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「ESO」、アップデートパッケージ「Morrowind」先行体験レポート

よりシリーズ作品に近いゲームを! 「ESO」は“第3世代”に突入

 続いては松本プロデューサーによる「Morrowind」に至るまでの「ESO」についての解説をまとめておきたい。

 まず最初に松本氏がアピールしたのは「Morrowind」は、6月6日0時にスタートするということ。これは、ニュージーランドの次のスピードになる。その後、次々と0時を迎える国でスタートしていく。つまり、日本でのサービスはヨーロッパや北米よりもずっと早くなる。開発者達が日本を含め、世界でのサービスを重視していることがちゃんと伝わってくるファクターだ。

「ESO」のこれまでとこれからを説明するプロデューサーの松本卓也氏
価格11,800円(税別)の、「初回限定 コレクターズ版」。フィギュアや本が付属する
松本氏イチオシのDLC第2弾「オルシニウム」
異なる勢力の地にも行けるようになった「ワン・タムリエル」
「魔女祭」。季節イベントも可能に
北米で発売された最初のフィギュア付きパッケージ。「Morrowind」でも「初回限定 コレクターズ版」は豪華な装丁となる

 松本氏は、これまでの「ESO」の道のりと、今回の「Morrowind」が発売される“意味”を説明した。「ESO」は、「The Elder Scrolls V : Skyrim」や「The Elder Scrolls IV:OBLIVION」などの大ヒットの中、「エルダー・スクロールズ」シリーズの世界・タムリエルを舞台とした“MMORPG”として制作がスタートした。

 「エルダー・スクロールズ・オンライン」を開発したチームは、MMORPG「Dark Age of Camelot」を手がけたスタッフが含まれており、作品のデザインとしては、「3つの勢力がそれぞれ別の場所からスタートし、大陸の中央に向かって壮大なドラマを繰り広げ、中央の地・シロディールで戦いを繰り広げる」というものになっていた。

 松本氏によると、このゲームデザインにシリーズの一部ファンからネガティブな反応が見られたとい う。「ESO」では、キャラクターのレベルに合わせた“導線”が用意されており、敵もレベルに合わせたデザインになっていた。また、3つの勢力で厳密に地域がわかれていた。一方、「エルダー・スクロールズ」シリーズは、どこに行くのも、何をするのもプレーヤーの自由。プレーヤーのレベルに関係なく敵の強さが調整される。自分のペースで、興奮できる冒険を進められるのだ。

 「『ESO』には自由がない」という声がメディアからもあり、ストーリーやキャラクター、エキサイティングなRvRなどで一定の評価を受けつつも、熱心なファンからは批判されたこともあった。バランス調整や、地域の密度、クエスト中心のゲーム展開なども批判があり、特にスタート時は苦戦してしまったという。こういった問題点は改良が重ねられ、そして「ワン・タムリエル」でファンの望む自由度を実現できたが、それまでには2年という期間が必要となった。

 「ESO」のサービスは北米で2014年4月に始まった。大きな動きがあったのは、その1年後にあたる2015年3月だ。ここで北米でPS4版、Xbox One版がスタートする。それまではパッケージ代+月額課金のサービス形態だったが、コンシューマ版スタートに合わせ、月額課金を課金サービスとし、さらに課金アイテムの販売を開始した。ここでユーザーを増やすことができたと松本氏は語った。

 その後、「ESO」はDLCを発売し、新しい遊びを加えるという進化をしていく。DLC第1弾は、RvRにさらなる楽しさをもたらす「インペリアルシティ」。そして2つめがオークの王を巡るストーリーコンテンツ「オルシニウム」。第3弾が新たなキャラクタークラス「盗賊ギルド」。第4弾はステルスアクションという楽しさがもたらされる「闇の一党」。ここまでが出たところで、日本語版サービスがDMM GAMESでスタートするのである。

 日本語版では、NPCの会話、クエストのログだけでなく、膨大な書物等まで全てのテキストが日本語化されているだけでなく、声優達の熱演によるフルローカライズを行なっており、ゲームの魅力を存分に楽しめる。DMMは大型MMORPGのサービスは初めてであり、ユーザーはここに不安を持ったが、公式ページでの熱心な配信などに加え、なによりも昨今では北米産のMMORPGを日本でサービスしてくれるメーカーは少ないなかできちんとサービスを続けていることで、ユーザーから応援してもらえているのがうれしいと松本氏は語った。

 そして「ワン・タムリエル」である。どこへ行くのも、何をするのも自由になり、ユーザーの冒険の自由度が広がった。「エルダー・スクロールズ」シリーズに近いゲームプレイが可能になったのである。

 さらに「ワン・タムリエル」と同時に導入されたのがイベントシステム。ハロウィンの「魔女祭り」、新年の「ニュー・ライフ・フェスティバル」などに加え、DLCのセールに合わせた導入イベントも開催できるようになった。そしてハウジングである。オンラインゲームプレーヤーにとっては持っておきたい“自分の家”を持つことが可能となり、「ESO」はオンラインゲームとしての完成度も上がった。

 松本氏は、月額の無料化とDLCの充実までを第1世代、「ワン・タムリエル」の実現、そしてオンラインゲームとしての完成度を上げたハウジングとイベント実装を第2世代とし、「Morrowind」をもって、「ESO」は“第3世代”に突入すると語った。「Morrowind」は新しい「ESO」の始まりとなるという。

 「Morrowind」はタイトル通り、「The Elder Scrolls III: Morrowind」の要素をゲームにもたらすものだ。「The Elder Scrolls III: Morrowind」はシリーズにおいて高い評価を受け、その後の「オブリビオン」、「スカイリム」の世界的評価に繋がっていく特別なタイトルである。そのタイトルに「ESO」は“挑戦”することとなる。

 前述の通り、「ESO」は「Dark Age of Camelot」を手がけたスタッフによる作品である。これまで「ESO」はどうしても「エルダー・スクロールズ」シリーズとは似て非なる作品、と言う評価を受けてきた。これまでの開発はこの評価を払拭するための努力といった側面もある。

 そうしたなか、タイトルもそのままずばり「Morrowind」を冠するアップデートパッケージを発売するというのは、開発者がユーザーからのプレッシャーをそのまま受け止めることを意味している。これまで以上にシリーズへのリスペクト、関係性を持たせ、シリーズとしての作品であることを強調する狙いがあるという。

 また、Bethesdaも力を入れている。全米が注目する「スーパーボウル」にCMを流して「ESO」に“新しい流れ”が来ることを強調。そしてスタート時と同じフィギュア入りの超豪華なパッケージを販売する。この豪華なパッケージは日本語版も販売予定とのことだ。

 「Morrowind」は、「ESO」の世界でシングルプレイのRPGのような、そして「エルダー・スクロールズ」シリーズとしてのクオリティを目指した濃いストーリーとゲーム体験が楽しめるという。松本氏は「ESO」でのストーリーとしては第2弾の「オルシニウム」がお気に入りであり、開発スタッフに会ったとき「『オルシニウム』が帰ってくるよ、それ以上のストーリー体験が楽しめるんだ」と言われ、大いに期待しているという。

 筆者としては「ユーザーの集まり」にも期待したい。「Morrowind」はシングル向けでたっぷり楽しめるコンテンツではあるが、やはりオンラインゲームは“ユーザーの勢い”である。新地域が生まれ、さらに新職業「ウォーデン」によって新プレーヤー、新キャラクターがヴァーデンフェルに集まるだろう。その風景を早く見てみたい。

 今回の松本氏の話で、「ESO」における期待が高まった。これからも成長していく「ESO」はその後もDLCの発表が控えており、まだまだ発展していきそうだ。これからも注目してみたい。また、今回の話で改めて“「オルシニウム」のストーリー要素”に対しても興味を惹かれた。こちらも近日レポートしたい。