【特別企画】

「RPGタイム!」無償アップデート「モンスターパーティー」プレイレポート

シンプルなすごろくながら絶妙な駆け引きとテンポ感が病み付きに

【「RPGタイム!~ライトの伝説~」無償アップデート「モンスターパーティー」】

8月9日 配信開始

価格:無料

 アニプレックスは、プレイステーション 4/Xbox Series X|S/Xbox One/Nintendo Switch/PC用手作りノートアドベンチャー「RPGタイム!~ライトの伝説~」の無償アップデートを8月9日に実施し、追加ステージ「モンスターパーティー」を配信開始した。

 「RPGタイム!~ライトの伝説~」は、デスクワークスが開発したアドベンチャーゲーム。構想16年、10年という開発期間をかけ製作された本作は、無数のアイディアを詰め込んだゲーム内容などが支持され、東京ゲームショウ・台北ゲームショウ・BitSummitなど、世界各国のゲーム展示会で数々の賞を受賞し話題となったタイトルだ。2022年3月10日にXbox Series X|S/Xbox One/PC版が発売され、その後はプレイステーション 4/Nintendo Switch/Steam版がリリースされ、現在では多くのプラットフォームでプレイすることができる。

 今回配信開始となった「モンスターパーティー」は、最大4人までのローカルマルチプレイが可能な新モードで、全てのプラットフォームに対応している。筆者は一足早く「モンスターパーティー」をプレイする機会を得たので、本稿ではその様子をお伝えしていく。なお、今回プレイできたのはPS4版で、編集部スタッフ3人でのマルチプレイとなる。

 「RPGタイム!~ライトの伝説~」の本編については過去にプレイレポートを掲載しているので、本作がどんなゲームなのか知りたい方は是非こちらにも目を通していただきたい。

手作り感満載のデザインや世界観が共通した「モンスターパーティー」

 「モンスターパーティー」は、「RPGタイム!~ライトの伝説~」本編とストーリーの繋がりはないスピンオフ的なコンテンツだ。本編は1人用のゲームとなっているが、こちらは最大4人で遊べるパーティーゲームで、本編のネタバレも心配ないため「RPGタイム!」自体を初めてプレイする人や、本編を最後までプレイしていなくとも気軽に楽しむことができる。

 「モンスターパーティー」のプレイ条件は、メニュー画面に「説明書ダンジョン」が配置されていること。既に「説明書ダンジョン」が配置されていれば、タイトルアップデート後に「モンスターパーティー」が出現するイベントが発生する。「RPGタイム!~ライトの伝説~」を始めたばかりという人は、「説明書ダンジョン」が配置されるまでゲームを進める必要があるという点だけ注意してほしい。

「RPGタイム!~ライトの伝説~」を初めてプレイする場合は、ゲームを少し進めると「説明書ボタン」が登場する。一度登場するとその後はメニュー画面左上に「説明書ダンジョン」として常設される
すでにゲーム本編を遊んでいる人は、「説明書ダンジョン」が設置された状態でタイトルアップデートを実施し、ゲームを起動すると「モンスターボタン」が登場するイベントが発生
以降は「説明書ダンジョン」の下に「モンスターパーティー」が常設され、ここからいつでもプレイ可能となる

 メニュー画面に新しく追加された「モンスターパーティー」のボタンを押すとプロローグがスタート。付箋をめくって話を進めていく形式やUIデザインなどは本編と共通になっており、手作り感満載の独自の世界観はそのまま。ゲームのルールがきちんと説明されるため非常にわかりやすく、友達が遊びに来て初めて一緒にプレイする際などは口で説明せずともすぐに遊ぶことができそうだ。

 「モンスターパーティー」は魔王城で開催されているパーティ会場から幕を開ける。プロローグでは魔王自らノリノリのDJとなり、モンスター達が楽しそうに踊っている様子が描かれるなど、小学生ならではの自由でユニークな発想が今回もしっかりと再現されている。

「モンスターパーティー」のボタンを押すとノートがめくられ、魔王がDJを務めるパーティーの様子が描かれたページへ
本編同様にケンタくんがキャラクターになりきりセリフを読み上げてくれる
付箋をめくって話が進んでいく漫画のような展開もお馴染みだ

最大4人で遊べるすごろくゲーム。ソロではケンタくんが対戦相手に

 「RPGタイム!~ライトの伝説~」本編は1人プレイ用のゲームだが、「モンスターパーティー」はローカルで最大4人プレイが可能なすごろく形式のコンテンツとなっている。コントローラーをみんなで回して使用するプレイスタイルなので、コントローラーは1つあればOKだ。

 「モンスターパーティー」はソロでもプレイ可能で、1人で遊ぶ場合には本作のナビゲーター役である「ケンタくん」がNPCとなって参加してくれる。誰かと対戦する前に練習としてまずは1人でプレイしてみるのもいいかもしれない。

ゲームを始める前に何人でプレイするかを選択する。最大4人まで一緒に遊ぶことができ、もちろんソロプレイも可能
それぞれのプレーヤーはここで紹介されたモンスターとなってゲームを進めていくことに。1Pは「サイクロプス」、2Pは「魔女ミザリー」、3Pは「イビルウッド」、4Pは「クジャック」となる。モンスターごとで能力の違いなどは無い

魔王バッジの所持数で勝敗を競い合う。モンスターカードの所有数も重要

 「モンスターパーティー」の基本的な流れとしては、挑戦するコースごとに設定された条件を達成すると魔王バッジを獲得することができ、最終的に所有している魔王バッジ数を競い合うというもの。1回のプレイで挑戦するコースは3つで、コースの種類はゲーム開始時にスロットでランダムに抽選される。

挑戦できるコースは毎回スロットでランダム抽選される

 コースによってはボスを撃破することで条件達成となるものもあり、ボスを倒すにはモンスターカードが必要となる。モンスターカードは止まったマスに応じた種類と枚数を獲得可能。カードの種類は大きく分けて「獣」、「魚」、「鳥」、「虫」の4種に分類されており、ボスを倒すには各種類のカードが一定枚数必要だ。例えば、「獣」マーク4と記載されたボスを倒すには「獣」カード4枚が必要となる。

 ほかにも、特定の種類のカードを一番所有していた人、といったバッジ入手条件が設定されている場合もあるので、モンスターカードは多ければ多いほど有利となる。ボスを目指して最短コースで進んでいくか、先のことを考えて遠回りしてでもより多くのカードを集めておくなど、シンプルなゲーム性ながらこうした駆け引きが面白く、特に終盤戦には相手のカード所有枚数などを確認しながら慎重になっていくため、緊張感のある戦いが楽しめる。

コースによって魔王バッジの入手条件が異なる。ここではボスを撃破人がバッジ2個、ターン終了時に「獣」カードを一番所有していた人がバッジ1個を獲得できる
「ヤバンナバンナ」というコースのマップ。四角いマスに止まるとモンスターカードを獲得できる。数字は獲得枚数を表しており、色はモンスターの種類。このマップは全て赤マスとなっているので、「獣」カードしか獲得できない。これが黄だと「鳥」、青なら「魚」、緑なら「虫」カードを入手できる
様々な種類のモンスターカードが用意されており、それぞれイラストと名称、必殺技などがしっかりと描かれている。ただし、ボス討伐に必要なのは種類と枚数のみで、モンスターの必殺技などはあくまでもおまけ的な要素となる
コースによっては道がロックされていることもあり、一定ターンが経過するとロックが解除される。ここでは中央のボスマスに行く道がロックされていたが、2ターン経過するアンロックされた
ボスへの挑戦が可能となったので早速ボスマスへ
このコースのボスは「獣」マーク4となっていたため、「獣」カードを4枚以上所有していれば撃破可能
ちなみに所有カード枚数が足りずにボスへ挑戦しようとすると出直してこいと言われてしまうが、勇気を認められカードを1枚貰うことができた。優しい世界にほっこり

鉛筆選びが勝負の命運を分ける。机を揺らす力技で出目をコントロール

 「モンスターパーティー」ではサイコロの代わりに数字などの目が記載された鉛筆を使用する。ゲームをスタートする前に各プレーヤーは使用する鉛筆を選ぶのだが、このチョイスが非常に重要。鉛筆は全部で8種類あり、1~6の目が出る普通のえんぴつに加え、3と4しか出ないケンジツえんぴつ、1か6しか出ない牛馬えんぴつ、たまに10が出るクリティカルえんぴつといったユニークなものが用意されている。

 ほかにも、所持している「獣」カードの枚数だけ進める目が付いた獣えんぴつなどもあり、決められたコースに応じてえんぴつを選んだりと戦略を立てていくことができるので、このえんぴつ選びから戦いが始まるといっても過言ではないだろう。

筆者は普通のえんぴつをチョイス
他の2人は当たると大きい牛馬えんぴつとクリティカルえんぴつを選択。安定性を求めるタイプかギャンブル好きか。ここではそれぞれの性格も出てしまいそうだ……
こちらはケモノえんぴつ。「獣」カードだけ出現するコースがあれば有利となるかもしれない

 なお、このゲームでは鉛筆を振った際にコントローラーの「L2」、「R2」を押すことで机を揺らすことができ、出目を若干コントロールすることができる。これは裏技でもイカサマでもなく、しっかりとゲーム中に説明されている正攻法。今回の先行プレイでこの力技を大いに発揮できたのは1か6しか出ない牛馬えんぴつ。がっつり進みたい時に1が出そうになったら机を揺らして6を出していき、目的地が近づいてきたら1を狙って着実に進んでいくという戦法は上手くハマれば非常に強い。

 ただし、机を揺らしたからといって出したい目を必ず出せるというわけでもなく、1必須の状態で6を出してしまい大失敗、といった場面もあったので、秘技“机揺らし”を過信し過ぎるのはよくないことがわかった。

明らかに1が出たのに……
机を揺らして6に……!
筆者も最初は気付かなかったが、鉛筆を転がしたあと一瞬だけ画面右下に机を揺らす説明が出ている。れっきとした正攻法だ

多彩なコースで毎回違う展開に。絶妙なターン数がほどよいテンポ感と緊張感を生み出す

 「モンスターパーティー」には多彩なコースが用意されている。崖から落ちないようにギリギリでストップしなければならない「デンジャークチキンロード」や、通常ボスに加え大ボスが出現する「オオゼキガハラ」など種類は様々。それぞれ異なるバッジ入手条件が設定されているうえ、挑戦できるコースは毎回ランダムで決まるので、プレイする度に違う展開を楽しむことができ、つい何度も遊びたくなってしまう。

 また、コースによってプレイできるターン数が設けられているのだが、このターン数が非常に良い塩梅だと感じた。今回プレイできたコースでは短いもので3ターン。長いもので5ターンを確認。この手のゲームはプレイ時間がどうしても長めになってしまう傾向にあるが、「モンスターパーティー」はこのターン数のおかげでサクサクプレイできるテンポ感を実現している。3人でプレイした感じだと、3コース全て終えるのに大体20分くらいだったので、1コースあたり6~7分とかなり短い。ゲームに慣れてくれば1コース5分程度でプレイできそうだ。

 さらに、ターン数はどのコースでも魔王バッジ獲得の条件を達成できるかどうかの絶妙な設定となっており、終了時に毎回「あと1ターンあれば良かったのに……!」、「間一髪セーフ!!」といったギリギリ感を楽しめた。

崖から落ちないようにギリギリのマスでストップできればバッジが貰える「デンジャークチキンロード」。バッジ入手条件は3つでターン数は3
進路は一方通行のみ。進みすぎもよくないが、ターン数3なのである程度急ぎたいところ
調整を失敗すると海の藻屑に……
「オオゼキガハラ」では大ボスが登場。大ボス撃破でバッジがなんと3枚貰える。一発逆転のチャンスだ
中央の4つの色が混ざったマスが大ボス。数字は2となっているが、これは各種類のカードが2枚ずつ、計8枚必要ということ。その周りには通常のボスも登場する。ターン数は5しかないので、どこかに的を絞って動いていかなければならない
同じマスでプレーヤーが重なると踏んづけイベントが発生。相手からカードを奪えるチャンスだが……
終盤のラスト1ターンという大事な局面で見事失敗。何が起きるかわからないので最後まで諦めずにプレイしてほしい
ゲーム終了時には特定のカードを多く所有していたり、一番多くマスを移動する、といったゲームプレイの内容によって魔王バッジが貰えるランダムなボーナスが発表される。何が決めてとなるかは最後までわからない
今回は「魚」カードを一番多く所有していたプレーヤーにボーナスとして魔王バッジがプレゼントされた。賞のネーミングもかわいい
結局、最後ギリギリで大ボスを撃破できた筆者が勝利。シンプルかつプレイ時間は短いものの、勝てばめちゃくちゃ嬉しいし、負ければ相当悔しいので、時間が許す限り何度も繰り返しプレイしたくなる

モンスターカードを集めて図鑑を埋めていくやり込み要素も

 「モンスターパーティー」にはやり込み要素となる「カード図鑑」が用意されている。「カード図鑑」にはゲームプレイ中に獲得したモンスターカードが収められていき、小学生らしい味のあるイラストを好きなだけ眺めることができる。さらに、見たいカードを選択するとケンタくんがモンスターの名称や必殺技名を読み上げてくれる。

 カードは各種28枚、全112枚。獲得できるカードは完全にランダムなので、欲しいカードが出るまで何度も挑戦し、是非コンプリートを目指していただきたい。

「カード図鑑」は「モンスターパーティー」のロビー画面に常設されており、いつでも閲覧可能だ
今回プレイした限りではコンプリートは叶わなかったが、思いの外集めることができた
バラエティに富んだカードの数々。味のあるイラストと絶妙なネーミングは思わず見入ってしまう
見たいカードを選択するとズームアップされ、ケンタくんがモンスターの名称や必殺技名を読み上げてくれる嬉しい要素も

 今回追加された「モンスターパーティー」は、コンパクトなボリュームながらもちょっとした時間でワイワイ楽しめるミニゲーム的なコンテンツとなっている。なんと言っても最大4人まで一緒に遊べるのは「RPGタイム!~ライトの伝説~」にとっては新しく、とても魅力的な要素だ。

 欲を言えば、オンライン対戦に対応したり、NPCの難易度変更といった機能もあれば遊びの幅が広がりそうだと感じたが、この辺りは今後のアップデートに期待したい。

 余談だが、筆者も小学生の頃にえんぴつをサイコロ代わりにして手製のすごろくを作ってはよく遊んでいたのでとても懐かしい気分になった。また、鉛筆サイコロで思い出したのが当時流行っていた「ドラゴンクエスト」のバトルえんぴつ、通称バトエン。先生に学校に玩具を持ってくるなと叱られ、えんぴつだから文房具だという主張虚しく没収されたのは苦い思い出だ。

 こういった懐かしさを感じられるのも本作の大きな魅力の1つなので、是非昔の思い出と共に、たまには童心に帰って心ゆくまでゲームを楽しんでいただきたい。