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【LoC III】韓国チームが優勝!チーム「山」は世界の洗礼を受けDay1敗退
eスポーツだけじゃない!大盛り上がりの「LoC III」イベントレポート
2019年1月28日 11:31
レノボは、「League of Legends(リーグ・オブ・レジェンド。以下、LoL)」を競技タイトルとしたeスポーツ大会「Legion of Champions Series III(以下、LoC III)」の決勝大会を、タイ・バンコクにて1月25日より27日(現地時間)にかけて開催した。
「LoL」においては日本、北アメリカ、ヨーロッパ、韓国……など国や地域ごとにサーバーが分かれており、プロでもなければ他国のチームと試合を行なう機会はほとんどない。「LoC III」はそんなリージョンの垣根を飛び越え、アジア圏11カ国からトップクラスのアマチュア12チームを集めてアジアNo.1を決めようという珍しい立て付けの大会だ。
そんな大会に今回日本が初めて参加することになり、日本代表として選出されたチームは「山」。彼らはプロへの登竜門という側面もあるeスポーツ大会「Logicool G CUP」を2連覇したほか、「LoL」に於いて最高位であり日本には200人しかいない「チャレンジャー」の選手を擁する、名実ともに日本最強のアマチュアチームだ。
日本サーバーは数ある「LoL」のサーバーの中で最も歴史が浅く、プロの世界においても「DetonatioN FocusMe」が昨年初めて世界戦で初戦突破の結果を残したばかり。「LoC III」ではアマチュア日本代表が世界を相手にどこまで戦えるのか非常に興味深い1戦となったが……やはり世界の壁は厚く、結果からお伝えするとチーム「山」はDay1で敗退となり、大会の優勝は「LoL」強豪国でありeスポーツ大国、韓国代表の「Awe Star」、2位がSeason 2の世界優勝チームを輩出した台湾「Diamond」、そして3位が開催国タイの「Mega Esports」となった。
なお、メインステージで実施された試合は下記アーカイブより上からDay1、Day2、Day3の視聴が可能で、「山」はDay1の第1試合で対戦した「Team M.W」との試合が配信された。
「山」はDay1敗退となるも、シンガポール相手に大勝を決める!
「LoC III」に参戦したのは香港の「Team M.W」、インドネシアの「Headhunter」、マレーシアの「duckondrug」、フィリピンの「Ark Angel」、シンガポールの「Rayning Jelly Bears」、台湾の「Diamond」、タイの「Mega eSports」と「Underdog」、ベトナムの「Flash」の8地域9チームに加え、インドより「White Shadows」、韓国より「Awestar」、そして日本より「山」の3地域3チームを加えた計11地域12チーム。
試合はダブルイリミネーション形式で進行し、Day1にあたる25日はグループA、Bに分かれた各6チームが総当たり戦を実施。各グループの上位2チームはDay2のトーナメントのウィナーズブラケットに進出し、3,4位のチームはプレイオフの結果によってルーザーズブラケットに進出、下位2チームはDay1敗退となった。
「山」は抽選の結果グループAに属することになり、香港、マレーシア、シンガポール、ベトナム、インドネシアとの試合が組まれた。プロの戦績だけで言うと昨年の「Mid-Season Invitational」で目覚ましい活躍を見せて「Worlds 2018」でシード枠をもぎ取ったベトナムが強そうな予感はあったが、対戦相手の情報はプロチームならいざしらず、アマチュアチームということで戦績を追うのがなかなかに難しいところがあり、正直戦力としては未知数な部分があった。そしてもちろんプロが強いからと言ってアマチュアチームが強いとも限らない……とこの段階では思っていた。
蓋を開けるとベトナム代表「Flash」は表彰台こそ逃したもののDay1を無敗で通過したし、Day1ではグループBだったため「山」とは当たらなかったが1位の韓国と2位の台湾はプロが強い地域だ。中でも韓国はレーンでも集団戦でもまさに圧倒的な強さを誇り、非常にレベルの高い試合を繰り広げた。やはりプロの強さはアマチュアシーンにも波及するというか、逆にアマチュアシーンの強さがプロの強さを支えているのだということが良くわかった。
さて、Day1は総当たり戦ということで試合数も多く、各チーム1戦をメインステージ、そのほかの4試合はサブステージで行なわれるという進行になっていた。「山」の初戦の相手は香港「Team M.W(MW)」で、これは「山」にとって初の世界戦、しかもメインステージでの試合という晴れ舞台だ。
ここはなんとしても勝っておきたいところではあったが、結果としては敗北を喫することになる。試合の最序盤はキルを取って取られてといった展開で、多少キル数はリードされていたものの、グローバルゴールドはほぼイーブン、YMのジャングラーMunna選手がリフトヘラルドの獲得に成功するなど互角の戦いを繰り広げていた。
しかし中後半になってくるとMWのMID 14選手がピックしたガリオが俄かに存在感を放ち始める。チャンピオン自体もMWはサイオン、カミール、ガリオ、カイサ、ラカンというピックで、集団戦にめっぽう強い構成。MWの寄りが異様に早いこともあり、YMは終始苦しい戦いを強いられた。最終的にはバロンの獲得を許してしまい、ここで1敗となる。以降の試合もレーン段階ではほぼ互角の戦いを繰り広げるも、相手チームのGankのタイミングの良さ、集団戦での立ち回りの上手さに翻弄されて敗北を重ね、4連敗という苦汁をなめることになる。
ところが、あわや全敗が見えてきたところで迎えた最終戦、シンガポール代表「Rayning Jelly Bears」戦ではMunna選手のレンガーが冴えに冴え、次々とGankを成功させて有利を築く。終盤ではもはや飛びついた瞬間に相手チャンピオンが溶けているという感じであり、その有利を受けてYMのTop、 hakohako選手のブラッドミアもスクスクと育ってもはや敵なし。最終的には大差をつけて相手のネクサスを破壊し、最後の最後で1勝をもぎ取った。
冒頭でも述べたが「チャレンジャー」というのは各サーバーのトップ層にあたるプレーヤー達だ。言うなれば日ごろ日本サーバーでプレイしているサモナー(プレーヤー)にとって憧れの存在であり、いつかは自分も……という目標でもある。そんな彼らが世界のチームを相手に連敗を喫するというのは見ていて正直とても辛かったし、世界とのレベル差を実感させられることにもなった。
試合後、「山」のメンバーたちは世界戦の感想として、相手が日本では見逃されるような小さなミスを的確に突いてくることや、純粋なレーン戦の上手さなどを感じたと語った。一方で毎試合チャンピオンの構成を変えて臨むことができたと語っていたほか、日本では無敗を誇った彼らも世界の強敵を相手にして刺激を受けたようで、「機会があれば是非また出場してリベンジしたい」とコメントしてくれた。
コスプレイヤー多数!イベント多数!アイドルによる音楽ライブも開催
大会そのものもさることながら、「LoC III」はeスポーツに限らず見どころが満載だったので、こちらも併せてお伝えしたい。
まず開幕式では驚くほどレベルの高い「LoL」のコスプレショーから始まり、レノボ関係者による真面目な挨拶、選手紹介を挟んで現地アイドル「SWEAT16 !(スウェット・シックスティーン!)」によるライブが行なわれた。中でもライブは少々びっくりするほど盛り上がっており、中には感涙している人もいるほど。さらに歌詞や曲の合間の"語り"に日本語が入っていたり、現地ファンが何故か「ウー、ハイ!ウー、ハイ!」、「おまえがすきだー!」など日本流の合いの手を入れていたりして2度びっくりしたのだが、後で調べたところによると「SWEAT16 !」は日本のよしもと傘下のアイドルグループであるということを知り、なんとなく納得した次第であった。音楽とeスポーツといえばかつて取材した香港の「E-Sports&Music Festival」などが思い起こされるが、やはり音楽とeスポーツというのは相性がいい。
また、会場のサイドステージではコスプレショーや来場者参加型のイベントが続々と催されていたほか、会場外ではスポンサー企業のブースが軒を連ね、「LoL」に関係あるものないもの問わずに活況を呈していたし、なによりコスプレーヤーの参加数が尋常ではなかった。開幕式でステージに登壇したオフィシャルのコスプレイヤーに加え、おそらく一般参加であろう来場者も凝りに凝った衣装をまとって会場を闊歩しており、コスプレ文化はタイでしっかりと根付いているということがわかった。その衣装やポージングの完成度からは「LoL」に対する強い愛情が感じられ、思わず見ているこちらも嬉しくなってしまうような風景であった。
また、会場が大型商業施設内のホールということもあってか男性1人客をはじめ親子連れ、学生の一団なども見られた。eスポーツが性別や属性を超えて受け入れられている環境にはとても驚いたし、日本ではまだまだ見られない光景にある種の羨ましさなども感じた。タイのイベントがいつもこうなのか、「LoC III」が特別賑わっていたのかはタイ取材が初めてのため定かではないが、とかく筆者が目にした「LoC III」は幅広い客層が訪れる門戸の広いイベントでもあったのだ。
「LoC III」のようにアマチュア向けの世界大会、そして同時にエンターテイメントやファンコミュニティの場となるイベントは日本ではまだほとんどない。大会の結果こそ悔しく残念なものであったが、イベントそのものは「LoL」、そしてeスポーツファンとして非常に素晴らしい体験となったし、もし叶うのであればいずれ「LoC」を日本でも開催して欲しいと思うほどであった。