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12分後に確実に訪れる破滅を回避するために無限に時空を旅するタイムループスリラー「Twelve Minutes」レポート
2019年6月11日 16:23
- 2020年初頭発売予定
Xbox E3 2019 Briefingでは60タイトルもの新作がお目見えした。ただ、今年はライバルであるソニー・インタラクティブエンタテインメントがE3の出展を見合わせたため、世界中の大作がXboxに集中し、AAAクラスの大作でもわずか数分の紹介時間しか与えられなかった。
そうした中、もっとも割を食ったと言えるのがXbox独自のインディープログラムID@Xboxだ。取り上げたい活きの良いインディタイトルは何十タイトル、場合によっては何百タイトルもあったはずなのに、紹介されたのはわずか数タイトルに留まった。そのうちの1つが日本が誇るインディの大作「RPGタイム」だったというのは、日本のゲームファンにとって嬉しいニュースだが、もう1つが「Twelve Minutes」だ。
この「Twelve Minutes」、Xbox E3 2019 Briefingで見たときはそれほど強い印象を持たなかったが、クリエイターから直接ブリーフィングと、実機による試遊を受けたところ、いかにもインディらしい小品ながら、まるで上質な短編ミステリーのような、ゲーム史に名を残す作品だと感じた。
筋書きと舞台設定は極めてシンプルだ。主人公の夫、その妻、捜査官の3人。舞台はリビングと寝室、トイレ、物置の4カ所のみ。
基本的な筋書きは、下記トレーラーにすべて描かれている。主人公の夫は、妻から彼女の妊娠というビッグプレゼントを告げられ、2人で幸せな気分に浸る。ところがその幸せな気分を切り裂くように捜査官が自宅を訪れ、扉を開けるやいなや、妻は殺人容疑で逮捕され、ゲームオーバーを迎える。
その後のトレーラーの内容が示すように、一度ゲームオーバーを迎えてからが、真の意味でゲームスタートとなる。12分後に必ず捜査官が現われる未来を知った主人公は、その事実を妻に告げ、あるいは告げずに、その破滅的な未来を避けるために奮闘していく。
試遊では、リビングをうろつき、部屋を移動して、アクセス可能なオブジェクトを集めていった。ピル、ナイフ、スマホ、コップ、このゲームでは様々なものにアクセスでき、制限時間内に何をするかによってシナリオが変わっていく。妻との会話は、テキストダイアログで複数の選択肢が用意され、選択肢によって妻のリアクションが変わってくる。
試遊では妻にピルを飲ませ、スマートフォンで911に電話したり、ナイフで捜査官に斬りかかったり、トイレに鍵を掛けて籠城したりなど、諦めてベッドで寝たり、様々なことを試したが、結果はすべて同じで、常に悲劇的な結末を迎え、主人公は再び12分前に戻されていた。担当者は「ほう、そう来るか」という感じでニヤニヤしながらその様子を見守っていたが、たぶん、今回のメディア向けのブリーフィングでクリアできた人はいないと思う。正しい選択肢を選んでクリアというような、シンプルなゲームではないからだ。
見ていて感じたのは、「ファミコン探偵倶楽部」や「ポートピア連続殺人事件」のような日本伝統のテキストアドベンチャーのように、クリアするためには極めて膨大な選択肢が存在し、1つないし、わずかしか存在しない正しい選択肢を正しい順番で選ばなければやりなおしというゲームデザインのようだ。それをわずか12分という短い時間に詰め込んでいるところがこの作品の極めてユニークなところで、シンプルだが、激ムズ、テキストアドベンチャー好きの日本のゲームファンにもマッチするゲームだと感じた。
「Twelve Minutes」はこれからさらに作り込みを加え、2020年初頭発売予定。Xbox Oneのほか、Windows PC向けにも展開される。発売が非常に楽しみな作品だ。