【特別企画】
「ジブリパーク」開園へ期待高まる! 「ジブリパークとジブリ展」内覧会レポート
湯婆婆からハウルの城まで、立体模型が多数展示。パーク制作の裏側を堪能
2022年7月15日 18:18
- 【ジブリパークとジブリ展】
- 7月16日~10月10日 開催
- 会場:長野県立美術館
- 観覧料:
- 一般:1,500円(税込)
- 中高生:1,000円(税込)
- 小学生:700円(税込)
- ※事前予約制(日時指定券)
長野県立美術館にて7月16日から10月10日まで開催予定の展覧会「ジブリパークとジブリ展」。7月15日には、メディア向けの内覧会が実施された。観覧料は一般が1,500円(税込)などで、チケットは事前予約制(日時指定券)となる。
「ジブリパークとジブリ展」は、11月1日に愛知県「愛・地球博記念公園」内でオープン予定の公園施設「ジブリパーク」に関連して、その制作の裏側や様々な資料が明らかにされる展覧会。制作現場を指揮する宮崎吾朗監督のこれまでの仕事と作品と合わせて展示されている。
本稿では、内覧会で実施された宮崎吾朗氏のトークイベントと合わせて、展示の内容をレポートする。
「ジブリパーク」の大本は「大倉庫」。宮崎吾朗氏がトークイベントを開催
内覧会では、トークイベントとして宮崎吾朗氏が登壇。宮崎氏はもともと造園のコンサルタント業務を行なっており、その後「三鷹の森ジブリ美術館」の立ち上げを行なった。その後は「ゲド戦記」、「コクリコ坂から」、「アーヤと魔女」などの監督を務め、現在は「ジブリパーク」の制作現場の指揮を務めている。
宮崎氏はジブリでの仕事について、「『ジブリ美術館』というハード作りから入って、ファンタジーを作って、今はまた現実に戻ってきた。そのことを感慨深く思っている」と述べた。
そもそも「ジブリパーク」は、「ジブリの倉庫がほしい」との思いがきっかけのひとつにあるという。スタジオジブリではこれまで様々な展示を行なってきたほか、「三鷹の森ジブリ美術館」では毎年企画展を実施してきた。そうした展示では資料を並べるだけではなく、「面白くするため」に立体物などを積極的に作っていった。スタジオジブリにはそうした創作物が多くあるそうで、より大きな倉庫がほしいと考えていた。
その経緯が伝わって、愛知県から「倉庫を用意するから、収蔵施設として使いながら展示をやりませんか」と提案があったという。つまり「ジブリパーク」は、エリアのひとつ「ジブリの大倉庫」からスタートしているとした。宮崎氏はここから構想を膨らませ、「ジブリ作品が将来も消えていかないように、忘れられないようにする場所がほしい」との思いを加えた上で、全体を指揮している。「『ジブリパーク』を訪れて、映画をみることにつながればうれしい」という狙いがあることが明かされた。
また展覧会での宮崎氏個人的な見どころは「アーヤと魔女」の展示エリアとした。ここは「三鷹の森ジブリ美術館」にて、2021年6月より開催された企画展示「アーヤと魔女」展を再構成して展示している。ジブリとしては3DCGに初挑戦したアニメだが、展示ではその制作過程が分野ごとに細かく解説されている。「3DCGアニメはコンピューターを使った手仕事。ツールがデジタルなだけで、やっていることは手描きアニメと変わらないことを形として残したかった」と話した。
展覧会は「ジブリパーク」の制作資料と制作過程で出た成果物が主に展示されている。そのため「ジブリパーク」の一端を感じられる内容になっているものの、ボリュームや体験は「ジブリパーク」全体からすればごく一部という。「今回の展示の100倍、1,000倍が『ジブリパーク』につまっていると思ってくれていい。展示も楽しんでほしいし、展示が『ジブリパーク』への入口になってくれれば」と展覧会をアピールした。
過程を知り、想像がより膨らんでいく「ジブリパーク」
「ジブリパークとジブリ展」は4章構成。スタジオジブリや「三鷹の森ジブリ美術館」を紹介する1章、宮崎吾朗監督の仕事を軸としたアニメーション作りを紹介する2章、2005年の愛知万博で登場した「サツキとメイの家」を紹介する3章、そして「ジブリパーク」の制作の裏側に迫る4章、となっている。
ジブリの世界が、アニメーションの枠を超えてだんだんと現実に近づいていく過程を見せることで、「ジブリパーク」に対する「いよいよジブリの世界が現実のものになるんだ」という期待がより高まるような構成になっている。特に3章の「サツキとメイの家」以降は、「耳をすませば」のバロンの人形、「ハウルの動く城」のハウルの城、「天空の城ラピュタ」の巨神兵、「千と千尋の神隠し」の湯婆婆など、立体物の展示がメインとなり、見どころたっぷりとなっている。
ほかにも、「ジブリパーク」で登場する「借りぐらしのアリエッティ」をモチーフとしたエリアだったり、「ジブリの大倉庫」の全貌を知れる模型の展示だったり、細かく見ていくほどに発見がある。展示を見ながら、まだ未知の「ジブリパーク」の風景を想像していくとより楽しめるだろう。
また宮崎氏がオススメした再構成版の「アーヤと魔女」展では、2Dアニメと3Dアニメの違いに始まり、キャラクターデザイン、表情や動きなどのアニメーション、背景美術、小道具の設計、ライティングなど、分野を細かく分けて丁寧に作り方が解説される。情報量が多い分、3Dアニメ作りの苦労や過程の仕組みを一度に知ることができるので、ぜひじっくり堪能したいエリアだ。
そして見逃せないのが、記念撮影OKの「千と千尋の神隠し」の展示。「ジブリパーク」では「ジブリのなりきり名場面展」という企画展が実施され、ここでは様々なジブリ作品のワンシーンの中にいるような気分が味わえるという。「ジブリパークとジブリ展」では電車に乗る千尋とカオナシのワンシーンが再現されており、カオナシと一緒に記念撮影ができる。SNSでの投稿もOKとなっているので、来場の際はぜひ楽しんで撮影するといいだろう。
© Studio Ghibli © Museo d'Arte Ghibli