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BioWareが贈る新作ロボットRPG「Anthem」、先行体験レポート

飛翔感、パワフルな戦闘、謎めいた世界観新たなゲーム体験を味わえる作品

2月22日 発売予定

価格:8,424円(税込)

 エレクトロニック・アーツは、2月22日発売予定のプレイステーション 4/Xbox One/PC向けアクションRPG「Anthem(アンセム)」の体験会を開催した。このイベントにはメディアやインフルエンサーなど、30人以上が発売前の「Anthem」を体験することができた。本稿では「Anthem」の概要やスタッフへのインタビューを紹介していきたい。

 「Anthem」は、“ジャベリン”と呼ばれるロボットに乗り込み戦っていくアクションRPG。「Mass Effect」や「Dragon Age」シリーズなどRPGを得意とするBioWareが、これまで以上にアクション性の強いゲームシステムに挑む。世界観はロボットというメカを中心に据えながらもファンタジー色の強い独特で魅力的なもので、日本のユーザーも大いに興味をそそられるものとなっている。体験会では本作の魅力をしっかりと感じることができた。

 なお、本作は日本時間の2月2日午前2時からはプレーヤーを制限しないオープンテストが行なわれる。ぜひ体験して欲しい。

【Anthem 公式シネマティックトレーラー】

強大な力を持つジャベリンで、走り、飛び、戦う!

 「Anthem」は、1月25から27日にかけ、予約した人が体験できる「VIP先行体験」を開催している。この際はステージ間の移動に失敗してしまうなど不具合が多く、満足な体験ができなかったが、それでもゲームプレイそのものは魅力的で、プレイした筆者も期待が高まった。

先行体験会は、東京・中野のRed Bull Gaming Sphere Tokyoで開催された

 「Anthem」は、“具現者”という神から見捨てられた世界。かつてあった高度な文明は滅び、文明は衰退、多くの施設は遺跡となり、人々の生活は地上を闊歩する怪物達によって脅かされている。人々は地上にいくつかある要塞に立てこもり、かつての文明の遺産の1つである「ジャベリン」を使い危機に立ち向かい、細々と生活をしていた。

 プレーヤーはジャベリンを使いこなし様々な依頼をこなす「フリーランサー」のメンバーの1人。ジャベリンを使い要塞を出て、危険に満ちた世界を探索していく。しかし、ドミニオンという勢力が、この世界の秘密「創世の讃歌」を手に入れるため動き始める。世界は、フリーランサーはどうなるのか、どう動いていくかが、ゲームの大きな目的となる。

 ゲーム的な説明をすると、「Anthem」はアクションRPGだ。街の中では依頼を受けたり、街の人々と会話してストーリーを進め、そしてジャベリンに乗り込み冒険へ旅立つ。街の外はインスタンスフィールドとなっており、他のプレーヤーと力を合わせてシナリオを進めたり、「フリープレイ」と呼ばれる自由に冒険できるフィールドが用意されている。

ロボット・ジャベリン。滅んでしまった文明の遺物で、過酷なこの世界で生き残るための強力な道具だ
ジャベリンは着込むように搭乗する。“パワードスーツ”という表現がよりしっくりくるかもしれない

 街の外では基本的にオンラインプレイだ。プレイ感覚はMOスタイルに近く、オンラインゲームをプレイしている感覚で楽しめた。同じようにストーリーを進める他のプレーヤーと協力して進めていくのがいい。ジャベリンは4つのタイプが用意されており、高レベルになるにつれ、役割分担が明確になっていく印象を受けた。

 VIP体験版はレベルが上がった状態での短いシナリオが楽しめたが、今回の体験版では、ゲームの最初からプレイすることができた。最初はソロシナリオで、ジャベリンの基礎が学べる。ジャベリンはロボットと言うよりパワードスーツという方がしっくりくるメカである。背中が開き、搭乗者はジャベリンの腕や足の内側に自分の手足を差し込むように搭乗する。ジャベリンは人間の能力を格段に向上させる機能を持つ。ジャベリンを着ることで人はスーパーヒーローのような超人的な力を振るうことができるのだ。

「Anthem」では街でストーリーを進め、危険に満ちた世界をジャベリンで探索することとなる。
冒険フィールドはオンラインであり、他のプレーヤーと協力して進んでいく

 ジャベリンは4つのタイプがある。チュートリアルで乗るのが「レンジャー」。標準的と言える機体で銃撃から遠距離攻撃までこなす。「コロッサス」は重戦車のようなジャベリンだ。巨大な盾で攻撃を防ぎ、銃火器で敵を殲滅する。

 「インターセプター」は忍者のような身軽なジャベリン。特筆すべきは格闘能力で、接近戦でくるくると身体を回転させながら敵を切り刻む。「ストーム」は魔法使い的なジャベリンだ。特殊スキルの範囲攻撃が強力で、敵の集団を焼き尽くす。

 今回筆者はまずインターセプターでプレイしてみた。VIP体験版でレンジャーとコロッサスを触っていたためだ。インターセプターはやはり格闘が楽しい。他のジャベリンの格闘攻撃は単発のものだが、インターセプターはボタンを連打すると連続攻撃を繰り出す。雑魚モンスターの群れに飛び込み、ガリガリと敵を切り刻むのがとても爽快だ。

 ジャンプボタンを組み合わせることで一気に距離を詰めて強力な格闘攻撃が出せる。敵の攻撃が集中するときはダッシュで距離をとる。特殊攻撃は強力で、範囲に電撃を与える。チュートリアルはソロプレイだったが、最初のミッションからは他のプレーヤーと一緒に進むことになる。最大4人まで参加が可能で、今回は2人プレイが多かったが、ソロとは大きく異なりドンドン敵を倒していける。やはりパーティプレイが楽しいゲームだと感じた。

今回使用したインターセプターは身軽で忍者のような機体。格闘攻撃が強く連続でダメージが与えられる

 ミッションは展開、仕掛け共に凝っている。ポイントを探索したり、決められたターゲットを破壊したり、進むごとに様々な目標が提示され、敵を倒しながらこなしていく。敵は常に数が多く、集団でこちらを狙ってくる。いかに立ち回り、倒していくかがテーマになっていく。ザコ敵の中にはかなりの耐久力を持った無骨なジャベリンのような敵がいて、盾を正面から構えられるとインターセプターではかなり苦しい。この時仲間の支援があると非常に助かった。特に敵の動きを止める氷結系の攻撃をしてもらえると、インターセプターはその隙に近寄り大ダメージを与えられる。アタッカーとしての戦い方が見えたと感じた。

 フィールド間での移動で大きな要素が「飛行」だ。ジャベリンは水の中を泳ぐかのように空を自在に飛翔できる。ブーストによる限界はあるが長い距離を移動できる。この浮遊感は爽快で癖になる。飛行はいつでも可能なので、戦闘中でもうまく使いこなせればかなり楽しそうだ。

ジャベリンは飛行能力を持ち、フィールドの移動は空を飛んでいく
オブジェクトの破壊やフィールドの探索でミッションは進んでいく

 パーティプレイを前提としている「Anthem」だが、いわゆるヒーラー系の役割はないようだ。ジャベリンはシールドを張っておりそれがなくなるとHPが減っていく。シールドはしばらくすると回復するが体力は回復しない。敵を倒すと弾薬や回復アイテムを落とすので、これをとって回復していく。強力な攻撃を繰り出すボスと戦う場合は、合間でザコを倒し回復しながら戦う、というのがセオリーとなる。インターセプターはザコの殲滅力が高い。戦場を駆け回りつつ、ザコを狩り、他のプレーヤーに回復アイテムをとりやすくする、というのも役割だと感じた。

 今回は戦闘中心で進めてしまったが、街とストーリーも強い魅力があることは触れておきたい。ロボットのある世界だが、文明レベルは中世を思わせる、美しいが過酷な生活なのか、どこか“暗さ”を感じさせる世界だ。NPCとの会話は選択肢がアリ、やりとりが変化していくのは「Mass Effect」シリーズを思わせる。世界観の構築はBioWareが得意とするところである。こちらも大いに期待したいところだ。

冒険で得た装備でジャベリンをアップグレードしていく
街ではストーリーが進行する

歯ごたえボリュームたっぷりなコンテンツに挑戦し能力をアップグレードせよ!

 体験会は2部構成となっており、後半はレベル30の強力なキャラクターで、凝ったコンテンツをプレイできた。序盤のステージに比べると長く、敵の攻撃も激しく、そして仕掛けも凝っており、かなり歯ごたえのある戦いを楽しむことができた。

 レベル30のキャラクターにとっては、難関コンテンツでもかなり余裕を持ってプレイできた。今回は2人の協力プレイで挑んだが、ボス戦はかなり厳しかったが、それでもクリアできた。30レベルのキャラクターはかなり強く、レベルが上がれば少人数、もしくはソロプレイでの攻略も可能かもしれない。

 こちらではストームを使った。マントを羽織った魔法使い的キャラクターで、範囲攻撃が非常に有効だ。移動速度は速くないので攻められるともろいところがあるが、もう1人が敵を引きつけている後ろで援護をしていくという役割をこなすとその火力を遺憾なく発揮できる。範囲攻撃の炎は防御力の高い敵にも有効で、インターセプターで苦戦した固い敵もドンドン殲滅することができた。

長いマントをはためかせるストーム。範囲攻撃が強力なジャベリンだ

 「Anthem」ではストーリーミッションの他に、広大な地域を探索できる「フリープレイ」、そして高難易度コンテンツ「ストロングホールド」がある。特にストロングホールドは数十分攻略にかかるかなりのボリュームで、ラストには強大なボスが待ち受けるというかなりハードなコンテンツだ。こちらはさすがにソロは無理で、30レベルのキャラクターを使っても2人で何とか勝てた、という感じだった。

 難易度の高いコンテンツに何故挑むかと言えば「レアアイテムが出るから」である。ジャベリン用の様々な武器、特性を持つアーマーやシールドなど、より性能が高く、プレイスタイルに合ったレアアイテムを求め、プレーヤー達は何度も高レベルコンテンツに挑む。同じコンテンツでも難易度を上げることが可能で、ハードだと30レベルのキャラクターでもきつい。強い武器を求めプレイしていく「ハック&スラッシュ」のゲーム性を持っているのだ。

2部でプレイしたコンテンツは高レベル向けのものだが、その分レアアイテムを入手しやすかった

 後半で挑戦した「The Temple of Scar」のストロングホールドはかなり歯ごたえのあるダンジョンだった。高さのある立体構造の建造物の中を進むのだが飛行が制限されており、ルートを見つけて進まなくてはならない。狭い中に的が頻繁にわき道を阻み一筋縄ではいかない。

 極めつけはボスだ。巨大なロボットなのだが、シールドを張り巡らせこちらの攻撃を防ぐ。シールドジェネレーターは巨大な風車のように回転する柱で、これにダメージを与えないと本体を攻撃する隙ができない。ボスは強力なレーザーを撃ってくるし、雑魚も頻繁にわきかなり追い詰められた。

 今回は2人でプレイしたためかなり大変だったが、4人プレイならばもう少し役割が分担できただろう。ザコ狩り専門、ボスへのダメージを集中、敵の攻撃を引きつけるメンバーがいれば今回よりずっと楽に倒せそうだ。製品版ではレアアイテムを求め何度もここに挑戦することになるだろう。慣れたユーザーはドンドン先に進んでいくのではないだろうか。

 今回数時間「Anthem」に触れることができたが、やはりアクションが楽しかった。機敏に動き、自在に空を駆け回り、強力な攻撃を行なうジャベリンの戦闘は他のタイトルでは味わえない爽快感で、大きな魅力となると感じた。筆者のようなロボット好きにはこのSFファンタジー的な雰囲気や、ジャベリンのカスタマイズ要素もたまらないものがある。製品版をしっかりと遊びたいと想った。

構造も複雑な「The Temple of Scar」。アイテムを求めて挑戦する「ストロングホールド」モードで挑戦
巨大ボスはシールドジェネレーターを壊さなくてはダメージが与えられない上、ザコもかなりわく

「Mass Effect」の先にある物語とアクションの融合、BioWareの新たな挑戦

 試遊会ではさらにリードプロデューサーのMike Gamble氏にインタビューを行なった。日本のロボットに関することや、影響を受けた作品なども聞くことができた。やはりまず、最初に聞いたのは「何故ロボットをテーマにしたのか?」ということだ。

 Gamble氏は「それはまず、我々が住んでいる現実世界が危険であり、強い力が求められていると感じられたからです。戦争、テロ、この世界は争いに満ちている。その危険に立ち向かうためスーパーヒーローのような力を持った存在を提示したかった。それが、ジャベリンをゲームに入れた理由です。ジャベリンというスーツを着て、スーパーヒーローとして世界を守る。そういう物語を提示したいと思いました」と語った。

 ジャベリンはロボットだけに、日本のアニメカルチャーの影響を受けている。Gamble氏自身も日本のロボットが好きで、ガンダムやエヴァンゲリオンなどの要素もジャベリンには盛り込まれている。その中でGamble氏が強く影響を受けたのがコナミの「ZONE OF THE ENDERS」シリーズだという。

BioWareで、本作のリードプロデューサーを務めるMike Gamble氏

 そういわれると納得するものがある。浮遊感や、近接攻撃の盛り込み、空を飛ぶ感じなど、「ZONE OF THE ENDERS」でのロボット(オービタルフレーム)の影響がある気がする。「レンジャーの特殊攻撃で複数の的をロックオンし、放射状にミサイルを撃つ攻撃、これは『ZONE OF THE ENDERS』の特殊攻撃のイメージに近いものがありますね」とGamble氏はコメントした。

 ロボットを使っていながら、中世ファンタジーのような世界観は独特の魅力がある。これは「Anthem」の世界が1度崩壊し、科学と魔法が混じり合うような世界になった。それをGamble氏は「サイエンスファンタジー」と呼んでいるという。

 筆者は「Anthem」は、「Mass Effect」からの流れを強く感じた。「Mass Effect」はRPGでありながらアクション性を強く盛り込んでいた。そのアクション性はシリーズを重ねるごとに洗練されていったが、「Anthem」はその先を見せてくれたと感じた。筆者の感想にGamble氏は「その通りです」と答えた。

 「Mass Effect」はキャラクター達は地上を走り、壁に隠れて戦う、カバーシューティングが楽しめる戦闘システムを持っていた。そこから「Anthem」はより立体的に、そして空を飛ぶことができるアクションを獲得した。フィールドもより立体的になり、バトルフィールドも3次元空間としての楽しさが増している。

ジャベリンはテクスチャーを変更することで質感を変化させることができる

 そしてジャベリンだからこその“パワフルさ”がある。ジャベリンはスーパーヒーローのように圧倒的な能力をみせる。これはゲームをよりシンプルに魅力をユーザーに伝えてくれる。「Anthem」は、BioWareとして大きな挑戦となった。これまでBioWareはRPGメーカーとして実績を積んでいたが、今回アクションに重点を置き、そして全く新しいIPで勝負をかけた。もちろん自身があったが、一方で不安も大きかったという。

 「ゲームメーカーは、新しい挑戦をしなければ、先細りになってしまう。私達は『Anthem』で新しい挑戦をしようと思っています。アクション、戦闘、オンラインでのプレイ……様々なポイントで、BioWareのチャレンジを実感して欲しいです」とGamble氏は語った。

 一方、VIP先行体験は大きくつまずいたと言える。ロードが終わらなかったり、不具合が出て、プレイが満足できない環境があった。Gamble氏は不具合に関しては問題点をいくつか把握しており、これらの修正作業を現在進めていると答えた。まず2月1日からのオープンテスト、そして製品版発売の前にはいくつかの問題をクリアすると語った。

 ちょっと本筋から外れるが、「日本のロボットアニメとコラボレーションするならどれか? もしゲームに日本のアニメロボを入れるならどんなロボットが良いか」という質問もぶつけてみた。Gamble氏は「マクロス」と答えた。実は「マクロス(「超時空要塞マクロス」)」は、北米では「Robotech」という名前で他のアニメと一緒に放映されたため、日本のアニメに詳しくない人は「マクロス」とは言わないのだ。この発言1つからも、Gamble氏の日本のロボアニメ好きがわかった。

立体構造のフィールドが新しい楽しさをもたらす

 「Anthem」のジャベリンは有機的な、メカらしくない印象を受ける。Gamble氏はそこも本作のこだわりの1つだと語った。ユーザーがこれまで観たことのないロボット、既存のメカロボットとは違う、人間のような動き、ロボットでアリながらアメリカのスーパーヒーローのようなパワフルな力。日本のロボットのような全長数十メートルのロボットとはまた違う、独特のロボット像を目指した。自分の力を拡張し、自分がスーパーヒーローになったような感覚を味わえるロボットにしたかったとGamble氏は語った。

 オープンテストで多くのユーザーが「Anthem」に触れることとなる。Gamble氏は、「EAのタイトルやBioWareの作品をこれまで知らない、という日本のユーザーもいると思います。『Anthem』はこれまでのゲームの枠に囚われない新しいゲームです。独特の世界、物語、そしてエキサイティングなアクション……様々な新しい体験ができると思います、ぜひ触れてください」と日本のユーザーへ語りかけた。