【特別企画】

「スーパーメトロイド」発売29周年。“マップを探索する面白さ”を盤石にした「メトロイド」シリーズ第3弾

「Nintendo Switch Online」でもプレイが可能

【スーパーメトロイド】

1994年3月19日 発売

 1994年3月19日、今から29年前の今日、スーパーファミコン用アクションゲーム「スーパーメトロイド」が任天堂より発売された。1986年発売の「メトロイド」(ファミコンディスクシステム)、1992年発売の「メトロイドII RETURN OF SAMUS 」(ゲームボーイ)に続くシリーズ3作目である。

 現在も一貫してシリーズの主人公である「サムス・アラン」が、後のシリーズでもライバル的な存在となる宇宙海賊「リドリー」が連れ去った「ベビーメトロイド」を巡る戦いへと挑んでいく本作。巧妙に作られたサイドビューの2Dマップを探索し、手に入れたアイテムを駆使してそれを開拓していく、同シリーズの「探索アクション」というジャンルを盤石なものとした完成度の高い2Dアクションゲームだ。

 現在も「スーパーファミコン Nintendo Switch Online」などでプレイすることができるこの「スーパーメトロイド」について、本稿にて振り返っていきたい。

「スーパーメトロイド」のゲーム画面。本稿では「スーパーファミコン Nintendo Switch Online」版を使って撮影している

前作から大きな進化を遂げ、2D探索アクションのジャンルを定着させたシリーズ第3弾

 「スーパーメトロイド」は、スーパーファミコン発売から5年目の1994年3月19日に発売された。前作のゲームボーイのモノクロ画面から一転、スーパーファミコンの画質となり、オープニングの導入や拡縮回転機能による演出などにより、その見た目は一気に向上した。

サムスが自身が語るオープニングシーン

 ボタンの多いスーパーファミコンのコントローラーに対応したことで、柔軟な操作が可能となり、アクションも充実。ダッシュや斜め撃ちなどがボタンにアサインされ、これらを駆使して攻略するシーンもある。「グラップリングビーム」や「チャージビーム」、「スペースジャンプ」といったアクションに付随するおなじみのアイテムは本作から登場していて、それらは以降のシリーズへと引き継がれている。

 29年も前のタイトルだが、本作を遊べば同スタイルの後のシリーズも楽しめるし、その逆も然り。「メトロイド」シリーズの基本となるアクションは、本作でほぼ完成しているのだ。

LボタンとRボタンにアサインされた斜め撃ち。攻略には欠かせない操作だ
移動に関連するアイテムを取ると、探索範囲が一気に広がる
グラップルポイントにぶら下がるグラップリングビーム。シリーズおなじみの装備だ

 舞台となる惑星ゼーベスはのマップは、アイテムが隠された場所とそれを使って移動するルートが絶妙なバランスで構築されている。最初はビームしか装備していないサムスがマップを探索してアイテムを発見し、それを使うことで新たなルートが開拓できるようになる。ゲーム中に表示される全体マップは移動すると開いていくので、アイテムを手に入れたらまだマップが開いていない(=行くことのできなかった)場所に戻ることで、そこが進めるようになるといった具合だ。

リドリーのいるノルフェアは「バリアスーツ」がないとダメージを受けるエリアが多い
敵を凍らせる「アイスビーム」。1作目からあった武器で、凍らせた敵の上に乗れるのも重要だ

 アイテムの場所や手に入れる順番、使い場所などを理解できれば最短ルートの開拓も可能となり、初代「メトロイド」から続く“クリア時間で変わるエンディング”を見ることができるようになる。追加のミサイルなど隠されているアイテムを探すことなども含め、何度も周回する遊び方は「メトロイド」シリーズファンの定番のプレイスタイルとなっている。

「Xレイスコープ」を使うと、「こんなのわかるかっ!」という隠しアイテムや落とし穴などが見えるようになる

 またこの「スーパーメトロイド」には、説明書では言及されていない特殊な操作を行うことで繰り出せるテクニックがあったのも面白いところだった。

 壁を蹴ってジャンプする「キッククライム」、「スピードブースター」使用中に十字ボタンを下に入れて溜めたパワーとエネルギーを消費して高速ジャンプする「シャインスパーク」、エネルギーが少ない状態で特殊な入力を行うとアイテムを消費してエネルギーを回復する「クリスタルフラッシュ」など種類は多く、一部はタイトル後のデモ画面でその存在が明らかにされる(方法は表示されない)という、マニアックな演出も入っていた。

 なお、キッククライムとシャインスパークは、マップ内の特定の場所にいる現生生物が(なんとなく)教えてくれる仕組みなのだが、こちらも具体的な操作方法などの言及はなかったので、悩まされた人もいたのではなかろうか。

現生生物が教えてくれるキッククライム。壁を蹴ってジャンプをするテクニックだが、タイミングが結構難しいが、駆使すると一部のルートをショートカットできることも
特殊なテクニックを上手く使わないと取れないアイテムも。取らなくてもクリアはできるのだが……もどかしいところだ

「メトロイド」で探索した惑星ゼーベスが再び舞台となった本作。1作目をオマージュするようなシーンもある

 このゼーベスは1作目の舞台でもあった場所で、見覚えのある敵も数多く現れ、アイテムの配置などにそれをオマージュしたような設計も見られる。1作目で戦ったボスはリドリーとともに「クレイド」も登場。画面の半分ほどを占める巨大な姿になってサムスの前に現れたときは本当に驚かされた。訪れるエリアは6つに増えていて、要所には初登場のボスも存在する。難破船の「ファントゥーン」やマリーディアの「ドレイゴン」などは、筆者は当時も今も毎回苦戦を強いられてしまう強敵である。

「メトロイド」にも存在したにせクレイド。数発のミサイルで倒せる
こちらが本物のクレイド。1作目とは大きく変わって巨大化したが、それほど強くはない
サムスの武器で倒すことができないボス「クロコマイヤー」。何らかの手段で画面右へと押しやるのがコツ
難破船のエリアにいるファントゥーン。半透明になっているときは攻撃が効かない
筆者がとても苦手とするボス、ドレイゴン。グラップリングビームを使った特殊な手段を用いれば割とあっさり倒せたりするのだが……
ノルフェアでサムスと2度目の対峙をするリドリー。サムスもかなり強くなっているが、簡単には倒せない

 物語のキーとなる生物「メトロイド」ももちろん登場。特別なものは除き“低温に弱い”という設定は1作目から続く設定で、撃退するためには「アイスビーム」は欠かせない。本作ではゲーム冒頭で強奪されたベビーメトロイドの存在がストーリーに深く関わっていて、クライマックスの衝撃的な展開で涙した人は少なくないはず。

最後のエリア、「ツーリアン」で遭遇するメトロイド。倒すにはアイスビームが必須だ

Nintendo Switchは最新作「メトロイド ドレッド」を含むシリーズ6タイトルがプレイ可能。そしてさらなる新作の情報はいつ……!?

 Nintendo Switchでは、「メトロイド」シリーズをプレイする環境が充実していて、今回の執筆に使用した「スーパーファミコン Nintendo Switch Online」では、通常の「スーパーメトロイド」の他、アイテムを全てに取った状態で最終エリアのツーリアン直前から始められる「SPECIAL」バージョンもプレイすることが可能だ。

「スーパーメトロイド」のSPECIALバージョンは、アイテムを100%取った状態で最終エリアの入口よりスタートする

 ちょっとした操作ミスが落下や死につながる本作では、「どこでもセーブ」や「巻き戻し」の機能は実にありがたく、今回のプレイでも多用させてもらった。既に攻略が成立しているクラシックタイトルではあるが、自身の攻略ルートなどを見いだすにも便利なはずだ。

ドレイゴンに捕まったときは巻き戻してもいいよね……

 また同じく「Nintendo Switch Online」で「メトロイド」(ファミコン)、「メトロイドII RETURN OF SAMUS」(ゲームボーイ)、「メトロイド フュージョン」(ゲームボーイアドバンス)が配信中。これらも同じように便利な機能を使って楽しんでみたいところ。

「メトロイド」。ディスクシステムで1986年8月に発売されたシリーズ第1弾。後にゲームボーイアドバンスの「メトロイド ゼロミッション」としてリメイクされた
「メトロイドII RETURN OF SAMUS」。ゲームボーイ唯一の「メトロイド」シリーズで、様々なメトロイドが登場する。3DSの「メトロイド サムスリターンズ」がリメイク版だ
「メトロイド フュージョン」。サムスが寄生生物「X」を吸収して能力を得る、独自のシステムを導入した意欲作。プレイには「Nintendo Switch Online + 追加パック」への加入が必要だ
【2Dメトロイドシリーズの歴史】

 そして現在までにシリーズ最新作「メトロイド ドレッド」と、「メトロイドプライム」のHDリマスター版「メトロイドプライム リマスタード」が発売中。オンラインサービスが入っているとはいえ、新旧のシリーズが一つのゲーム機に会すのは、「バーチャルコンソール」が充実していたニンテンドー3DS以来のことで、このSwitchなら大きな画面でプレイできるのも、筆者の世代としてもありがたい。

2021年10月に発売された最新作「メトロイド ドレッド」。サムス(とプレイヤー)を恐怖のどん底に突き落とすロボット「E.M.M.I.(エミー)」が登場した
2月に発売されたばかりの「メトロイドプライム リマスタード」。Wii版に熱中していた筆者は即購入して現在も遊んでいる(アイテムの「アーティファクト」が1つ見つけられず迷走中……)

 Switchで展開される「メトロイド」ファンにとってありがたいシリーズ展開の流れが、筆者が強い期待を込めて新情報が出るのを待ち続けている「メトロイドプライム4」への布石となってくれると嬉しいのだが、さて……。

ちなみに今回のクリアタイムはこのぐらい。巻き戻し機能で結構縮められていたりする。アイテム獲得率は65%だった