【特別企画】

開発期間9年はだてじゃない! 至るところに遊びを詰め込んだインディ「RPGタイム!~ライトの伝説~」プレイレポート

ノートの世界は驚きの連続。ゲームオーバーさえも楽しい要素に

【RPGタイム!~ライトの伝説~】

3月10日 発売予定

価格:3,650円(税込)

 デスクワークスが開発、アニプレックスが発売を担当する「RPGタイム!~ライトの伝説~」は、小学生の男の子が作り上げたノートの中を大冒険するというコンセプトの作品だ。「歩き回れるしかけ絵本」のような本作は構想期間15年、開発期間9年という非常に長い期間をかけて制作が進められている。筆者も首を長くして発売を待っているタイトルであるが、そんな本作の発売が3月10日ということで、遂にもうすぐリリースというところまで迫っている。本記事ではそんな本作を先行プレイしてきたので「RPGタイム!~ライトの伝説~」の魅力を紹介していく。

 どこか懐かしさを感じる学校のチャイムの音とともにスタートする本作は、放課後にプレーヤーが友達のケンタくんから「ライトの伝説」と名付けられた自作のノートで遊ぼうと誘われるところからゲームが始まる。大人顔負けの工作力を持つケンタくんが作った「ライトの伝説」は、勇者のライトとなり、さらわれたお姫様・レイ王女を救出する大冒険が展開される。家に帰るまでの放課後という限られた時間の中で、お姫様を助け出すため勇者となって様々な敵や仕掛けに挑戦していくことになる。

【家庭用ゲーム「RPGタイム!~ライトの伝説~」発売日告知トレーラー】

 本作は複数の章で構成されており、今回はゲームの冒頭にあたる第1章をプレイした。2020年9月に開催された「東京ゲームショウ2021 ONLINE」では第1章の途中までを体験できたが、今回はその部分を含む第1章のクリアまでをプレイ。第1章「はじまりのどうくつ」では魔物が潜む洞窟を探検したり、タンクに乗ってバトルする場面に加え、大量のミミズを集めたりするなど「そんな事する勇者いる!?」とツッコみたくなるポイントも盛りだくさん。小学生の男の子が作った世界なのでユニークな要素が満載の作りになっている。

学校の机の上に置かれたノートが本作の舞台。ノートの周りにはメジャー制の体力バーや、ドットビーズでできたステータス表示など、UIすらもケンタくんのお手製だ
最初はノートの周りに置かれた文房具は少ないが、物語の進行に合わせて様々アイテムが置かれる。ボス戦では敵の体力バーを示すメジャーが右上に置かれ、ダメージを与えるごとに短くなっていくという仕様に
ルーペなど理科の授業で登場するアイテムなども登場
ノート端のにはケンタくんのアドバイスなどがメモしてある。夢中になってプレイしている際には見逃してしまいそうな部分にもこだわりが詰まっていて、あとから見返すと新たな発見も

 勇者が冒険するノートは鉛筆で描かれたモノクロの世界が広がっている。ここではパラパラ漫画のような2Dアニメーションが展開され、主人公を操作してステージを探索したり敵と戦いお姫様の手がかりを探す。探索のメインとなる洞窟内ではサイドビュー視点になり、入り組んだ洞窟の仕掛けを解いて奥へ奥へと進んでいく。

 ステージを探索していると敵とのバトルパートも登場。バトルはランダムにエンカウントする形ではなく、待ち構えている敵との戦いになる。ここでは探索パートとは異なり一人称視点へと切り替わり、大迫力のバトルが展開。敵が目の前に大きく描かれるため緊張のバトルが楽しめる。

バトルではケンタくんの秘密兵器「勇者の剣」が登場
スティックを傾けた方向に斬りかかる

 最初の敵となる「ファイヤーマン」は名前の通り人魂のような見た目をしている。剣での攻撃が効くかと思いきや、体が炎でできているため剣での攻撃は通用しないようだ。ファイヤーマンの周りにはバケツやコーラのようなアイテムが置かれており、最初のバトルながら少し機転をきかせた行動を取らねばならない。常識にとらわれないことを心がけてバトルに挑もう。

 ちなみに、ダメージを受けて体力が0になると容赦なくゲームオーバーに。ゲームオーバー画面では勇者が気絶しているため目を覚まさせる必要がある。Aボタンの連打でビンタしたり、バケツで水をかけたりとこちらもバリエーション豊富。もちろんペナルティも存在せず、直前からすぐにやり直すことができる。「ゲームオーバー」という演出さえもユニークな遊びに落とし込んでいる。

ビンタしたり水をかけたりとボタン連打で勇者復活!
ここではヒントを見ることもできる。行き詰まってしまったりボスにやられてしまった際にはヒントを参考にしよう

 本作の注目点の1つがノートを使った演出にある。従来のゲームであればカットシーンを挟むことでプレーヤーにその世界の出来事を伝えることができるが、「ライトの伝説」ではそうもいかない。ここで登場するのが付箋だ。ある場面では漫画のようにコマ割りされたページが登場するが、ここの見開き2ページはすべてのコマが付箋で隠されている。プレーヤーはこれらの数字が振られた付箋をめくることで順を追ってこの世界で何が起こったことを把握できるのだ。付箋の下には何が隠されているんだろうという心理も生まれる巧みな演出であると感じた。

 この後の道中では戦車に乗ったと思いきやドット絵の世界に吸い込まれてしまったり、滑る床のダンジョンを攻略したり、モグラたちと野球で勝負したり、ボクシンググローブを入手するため、ミミズを大量に集めたりと遊び心あふれる冒険がもりもりだ。それぞれアクション要素とパズル要素がふんだんに盛り込まれている。第1章の最後にはボスが待ち構えており、こちらも手に汗握るバトルが展開された。

付箋を使ったページも手作り感満載だ
ボス戦の最後はやっぱり必殺技! ルーレットによって様々な必殺技へと変化する
必殺技の種類は驚異の4,096通り
筆者が繰り出した必殺技は「悲しみの・100コンボ・バーガー」なんともダサい
ボス撃破でケンタくんによる紙芝居がスタート。今回はお姫様と勇者との出会いが描かれており、キャラクターたちのバックボーンなどもここでわかるようだ
ちなみにここでも操作する場面があり気が抜けない!

 さて、ここからはチュートリアルに関して少し紹介する。本作では冒険を始める前にチュートリアルをプレイすることができ、ここでは操作説明というよりかは登場キャラクターについての情報や収録された音楽をチェックでき、ゲーム本編では描かれない部分を知ることができる。はっきり言ってここの作り込みは良い意味で“異常”で、ここでもあらゆる遊びが詰め込まれている。

 チュートリアルも全てケンタくんの手作りで、しかけ絵本のような作りの登場キャラクター紹介や、ワールドマップにも仕掛けがある。トレーラームービーは紙で表現するためパラパラマンガになっているなど手作り感満載で、チュートリアルだけでもしっかり遊べる仕上がりだ。さらに、ここでは隠された「4つの星」を集めるとゲーム本編で使用できるアイテムがプレゼントされる要素も存在し、ゲーマー必見の仕上がりに。これらの贅沢なウォーミングアップをプレイした上でゲーム本編を開始できる。

「ゲームの魔神」はチュートリアル内のガイド役
ワールドマップにも仕掛けが。趣の異なる様々な説明が用意されている
トレイラーかと思いきやパラパラマンガが用意されていた。とんでもないこだわりを感じる仕上がりになっている。一体何枚書いているんだ!?
「キャラクター紹介」は各ページに遊べるギミックが用意されており、めくったりパズルのようにイラストを完成させたりとこちらもギミック満載
スタッフ紹介には「README.txt」の文字が! ソフトウェアやフリーゲーム・同人ゲームなどではおなじみの説明書まで用意されていて筆者はここにグッと来た。間違いなくケンタくんとは話が合う

 「歩き回れるしかけ絵本」のような本作「RPGタイム!~ライトの伝説~」は数え切れないほどのアイデアが詰まっており、驚きに満ちた体験が待っている。ステージにはありとあらゆる仕掛けが待ち構えており、ニヤリとしてしまうようなものから、とっさの判断力が求められるものまで、カジュアルに楽しめるが同時にゲーマー力も求められる。ありとあらゆる「仕掛け」に対しプレイヤーとして、勇者としての実力も求められるだろう。

 ノート内で表現されるパラパラ漫画のような世界は唯一無二で、ビジュアルのクオリティはもちろん、しっかりと遊んで楽しいゲームへと仕上がっている。誰かのプレイを見るのも楽しいと思うが、実際にコントローラーを握りしめ、自分でプレイすることでさらなる驚きが待ち構えているはずだ。本記事ではできるだけ序盤の要素に絞って紹介したため、実際に自分の手でプレイしてほしい。