【特別企画】
「ファイナルファンタジーIII」本日発売33周年の3尽くし! 悠久の風やクリスタルタワー、今でも印象深い本作を振り返る
2023年4月27日 00:00
- 【ファイナルファンタジーIII】
- 1990年4月27日 発売
スクウェア・エニックスの「ファイナルファンタジーIII」(以下、「FFIII」)が、本日で発売33周年を迎え、「3尽くし」の記念日となる。
「FF」というと、数々のタイトルで”ジョブシステム”を搭載しているものが多いが、第1作に続いてさらなる進化を遂げたジョブシステムを搭載されたのが「FFIII」。本作はファミコン用RPGとして1990年4月27日に発売された後、様々なハードへと移植され、2023年4月20日にはプレイステーション 4/Nintendo Switchにてピクセルリマスター版が発売されている(PC/スマホ版は2021年に発売)。
本稿では、そんな「FFIII」について、思い出と共に振り返りたい。
ジョブシステムの発展形
初代「FF」のジョブは、戦士とモンク、シーフ、赤魔術師、白魔術師、黒魔術師と、定番といえるジョブのみで構成されていたが、本作にはなんと20以上ものジョブが登場していた。よってジョブの組み合わせは無限大! とも言えるが、ボス「ガルーダ」は全員竜騎士でないと攻略が非常に難しいなど、完全に自由ではなく、場面によってある程度ジョブを切り替えながら遊ぶ必要があった。
「FFIII」のジョブは全員「たまねぎ剣士」からスタート。たまねぎ剣士は本作最弱のジョブ……と思われがちだが、実はレベル90前後からステータスが急激に伸び、レベル99では最強となる。また、たまねぎ剣士だけが装備できる「オニオン」シリーズという、強力な武器防具もあった。
そんなたまねぎ剣士からのスタートとあって、パーティメンバーは全員「FFII」のような固有名詞は持たず、初代「FF」に近いものとなっている。ちなみにシーフの「ぬすむ」、竜騎士の「ジャンプ」といったジョブ特有のコマンドが現れたのも「FFIII」が初めてであった。この頃はまだアビリティとは呼ばれていなかったものの、アビリティの原点といえる。
ちなみに、ジョブシステムが採用されている作品はいくつかあったが、転職するとレベル1に戻ってしまうといったものが多い中で、「FFIII」はキャラクターのレベルは保持。別途ジョブを使い続けると上がる熟練度というシステムがあり、熟練度99が最大値で、熟練度の数値が高くなればなるほど、敵に与えるダメージが上昇したり、ジョブアビリティの効果が大きくなるという特徴がある。つまりレベルと熟練度、どちらも上げるのが「FFIII」の最大の特徴とも言えるだろう。
本作では戦闘中以外ならいつでもどこでもジョブチェンジ可能とはいえ、オリジナル版ではジョブチェンジの際にキャパシティポイント(CP)と呼ばれるものが必要だったためCPが枯渇しがちだった。しかし、実は先日家庭用機で発売されたばかりのピクセルリマスター版では、このCP制が取り払われているのを御存知だろうか。ピクリマ版ではより一層遊びやすくなっており、それもあって、今でもぜひ「FFIII」をおススメしたい。
悠久の風とクリスタルタワー、BGMの思い出が深い
「FFIII」と聞いて何を思い浮かぶ人だろうか。筆者がまず浮かぶのは「悠久の風」というフィールドBGMである。最近では「FFXIV」などでも使われていたため、「悠久の風」自体は知っているという人も増えたように感じられる。フィールドBGMとはなっているが、実質「FFIII」のメインテーマといっても過言ではない。
当時はいわゆる”ピコピコ音”の時代だったが、ゆったりとした広大なフィールドを感じさせる曲となっており、目をつむればまさに風を彷彿させるような一曲である。植松伸夫氏らしさを感じるアルペジオから始まる曲だが、このアルペジオの刻むリズムがまさに完璧とも言え、FCの時代ながらも完成度の高さがピカイチだった。
そしてもうひとつ思い出深いのは「クリスタルタワー」(別名「シルクスの塔」)だ。こちらもBGM、クリスタルタワー現物含めて「FFXIV」にて登場しているため、そちらで知っているという人も多いだろう。だが、実際のところ「FFIII」発売当時のクリスタルタワーは、いわゆる”凶悪なダンジョン”であった。古代の民の迷宮から続くラストダンジョンが、クリスタルタワー。中には「禁断の地エウレカ」への入り口もあり、エウレカでは強力な武具や魔法を入手することができた。しかし、問題はエウレカではない。クリスタルタワーだ。
クリスタルタワーこと通称クリタワは、ひっじょーに長いダンジョンであった。しかもそんな強調をしたくなるほど長いのに、回復ポイントもセーブポイントも一切ない。それでも一応ザンデを倒すまでは最悪外に戻ることが可能だったが、ザンデを倒して闇の世界に入ったらもう戻ることすらできない。つまり最後、死んで戻るか、生きてクリアするかの二択である。クリタワの最上階にいるザンデを倒す→闇の世界の4体のボスを倒す→ラスボス暗闇の雲を倒す、という流れだけで3〜4時間ほどノーセーブで進まなければならず、ここで死んで戻った場合あまりにやりきれない。
それでいて初見でクリアするのはそこそこに難しい難易度となっており(初見で気づきにくいギミック付き)、まさに凶悪としか言い様のないダンジョンであった。もちろん、全滅したらクリタワの最初から登り直しである。
……というクリスタルタワーは、長くこもっていただけあって、BGMも非常に印象的である。むしろ折れそうになる心を、透明感のある美しいメロディが支えてくれていたとも言える。FC時代の音源でここまでの楽曲を作れるものなのか……、という感動すら覚えるので、アレンジ版しか知らない人にはあえてピコピコ音のほうも聞いてみてほしい。特に家庭用機版のピクリマではオリジナル音源とアレンジ音源を切り替えることができるので、オリジナル音源の良さを感じてもらえれば幸いだ。
ちなみにピクセルリマスター版では、セーブポイントはないものの中断セーブが可能。また、マップチェンジのタイミングでオートセーブがされるようになっているので、大分クリタワの難易度は下がったと言えるだろう。あえて当時の心折れる難易度にチェレンジしてみてほしい気持ちはあるものの、ピクリマの遊びやすさは魅力のひとつである。
少々話が逸れたが、「FFIII」は筆者の中でも未だに好きな「FF」シリーズの中で上位に食い込む。その理由の大半は、良曲揃いのBGMにあると言っても過言ではない。特にボスバトルで流れる「バトル2」は「目の前のこの敵を倒さなければならない!」というバトルへの高揚感を煽る、歴代のボスバトル曲の中でも名曲の部類だ。
「巨大都市サロニア」も、期間限定でしか聞けないながらも、耳に残る名曲のひとつ。軍隊のような勇ましさがあり、”巨大都市”の存在感を聴覚から訴えてくる。
「FFIII」は音楽の素晴らしさに目覚めさせてくれるような楽曲が非常に多く、「ここからゲーム音楽に目覚めた」というファンも多いのではないだろうか。実際筆者も、当時狂ったようにオリジナルサウンドトラックを聴き倒したものだ。
確かにシステム面に重きを置いた作品ではあるが……
「FF」は偶数がストーリー、奇数がシステム、と言われてきたシリーズで、その通り「FFIII」はジョブシステムが奥深い作品である。主人公4名のたまねぎ剣士には名前すらなく、まったくの無個性。確かにストーリーよりもシステム寄りの作品ではあるのだが、ストーリーとて全く馬鹿にできない。
発売当時、浮遊大陸を抜けだした時には一瞬何が起こったのかわからなかった。浮遊大陸が世界の全てなのだと思っていたし、それがまさかちっぽけな世界のひとつにすぎず、浮遊大陸の外にまだまだ広大な世界が広がっているだなんて想像もしていなかった。
浮遊大陸と地上世界、ふたつを駆け巡るストーリーは非常に壮大だった。
また、NPCも非常に魅力的だった。専用BGMもあったコミカル担当の「4人組じいさん」なども良かったが、BGMとしても有名な「水の巫女エリア」も本作を盛り上げる重要なNPCのひとりだろう。
沈んでしまった水のクリスタルに光を取り戻すためにパーティに同行するのだが、15歳という若さで様々な困難を背負い、そして主人公らを庇って毒矢を受け、命を落としてしまうエリア。そのストーリーは涙なしに見れなかった。
もうひとつ涙したのは、真っ青な服装が印象的なデッシュ。記憶を失いながらも明るい性格で、オーエンの塔まで同行し、オーエンの塔で失った記憶を取り戻したデッシュは、自身がオーエンの塔の監視人であることを思い出す。そしてオーエンの塔の暴走を止めるために、ひとり動力炉の炎の中へと飛び込んでいった。
……と、ここまでは「死」につながるような涙涙の物語なのだが、後の展開で実はデッシュは生きていることが判明。涙を返せと言わんばかりの展開だったが、デッシュが生きていたことは素直に嬉しかったことを覚えている。
確かにストーリーに重きを置いた「FF」に比べれば、王道のストーリーであっさりめの味付けではあるのだが、だからといって決してストーリーが悪いという意味ではない。最初のボス戦が終わり、オープニングがあり、そして己の使命を知り、旅立つ……「FFIII」には、「FFIII」らしいストーリーの良さがあったのだ。だからこそ「悠久の風」は今も我々の心に深く根付いているのだとも言えるだろう。
今でも遊んでほしい名作
33年前の作品らしく大味な部分もあり、特に竜騎士でないとクリアできないガルーダ戦、暗黒剣しか効かない敵、実質魔道士職でないとクリアできないダンジョン等、それなりにジョブの縛りもありつつ自由度もあった。最終的に落ち着くところが忍忍賢賢(忍者と賢者)になりやすかったとはいえ、そこにたどり着くまでにシーフになってみたり、魔剣士になってみたり、風水士になってみたり、学者になってみたり……と、様々なジョブを楽しむことができるのが魅力だ。あと強さとは全く関係ないが、導師のジョブアイコンがめちゃくちゃ可愛かった。
本作で確立されたといっても過言ではないジョブシステムは、後年の「FF」シリーズに長く受け継がれていくこととなる。まだプレイしたことがない人にはぜひプレイをしてほしいし、当時プレイをしたという人もこれを機にピクリマ版「FFIII」などをおススメしたい。
と、最後は結局ピクリマ推しになってしまったが、33年経った今でもプレイしてほしいほどの名作であることは間違いない。ピクリマ版ならばエンカウントオンオフ機能や、獲得経験値や獲得ABPの量も調整できるため、クリア時間も大幅に短縮されるのが嬉しいところだ。
ちょうど33年のこのタイミングで、つい先日家庭用機版ピクリマ「FFIII」がリリースされたのも、何かの縁ではないかと思っている。PS4/Switchの家庭用機版はもちろんのこと、以前からリリースされていたPC/スマホ版もあるので、環境にあわせて遊んでもらえれば幸いだ。
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