ニュース
どこまでもこだわるスタッフ達の想いを形にしたい。寺澤プロデューサーが紹介する新作RPG「ザンキゼロ」
2018年3月24日 12:00
スパイク・チュンソフトは、GDCで北米の流通業者向けにブースを出展、自社タイトルを海外の関係者/メディアにアピールした。今回こちらで新作RPG「ザンキゼロ」に関して、プロデューサーの寺澤善徳氏に本作の概要や、ゲームへの想いを聞くことができた。
「ザンキゼロ」はプロデューサーに寺澤氏、ゲームデザインに菅原隆行氏という「ダンガンロンパ」を手がけたスタッフによる新しいRPGである。PS4とPS Vita向けに制作されており、発売日は今夏予定。ゲームの舞台は人類が滅亡する寸前の未来、プレーヤーはクローン人間である8人のキャラクターとなり、世界の謎を解いていくこととなる。
非常に尖った設定と、ユニークなキャラクター達、何よりもとてもしっかりとした“昔ながらのRPG”への想いが込められた作品である。話を聞いてしっかりとやりこみたくなってしまった。今回明らかになった要素をレポートしたい。
歯ごたえのある超本格的ダンジョンサバイバル。死ぬことで強くなる謎めいたシステムとは?
今回の「ザンキゼロ」で見ることができた最初のシーンは“生き返る”ところ。8人のプレーヤーキャラクターは「エクステンドマシン」によって生き返ることができる。生き返ったキャラクターの周りには他のキャラクターがいる。
8人のキャラクターはエクステンドマシンで何度でも蘇ることができるクローンだ。文明はすでに崩壊しており、人類はクローンの8人しかいない。彼らはテレビを通じて与えられる“指令”に従い、エクステンドマシンを修理し、過酷な世界をサバイバルしていく。
「ザンキゼロ」の世界は青い空に入道雲、南の島のような砂浜とまるで天国のような世界だ。しかし周囲を見渡せば崩壊した文明の残りかすのような鉄柵や工事現場の看板、さびた自転車などが転がっている。そしてプレーヤー達は物資を得るために“廃墟”へと足を踏み入れていく。エクステンドマシンの部品も廃墟の中にあるのである。
ゲームは“章”で構成されており、1章ごとに主人公が変わっていく。ゲームのインターフェイスとしては1人称の視点で、章ごとに“自分”が変わっていくようなイメージだ。8人のキャラクターそれぞれの視点で物語が展開していく。
敵との戦闘はコマンド形式ではなくリアルタイムとなる。敵の向きを見て後ろや側面をとれるように移動しながら攻撃していく。敵からの攻撃をかわし、いかにダメージを与えて行くかが鍵となる。扉をあけた中に複数のモンスターがいて、囲まれてしまうこともある。戦闘はリアルタイムで、アイテム管理用のメニューを開いていても時間は止まらない。
敵は初期は野生化したヤギなどだが、いずれ現実には存在しない奇妙なクリーチャーも登場するようだ。彼らは倒すことで素材となる。プレーヤーキャラクターは「空腹度」といったパラメーターも用意されていて、敵の肉など調理して空腹度を下げ、骨や皮、角などを集めて武器や装備を作っていく。得られたもので生き抜いていくサバイバル要素が強く出ている。
敵からの攻撃を受けるとパーティメンバーの体力は減り、減りすぎると死亡する。死んでしまうと持っていたアイテムが床に落ちてしまう。4人全員が死んでしまうともう4人のパーティで回収するしかないが、全滅前にシステムメニューで即時にダンジョンから出ることもできる。
クローンには生存期間が決められているため、冒険を続けていくと必ず死を迎えてしまうのだ。しかし悲観することもない。冒険中にレベルアップすると多彩なスキルを獲得し、死んでもレベルは継続するので、まさに「死ねば死ぬほど強くなる」のだ。
ただし、エクステンドマシンを使用するにはコストがかかる。復活させるためのポイントを稼ぐにはダンジョンで戦うしかない。また素材などはキャラクターが死ぬとその場で落としてしまうので、貴重なアイテムを落としてしまったときは回収のための冒険も必要となる。
もう1つ、本作には“加齢”の要素がある。キャラクターはダンジョンを進んでいくと年をとっていく。それに合わせてパーティ画面のキャラクターも子供から青年、老人へと変化し、パラメーターも変わる。子供では装備できないものがある代わりに小さな穴をくぐれたりするし、大人の方がアイテムを多く持ち運べる。スキルや特性も年齢層で変わる場合がある。……そして8人の中にはなぜか年をとらないキャラクターもいるのだ。
寺澤氏が教えてくれたパラメーターの1つが“尿意”。これが上がるとキャラクターは漏らしてしまい、臭いがつくなどバッドステータスがつく場合もある。このためダンジョン探索でトイレの確保は外せない。「ペットボトル」というアイテムを持っていれば、緊急回避も可能とのことだ。
今回はあくまでデモプレイだったが、筆者はまずこのダンジョンシステムの「本気」具合が気に入った。細かいステータス、油断のできない緊張感、スキル取得によるキャラクターの成長要素と、特性を活かしたパーティ管理……非常に本格的なダンジョンRPGとなっていて、やりごたえを期待できそうだ。
そしてこの凝ったダンジョンシステムと同じように注力されている世界観とキャラクターにも期待したい。8人はそれぞれ謎を抱えており、探索するダンジョンは8人のストーリーに関わってくると言う。8人は相性もあり、一緒の部屋で過ごすと相性が変化する。これによるサブストーリー開放などもあり、ストーリーの深まりも期待して欲しいと寺澤氏は語った。
本格的なダンジョンシステムを持つ「ザンキゼロ」だが、「ダンガンロンパ」シリーズからのファンのことも考え、ダンジョンの難易度を変えるスイッチも用意されるとのこと。難易度を下げればストーリー部分を楽しみやすくなるし、反対に高難易度に設定することでさらなる成長要素が得られたり、貴重なアイテムを入手できる確率が上がるとのことだ。
世界観というところではエクステンドマシンの指令も面白い。白黒アニメ風の古い絵柄に、楽天的なギャグっぽいドラマで指令が語られるのだが、その明るさが逆にとてもダークだ。またエクステンドマシンがアーケードゲーム風だったり、インターフェイスがレトロゲーム風だったりと、デザイナーのこだわりも注目である。
寺澤氏は本作は「ダンガンロンパ」の第1弾が発売された後に菅原氏によって企画されたゲームだという。菅原氏の提示した企画はとても面白く、寺澤氏はこちらも作りたいと思いつつも、「ダンガンロンパ」はシリーズを制作する方向で進めていった。続編を制作しながらも「ザンキゼロ」を世に出したいとも考えていて、今回ようやく制作に漕ぎ着けたとのこと。
「ザンキゼロ」はダンジョンシステムだけでなく、キャラクター、ストーリー、成長要素、さらには世界観など全てにクリエイターのこだわりがみなぎっている。担当者の思うがままに作らせつつ、バランスをとるのにかなり苦労したと寺澤氏は語った。UIなどは何度も作り直すことで、「さわり心地のいいゲーム」を実現できたと自負しているとのことだ。
今回触ったのは北米向けの開発バージョンだが、そのこだわりの魅力はしっかり伝わってきた。そしてそれをきちんと面白いゲームという形にする寺澤氏、菅原氏の手腕の凄さも感じさせられた。ワクワクさせられるゲームであることがしっかり伝わってきた。
寺澤氏はユーザーへのメッセージとして「RPGとしてちゃんと作り込んでいます。しっかり楽しめるゲームになっていますし、『ダンガンロンパ』のファンの方も楽しめるようにも作りましたので、ストーリーを純粋に楽しむ遊び方も可能です。とにかく沢山の人に遊んで欲しいです」と語りかけた。
(C)Spike Chunsoft, Inc. All Rights Reserved.