【特別企画】
【EVO Japan 2023】トッププレーヤーたちをなぎ倒しOil Kingが劇的勝利! 「ストV」部門決勝レポート
あのZhenを倒したネモは無念の準優勝
2023年4月3日 23:17
- 【EVO Japan 2023 presented by Rohto】
- 日程:3月31日~4月2日 開催
- 会場:東京都江東区「東京ビッグサイト」南展示棟南1ホール・南2ホール
時はきた、それだけだ。「EVO Japan 2023」の最終日は、これまで2日間かけて行なわれてきた予選を勝ち抜いた歴戦の強者たちが頂点をかけて戦う決勝トーナメントのみとなる。
「ストリートファイターV チャンピオンエディション」部門では、なんと合計1,767名ものゲーマーたちがエントリーし、初日の一次予選で384人にまで絞り込まれた。2日目の二次予選では、ここからさらに96人に搾られ、続いて2日目の午後からは、このメンバーで準決勝トーナメントを開催。最終的に決勝トーナメント進出枠の8人にまで絞り込まれた。
「EVO Japan 2023」などのオープンな大会では、プロゲーマー以外にも腕に覚えのあるアマチュアプレーヤーたちも参加できるため、誰が上がってくるかわからないのが面白いところ。
実際、ゲームライターや実況者、お笑い芸人などで参加している人も多く、「ストリートファイターV」の公式配信でお馴染みのNOモーションこてつ氏、矢野氏、ベーシストの川村竜氏(ミートたけし名義)、最新作「ストリートファイター6」ではゲーム内にも出演する実況者のアール氏、ゲームライターの岡安学氏や西川善司氏なども、こうした公式大会には必ず出場する筋金入りのガチプレーヤーたちだ。
しかも今回の一次予選では、西川善司氏が一次予選を突破したのだ! 残念ながら二次予選で敗退してしまったが、このように組み合わせやキャラクターの相性などから、高レベルのアマチュアプレーヤーがプロゲーマーを蹴落として上位に食い込んでくるドラマが待っているのも魅力の1つと言えるだろう。
本稿では予選の結果についてや、16時45分より開催された「ストリートファイターV チャンピオンエディション」部門の決勝戦についてレポートしていきたい。
なお、試合中のやり取りについては選手名(敬称略)+キャラクター名で呼んでいる。また、海外選手のコメントについては、公式の通訳の方のコメントをベースに意訳しているほか、わかる範囲で原文からの要素を取り入れている場合があるので、予めご了承いただきたい。
決勝トーナメントには5人の日本人プロゲーマーたちが進出!
先ずは「EVO Japan 2023」における「ストリートファイターV チャンピオンエディション」部門のレギュレーションについて簡単に説明しておこう。
プラットフォームはプレイステーション 4 Pro版「ストリートファイターV チャンピオンエディション」を使用。試合形式は敗者にももう1度チャンスが残るダブルエリミネーション方式。予選及び準決勝トーナメントの試合数はBO3(2本先取)、決勝トーナメントはBO5(3本先取)で勝敗を決する。
プラットフォームについてはプレイステーション 4 Pro版が使用されるというのが重要なポイントの1つだ。というのも、ここ数年のオンライン大会では、PC版が多く採用されていたからだ。素人目にはどちらも同じように見えるものの、フレーム単位で見た場合や感覚的な違いについては差がある上に、オンラインでは少なからず発生する可能性のあるラグについてもオフラインでは発生しないため、こうした差異が少なからずプレイに影響を与えるようだ。
今年6月に最新作「ストリートファイター6」が発売されるため、「ストリートファイターV」での大型大会の開催はこれが最後と言われている。また、この2年ほどオフラインでのEVO Japanは開催されておらず、久しぶりのオフライン大会ということもあり、より多くのプレーヤーがこの“祭り”に参加したようだ。そのためか、多くのプロゲーマーたちがこの決勝の舞台にたどり着く前に姿を消していった。
例えば2022~2023年までチーム戦で行なわれていた「ストリートファイターV」のリーグ戦「ストリートファイターリーグ: Pro-JP 2022(以下、SFL 2022)」で見事に優勝を果たし、さらには2月に行なわれた「ストリートファイターリーグ ワールドチャンピオンシップ2022」でも優勝した世界一のチーム Good 8 Squadのメンバーたち、ガチくん選手、ぷげら選手、カワノ選手、どぐら選手の4人はいずれも決勝に来る前に敗退してしまった。一方でSFL 2022の決勝で惜しくも敗れたSaishunkan Sol 熊本のリーダー、ネモ選手と、若手のひぐち選手の両名が今回の決勝に、しかも無敗のWinnersサイドで残っているのは興味深いところだ。
しかもネモ選手にいたっては、予選にて中国のZhen選手を破ってのWinners進出だ。Zhen選手は2月に行なわれたCPT 2022において予選全勝、本戦でも準優勝まで進むなど、これまであまり選手としての情報がなかった新星の選手であり、今回EVO Japanへの参加が決まった時から注目の選手だった。これを破ってのWinnersとくれば、これは期待せずにはいられない。
その他にも今回、決勝に駒を進めた日本人選手はSFL 2022では予選リーグで敗れた魚群のまちゃぼー選手がWinnersサイド。そしてプレイオフにまで進出しながら惜しくも敗れた忍ism Gamingのリーダー、ももち選手、同じくプレイオフに進出して敗れたv6プラスFAV gamingに助っ人として参戦した鶏めし選手の2人がLosersサイドと、いずれもSFL 2022において活躍した日本人選手たちが駒を進める。
海外からの参加選手については、Winnersサイドではプエルトリコのeスポーツチーム、Red Rooster所属のファン使い、Mono選手1人のみ。Losersサイドには、アメリカのかりん使いとして有名なPunk選手、台湾のラシード/セス使い、Oil King選手の2人が決勝に駒を進めた。
なお、解説のハメコ。氏によると海外から参加の彼ら3人についても、全員が海外のSFL参加者だったという。特にOil King選手は「ストリートファイターリーグ ワールドチャンピオンシップ 2022」において、準優勝だったアメリカ代表のUYUチームメンバーの1人だ。リベンジの意味も考えると注目の選手と言えるだろう。
ダブルエルミネーション方式のため、先ずはここまで負けなしで進んできたWinnersサイドの4人がそれぞれ試合を行なう。1試合目がひぐち選手 vs まちゃぼー選手、2試合目がMono選手 vs ネモ選手だ。
ここで負けた選手はLosersサイドに移る。そしてWinnersサイドで勝利した2人がWinnersとしての最終戦、Winners Finalの試合を行ない、ここで勝利した選手がWinnersサイドとして最終戦、Grand Finalに挑むことができる。負けてしまった選手はLosersに移り、Losers Finalでの再戦に挑む。
一方でLosersサイドの4人もそれぞれ試合を行なう。1試合目がももち選手 vs Punk選手、2試合目が鶏めし選手 vs Oil King選手だ。ここで負けた選手はそこで試合終了となる。また、勝利した選手については、先ほどWinnersサイドで負けてしまった選手とここで対戦する流れとなる。
ここでの勝利選手同士で再度試合を行ない、ここで勝利してもさらにもう1戦、Winners Finalで負けた選手と試合を行なうLosers Finalを行ない、ここで勝利した選手が最終戦Grand Finalの最終決戦に挑む。
さらにGrand FinalでLosers Finalから上がってきた選手が優勝するためには、Winners Final勝者に対して2連勝する必要がある。対するWinners Final勝者はここで1勝すれば優勝が決まるという流れとなる。1勝と言ってもBO5(3先)での1勝はかなり緊張感の続く戦いとなるため、1度Losersに落ちてしまうと、優勝はかなり困難な道のりとなる。
大番狂わせの連続! ひぐちが初戦でLosersに転落!
いよいよ決勝トーナメントがスタートだ。先ずはWinnersサイドの第1試合、ひぐち選手 vs まちゃぼー選手の試合からスタートとなる。ステージ両端に設置されたゲートから登場して、花道を歩く雰囲気は決勝トーナメントの出場の重みを感じさせる。
開始前のコメントとしてひぐち選手は「EVOでベスト8にきたのは今回が初めてで、『ストリートファイターV』の間に、1度この大きな舞台で戦いたいと思っていて、最後の最後にそれがかなってすごい嬉しいです。Winnersということで、優勝を狙える位置でもあると思うので、最後優勝して最高の気分で終わりたいと思います」とした。
対するまちゃぼー選手は「自分は前回(のEVO)もベスト8にこれたんですが、7位という結果に終わってしまったので、今回こそはまず優勝したいなと。あともう1つは『ストリートファイターV』で最後の大きいイベントだと思うんですけど、それをみなさんが最高のイベントだったと思って頂けるくらいいい試合をして帰って頂けるように頑張りたい」とコメントして、それぞれ試合前の準備に入っていった。
ひぐち選手はガイルを選択、VトリガーI/VスキルI、対するまちゃぼー選手はネカリを選択、VトリガーII/VスキルI。
1戦目1ラウンドはひぐちガイルが強気の攻めを見せて先制。2ラウンドはまちゃぼーネカリが猛攻を見せて勝利。最終ラウンドもまちゃぼーネカリの勢いが止まらない! 速攻を見せてひぐちガイルの攻撃を寄せ付けず、パーフェクトKOで勝利して1本を先制した。
2戦目はひぐちガイルがVスキルをIIに変更して挑む。1ラウンドはひぐちガイルがリーチの長さを活かした攻めを見せて先制。2ラウンドはまちゃぼーネカリの攻めがうまく決まり、最後はクリティカルアーツ「魂の献上」をリーサルで決めて勝利。最終ラウンドは接戦からひぐちガイルがクリティカルアーツ「ソニックハリケーン」をリーサルで決めて1本を取り返す展開となった。
3戦目1ラウンドは接戦の流れからまちゃぼーネカリの読みが冴え、ひぐちガイルの隙をついての攻めで先制。2ラウンドもまちゃぼーネカリの猛攻が決まり、クリティカルアーツ「魂の献上」をリーサルで決めて連勝で2本目を勝ち取った。
4戦目1ラウンドはお互い五分の攻防を見せるも、ギリギリでのひぐちガイルの読みが冴え、まちゃぼーネカリの攻撃をかわして反撃で先制。2ラウンドはまちゃぼーネカリが攻め切って取り返す。最終ラウンドはまちゃぼーネカリがひぐちガイルを画面端に追い詰めての猛攻を見せる。ゲージの貯まったタイミングでリーサルにならずとも放つクリティカルアーツ「魂の献上」で体力を一気に奪う。そのまま画面端での猛攻で一気に勝利を決めて、まちゃぼーネカリの勝利となった。
勝利したまちゃぼー選手は続く2試合目の勝者とWinners Finalを戦う。敗れたひぐち選手はLosersサイドの第2試合勝者との試合が待っている。
間髪入れずに第2試合、Mono選手 vs ネモ選手の試合がスタートする。
開始前のコメントとしてMono選手は「EVO Japanに来られて嬉しく思っております。チーム(Red Rooster)を代表して、そして私の母国であるプエルトリコの代表として、日本に来るにあたってサポートしてくれた多くの人たちに感謝したいと思います。みなさんに楽しんで頂けるような試合をファンの“毒”でお見せしたいと思います」とした。
対するネモ選手は「今日、ここまで勝ち上がれたのはすごく嬉しいんですけれども、まだまだ勝ちたいなと思いますので、皆さん応援の程よろしくお願いします」とコメントして、それぞれ試合前準備に入っていった。
Mono選手はファンを選択、VトリガーI/VスキルI、対するネモ選手はギルを選択、VトリガーI/VスキルII。
1戦目1ラウンドは一進一退の攻防からネモギルがクリティカルアーツ「セラフィックウィング」をリーサルで決めて先制。2ラウンドも好調のネモギルの猛攻が決まって先ずは1本を先制。
2戦目1ラウンドはMonoファンの猛攻が決まって先制。2ラウンドはネモギルの攻めが決まりクリティカルアーツ「セラフィックウィング」のリーサルで取り返す流れ。最終ラウンドはMonoファンが毒攻撃を活かした攻めでネモギルの体力を削り、ここを勝利して1本を取り返した。
3戦目1ラウンドはMonoファンがネモギルを画面端に追い詰めての猛攻で先制。2ラウンドは一進一退の攻防からネモギルの攻めがうまく決まってここを取り返す。最終ラウンドは序盤でMonoファンが圧倒的な猛攻で勝利して2本目を先取した。ところが、4戦目はネモギルの猛攻が決まり、連勝で一気に決めて2本目を取り返す怒涛の展開。
最終5戦目1ラウンドは一進一退の攻防をネモギルが制して先制。2ラウンドはネモギルの勢いが止まらず、最後はクリティカルアーツ「セラフィックウィング」で決めて連勝で3本目を先取。ネモギルの勝利となった。
勝利したネモ選手は先ほどの勝者、まちゃぼーとWinners Finalを戦う。敗れたMono選手はLosersサイドの第1試合勝者との試合が待っている。
続いてはLosersサイドの第1試合、ももち選手 vs Punk選手の一戦だ。対戦前の意気込みについてももち選手は「かなり久々にこう言った大人数のファンの方の前で試合できるので、すごく興奮してますし、皆さんの声援が自分の力になると思うんで応援よろしくお願いします」とした。
対するPunk選手は「EVO Japanのような大会のトップ8でプレイできることが本当に久しぶりだなと思っておりますし、これだけのたくさんの日本のファンの方々の前で……もちろんアメリカのファンの方々の前でもプレイできるのがうれいしですし、おそらくEVO Japanが『ストリートファイターV』の大きな大会では最後となりますので、良いパフォーマンスを見せたいと思います」とした。
ももち選手はコーディーを選択、VトリガーI/VスキルII、対するPunk選手だが、ここでなんといつものかりんではなく、バルログを選択した! VトリガーI/VスキルI。これには解説のハメコ。氏も「てかバルログ?」と驚きの声を上げる。
こうした大会では隠し玉とも言うべき、普段使わないキャラクターが登場する事があるが、ここでまさかのバルログ登場で会場も大盛り上がりを見せた。
1戦目1ラウンドはPunkバルログの思惑の1つである、リーチの長い爪を装備したパンチ攻撃を駆使して、ももちコーディーを寄せ付けない。だがももちコーディーの火力の高い攻撃を受けているうちにPunkバルログの爪が外れてしまう。バルログの爪には耐久値が設定されており、一定の攻撃を受けると勝手に外れてしまうのだ。こうなるとリーチが短くなるなど、不利な要素が増える。その隙をついて猛攻を見せ、ももちコーディーが逆転で先制。続く2ラウンドはPunkバルログの思惑通りの攻めが決まってここを取り返す。最終ラウンドはももちコーディーが画面端にPunkバルログを追い詰めての猛攻で決めて1本を先制した。
ここで、Punk側の環境に何やらトラブルが発生したとのことで、ここで38分もの長期のインターバルとなった。それまでの時間は実況のアール氏と解説のハメコ。氏による、今回のEVO Japanについてのエピソードなど、ユニークなトークが場を繋いだ。原因については特にアナウンスされていないが、会場の環境と何やら相性が悪かったようだ。
再開した2戦目は、ももち選手、Punk選手ともキャラクターは続投。1ラウンドはももちコーディーの攻めの立ち回りがうまく、先制。2ラウンドはPunkバルログの攻めが決まって取り返す展開に。そして迎えた最終ラウンドはももちコーディーの猛攻にPunkバルログは抗えず、そのまま押し切られてももちコーディーが2本目を奪取した。
3戦目。ここでPunkはキャラクターを自身のメインキャラクター、かりんに変更して挑む。VトリガーI/VスキルI。1ラウンドはももちコーディーの圧倒的な攻めがガッチリ決まって先制。2ラウンドもももちコーディーの独壇場で圧倒的な攻めを見せて勝利。3本連取でももちコーディーの勝利となった。
ストレートで勝利したももち選手は先ほどWinnersサイドで敗れたMonoと戦う組み合わせ。敗れたPunk選手はここで試合終了だ。
テンポよくLosersサイドの第2試合が続く。次は鶏めし選手 vs Oil King選手の一戦だ。対戦前の意気込みについて鶏めし選手は「自分、今年初めてEVO Japanに参加させて頂いたんですけど、運がよくベスト8まで残らせて頂き、本当に嬉しく思っております。ただもう少し頑張りたいと思うので、応援よろしくお願いします」とした。対するOil King選手は「EVO、そしてEVO Japanの両方でトップ8に入れた事を本当に嬉しく思っております。精一杯頑張りますので、是非応援してください」とした。
鶏めし選手はダルシムを選択、VトリガーI/VスキルI。対するOil King選手はラシードを選択、VトリガーII/VスキルI。
1戦目1ラウンドはVトリガー「ヨガバーナー」を駆使した攻めで鶏めしダルシムが先制。2ラウンドは巧みな攻めで画面端に鶏めしダルシムを追い詰めたOil Kingラシードが取り返す。最終ラウンドは鶏めしダルシムの猛攻が決まり、勝利。1本を鶏めしダルシムが先制した。
2戦目はOil Kingラシードの猛攻が決まり、連勝で1本を取り返す。続く3戦目1ラウンドは鶏めしダルシムの攻めが決まって先制。2ラウンドは鶏めしダルシムをうまく攻め切ったOil Kingラシードが取り返す。最終ラウンドは鶏めしダルシムを画面端にうまく追い詰めた上に、そこを脱した鶏めしダルシムへの追撃をうまく決めてそのまま攻め切り、Oil Kingラシードが勝利。2本連取となった。
4戦目1ラウンドもOil Kingラシードの勢いが止まらない。一気に攻め切って先制。2ラウンドは鶏めしダルシムがうまく立ち回ってここを取り返す。最終ラウンドも鶏めしダルシムが難解なコンボを見事に決めて大ダメージを奪い、そのまま攻め切って勝利。2本目を取り返す展開となった。
最終5戦目1ラウンドは両者五分の展開から画面端での立ち回りで鶏めしダルシムの動きを読み切って攻めたOil Kingラシードが先制。2ラウンドはギリギリの体力まで追い込まれた鶏めしダルシムが驚異の粘りを見せて、ここを逆転勝利で取り返す。
フルカウントで迎えた最終ラウンドはOil Kingラシードの攻めに瀕死の状態まで追い詰められた鶏めしダルシムが再度反撃を見せるも、最後は相打ち覚悟で攻め切られ、Oil Kingラシードが勝利。ギリギリの攻防をOil Kingラシードが勝利して、次に駒を進めた。
勝利したOil King選手は先ほどWinnersサイドで敗れたひぐち選手と戦う。敗れた鶏めし選手はここで試合終了となる。