思いきや、エーテリアルステップで瞬時に移動するなど魅せるプレイを披露して拍手が起こっていた。

 ネオエクスデスが現れるシーンでは祖堅氏が「ここの絵と(空間が)割れる音のタイミングを合わせるのは大変だった」と苦労話を披露。当初はネオエクスデスが登場するとは知らなかったようで「ネオエクスデスの曲をアレンジしてくれと言われたときには焦った」と語っていた。後半は、最も難しいギミックである「グランドクロス・オメガ」で吉田氏が痛恨のミスにより5人が一気に死んでしまったが、ヒーラーのLB3で立て直して勝利した。

公式放送では最後の「プロテス」。「漆黒のヴィランズ」からなくなってしまうプロテスを全員で感慨深く見守る

 ケフカが相手の「シグマ編」4層でも、「前半早く終わってくれー」と叫びながらのプレイとなった。ゴッド・ケフカの登場シーンでは、荘厳な導入が終わって、最初のドラムの音の後にターゲットできるようになるよう、バトル班とタイミングを合わせたと祖堅氏。ケフカの声は「FFVI」の元データからのサルベージで、背景やエフェクトなどもなるべく原作に忠実に再現してある。「あの頃のスクウェアはサークルみたいな感じだったのでデータの管理がちゃんとできていなかったため苦労しましたよ、先輩!」と過去作を作った人たちへのメッセージも。しかしそういった苦労の甲斐あって、映画館のスクリーンで大迫力の戦闘を楽しむことのできるレイドが完成したわけだ。

「アルファ編」4層のパーティには、通称「妖精さん」と呼ばれる白いルガディンの姿も

 最後の「アルファ編」は時間切れのため前半部分のみをクリアした。まだまだ現役のコンテンツだけに、吉田氏も集中しつつも視聴者からの質問に答える余裕を見せつつの余裕のクリアだった。3つのボス巡りを終えて、吉田氏は「飛行機に何十時間も乗った後でレイドなんかするもんじゃないね」と苦笑しつつも、プロモーション活動は今日のイベントで一区切りで、明日の休みにはプライベートのアカウントで「FFXIV」をプレイしますと語っていた。

 イベントの最後には、「劇場版 ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん」のウェブ版60秒CMの紹介と、映画館用の5.1ch仕様にした「漆黒のヴィランズ」オープニングムービーの上映、そしてこのトレーラーに序盤部分だけ使われているもう1つのテーマソングが終了後に流され、参加者を見送った。