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ゲーム、ラジコン、プログラム……多彩な可能性を持つロボットトイ「toio(トイオ)」
SIEより正式販売決定、その多彩な遊び方と未来を目にしよう!
2019年1月24日 13:41
ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)は、子供の創意工夫を引き出すトイ「toio(トイオ)」を3月20日より発売する。価格は16,980円(税別)。合わせて専用タイトル「トイオ・コレクション」、「工作生物 ケズンロイド」、「GoGo ロボットプログラミング ~ロジーボの秘密~」を発売、価格は各5,980円(税別)。さらに本体と「トイオ・コレクション」をセットにした「toio バリューパック」も発売する。こちらの価格は19,980円(税別)となる。
「toio」は2つのキューブとコントローラー、プラットフォームで構成されるロボット玩具。キューブの底面にあるセンサーで様々なものを読み取らせることで、ゲームやプログラミングが楽しめる。専用タイトルにより遊びの幅を広げることで、ユーザーの想像力を刺激し、さらなる遊びを“創り出す”ことを目的としている。「toio」は6歳以上の子供を対象にしたロボット玩具だ。
本商品はソニーのスタートアップ支援「シード・アクセラレーション・プログラム」によって生まれ、2018年1月にクラウドファンディングによって出資者向けに販売されたが、今回はアップデートされた商品での一般販売となる。クラウドファンディング版を購入したユーザーは無償交換プログラムにより最新版の「toio」を手にすることができる。
「toio」は2017年の東京おもちゃショーで発表されたが、新たに、プレイステーションを展開するSIEにより販売が行なわれる。開発メンバーはプレイステーションを開発するチームと共に「toio」の商品化、さらなる遊び方の研究を進めているという。今回は本商品のメディア体験会で、改めて「toio」の楽しさ、そして今後の可能性を提示する研究中のプログラムを見ることができた。メディア体験会の様子をレポートしていきたい。
創造性を刺激する「toio」、プレイステーションの知見を活かしたSIEで販売することで広がる可能性
メディア体験会では最初にSIE T事業企画室の田中章愛氏による「toio」の開発プロジェクトの概要説明、参加クリエイターの「toio」への期待、そしてSIEシニアバイスプレジデントの西野秀明氏が具体的な「toio」の使用や可能性を説明した。
田中氏は「toio」の誕生に関し、「子供達の手作りの玩具に、ロボットを載せて、コンピューターで遊びのルールを設定することで、自由自在に遊べるようにしたい」という思いから生まれたと語った。そして最初は提示されたルールで遊んでいた子供達が、その遊びをアレンジしたり、新しいアイディアをひらめくことで、自由な遊びに繋がって欲しい。そういう想いを込めているという。自由な遊びを生み出せるプラットフォーム、「toio」のテーマはここにある。
「子供達が自分の手で遊べる商品を」ということで大きなシステムのプロトタイプから現在の仕様が決定し、スタートアップで生まれた「toio」だが、ユーザーのフィードバックを取り入れ、SIEのインタラクティブチーム、ビジネスチームと協力し、よりよい商品として「toio」は生まれ変わり、一般販売が行なわれる。発表会では専用タイトルを開発するクリエイターの紹介も行なわれた。
SIEシニアバイスプレジデントの西野氏は「toio」をSIEが販売することの意味を語った。「toio」は商品として販売するだけでなく、子供がプログラミングの基礎を学ぶ親子参加型のプログラムや、コンテストの実施、ユーザーのコミュニティによる「toio」の新しい可能性を模索していくという。
西野氏は高性能モーター、絶対位置センサーなど「toio」が最新技術を搭載した高性能小型ロボットであることを改めてアピール。位置情報を提示するセンサーマットを使うことで、「現実空間」を活用しプログラミングを通じて、コンピューター内での世界を「toio」を通じて現実世界に投影できる。この「プログラミングが可能」というところをSIEは重要に考えていると西野氏は語った。
プログラミングによるインタラクティブ体験、これはネットワークを通じたプログラム配布、シェアが可能であり今後多くのプレーヤーが楽しめるようになる。SIEが販売を行なうことで、プレイステーションで得た知見や技術を活かし、「toio」を通じた新しいインタラクティブ体験を実現すべく、まずは国内市場をターゲットとしたビジネスを展開していくことを西野氏は語った。
大人も楽しめるユニークな専用タイトル、そして広がる新たな可能性
メディア体験会では3つの専用タイトル、「トイオ・コレクション」、「工作生物 ケズンロイド」、「GoGo ロボットプログラミング ~ロジーボの秘密~」の説明に加え、今後展開を予定している「toio」の様々な可能性を見ることができた。
「トイオ・コレクション」は、「toio」の基本的な機能をフルに使った遊びが楽しめる。キューブの上にレゴで作ったアタッチメントをつけ、コントローラーでラジコンのようにキューブを操作し、対戦できる「クラフトファイター」。同じ様に対戦をするが、上に紙を貼り付けることでしっぽのある“スカンク”となって、しっぽの上に乗っかる「スカンクファイター」では、キューブがしっぽを検知することで様々なアクションをする。
また台紙でプログラムを行ない、マットの上のキューブを動かす「リズム&ゴー」など5つの遊びが提示される。コントローラーやプログラムなど、キューブを動かす方法にも、遊びによりキューブが様々な役割を担うところも面白い。「『toio』にはどんな可能性があるか」を考えるのにぴったりなタイトルとなっている。
「工作生物 ケズンロイド」は、“ピタゴラ装置”で知られるクリエイター集団「ユーフラテス」のセンスが前面に押し出されたタイトルだ。キューブに様々な紙のアタッチメントをかぶせることで不思議な生態を持つ生き物となる。遊ぶ際に読む本には生命体としての考察なども書いてあり、独特の世界観に浸れる。
2つのキューブを連動することでクワガタのように2つの角を動かしものを捕らえる生き物や、大きな口を持つ生き物からもう1つのキューブで逃げる遊び、片方を監視し続ける目玉生物など、キューブが様々な生き物になる。
面白かったのは四角い枠の中にキューブを入れた生き物。履帯のようにキューブは枠を下に敷きながら進んでいく。通常、キューブは座標を設定しているマットの上だけを進むようにしているのだが、この履帯によりキューブは自分がいつまでもマットの上にいるという認識をし続けるため、他の遊びの“枠”を超えてどこまでも移動できるのだ。クリエイターらしい反骨さが出ているのがいかにもな感じで、思わずニヤリとさせられてしまった。
「GoGo ロボットプログラミング ~ロジーボの秘密~」は絵本仕立ての“物語”において、ロボットプログラムの基礎を学んでいける教育プログラムコンテンツ。キューブにアタッチメントをかぶせることで、キューブは男の子、女の子、お邪魔キャラへと役割を変える。
主人公は男の子キューブ。プログラムをなぞることで覚えさせ、お邪魔キャラクターをよけたり、女の子キューブを押して目的地に導いたりする。プログラムはピースとなっており、絵本では必要なピースが提示されこれを組み合わせたり、穴埋めを埋めたりしてプログラムが学べる。お話と連動したプログラムへの誘導が感心させられるタイトルだ。
会場では同時発売タイトルだけでなく今後の開発タイトル、施策プログラムも見ることができた。「ドライビングゲーム(仮称)」は2019年内に販売を予定しているタイトル。キューブをすっぽり覆うアタッチメントでキューブが車に変化、コースが書かれたマットの上をドライブできる。我の形をしたコントローラーの傾きセンサーを使って、ハンドルのように操作できるのがポイントだ。
壁に当たると跳ね返るような挙動をしたり、カーブではクイックに曲がったりとアナログのラジコンの操作ではなく、半自動のロボットカーのような味付けになっているところが面白い。消防車に見立てて火事場に急行したり、1台がAIが操作するドロボーカー、もう1台をプレーヤーが操作するパトカーとなって追いかけるなど遊びの可能性は大きく広がる。様々な遊びを考えているとのことだ。
開発中のものとして、キューブとマットをペイントツールのように使い、コンピューター上に絵を描くプログラムもあった。ツール用のマットにキューブを置くと、ペンの色の選択ができたり、キューブを回転させてペンの太さを選んだりできる。他にもマットを使った対戦ゲームなども提示されていたが、これらはjava scriptを使ったビジュアルプログラムで組まれている。このビジュアルプログラムそのものをフリーで提供する開発キットの計画なども考えているとのこと。
この他、デモンストレーションでキューブを3つ、PS4のコントローラーを使ったサッカーゲームの出展もあった。プレーヤーにぶつかったときや壁にぶつかったときなどをキューブが判定することでボールらしい挙動ができる。単純にピンポン球を使ったサッカーゲームとは異なるゲーム性が生まれる。片方が逃げるプログラム、もう片方が追いかけるプログラムで追いかけっこをするデモもあった。
圧巻だったのがキューブを多数使ったデモで、幾何学模様的な動きでキューブが動く。かなりのマシンパワーが必要で、1台のPCでは4つの制御がやっとだという。それぞれが座標軸を認識して動いているので、手でキューブをずらしても即座にキューブが戻る。1台1台が自律型ロボットだからできる柔軟さを持っている事がわかる。
「toio」は非常に魅力的なロボットで、子供向けをアピールしているが、大人がのめり込む奥深さがある。そして研究では様々な可能性が模索されている。ロボット玩具は様々なものが提示されているが、ソニーならではの高い技術力をバックボーンにした商品、そしてSIEのゲームセンス、ビジネスセンスを取り入れた発展にはとても興味が惹かれるところだ。今後どのようになっていくのか、今後も注目していきたい。
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