【特別企画】
これぞ「アサクリ」! 「アサシン クリード ミラージュ」先行プレイレポート
15年のノウハウを詰め込んた“原点回帰”。すべてを踏まえてステルス暗殺アクションの完成形へ
2023年9月12日 21:00
- 【アサシン クリード ミラージュ】
- 10月5日 発売予定
- 価格:
- 通常版 6,600円
- デラックスエディション 7,920円
- コレクターズエディション 19,800円
- CEROレーティング:Z(18歳以上対象)
「アサシン クリード」シリーズの最新作、プレイステーション 5/プレイステーション 4/Xbox Series X|S/Xbox One/PC用アクションアドベンチャーゲーム「アサシン クリード ミラージュ」がいよいよ10月5日に発売される。
今回は、発売を間近に控える「アサシン クリード ミラージュ」を3時間近く先行プレイする機会を得た。その中で見たバグダッドの風景や、ストーリーの感触、本作のバトルやミッションなどを紹介したい。
中東の暗殺者再び、原点回帰を謳うシリーズ最新作
第1作目が発売されてから15年、本作はシリーズ本編の13作目にあたる。これだけ長く続いていると、新要素の追加やシステムの刷新によって初期作とはまったく違うゲームになるのは当然の帰着だ。このシリーズも当初はその名前の通り、ステルスを駆使してターゲットに近づいて暗殺するというゲームだったが、前作「アサシン クリード ヴァルハラ」に至っては、主人公がバイキングということもあり、仲間を引き連れて雄たけびを上げながら略奪と闘争を繰り返すのが楽しいゲームという、もはや名前だけの別ゲーといってもいい様相だった。確かにヒドゥンブレードやイーグルダイブなど、シリーズオリジナルの要素は健在だが、主人公エイヴォルは見た目からして暗殺とは無縁そうな風貌だった。
「アサシン クリード ヴァルハラ」が面白くないという意味ではない。七王国時代のイギリスを舞台に、広大なオープンワールドを冒険するのは、それはそれで楽しい体験ではあるのだが、やはり自分が「アサシン クリード」ファンになるきっかけを作ってくれた、ドはまりして周回プレイするほど遊んだあの頃の「アサシン クリード」を今のグラフィックスで遊びたいという気持ちもまた隠しようのない真実だ。
だからこそ、原点回帰を謳って登場した「アサシン クリード ミラージュ」には期待せざるを得ない。しかも主人公は「アサシン クリード ヴァルハラ」でプレイヤーに謎を突き付けたまま退場したバシム・イブン・イスハークだというのだから、現在のシリーズが好きな人にとっても気になるゲームだろう。「アサシン クリード ミラージュ」では、「アサシン クリード ヴァルハラ」よりも少し前の時代、バシムがまだ街の盗賊だった若いころから物語がスタートする。
主要な舞台となるのは9世紀のバグダッド。日本で言えばちょうど平安時代前期の摂関政治が始まった頃、100万を超える人口を擁していたといわれるアッバース朝の首都であり、西洋と東洋の文物と知恵が集まる世界の中心地でもある。第1作目以来となる久しぶりの中近東地域、さらに「アサシン クリード ミラージュ」はストーリードリブンのゲーム性やシステムなど、様々な面で初期作をオマージュしている。今回の試遊ではそういった要素を様々に試すことができた。
試遊は、Ubisoftのクラウドコミュニケーションサービス「Ubisoft Connect」を使ったクラウドプレイという形で、自宅の使い慣れた環境からアクセスして日本語版をプレイすることができた。プレイに使用したのは、定番のXbox Wireless Controller。クラウド環境なので、画面サイズはフルHDだったが製品版はもちろん4Kに対応している。
最初に短いプレゼンテーションを見た後、実際のゲームを触ることができた。プレイしたのは3つのパート。最初は、バシムがまだアサシンになる前、バグダッドで盗賊をしていた若かりし時代。2つめのパートは、「隠れし者」の拠点アラム―ト砦でアサシンになるための試練と儀式を受ける場面。そして最後は、スキルやアイテムなどがそろった状態で実際のミッションに挑戦した。
バグダッドの盗人バシムとして隠れし者の依頼を受ける
バシムの物語は、初期の現代編主人公デズモンドの父親であるウイリアム・マイルズのナレーションでスタートする。といってもウイリアムがバシムということではなく、ウイリアムが覚えている祖先の記憶の中にいた人物ということのようだ。
遺伝子のつながりを思わせる最初のシーンから場面は変わると、闇の中で若いバシムが流砂に足を取られてもがいている。必死で逃げようとしても、足は深く沈み込んで身動きすることができない。そんなバシムの前にミイラのように干からびた不気味な怪物が近寄って来る。悪夢はそこで終わり、アンバールという街にある小さな家でバシムが目覚めるところから物語が始まる。
バシムはまだ10代の若者で、盗人仲間のネハルは頻繁に悪夢を見るバシムを気遣ってくれる。盗賊という設定から、もっとワイルドな性格なのかと想像していたのだが、バシムは少しやんちゃなところはあるものの、物腰がやわらかい知的な若者だ。ネハルとの会話から、彼が実はバグダッドの役人の息子で、裕福な家で育ったが、何らかの理由で両親は不遇のまま亡くなったのだということがわかる。バシムは現在の自分の状態に満足しておらず、変わりたいと思っている。
ちょっとしたスリのチュートリアル的イベントを挟みつ、バシムとネハルは依頼の元締めであるデルヴィスという男の家を訪れる。バシムは、デルヴィスを通じて、隠れし者たちからの依頼を受けている。ネハルは彼らのことを怪しんでいるが、バシムは彼らを「解放者」と呼んで心酔し、仲間に入れて欲しいと熱望している。だが、侮られて簡単な依頼しか任せてもらえないことに不満を感じている。
今回の依頼は、港の建物に忍び込んである情報を手に入れてくること。まだ武器はもっておらず、まずはステルス行動のチュートリアル的なミッションだ。しゃがむことで目立たずに行動できたり、草むらや人込み、椅子に座ってのステルスなど過去作の要素を交えたステルス行動が可能になっている。ターゲットの書類がある場所はカギがかかっているので、兵士からカギを奪い取るか盗みとってドアを開け、書類を手に入れるとミッションコンプリートとなる。
デルヴィスのもとに戻ると、のちに師匠となるマスターアサシンのロシャンがいる。バシムは仲間にして欲しいとアピールするが、あっさり断られてしまう。デルヴィスやネハルはバシムが隠れし者に惹かれていることを危惧しているが、バシム自身はなんとか認めてもらえるよう、次のミッションに挑むことになる。というところまでで、体験プレイの最初のミッションは終了した。
高所恐怖症には辛そうな垂直構造のアラム―ト砦
次のパートは、隠れし者の本拠地アラムートで、見習いとして鍛錬を積んでいるシーンから始まる。アラムートは現代ではカスピ海に近いイラン東部の標高2000mを超えるアルボルズ山脈にある。現地の言葉で「鷲の巣」という名前通り、隠れ家はそびえたつ断崖絶壁に沿った垂直構造をしている。
入り口は谷の底にあり、そのあたりに住居や店がある。崖の上には砦があり、その手前に修行に使う広場がある。下層階には階段があるが、上層にたどり着くにはパルクールを駆使して、手に汗握りながらせすじがひやりとするような高所を移動することになる。砦には鍛冶屋や薬屋など隠れし者の活動を広報から支援する人たちも暮らしており、子どももいる。夜になると焚火に集まって雑談に興じる。雑談の中には、「アサシン クリード オリジンズ」に繋がる話を聞くこともできる。
このパートでは、ロシャンとの修行で戦闘のチュートリアルを体験できた。戦闘に使える武器は、剣と短剣、ヒドゥンブレードと投げナイフで、今作のバシムは弓を使わない。投げナイフは弓ほどのレンジはないが、うまく狙えば一撃で敵をしとめることができる。しかし所持できる数は初期で4本と少なく、前作までの遠隔から弓で敵をどんどん始末するといったプレイができない。あくまでもナイフが届く距離まで潜入して倒すことに主眼が置かれている。
長剣も、隠れし者にとっては望ましい武器ではないという位置づけだ。とはいえ、こちらは弱攻撃、強攻撃の使い分けがあり、回避や受け流しを組み合わせることでスタミナを維持しながら立ち回ることもできる。ただし、今回遊んだ限りではカウンター攻撃がなかったことと、回避でスタミナを大きく消費するため、敵の攻撃を避けながらカウンターで成敗という初期作のような戦い方はできない。むしろ囲まれて剣で戦うのは、ロシャンの言葉通り最後の手段で、大勢に囲まれたら煙幕を張って逃げたほうが生存率が高かった。
剣を使ったバトルの難易度をあげることで、相対的に暗殺の需要度も上がっている。とにかく見つからないように行動することが生き残る道であり、隠れし者としてあるべき姿ということだ。
修行を終えてバグダットへ
厳しい修行を終えて一人前の隠れし者となったバシムは、再びバグダッドに戻ってくる。ここでは、「銭と腐敗と茶」というクエストに挑戦した。
ミッションに関する情報は「調査」という画面にまとめられている。「アサシン クリード ミラージュ」は初代「アサシン クリード」のように、一連の連続した調査と暗殺というワンセットで1つのミッションになっている。最初は起点となるキャラクターの情報しか見ることができないが、そのキャラと話をしたり、なんらかの行動で手がかりをつかむと、それらの情報が追加されていく。必要な情報がすべてそろうと、ずっと?マークで隠されていた暗殺対象者の情報が明らかになる。暗殺が完了して、ミッションが終了するとそのミッションに続く新たなミッションが解放される。この連続したミッションによってメインストーリーがつづられていく。
今回のミッションで起点となるのは、バシムの旧友で中国人のコン。彼は現在お茶を扱う貿易商の仕事をしている。そんな彼の依頼で、バシムは衛兵に取り上げられた商品の茶葉を取り戻しに、衛兵の詰め所に忍び込む。なんとか茶箱を取り戻すと、コンは今度は差し押さえられた商品を取り戻してほしいと頼んでくる。
依頼を受けると、調査マップに新たな目標である「押収品倉庫」が表示され、そこで倒すべきボスの「港長」の情報も一部が確認できるようになる。港長を暗殺するとミッションはクリアになり、そこから派生する新たなミッションが解放される。
エンキドゥ、道具、プレイヤースキルのすべてを駆使
潜入中の行動に関しては、筆者のゴリ押しプレイと、後でUbisoftから送られてきた模範的なプレイとの落差が大きかったので、その両方を紹介したい。
今作は、暗殺に比重が置かれており、ストーリー中でも剣での戦闘はなるべく避けるべきということが会話で示唆される。では剣での戦闘になったらどうなるのか。潜入した押収品倉庫には、10人以上の兵士が詰めており、正面突破するとその全員がわっと襲い掛かってきて、あっというまに殺されてしまう。
そこで潜入することになるわけだが、1人ずつ暗殺しながらいこうにも、2人で同じ方向を向いて立っていたり、遮蔽物のない場所に3人くらいでたむろしていたりと、殺されやすい場所になかなか来てくれない。もし、暗殺中に見られてしまうと、鐘を鳴らしに走られ援軍がどっと押し寄せてくるうえに、悪い噂ゲージが一気に上昇して逃げるのも難しくなってしまう。
そこでまずは鷲のエンキドゥを使って、兵士の配置や人数をチェックする。ただし、弓兵がいるところでは使えないので、まずは弓兵をばれないように暗殺してから改めてエンキドゥで偵察する。
高い壁に囲まれた押収品倉庫だが、よく調べると穴が開いて侵入できる場所がある。そこから侵入すれば誰にもみられることなく、あっさりと内側に入りこむことができる。
複数の兵士がたむろしているところでは、煙幕が有効だ。煙幕の中で見られないように連続で2人を暗殺する。遮蔽物がない場所にいる複数の兵士は騒音爆弾で一か所に集めることができる。集めておいて空いた場所から入るもよし、集めた敵を煙幕で身を隠しつつ暗殺することもできる。
今作では、ヒドゥンブレードを使えばどんな強敵でも一撃で暗殺できるので、身を隠しながらうまく立ち回れば、HPの高い手ごわい敵でも楽々と勝つことができる。闇雲に突撃するのではなく、事前の万全な準備こそが暗殺への近道だと、闇雲に突撃を繰り返して時間を浪費した筆者からアドバイスさせていただきたい。
悪い噂ゲージも復活、スキル構成も単純に
上にも書いたように、今作では初期策の様々な要素が復活している。例えば「アサシン クリード II」や「III」にあった悪い噂ゲージは、例えばスリに失敗すると一瞬高まるが、その場を離れてしばらくすると徐々に下がっていく。しかし、チェックポイントを超えると、自動的にはそれ以下に下がらなくなる。チェックポイントは3段階あり、段階が上っていくと、兵士の注意をひきやすくなる。2段階目以降は、立っているだけで街の住民がやたらとこちらに注目してきて「衛兵! この男を捕まえて!」と騒ぎ立ててくるので、街歩きもおちおちできない。
こうなってしまうと、街に貼られた手配書を破って1段階ずつ下げるか、「布告者」にキドマーコインを渡して下げてもらわないとそれ以上は下がらなくなる。キドマーコインは店では売っておらず、宝箱やクエストの報酬としてしか手に入らないアイテムで、今回の体験プレイでは持っていなかったため、毎回悪評がたまるたびに、一度攻略を中断してポスターやぶりに向かった。
また、今作では十字ボタンで発動するようなアクティブスキルはなく、スキルはパッシブか、通常アクションの追加効果のように発動する。スキルツリーは「ファントム」、「トリックスター」、「プレデター」の3種類に完全に分かれており、スキルの数もかなり整理されている。全体的に複雑になりすぎていた部分をよりわかりやすく作り直したという印象だ。
暗殺を軸にすべてのシステムが考えられている
今回プレイしてみて感じたのは、「アサシン クリード ミラージュ」は決して復古ではなく、「オリジンズ」から続く3作の要素もしっかりと残しつつ、新しい解釈として新たなステルス暗殺プレイを作り上げているという感触だ。「アサシン クリード II」などは、一撃必殺のヒドゥンブレードの存在とゴリ押しでもカウンター攻撃で無双できてしまうという敷居の低さで多くのファンを獲得したが、半面やりこみ要素や攻略性に欠けるという弱点もあった。
「アサシン クリード ミラージュ」は、ヒドゥンブレードの爽快感はそのままに、決してゴリ押しではターゲットにたどり着けない難易度にすることで、戦略を練り、道具を駆使して道を開いていくという、やりこみ要素を盛り込んだ内容になっている。
人ごみに紛れるステルスやスリ、人相書きなど昔のシステムも取り入れつつ、15年間で培われたノウハウもすべて盛り込んで、お手軽さもやりこみ要素もストーリーも攻略もすべて欲しいという完成形に近づいたようにも感じる。
また、あまり言及できなかったが、「アサシン クリード」らしく建物が密集した街の中を縦に横に移動しながら、にぎわう街並みを見て回るのもとても楽しかった。バグダッドの町は円系で、しかも多重の円が中央に向かってだんだんと高くなっていくケーキのような構造をしている。そんな構造も、巨大な街を少しずつアンロックしながらストーリーを進めていった初期作をほうふつとさせる。
13作目ともなると、ここから手を出してもいいものかかなり迷う人もいるだろう。しかし、「アサシン クリード ミラージュ」は「アサシン クリード オリジンズ」がそうであったように、ある意味新しい「アサシン クリード」の第1作目ともいえるレボリューショナルな作品だ。今作を楽しみにしている人はもちろん、しばらくシリーズには触っていないという人、これが初めてという人も、遊んでみて欲しいゲームだ。
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