【特別企画】
電子の世界でも許されぬ存在“ハリファイバー”……! 9月末の「遊戯王マスターデュエル」レギュレーション改定で影響を受けるデッキとは?
2022年9月30日 00:00
- 【「遊戯王マスターデュエル」新リミットレギュレーション】
- 9月30日 適用予定
爆アドォォォ!アドえもんです!筆者は普段YouTubeにて遊戯王を中心にカードゲーム動画を投稿している愉快でうるさいお兄さんだ。
今回は9月30日より適用予定の新リミットレギュレーションについて独断と偏見を交えて語って行きたいと思う。先日突如として発表された改定変更に色んな意味で感情をグチャグチャにされた決闘者も多いと思うが、改めて今回は今後ランクマッチ環境がどのように変化するのか、どのような理由で規制緩和が行なわれたのかをじっくり考察していこう!
あらゆるデッキで活躍していた「水晶機巧 -ハリファイバー」の禁止化はもちろんのこと、環境で猛威を振るう「勇者」テーマに対しメスが入れられること、さらには規制緩和により活躍が期待されるテーマについても触れている。今後の環境の先読みになれば幸いだ。
禁止カード
・水晶機巧 -ハリファイバー
制限カード
・聖殿の水遣い
準制限カード
・群雄割拠
・御前試合
・サンダー・ボルト
・氷結界の龍 トリシューラ
・発条空母ゼンマイティ
・ABC-ドラゴン・バスター
・トリックスター・ライトステージ
・レッド・リブート
・ダイナレスラー・パンクラトプス
・SPYRAL-ジーニアス
・虹彩の魔術師
・オルフェゴール・ディヴェル
規制が解除されるカード
・終わりの始まり
・調弦の魔術師
こちらの世界でも許されぬ宇宙最強汎用展開カード!「水晶機巧-ハリファイバー」よ、お前は良いやつだった……!
あああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁハリファイバァっァァァァァァァァァ………!!! いや、わかってはいたんだ……わかってはいたが……禁止としていざぶち込まれると正直ショックの方が圧倒的に大きい……。
現実世界の「遊戯王OCG」でも2022年7月の改定で禁止カードにぶち込まれ、その時も深く嘆き悲しんだがまさかこんなにも早く2度目の別れが来るとは正直思ってなかったよ……。
感傷にばかり浸っていても仕方が無いので、このハリファイバーがなぜ「マスターデュエル」環境でも禁止カード入りをしてしまったのかその理由について考察していこう。
直近の環境デッキでこのカードを主に強く使っていたのが「勇者GS(グッドスタッフ)」、「天威勇者」などの通称「ハリラドン展開」を駆使して鬼のような制圧盤面を作るタイプのデッキだ。
最終的なゴール盤面は「ヴァレルロード・S・ドラゴン+超雷龍-サンダー・ドラゴン+流離のグリフォンライダー&勇者トークン」や「フルール・ド・バロネス+幻竜星-チョウホウ&竜星の九支+相剣大師-赤霄+相剣大公-承影+アークネメシス・プロートス」等といった採用カードによって多少の差異はあれどその殆どが3妨害から5妨害を当たり前のように構えてくる。冗談抜きで”先行取って初動ルートが通ればほぼ勝ち”なデッキが流行していた。その展開の基盤となっていたのが何を隠そう「水晶機巧-ハリファイバー」なのである。
そしてこれはあくまでもメジャーなデッキタイプを例に挙げただけだが、ハリファイバーの本質はその汎用性の高さにある。チューナーが存在すればどんなモンスターとでもハリファイバーを作れるため、少しでもチューナーを投入できる展開系デッキにはほぼ採用されていると言っても過言ではない超万能カードなのだ。
「ハリラドン」展開でなくともハリファイバーから汎用手札誘発カードである「エフェクト・ヴェーラー」にアクセスして「神聖魔皇后セレーネ」を経由し「アクセスコード・トーカー」でゲームエンドまで持っていったり、「アーティファクト-ダグザ」と合わせて使う事でハリファイバーから相手ターン中に「TG ワンダー・マジシャン」を捻出して「アーティファクト-デスサイズ」の効果を起動させてそのまま「フルール・ド・バロネス」を作るお手軽妨害コンボができたりなど、選択肢の広さと使えるタイミングがあまりに多すぎるのである。
その上でハリファイバーは展開の中核カードでありながら、相手に妨害された際にチューナー+適当なモンスター1体が場に並んでいれば宇宙展開を再開できるリカバリングカードとしてあまりにも優秀すぎた。シングル戦で決着が付いてしまう「マスターデュエル」の仕様上あらゆるデッキの先行展開を補強し、先行の勝率を底上げしてしまっているカードにもなってしまっていたと言える。
一応禁止となった直接的な原因とも言える「ハリアウロ」ギミックの相方「幻獣機アウローラドン」ではなくコチラが禁止カードにぶち込まれた理由にも言及しよう。大きく分けて2つの理由があると思われ、1つ目はハリファイバーが使えなくなれば「幻獣機アウローラドン」を使えるデッキタイプがかなり限定化されること。2つ目は上記で取り上げた通り、ハリファイバーは1枚で成立する選択肢の数が「幻獣機アウローラドン」と比較すると圧倒的に多い点が挙げられる。
加えて、ハリファイバーは様々なデッキで中核となるチューナーモンスターやシンクロモンスターを簡単に生み出せるのも「幻獣機アウローラドン」には無い汎用性と言える。さらに、将来的にハリファイバーを活用してこの世の終わりみたいな展開をする最強テーマ「スプライト」の実装が控えており、これが「マスターデュエル」にも来る事を考えると、前もって規制をかけるのであればハリファイバーという選択は妥当と言わざるを得ない。
とはいえ、ハリファイバーはハチャメチャに面白いカードだった事には違いないと筆者は強く主張したい! ランクマッチをメインに遊んでいるデュエリストにはあまりピンと来ないかもしれないが、ファンデッキのサポートを担うカードでもあった。アクセス手段の乏しい意味不明なチューナーを呼び出して様々な面白コンボを決めたり、「TG トライデント・ランチャー」等の出しづらいモンスターを抱えたテーマや「氷結界」などの水属性縛りが付くテーマを支えてくれたりなど、この世に存在するありとあらゆるテーマデッキやコンボデッキを長年サポートし続けてくれてたのだ。
その昔、EXゾーンとリンク召喚が追加される新ルールの施行で「遊戯王」が一時大変な状態になった「リンクショック」と呼ばれる時期があった。その状態から再びゲームを盛り上げてくれたのは強くて面白いリンクモンスターの代表であるこのカードの存在も間違いなく大きかったと筆者は個人的に感じている。度重なるルールの変更と、次々追加される最新カードによってついに時代がその力を許せなくなってしまったのは残念だが、お世話になってきた人も多い最強インフラカードだった彼に最大限の感謝を述べながら別れたいと思う。
多くのデッキに出張された「勇者」にもついにメスが入る!ぶち込まれたのはグリフォ……「聖殿の水遣い」が準制限カードに!?
ハリファイバーと同じく直近の環境トップデッキへのメス入れとして「勇者出張」から1枚レギュレーション改定を受けている。
えっ!? ぶち込まれるのは「流離のグリフォンライダー」ではないのか!? OCGでは結局グリフォンを禁止にぶち込んで、水遣いを返してくれたじゃないか!? コイツが投獄されれば大体の事は丸く収まる……はず?
冗談はさておき真面目に解説すると、今回準制限入りした「聖殿の水遣い」はこのカードと「アラメシアの儀」、「運命の旅路」、「流離のグリフォンライダー」、「騎竜ドラコバック」の5種類からなる通称「勇者出張」に対する規制という扱いになる。「聖殿の水遣い」のサーチか「アラメシアの儀」の1枚からスタートし「勇者トークン」と「運命の旅路」を場に出力して、「流離のグリフォンライダー」による何でも効果無効と「騎竜ドラコバック」による何でも1枚バウンスができるのが一連の流れとなっている。
補足すると「遊戯王OCG」では10月より「流離のグリフォンライダー」が禁止カードに指定される。グリフォンライダーの強みである相手のカードを無効にするギミックが勇者出張では使えないものの、「聖殿の水遣い」が準制限になるなど「遊戯王マスターデュエル」とは異なる規制がかけられているのだ。
環境デッキの区分としては「勇者GS(グッドスタッフ)」や「天威勇者」、「勇者プランキッズ」や「電脳勇者」といったデッキタイプで多く使用されていたセットになるが、その本質はハリファイバーに近く”通常召喚したモンスターの効果を場で使わなくても戦えるデッキ”には殆どのケースで採用できてしまうほどお手軽に強い動きを確保できる出張セットなのである。
特に先行展開系デッキに採用された際のパワーが凄まじく「無限泡影」や「原始生命態ニビル」等の苦手とする手札誘発に対して先に「勇者出張」の動きから入れば「流離のグリフォンライダー」によるケアが可能となっており、「灰流うらら」や「幽鬼うさぎ」などの勇者出張の動きにも刺さる手札誘発を撃たれた場合でも「聖殿の水遣い」か「アラメシアの儀」スタートなら“勇者出張へ手札誘発を使わせて本命の動きを通す”という役割を手札1枚から遂行できる。
たとえ後手の場合でも「アラメシアの儀」自身や「騎竜ドラコバック」で相手の妨害を吐かせたり、破壊耐性持ちや伏せカードを除去できたりなど無駄がなく、素引きして困るパーツが「騎竜ドラコバック」だけなのも強さに拍車をかけていた。「天威勇者」や「勇者GS」については、そのドラゴパックですら引いた際にギミックとして活かせたり、素引きしたグリフォンライダーをレベル7の展開カードとしても活用できるなど、デッキとしての完成度が高く美しくまとまっていた。どこからでも展開してくるし、手札誘発はケアしたり余裕で貫通してきたりする化け物みたいなデッキだと感じていたプレーヤーも少なくないだろう。
さて「聖殿の水遣い」が制限入りした事で環境デッキでの「勇者出張」の採用率がどのようになるのかを予想したいのだが、正直確証を持って今後も使われるor使われないかを断言できないのが現状である。と言うのも「アラメシアの儀が2枚+聖殿の水遣いが1枚」という状態の環境がOCGでは存在したことが無いのだ。
一応OCGでは両方とも同時に制限カードとなったタイミングがあり、流石に初動の枚数的に厳しく使われる事が殆ど無くなった歴史がある。しかし、個人的な感覚だと展開系デッキのサポートとして活用するのであれば初動3枚はまだギリギリ採用できるラインではあると考えている。この制限改定の調整が上手い具合のパワーバランスとなってくれるのか非常に興味深い。ハリファイバーも失っているためtireトップのデッキに君臨していた「天威勇者」や「勇者GS」は流石に弱体化が凄まじいが、他ギミックの投入でいくらでもリペアは可能なので今後の活躍にも期待したい。
お次は少し意外にも思える「御前試合」と「群雄割拠」の準制限化による影響や、キーカードが制限から準制限へと緩和され、環境に食い込む可能性も大いにあるテーマたちを紹介していく。