【特別企画】
ポータブルゲーミングPC「ROG Ally」インプレッション
PS5に迫る性能。「Ryzen Z1 Extreme」搭載で遊びやすさ・携帯性・価格を高いバランスで実現
2023年5月29日 11:00
- 【ROG Ally】
- 発売日 Ryzen Z1 Extreme搭載モデル:6月14日 発売予定
- Ryzen Z1搭載モデル:2023年夏以降 発売予定
- 価格 Ryzen Z1 Extreme搭載モデル:109,800円
- Ryzen Z1搭載モデル:89,800円
2023年5月29日、ASUSがゲーミングハンドヘルドPC「ROG Ally」を日本で正式に発表した。最近、「GPD WINシリーズ」や「AOKZOE A1」などの、Nintendo SwitchライクなゲーミングハンドヘルドPCが各社から登場し話題となっているが、「ROG Ally」は、大手PC/マザーボードメーカーであるASUSが満を持して投入するゲーミングハンドヘルドPCとして、4月1日の予告以来、大きな注目を集めていた製品だ。発表に先立ち、メディア向けの内覧会が開催されたので、その様子をレポートする。
外付けGPU対応で広いユーザーに対応したポータブルゲーミングPC
内覧会では、ASUS JAPAN マーケティング部 ROGスペシャリスト 瀬口佳吾氏が、「ROG Ally」についての説明を行なった。その要旨は以下の通りだ。
以前は、ゲーム機ごとに遊べるゲームが異なり、そのゲームがしたいからそのゲーム機を買うというのが当たり前だったが、今は、複数のプラットフォームで同じゲームが遊べるクロスプラットフォームが主流となっている。そこで「ROG Ally」は、1台であらゆるゲームをプレイできる製品として開発された。ALLYは、エイライと発音し、ALL Yourgames(あなたのゲームの全て)をプレイできるということを意味している。ALLYのターゲットは「あらゆるゲームを1台でプレイしたいユーザー」や「初めてPCゲームに挑戦するライトゲーマー」、「既にゲーミングPCを持っておりセカンドPCを探しているヘビーゲーマー」、「Windows OSを屋外に持ち歩きたいユーザー」である。
「ROG Ally」の利用シーンとして、ASUSはMe Time、We Time、Pro Timeという3つを想定している。Me Timeは、自分だけのゲーム機としてプレイする使い方で、「Death Stranding」や「モンスターハンターライズ」などが適したタイトルだ。また、We Timeは家族で一緒に「FIFA 23」や「ストリートファイターV」などを楽しむ使い方である。Pro Timeは、「ROG XG Mobile」と接続して4K画面でゲームをじっくりとプレイするもので、「League of Legends」や「サイバーパンク2077」などが適したタイトルである。
「ROG Ally」は5年の歳月をかけて最適なデザインが完成した
「ROG Ally」は一朝一夕にできた製品ではなく、5年もの歳月をかけてさまざまな試作機やモックアップを作り、最もふさわしいデザインを追求してきた。あらゆる手のサイズにフィットするエルゴノミックデザインを採用。インターフェースや操作性にもこだわり、2つのアナログスティックと方向ボタン、A/B/X/Yボタン、マクロボタンなどを搭載。画面はタッチ操作対応である。また、電源ボタンには指紋センサーも搭載されており、セキュリティと利便性を両立している。
AMDの最新CPU「Ryzen Z1 Extreme」を搭載
「ROG Ally」はCPUとしてAMDが2023年4月25日に発表したばかりの「Ryzen Z1 Extreme」および下位モデルの「Ryzen Z1」が搭載されている。Ryzen Z1 Extremeは、「ROG Ally」のようなポータブルゲーミングPC向けに開発されたCPUであり、Zen 4アーキテクチャの8コアCPUとRDNA 3アーキテクチャのGPUを統合している。「ROG Ally」は、Ryzen Z1 Extreme搭載製品として初めて市場に登場する製品でもある。
Ryzen Z1 ExtremeのGPUの処理性能は8.6TFLOPSに達し、Nintendo Switchの約17倍、SteamDeckの約5倍にもなる。ハンドヘルドゲーム機として現時点で最強であり、PlayStation 5の10.2TFLOPSに近い性能を誇る。「ホグワーツ・レガシー」などの最新ゲームも快適にプレイでき、外付けGPUユニット「ROG XG Mobile」を接続すれば、4K解像度でも快適にプレイできるようになる。メモリは16GB搭載、ストレージは512GB SSD(PCIe 4.0接続)である。
画面はIPS液晶で解像度はフルHD、リフレッシュレートは120Hzで、タッチパネルに対応。最大輝度も500nitsと明るい。表面は強化ガラス「GORILLA GLASS VICTUS」で保護されているため、傷もつきにくい。ポータブルゲーミングPCでは、バッテリー持続時間が問題となりやすいが、「ROG Ally」はGPUをフルに活用するヘビーなゲームだと最大約2時間、クラウドゲームや動画再生なら最大約6.8時間のバッテリー持続時間を実現しており、十分実用的であろう。
デュアルファン搭載でノイズを低減
「ROG Ally」は、これまでROGノートPCでASUSが培ってきた冷却技術「ROGインテリジェントクーリングシステム」を搭載。デュアルファンとアンチグラビティヒートパイプの採用により、Turboモードでも30dB、パフォーマンス・サイレントモードでは20dBという低いノイズレベルを実現していることも魅力だ。また、スティックの周りにはフルカラーLEDが搭載されており、音楽などに反応して発光パターンを変えることもできる。サウンドに関しては、ドルビーアトモスに対応するほか、ヘッドホン出力はハイレゾ対応である。
高いスペックにもかかわらず約608gの軽量ボディを実現
「ROG Ally」のサイズは、280×111.38×21.22~32.43mm、重量は約608gであり、Nintendo Switch(有機ELモデル)の242×102×13.9mm、重量約420gに比べると一回りちょっと大きく、重量も188g重い。しかし、ライバルの一つであるSteamDeckのサイズは298×117×49mm、重量は約669gであり、「ROG Ally」のほうがよりコンパクトでスリムで軽い。
ゲーム中にいつでも専用ボタン一つで呼び出せる「コマンドセンター」と「Armoury Crate」がプリインストールされており、動作モードなどの設定を自由に変更したり、ゲームを選んで起動したりできるので便利だ。コマンドセンターでは、オーバーレイでCPUやGPUの負荷、FPSなどを表示させる機能もある。さらに、キーマップのカスタマイズも自由にでき、左右スティックやトリガーボタンのデッドゾーンやスレッショルドの値をカスタマイズできるので、自分好みの操作感にすることが可能だ。
トラベルケースやチャージャーなどの専用アクセサリーも用意される。また、「ROG Ally」を購入すると「Xbox Game Pass Ultimate」が3ヶ月分ついてくるほか、「ROG Ally」を購入してレビューサイトに投稿すると全員「トラベルケース」がもらえるキャンペーンも実施される。
「ROG Ally」は、Ryzen Z1 Extremeを搭載した上位モデルがまず6月2日より予約が開始され、Ryzen Z1搭載の下位モデルは2023年夏の予約開始となる。価格は上位モデルが109,800円、下位モデルの価格は89,800円である。なお、下位モデルに搭載されるRyzen Z1のGPUの処理能力は2.8TFLOPSであり、Ryzen Z1 Extremeの3分の1以下となるため、コストパフォーマンス的には上位モデルのほうがお得だ。
ポータブルゲーミングPCとしての完成度は抜群
会場には、「ROG Ally」の実機や周辺機器、アクセサリーのほか、開発中のモックアップや試作機、構成パーツなどが展示されており、実際に触ってみることもできた。
まず、手に持った感じだが、Nintendo Switch(7型有機ELモデルが約420g)に比べると188gほど重いが、両手で持つとそこまで重いとは感じなかった。膝の上に置いてプレイすれば、子どもや女性でも問題はないだろう。画面は有機ELではないが、7型フルHDということで、Nintendo SwitchやSteamDeckなどより解像度が高く、高精細で美しい。用意されていた「原神」や「モンスターハンターライズ:サンブレイク」をプレイしてみたが、スティックやボタンの操作感も良好で、非常に快適にプレイできた。本体の温度もあまり上がらず、持っていて不快に感じることはない。
また、専用ボタンによりワンタッチで起動できるコマンドセンターや、ポータルとして使えるGame Libraryもとても便利だ。PCに慣れていない人でも、コンソール機感覚でゲームに関する設定やゲームの起動を行なえる。
「ROG Ally」は、ポータブルゲーミングPCとしては後発となる製品だが、その分、競合製品をよく研究して開発されており、初号機ながら完成度は非常に高い。価格的にもスペックを考えればリーズナブルである。1台で何でも遊べて気軽に持ち運べるゲーム機が欲しいという人には、特におすすめしたい製品だ。
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