【特別企画】

「キングダム ハーツII」20周年! ロクサスもソラもプレーヤーの心を揺さぶった! 今こそ振り返りたい感動の冒険

【キングダム ハーツII】
2005年12月22日 発売

 スクウェア・エニックスより2005年12月22日に発売されたPS2用ソフト「キングダム ハーツII」(以下、「KH2」)が、発売から20周年を迎えた。

 本作は、ディズニーとスクウェア・エニックスの共演により、ディズニーと「ファイナルファンタジー」シリーズから多数のキャラクターが登場するアクションRPG。野村哲也氏がディレクターを、野島一成氏がシナリオを、下村陽子氏が音楽を務め、主題歌は「KH1」に続いて宇多田ヒカルの「Passion」が採用されている。

 「KH」シリーズのナンバリングタイトルとしては第2作目なのだが、シナリオは「KH1」のあとにゲームボーイアドバンス用ソフトで発売された「キングダム ハーツ チェイン オブ メモリーズ」(以下、「KHCOM」)の実質的な続編で、「KHCOM」の1年後の物語である。「KH2」においては「KHCOM」の詳細が省略されていることもあり、本作の英語音声版「ファイナル ミックス」にはPS2用にリメイクされた「Re:チェイン オブ メモリーズ」が付属することとなった。

 本稿では、多少のネタバレを含むが、20周年を迎えた「KH2」の思い出を振り返る。

ディズニーとの夢の共演再び! 登場する作品は11作品と、非常に豊富!

 本作はディズニーとスクエニの共演とあって、多数のディズニー作品が登場する。前作から続投の作品は「アラジン」「くまのプーさん」「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」「美女と野獣」「ヘラクレス」「リトル・マーメイド」の7作品。

 さらに「KH2」からの新規出演は「トロン」「パイレーツ・オブ・カリビアン」「蒸気船ウィリー」「ライオンキング」「ムーラン」の5作品となっている。

ヘラクレス
リトル・マーメイド
パイレーツ・オブ・カリビアン
チキン・リトル

 中でも当時人気だったジョニー・デップさん主演の「パイレーツ・オブ・カリビアン」と、ディズニーの原点とも言える「蒸気船ウィリー」の2作品の参戦は、現在でも非常に評価が高い。

 特に「蒸気船ウィリー」は、ディズニー初期時代のミッキー出演作に絡めた演出が大変多く、各種サウンドもわざと当時のようなノイズが入っていたりと、非常に凝った演出になっているのが特徴だ。

蒸気船ウィリー

 前作から顕著になったのは、ディズニーの代表格であるキャラクターのミッキーマウスだ。「KH1」では僅かに登場しただけだったミッキーマウス(王様)だが、本作では出番が非常に多くなった。本作ではヒーローのような格好良さと共に、黒コートを身にまとっている姿がとても素敵で、印象的だった。

あちこちで涙を誘ったロクサス絡みのイベント

 本作の物語はトワイライトタウンに住む少年ロクサスから始まる。

 ロクサスは残り少ない夏休みを仲間のハイネ、ピンツ、オレットと共に楽しく過ごしていた。しかし、ある日を境に謎の少年の夢を見たり、身の回りでおかしなことが起こり出す。

 アクセル、ナミネ、ディズなどロクサスの知らない人物たちがロクサスを惑わし、やがてロクサスは自身が「XIII機関」という組織に所属していたこと、そして自身がソラのために消えなければならないという真実を知る。眠りに就くソラと対面した時、ロクサスの夏休みはあと1日を残して終わってしまった。

 このロクサス編はすごく唐突に始まることもあって、てっきり最初からソラを操作するのだと思っていたプレーヤーにとっては謎の多いオープニングだった。しかし、ここでロクサスに感情移入できる物語作りになっており、ロクサスが消えてしまうことにいきなり泣かされる伝説的なプロローグとなったのだ。

 その後ソラ、ドナルド、グーフィーはトワイライトタウンの屋敷で目を覚ましたが、3人にはアンセムとの戦い以降の記憶がなかった(「KHCOM」での記憶がない状態)。

 ひとまず街に出てみた3人はハイネ、ピンツ、オレットと出会い、お互いに不思議な懐かしさを感じる演出には、ロクサス編で流した涙を再び流すことになった。

 3人はXIII機関と戦いつつ新たな事件を解決していくのだが、XIII機関のひとりであるアクセルの存在も涙を誘った。アクセルは、ロクサスがソラのノーバディとして生まれ落ちた際に世話をしたのがきっかけで親友となり、ロクサスといると自分にも心があるような気がしていたという。

 アクセルについては様々な点でネタバレ要素が多すぎるキャラクターということもあって、語るのが非常に難しいのだが、ソラに会いに行くために機関を裏切ろうとしたロクサスを止めることができず、XIII機関から離脱してアクセルは単独行動を開始する。諸々の紆余曲折を経てアクセルはデスティニーアイランドでカイリを誘拐。それ自体は成功するものの、サイクスの介入によりカイリを奪われてしまった。

 機関にとって完全に邪魔者となってしまったアクセルは、今度はソラを助けるために行動するようになる。存在しなかった世界へ続く道中でソラ達が大量のノーバディに囲まれた時に、アクセルは全力で道を切り開いた。

 この一連のイベントは今とても簡潔に記したが、本来はもっと奥深いイベントとなっており、それも相まってアクセルの活躍には大号泣したものだった。

サイクス

誰でも簡単にプレイできる爽快なアクションバトルが魅力のひとつ

 「KH」シリーズは簡単な操作で爽快感のあるバトルが楽しめるようになっており、「KH2」ではより一層簡単にバトルを楽しめるようになった。

 ドライヴや連携といった新要素によりバトルの幅が広がって爽快感も増し、プレーヤー次第で好きな戦術をひたすら使っていくだけでもクリアできるようになっているのが嬉しいポイントだった。そして連携技はどれも派手でかっこいい。

 特に「KH2」からはボス戦が大幅に改善され、プレーヤーを夢中にさせる様々なストーリーボス戦を楽しめるようになった。前作ではほぼ「たたかう」だけで押し切るしかなかったボス戦も、本作では近接戦、魔法戦など、自分の好きなスタイルで戦えるようになっている。

 敵の動きもバラエティに富みバトルに飽きを感じさせず、敵に応じた様々なアクションが行えるようになり、演出面もより派手になった。ボタンひとつで簡単に派手で強力なアクションが出せるので、より手軽に爽快感を味わいやすい。

 ディズニーとのコラボという、アクションゲーム初心者への救済策とも言える難易度ではあるが、アクションゲームが得意な人は自由に難易度を上げられるのも良かった。

 またワールド毎の仲間との連携は、その仲間の特色がしっかりと出るようになった。

 例えばハロウィンタウンでジャックをパーティに入れると、連携で「ダウンビート」「アップリズム」から「フィナーレ」につながるのだが、演出もとても華やかで見栄えのするものとなっている。

 もちろんソラ、ドナルド、グーフィーの基本パーティで出せる連携技もあり、こちらも派手で非常に目を引く。連携技を出しまくるだけでも楽しい。

ソラとグーフィーの連携技の「グルネラ」

下村陽子氏による音楽も大変に良かった

 「KH2」でも音楽の良さは健在。手掛けたのは「KH1」から続投の下村陽子氏だ。

 音楽も個々のディズニー作品に登場した曲のアレンジが登場し、「リトル・マーメイド」の「アンダー・ザ・シー」など一部はボーカル入りの豪華仕様。

 「Dearly Beloved」などの各シリーズのタイトル画面の楽曲はもちろんのこと、ロクサスのテーマ曲である「Roxas」は悲しげな雰囲気が多い「KH」キャラクターテーマ曲の中でも一層悲壮感に溢れた楽曲で、ファンの間でも評価が高い楽曲だ。ロクサスの「俺の夏休み――終わっちゃった」のセリフと共にこの曲が流れた時は涙腺が崩壊したものだ。

 ロクサスのバトルBGMで「Roxas」をアレンジした「The Other Promise」も同様に人気が高い楽曲だ。下村氏曰く「究極の悲しさとやりきれなさ」を表現したとのことだが、まさにその気持ちが込められた存在感の強い一曲に仕上がっている。

 「Piano Collections KINGDOM HEARTS」には「Roxas」と「The Other Promise」のどちらもがピアノアレンジで収録されており、こちらもファンならば必聴のアレンジとなっているので、聴いたことがない人はぜひとも聴いてみてほしいアルバムとなっている。

□「Piano Collections KINGDOM HEARTS」のページ

XIII機関が大きな存在感を持つ1作となったが、ソラたちの冒険だって健在だ

 ここまでほぼXIII機関にまつわる話ばかりになってしまったが、本作の主人公はもちろんソラである。ソラとディズニーのワールドの旅は非常に素晴らしい出来で、原作にあったシーンも上手く再現されており、原作を知っている人ならば「おぉ」という声が漏れてしまうことだろう。

 また、ソラが行方不明のリクを探したり、カイリとの再会を果たすシーンなども必見だ。特にエンディングでは今度はソラとリクに号泣させられることとなる。

 それほどまでに泣きどころが多い作品だが、実際にその通りなのだから仕方がない。実際5~10時間に1回は泣かされていた気がする。

 実際にエンディングを見てほしいので詳細は割愛するが、「KH」シリーズの中でも一番きれいに終わっているエンディング、とも言われているのが「KH2」のエンディングだ。どうしても他のシリーズは次の作品へと引っ張る内容になっていることが多く、エンディングで少しもやっとしてしまうのが「KH」シリーズの課題点。続き物の作品としては正しい終わり方なのかもしれないが、「KH2」は後に物語が「キングダム ハーツ コーデッド」に続くとは言え、エンディングは本当に爽やかでそれでいてこれまでの旅の重みも感じられる内容になっている。

 なお、「KH」シリーズは長く続くシリーズ作品となっているが、

・キングダム ハーツ ファイナル ミックス
・キングダム ハーツ Re:チェイン オブ メモリーズ
・キングダム ハーツ 358/2 Days(映像作品)
・キングダム ハーツII ファイナル ミックス
・キングダム ハーツ バース バイ スリープ ファイナル ミックス
・キングダム ハーツ Re:コーデッド(映像作品)

 という6作品が一本にまとまった「KINGDOM HEARTS HD 1.5+2.5 ReMIX」が現在もPS4/Xbox One/Nintendo Switch(Cloud Ver.)/Steam/Epic Games Storeでプレイできる。

□「KINGDOM HEARTS HD 1.5+2.5 ReMIX」のページ

 さらに、シリーズ最新作「KINGDOM HEARTS III」と「KINGDOM HEARTS HD 1.5+2.5 ReMIX」「KINGDOM HEARTS HD 2.8 Final chapter prologue」とがセットになった「KINGDOM HEARTS INTEGRUM MASTERPIECE」もDL専売で発売されているので、まだ「KH」シリーズに触れたことがないという人や、久しぶりに全てのシリーズを遊びたい人にはぜひこちらの購入をおすすめしたい。

□「KINGDOM HEARTS INTEGRUM MASTERPIECE」のページ
□「KINGDOM HEARTS INTEGRUM MASTERPIECE」のSteamページ