【特別企画】

アーケードゲーム「ちゃっくんぽっぷ」が40周年! 見た目は可愛いけど実は手強い、奇想天外アクションゲーム

【ちゃっくんぽっぷ】

1984年4月 稼働開始

 タイトーが1984年4月に発売したアーケードゲーム「ちゃっくんぽっぷ」が2024年4月で40周年を迎えた。

 本作は、主人公のチャックンを操作して、檻の中に捕まっているすべてのハートを爆弾で破壊して救出し、ゴール地点までたどり着けばステージクリアとなる、固定画面方式のアクションゲーム。敵の「もんすた」に触れたり、制限時間をオーバー(※敵の「まいた」に出口を塞がれる)したりするとミスになり、チャックンのストックがゼロになるとゲームオーバーとなる。

 筆者が本作の存在を最初に知ったのは、翌85年に発売されたファミコン版で、アーケード版をプレイしたのはファミコン版、およびMSXパソコン版に出会ってからしばらく後のことだった。詳しくは後述するが、元祖アーケード版には家庭用の移植版には存在しない、数々のギミックや演出が用意されており、これらの要素があることを初めて知ったときは大いに驚いた記憶がある。

 以下、後にも先にもほかに類例を見ない感がある、個性あふれる本作の魅力を改めて振り返ってみよう。

※写真はPS2版「タイトーメモリーズ下巻」で撮影(以下同)

逆立ち移動も自由自在! 他に類を見ないチャックン独特のアクション

 筆者の本作の第一印象は「このキャラクター、何だかカエルみたいな変わった動き方をするなあ……」であった。チャックンは、左右に移動中に段差があると自動で足がピョンと伸びてスムーズに移動し、上に入力すると足が身長の2倍程の長さまで急激に伸びる。加えてチャックンは、天井に逆さまの状態でコウモリのように静止したり、左右に移動したりもできてしまう。その独特のアクションは今まで体験したことがない、実に不思議な体験だった。

 爆弾は、右側のボタンを押すと右方向に、左のボタンを押すと左方向に投げる仕組みで、連射はできないが左右に2個同時に発射することが可能。爆弾を利用して、もんすたを倒すこともできるが、発射してから爆発するまでの間に数秒間のタイムラグがあるので、狙って倒すのが見た目以上に難しい。しかも、チャックンが爆風に触れるとミスになってしまうので、闇雲に爆弾を発射すると、逆に逃げ場を失ってしまうリスクが生じる。

 ファミコン版と元祖アーケード版とでは、ステージ構成がまったく異なる(※ファミコン版は全9面。アーケード版は全14面)。筆者はファミコン版を発売直後に購入した友人宅で一時期よく遊んでいたが、筆者もほかの友人たちも5面あたりまで進むのが限界で「見た目は可愛いいけど難しいな……」との印象を持っていた。

 そんなこともあって、後にアーケード版を初めてプレイしたときには、1面はファミコン版には存在しない、比較的簡単にクリアできる練習ステージになっていたのでびっくりした。「ファミコン版でも、練習ステージを作ってくれたらよかったのに……」と率直に思ったことを、今でもおぼろげに記憶している。

【1面の練習ステージ】
まずは敵のもんすたを爆弾で退治する
次に、檻を破壊してハートを解放して……、
爆弾によって壊れた床を通って下に移動する
しばらくすると、出口を塞いでいた壁をハートが破壊してくれる
ゴール地点まで移動すれば、晴れて1面クリアとなる

 先のステージに進むと、どうやって檻を破壊するのか、あるいはゴール地点までどうやって進むのか、ちょっとした操作テクニックとパズル的な思考が要求されるのも本作の面白いところだ。

 チャックンが天井にぶら下がれる特徴を利用して進むルートでは、うっかり操作を誤って下に落ちると、大幅なタイムロスになる場面がしばしば登場。4面などでは爆弾で破壊できる壁を利用して、ルートを開拓する必要が生じる。3面や6面などでは、チャックンが落下するギリギリのタイミング、または足が伸びた瞬間に爆弾をピンポイントで発射して檻を破壊するなど、本作独特の操作テクニックも随所で求められる。

 5面などに登場する、ファミコン版には存在しない「水袋」は、爆風を当てると破れて水が飛び出し、画面下部に水がたまるギミックだ。チャックンは水中に落ちてもミスにはならないが、水中では爆弾の爆風が発生しなくなるため、もんすたを倒すのが非常に難しくなるデメリットが生じるのも、アーケード版ならではの面白いところだ。

4面より。爆弾で破壊できる壁を利用して、画面左右の端から端へとワープすることができる
6面の左側にある檻は、チャックンが体を伸ばした瞬間に爆弾を投げて破壊する。簡単そうに見えて意外に難しい
5面には水袋を破壊すると、画面下部に水がたまるギミックが登場する

独特のボーナス得点システムと、懐かしの「コーヒーブレイク」も必見

 狙って成功させるのはかなり難しいが、数々のユニークなボーナス得点システムも本作の大きな特徴だ。

 1発の爆弾で2匹以上のもんすたをまとめて倒すと、得点アイテムのボーナスフルーツが出現し、さらに特定の回数で発射した爆弾で複数のもんすたを倒すと、取るとチャックンが一定時間無敵になるハートマークが出現する。無敵になっている間は、ノリノリのBGMに変わる演出も実に嬉しい。

 ステージクリア時に、もんすたを全滅させていた場合は5,000点のボーナスが加算される。爆弾が連射できないこともあり、全滅させるにはどうしても時間がかかるので、ボーナスを狙うとタイムアウトのリスクが生じ、しかも孵化する前の「もんすたえっぐ」の状態で倒した場合はボーナスがもらえない制約もある。逆に、もんすたを1匹も倒さずにクリアすると20,000点が加算され、さらにチャックンのストックが1体増えるスペシャルボーナス技もあるが、行動パターンが読みにくい、もんすたを倒さずに避けるのもやはり難しい。それぞれのボーナスを獲得したときには、プレイヤーを祝福するファンファーレが流れるので、たとえまぐれでも成功したときは実に嬉しかった。

 3面クリアするごとに見られる、プレイヤーに束の間の休息を与える、チャックンたちが披露する寸劇も本作の見どころ。当時は「コーヒーブレイク」とも呼ばれていたこの演出も、コミカルな世界観の本作にはまさにピッタリだ。

 本作は、2022年にタイトーが発売した復刻ゲーム機「EGRETII mini(イーグレットツー ミニ)」に収録されているほか、ハムスターの「アーケードアーカイブス」の1タイトルとして、Nintendo SwitchとPS4向けにも配信されている。本作を知らない人も、ファミコンなど家庭用の移植版しか知らなかったという人も、アーケード版ならではの面白さをぜひ体験してみてはいかがだろうか。

取ると2,000点のボーナスが入り、一定時間チャックンが無敵になるハートマーク
もんすたを一切倒さずにクリアすると、20000万点+1UPのスペシャルボーナスが獲得できる
ファミコン版には存在しない「コーヒーブレイク」も、見ていて実に楽しい演出だ