【特別企画】
「RPGタイム!」無償アップデート「モンスターパーティー」プレイレポート
シンプルなすごろくながら絶妙な駆け引きとテンポ感が病み付きに
2023年8月9日 13:00
- 【「RPGタイム!~ライトの伝説~」無償アップデート「モンスターパーティー」】
- 8月9日 配信開始
- 価格:無料
アニプレックスは、プレイステーション 4/Xbox Series X|S/Xbox One/Nintendo Switch/PC用手作りノートアドベンチャー「RPGタイム!~ライトの伝説~」の無償アップデートを8月9日に実施し、追加ステージ「モンスターパーティー」を配信開始した。
「RPGタイム!~ライトの伝説~」は、デスクワークスが開発したアドベンチャーゲーム。構想16年、10年という開発期間をかけ製作された本作は、無数のアイディアを詰め込んだゲーム内容などが支持され、東京ゲームショウ・台北ゲームショウ・BitSummitなど、世界各国のゲーム展示会で数々の賞を受賞し話題となったタイトルだ。2022年3月10日にXbox Series X|S/Xbox One/PC版が発売され、その後はプレイステーション 4/Nintendo Switch/Steam版がリリースされ、現在では多くのプラットフォームでプレイすることができる。
今回配信開始となった「モンスターパーティー」は、最大4人までのローカルマルチプレイが可能な新モードで、全てのプラットフォームに対応している。筆者は一足早く「モンスターパーティー」をプレイする機会を得たので、本稿ではその様子をお伝えしていく。なお、今回プレイできたのはPS4版で、編集部スタッフ3人でのマルチプレイとなる。
「RPGタイム!~ライトの伝説~」の本編については過去にプレイレポートを掲載しているので、本作がどんなゲームなのか知りたい方は是非こちらにも目を通していただきたい。
手作り感満載のデザインや世界観が共通した「モンスターパーティー」
「モンスターパーティー」は、「RPGタイム!~ライトの伝説~」本編とストーリーの繋がりはないスピンオフ的なコンテンツだ。本編は1人用のゲームとなっているが、こちらは最大4人で遊べるパーティーゲームで、本編のネタバレも心配ないため「RPGタイム!」自体を初めてプレイする人や、本編を最後までプレイしていなくとも気軽に楽しむことができる。
「モンスターパーティー」のプレイ条件は、メニュー画面に「説明書ダンジョン」が配置されていること。既に「説明書ダンジョン」が配置されていれば、タイトルアップデート後に「モンスターパーティー」が出現するイベントが発生する。「RPGタイム!~ライトの伝説~」を始めたばかりという人は、「説明書ダンジョン」が配置されるまでゲームを進める必要があるという点だけ注意してほしい。
メニュー画面に新しく追加された「モンスターパーティー」のボタンを押すとプロローグがスタート。付箋をめくって話を進めていく形式やUIデザインなどは本編と共通になっており、手作り感満載の独自の世界観はそのまま。ゲームのルールがきちんと説明されるため非常にわかりやすく、友達が遊びに来て初めて一緒にプレイする際などは口で説明せずともすぐに遊ぶことができそうだ。
「モンスターパーティー」は魔王城で開催されているパーティ会場から幕を開ける。プロローグでは魔王自らノリノリのDJとなり、モンスター達が楽しそうに踊っている様子が描かれるなど、小学生ならではの自由でユニークな発想が今回もしっかりと再現されている。
最大4人で遊べるすごろくゲーム。ソロではケンタくんが対戦相手に
「RPGタイム!~ライトの伝説~」本編は1人プレイ用のゲームだが、「モンスターパーティー」はローカルで最大4人プレイが可能なすごろく形式のコンテンツとなっている。コントローラーをみんなで回して使用するプレイスタイルなので、コントローラーは1つあればOKだ。
「モンスターパーティー」はソロでもプレイ可能で、1人で遊ぶ場合には本作のナビゲーター役である「ケンタくん」がNPCとなって参加してくれる。誰かと対戦する前に練習としてまずは1人でプレイしてみるのもいいかもしれない。
魔王バッジの所持数で勝敗を競い合う。モンスターカードの所有数も重要
「モンスターパーティー」の基本的な流れとしては、挑戦するコースごとに設定された条件を達成すると魔王バッジを獲得することができ、最終的に所有している魔王バッジ数を競い合うというもの。1回のプレイで挑戦するコースは3つで、コースの種類はゲーム開始時にスロットでランダムに抽選される。
コースによってはボスを撃破することで条件達成となるものもあり、ボスを倒すにはモンスターカードが必要となる。モンスターカードは止まったマスに応じた種類と枚数を獲得可能。カードの種類は大きく分けて「獣」、「魚」、「鳥」、「虫」の4種に分類されており、ボスを倒すには各種類のカードが一定枚数必要だ。例えば、「獣」マーク4と記載されたボスを倒すには「獣」カード4枚が必要となる。
ほかにも、特定の種類のカードを一番所有していた人、といったバッジ入手条件が設定されている場合もあるので、モンスターカードは多ければ多いほど有利となる。ボスを目指して最短コースで進んでいくか、先のことを考えて遠回りしてでもより多くのカードを集めておくなど、シンプルなゲーム性ながらこうした駆け引きが面白く、特に終盤戦には相手のカード所有枚数などを確認しながら慎重になっていくため、緊張感のある戦いが楽しめる。
鉛筆選びが勝負の命運を分ける。机を揺らす力技で出目をコントロール
「モンスターパーティー」ではサイコロの代わりに数字などの目が記載された鉛筆を使用する。ゲームをスタートする前に各プレーヤーは使用する鉛筆を選ぶのだが、このチョイスが非常に重要。鉛筆は全部で8種類あり、1~6の目が出る普通のえんぴつに加え、3と4しか出ないケンジツえんぴつ、1か6しか出ない牛馬えんぴつ、たまに10が出るクリティカルえんぴつといったユニークなものが用意されている。
ほかにも、所持している「獣」カードの枚数だけ進める目が付いた獣えんぴつなどもあり、決められたコースに応じてえんぴつを選んだりと戦略を立てていくことができるので、このえんぴつ選びから戦いが始まるといっても過言ではないだろう。
なお、このゲームでは鉛筆を振った際にコントローラーの「L2」、「R2」を押すことで机を揺らすことができ、出目を若干コントロールすることができる。これは裏技でもイカサマでもなく、しっかりとゲーム中に説明されている正攻法。今回の先行プレイでこの力技を大いに発揮できたのは1か6しか出ない牛馬えんぴつ。がっつり進みたい時に1が出そうになったら机を揺らして6を出していき、目的地が近づいてきたら1を狙って着実に進んでいくという戦法は上手くハマれば非常に強い。
ただし、机を揺らしたからといって出したい目を必ず出せるというわけでもなく、1必須の状態で6を出してしまい大失敗、といった場面もあったので、秘技“机揺らし”を過信し過ぎるのはよくないことがわかった。
多彩なコースで毎回違う展開に。絶妙なターン数がほどよいテンポ感と緊張感を生み出す
「モンスターパーティー」には多彩なコースが用意されている。崖から落ちないようにギリギリでストップしなければならない「デンジャークチキンロード」や、通常ボスに加え大ボスが出現する「オオゼキガハラ」など種類は様々。それぞれ異なるバッジ入手条件が設定されているうえ、挑戦できるコースは毎回ランダムで決まるので、プレイする度に違う展開を楽しむことができ、つい何度も遊びたくなってしまう。
また、コースによってプレイできるターン数が設けられているのだが、このターン数が非常に良い塩梅だと感じた。今回プレイできたコースでは短いもので3ターン。長いもので5ターンを確認。この手のゲームはプレイ時間がどうしても長めになってしまう傾向にあるが、「モンスターパーティー」はこのターン数のおかげでサクサクプレイできるテンポ感を実現している。3人でプレイした感じだと、3コース全て終えるのに大体20分くらいだったので、1コースあたり6~7分とかなり短い。ゲームに慣れてくれば1コース5分程度でプレイできそうだ。
さらに、ターン数はどのコースでも魔王バッジ獲得の条件を達成できるかどうかの絶妙な設定となっており、終了時に毎回「あと1ターンあれば良かったのに……!」、「間一髪セーフ!!」といったギリギリ感を楽しめた。
モンスターカードを集めて図鑑を埋めていくやり込み要素も
「モンスターパーティー」にはやり込み要素となる「カード図鑑」が用意されている。「カード図鑑」にはゲームプレイ中に獲得したモンスターカードが収められていき、小学生らしい味のあるイラストを好きなだけ眺めることができる。さらに、見たいカードを選択するとケンタくんがモンスターの名称や必殺技名を読み上げてくれる。
カードは各種28枚、全112枚。獲得できるカードは完全にランダムなので、欲しいカードが出るまで何度も挑戦し、是非コンプリートを目指していただきたい。
今回追加された「モンスターパーティー」は、コンパクトなボリュームながらもちょっとした時間でワイワイ楽しめるミニゲーム的なコンテンツとなっている。なんと言っても最大4人まで一緒に遊べるのは「RPGタイム!~ライトの伝説~」にとっては新しく、とても魅力的な要素だ。
欲を言えば、オンライン対戦に対応したり、NPCの難易度変更といった機能もあれば遊びの幅が広がりそうだと感じたが、この辺りは今後のアップデートに期待したい。
余談だが、筆者も小学生の頃にえんぴつをサイコロ代わりにして手製のすごろくを作ってはよく遊んでいたのでとても懐かしい気分になった。また、鉛筆サイコロで思い出したのが当時流行っていた「ドラゴンクエスト」のバトルえんぴつ、通称バトエン。先生に学校に玩具を持ってくるなと叱られ、えんぴつだから文房具だという主張虚しく没収されたのは苦い思い出だ。
こういった懐かしさを感じられるのも本作の大きな魅力の1つなので、是非昔の思い出と共に、たまには童心に帰って心ゆくまでゲームを楽しんでいただきたい。
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