【特別企画】

「FGO」の塩川洋介氏が手掛ける新たなADV「マーダーミステリーパラドクス」体験版プレイレポート

パーティーゲームのハードルを取り払って1人で遊べるようにした新しいマーダーミステリー

【マーダーミステリーパラドクス このひと夏の十五年】

2023年12月2日 発売予定

価格:2,200円(発売より1週間は10%割引の1,980円)

 アニプレックスは、10月10日2時よりテキストアドベンチャーゲーム「マーダーミステリーパラドクス このひと夏の十五年」体験版の配信をSteamにて配信開始した。

【マーダーミステリーパラドクス このひと夏の十五年|15秒ティザー映像】

 「マーダーミステリー」というゲームジャンルをご存知だろうか? 「マーダーミステリー」はパーティーゲームの一つで、多人数のプレーヤーが架空の殺人事件を想定したストーリーをもとに、登場人物の1人として物語を体験できる、いわば推理ゲームだ。プレーヤーは人物設定や目標などが書かれた台本を確認しながら、物語に登場するキャラクターの1人になりきってゲームに参加する。会話を中心にプレーヤーたちは捜査をし、犯人であれば周りを欺き、そうでなければ犯人をみつけるヒントを探していく。

 「TRPG(テーブルトークロールプレイングゲーム)」のように作り込まれたストーリーとキャラクター設定、そして「人狼」のようにプレーヤー同士で話し合って犯人を追い詰めるというゲームプレイは、物語の世界に飛び込んだような高い没入感を味わえることで話題となった。

 そんなゲームジャンルを1人でも楽しむことができるよう、スマートフォン向けRPG「Fate/Grand Order(FGO)」のクリエイティブディレクターおよびクリエイティブプロデューサーを務めた塩川氏が手掛けているのが「マーダーミステリーパラドクス このひと夏の十五年」だ。開発は塩川氏が率いるファーレンハイト213で、キャラクターデザインはアニメ「シドニアの騎士」などを手掛ける森山佑樹氏が担当している。

 今回はSteamで配信された体験版を基に本作の魅力について紹介していく。

物語のあらすじ

物語の舞台となる離島、式音島

 2004年8月。人口数百人の離島、式音島。15歳の少年「天沢 樹」はこの夏初めて式音島を訪れた。養母の実家で血の繋がらない従兄弟たちと出会い、穏やかな時を過ごす。この時、樹はまだ知らなかった。“式音島の神隠し”と呼ばれる怪事件が、この島で繰り返し起きていることを。そして、自分の大切な人たちが、事件の謎に深く関わっていることを。はたして樹は怪事件の真相を解き明かし、大切な人たちを救うことができるのだろうか……。

主人公「天沢 樹」

 今回配信された体験版では、物語のプロローグである「序章PROLOGUE」と、本編である「第1章CHAPTER1」までをプレイすることができる。「序章PROLOGUE」では物語の舞台となる式音島と、そこで関わる登場人物たち、そして「マーダーミステリー」のシステムを学ぶことができる。物語のテンポや、システム説明などがわかりやすく作られており、ノベルゲーム初心者や、「マーダーミステリー」を知らない方でもとっつきやすくできていると感じた。また、まったりと進む「序章PROLOGUE」とは裏腹に、「第1章CHAPTER1」ではあらすじでも触れているように、怒涛の展開が待ち受けている。

プレーヤーの「信用」をベースとしたゲームシステム

 本作のシステムを紹介するまえに、パーティーゲームの「マーダーミステリー」について触れておきたい。「マーダーミステリー」ではプレーヤーが作中キャラクターの1人として捜査を行なっていき、事件を推理していく。その過程の中で最も重要となっているのが会話だ。プレーヤーにはキャラクターの設定や行動が時系列に書かれた台本が用意されており、ゲーム中はその内容に沿った行動をしていく。しかし、この内容は他のプレーヤーに共有されていない。そのため、他キャラクターの行動を知るには、プレーヤー間で会話による情報共有を行なう必要がある。プレーヤーは限られた時間のなかで、情報を収集し、犯行時間のアリバイ探しや、聞いた話をもとに考察するなどをして、最後に犯人となる人物を投票で決定する。

 これら「マーダーミステリー」の基本的なルールを理解して頂いたうえで、本作のゲームシステムを紹介する。本作のゲームシステムはパーティーゲームの「マーダーミステリー」の流れをベースにわかりやすく制作されている。ゲームの流れは、ストーリーの導入→事件発生→調査(調査フェーズ)→推理(全体議論フェーズ)→犯人投票(投票フェーズ)、と各パートにわかれており、それぞれで何をするのかが明確となっている。今回は体験版におけるストーリーのネタバレにならないよう、「序章PROLOGUE」の話をベースに各パートとそれぞれの目的について説明していく。

本体験版では物語の序盤にあたる序章と第1章がプレイ可能になっている

ストーリーから事件発生までのあらすじ

 主人公の天沢 樹が式音島で血のつながらない従兄弟たちと共に養母の実家でくつろいでいた時、養母の母である佐倉千世がスイカを振る舞ってくれた。だが、運ばれてきたスイカはその場にいる人数よりも一切れ足りなかった。指摘を受けた佐倉千世は、主人公と従兄弟たち、そして自身を含む5切れのスイカを切ったと証言する。皆の態度からあることに気がついた樹は、スイカが消えた原因を解明するべく、皆に協力を仰ぐ。

皆の様子がおかしいことに気づく主人公

調査フェーズ

 事件発生後、ゲームは調査フェーズへと移行する。ここでは「マーダーミステリー」において最も重要な要素である会話が行なわれる。各キャラクターとの会話は“密談”という1対1の形式で行なわれ、プレーヤーは会話中のキャラクターに対して質問したり、そのキャラクターが疑問に思っていることを知ることで、事件の手がかりを集めることができる。

 注意してほしいのは、この際プレーヤーへの「信用度」が存在していることだ。プレーヤー自身も容疑者の1人であることから、犯人ではないかと疑われている。そのため、会話内容によっては相手から信頼を得ることもあれば、逆に警戒されることもある。この「信用度」は全フェーズにおいて重要な要素となっているので注意しながらゲームを進める必要がある。

調査フェーズでは容疑者のキャラクターを選択することで、“密談”することができる
事件の調査には制限時間が設定されており、各種行動をすることで残り時間が減っていく。実際の時間とリンクしているわけではなく、選んだ選択肢によって決められた時間が経過するという仕組み
情報の提供や、疑問を解決することでプレーヤーの信用度を高めることができる
信用度を上げることで、新たな情報の入手や、自身の疑いをはらすことができる

 調査フェーズで得た情報は主人公のノートへと自動的に書き込まれていく。そのため集めた情報はこちらで振り返ることが可能だ。これらの情報をもとに、プレーヤーはキャラクターたちへの質問や、推理で疑問を解決していく。

主人公のノートには事件の情報が書き込まれていく
集めた手がかりを組み合わせることで疑問を推理でき、組み合わせた手がかりによって推理の説得力が変わる

全体議論フェーズ

 調査フェーズの残り時間を使い切るか、「調査終了」を選択することで全体議論フェーズへと移行する。全体議論フェーズは調査フェーズと違い、容疑者であるキャラクター全員が一同に介して会話する。集まったキャラクターたちは、それぞれ1回ずつ順番に自身の主張を述べる権利を得る。この際、各キャラクターの主張に対してプレーヤーは意見を述べることができる。的確な意見を述べることで、キャラクターの矛盾をついたり、誤解を解くことができる仕組みだ。この時の主張や意見次第でキャラクターたちへの信用度が大きく変化し、後の投票フェーズの結果に大きな影響を与える。

全体議論フェーズでは各キャラクターたちが自身が犯人じゃない理由を主張する
主張に対してどう意見するかでキャラクターたちの信用度が変化する
プレーヤーの番では調査フェーズで得た手がかりを基に、一番怪しい人物を伝えることができる

投票フェーズ

 全体議論フェーズで全員の主張が終わった後は、投票フェーズへと移行する。投票フェーズでは一人一票ずつ、犯人と思われる人物に対して無記名投票が行なわれる。その結果、最も投票数が多かった人物が犯人と結論づけられる。この時、事件の犯人が最多投票だった場合は物語が進行するのだが、そうでなかった場合は“BAD END”となってしまう。

 以上が大筋の流れとなっている。

投票フェーズでは犯人だと思う人物を選択して投票する
事件の犯人を正解できなかった場合ゲームオーバーとなり、各フェーズからやり直すことになる
信用度次第ではプレーヤーが犯人として投票されてしまう結果も

 体験版をプレイした感じ、「マーダーミステリー」のエッセンスを組み込んだ推理ノベルゲームとしてしっかりと楽しむことができた。会話からヒントを得て物語を進めていく推理パートは、例えるなら「逆転裁判」シリーズなどのアドベンチャーゲームに近いイメージで構成されている。ノベルゲームや、パーティーゲームをプレイしたことない方でも安心して遊べるつくりとなっているので、どちらの入門作品としてもオススメできる内容に感じた。

推理パートで躓いた場合、ヒントを表示することもできるので推理ゲームが苦手な方も安心してほしい

 ただ、一点だけ心配がある。それがネタバレだ。「マーダーミステリー」はその仕様上、一度のプレイで全ての秘密が明らかになってしまう。そのため、「一生に一度しか楽しめない」と言われていることで有名だ。本作もそれに違わず、固定の物語で進んでいく。

 プレイするたびに犯人が変わる仕組みにはなっていないほか、物語が分岐するマルチエンディングというわけでもないため、ネタバレがかなりクリティカルな作品となっている。推理パートで犯人を知った状態では、そこまでの道のりを繋げるだけの作業となってしまうため、特に気をつける必要がある。体験版の範囲においても「犯人が誰なのか」という情報が重要で、犯人がわからないまま遊んだほうが面白く感じるのではないかと思う。

 今回の体験版は物語の導入部分や集めた情報をもとに犯人を導き出すゲームプレイが展開される。物語としては序盤ではあるが、「第1章CHAPTER1」だけでも怒涛の展開が待ち受けており、続く展開に期待が持てる作品となっていた。

Steamの「マーダーミステリーパラドクス このひと夏の十五年」のぺージ

まだ発売前ということもあり最終的にどのような展開が待っているのかはわからないが、正式発売後はプレーヤーの感想や、実況プレイなど、多くのネタバレが投稿される可能性がある。プレイする方は細心の注意をはらってほしい