【特別企画】

超軽量級!ガチのeスポーツ用無線マウス「Razer Viper V2 Pro」を中学生FPSゲーマーが検証

2022年最新鋭機は「VALORANT」のスコアに違いが出てくる

【Razer Viper V2 Pro】

発売日:2022年5月20日

価格:21,780円(税込)

Razer Viper V2 Pro (Black Edition)

 ゲーマーにとってマウスは重要なデバイスだが、一度お気に入りのアイテムに巡り会うと、そこからはわざわざ新しいものを試そうとしない人が多いのではないだろうか。壊れるまで使ったら、初めて買い替えるという人がほとんどだろう。また、買い替える場合も、以前使っていたものと同じ製品を選んだり、同じメーカーの後継製品を買いがちだ。ゲーミングマウスは、ゲームの操作において非常にデリケートな部分なので、操作感の変化を恐れて保守的な買い方をするゲーマーが多い。

 しかし、ゲーミングマウスも日々進化を続けている。例えば、昔はFPS大会などで使うマウスは有線があたり前で、遅延がある無線マウスなんてとんでもないというのが通説であった。いまだにそれを信じているゲーマーも多いのではないだろうか。そこで今回は、老舗のゲーミングデバイスメーカーであり、ファンも多いRazerから登場した、最新ゲーミングマウス「Razer Viper V2 Pro」を、日夜「VALORANT」や「Apex Legends」などのFPS/TPSを遊び続けている筆者の息子にしばらく使わせてみて、使用感などの検証を行なってみた。

無線マウスとして史上最軽量の58gを実現した「Viper V2 Pro」

 Razerといえば、グリーンのトリプルヘッド・スネークのロゴで有名なゲーミングデバイスメーカーであり、同社の製品を愛用するプロゲーマーも多い。Razerは、製品ラインナップも非常に幅広く、ゲーミングマウスやゲーミングキーボード、ゲーミングヘッドセットといった基本的なゲーミング向け周辺機器だけでなく、高性能なゲーミングノートPCやストリーミング向け製品、チェア、モニター、ワイヤレスイヤホンなど、ゲーマーのライフスタイル全体をサポートする製品を展開している。もちろん、ゲーミングマウスやゲーミングキーボードについては、古くからさまざまな製品を開発・販売しており、常により優れた製品を目指して技術開発を行っているメーカーだ。

 今回レビューする「Razer Viper V2 Pro」(以下Viper V2 Pro)は、2022年5月20日に発売された同社のゲーミングマウスの最新製品であり、無線マウスとして史上最軽量となる58gを実現していることがウリだ。Viperシリーズは、FPS/TPSのようなeスポーツ向けに軽さを重視した製品であり、左右対称デザインを採用していることも特徴だ。「Viper V2 Pro」は、人気モデル「Viper Ultimate」の後継モデルであり、外観こそほぼ同じだが、中身は全く別物といえるほど進化した製品なのだ。

Razer Viper V2 Pro (White Edition)

光学センサーに新開発の「Razer Focus Pro 30K オプティカルセンサー」を採用

 まず、Viper V2 Proの基本スペックから見ていこう。Viper V2 Proは、左右対称デザインの右利き用マウスであり(サイドボタンは左側のみ搭載)、無線と有線の両方に対応している。無線方式は、2.4GHz帯を利用するRazer独自のRazer Hyperspeed Wirelessであり、レイテンシが小さく安定した通信を実現している。バッテリー持続時間も約80時間と長い(前モデルの「Viper Ultimate」は約70時間)。ボディカラーは、ブラックとホワイトの2色である。

カラーリングはブラックとホワイトの2色をラインナップ

 マウスの心臓部ともいえる光学センサーには、新しく開発された「Razer Focus Pro 30K オプティカルセンサー」が採用されている。このセンサーは、最大30,000DPIという非常に高い解像度を誇り、ガラス面でも滑らかにトラッキングが可能である。また、最大加速度も70Gまで、最大速度は750IPSを実現。解像精度も99.8%を達成した。Viper Ultimateに搭載されている「Razer Focus+ オプティカルセンサー」は、解像度が最大20,000DPI、最大加速度50G、最大速度は650IPS、解像精度は99.6%であり、全ての面でRazer Focus Pro 30K オプティカルセンサーが上回っている。まさに次世代の光学センサーである。

センサー搭載部には30K DPI OPTICALの印字

 ボタンは、左右クリックボタンと2つのサイドボタン、中央のホイールスイッチ、底面のDPIボタンの合計6つであり、DPIボタン以外の5つのボタンはプログラミングが可能である。また、これらのボタンには「第3世代オプティカルスイッチ」が採用されている。第3世代オプティカルスイッチは、その名のとおり、光学的にスイッチングを行なうため、メカニカルスイッチのようなチャタリングがなく、耐クリック回数9,000万回という、高い耐久性を実現している(Viper Ultimateに搭載されている第2世代オプティカルスイッチの対クリック回数は7,000万回)。ポーリングレートは「Viper Ultimte」と同じく1000Hzである。また、DPIやリフトオブディスタンスなどの設定を保存できるオンボードメモリも搭載している。

 このように、「Viper V2 Pro」は、マウスとしての基本スペックもRazer史上最高といえる。

「Viper V2 Pro」のパッケージ
マウス本体とUSBケーブル、USBレシーバー、グリップテープ、USBレシーバー用アダプタが同梱されている
ホワイトモデルではマウス本体以外のカラーリングも白
Viper V2 Proの外観。Viper Ultimateと同じく左右対称のデザインだが、サイドボタンが左側のみなので右利き用マウスとなっている
底面のPTFEソールの形状が変更され、より滑らかな動きを実現している。底面のボタンは、電源ボタンとDPI変更ボタンを兼ねている
充電はマウス前面のUSB Type-Cポートから行なう
付属のUSBレシーバーは非常に小さい
実際に重量を計測してみたが、公称通り58gであった

 Viper V2 Proの表面は、つや消しのマットな仕上げになっており、そのままでも手に馴染むが、さらにグリップ力が欲しいという人のためにグリップテープが付属している。グリップテープをサイドと左右クリックボタンに貼ることで、グリップ力が向上し、どのような持ち方でも安定したマウス捌きができるようになる。

グリップテープが付属している
グリップテープをサイドと左右クリックボタンに貼ることで、さらにグリップ力がアップする
グリップテープはマウス形状によくフィットし、そのシルエットを損なうことはない。数回程度なら貼り直しも可能だ

「Viper V2 Pro」の軽量化の秘密

 「Viper V2 Pro」は、ベースとなった「Viper Ultimate」に比べて約20%もの軽量化を果たし、58gという超軽量ボディを実現しているが、その秘密はプレイアビリティに関係のない要素を極力削り、素材も見直したことにある。例えば、「Viper Ultimate」では、手前にあるRazerロゴにRazer Chroma RGBが搭載されており、さまざまな色で点灯させることができたが、「Viper V2 Pro」ではRGB LEDは省かれている。また、バッテリーや基板材質も変更し、右側のサイドボタンを省略し、右利き専用マウスとすることでも、重さを減らしている。さらに、電源ボタンとDPIボタンを統合してボタンの数を減らしたことや、左右クリックボタンの構造を改良し、使用材料を減らしたことも軽量化に貢献している。

光り物はホイール下に電源ランプを備えるのみでRGB LEDのような装飾は一切省いて軽量化に踏み切った仕様
「Viper V2 Pro」では右側面のサイドボタンは廃された

センサー性能は超優秀、設定ツールも高機能で使いやすい

 実際に「Viper V2 Pro」のセンサー性能をチェックしてみた。まず、読み取り面について、木の机の上、Razer製マウスパッドの上、ガラス面上、画用紙の上の4パターンで試してみたが、トラッキングが難しいとされるガラス面上でも、素早い動きにもしっかり追従しており、特に違和感は感じられなかった。もちろん、他の3種類の読み取り面でも同様である。どのような読み取り面でも快適なマウスポインタの操作が可能であり、期待通りの高いセンサー性能を体感できた。

 また、「Viper V2 Pro」は、リフトオフディスタンスとランディングディスタンスを独立して設定可能な非対称カットオフ機能をサポートしていることもウリの一つだ。リフトオフディスタンスとは、マウスを机の上から持ち上げて移動し直すときにマウスが離れたことを検知する距離であり、ランディングディスタンスとは逆にマウスが机の上に着地したことを認識する距離である。

このようにマウスを浮かせた際に読み取り面から何mm離れたときセンサーの読み取りを切るのかを表す指標がリフトオフディスタンス

 プレイヤーやマウスパッドの材質などによって適切なリフトオフディスタンスやランディングディスタンスは異なる。本製品では、Razer製品の設定ツールである「Razer Synapse」により、リフトオブディスタンスとランディングディスタンスを別々に26段階で細かく設定できるので、精密な動きと追従性を重視するプロのeスポーツプレーヤーなどでも満足できるだろう。

「Razer Synapse」は、Razer製品の設定をまとめて管理できるツールだ
「Viper V2 Pro」に関する設定画面を開いたところ。5つのボタンに機能を自由に割り当てられる。右上にはバッテリー残量が表示されている
「パフォーマンス」タブで、感度やポーリングレートを設定できる。感度は100~30,000DPIの間で指定できる
「較正」タブで、トラッキングディスタンスを3段階から変更できる。ここで、非対称カットオフの有効化にチェックを入れると、リフトオブディスタンスとランディングディスタンスを独立して設定できるようになる
非対称カットオフを有効化すれば、リフトオブディスタンスとランディングディスタンスを独立して設定できる
「パワー」タブで、スリープモードに入るまでの時間や低電力モードに切り換えるバッテリーレベルを変更できる

中学生の息子も大満足!「VALORANT」のキル数も増えた

 それでは、時間さえあえば「VALORANT」(開発元:ライアットゲームズ)をプレイしている中学生の息子に、「Viper V2 Pro」を2週間ほど使ってもらって、正直な感想を聞いてみた。息子のPCゲーミング環境だが、PCとしては娘が以前組み立てたPCを強化したデスクトップPCを使っている。CPUはCore i7-7700K、GPUはGeForce GTX 1060で、最新ゲーミングPCに比べると性能的には見劣りするが、240Hz対応ゲーミングモニターを接続しており、「VALORANT」なら平均フレームレートが140fps程度になるように、画質設定を調整している。普段は、ロジクールの無線ゲーミングマウス「G903」を愛用しており、特にグリップテープなどは貼っていない。マウスパッドはゲーミング用というわけではなく、TCG用のプレイマットを敷いている。プレイマットの表面の材質は一般的なマウスパッドの材質にかなり近い。

息子が「Viper V2 Pro」を使って「VALORANT」をプレイしているところ

 ここからは、「Viper V2 Pro」について息子の所見をそのままお伝えしよう。

ファーストタッチでの使用感

 普段使っている無線ゲーミングマウスに比べると、微妙に小さい気がするけど、持った感じはなかなかしっくりくる。重さはやっぱり軽いね。軽すぎる感じもするけど、使ってみるね。反応はいいと思う。ぴたっと止まる感じで。DPIは800がよさそう。素早く切り返すとき、マウスが軽いのはやはり疲れが少ない気がする。左右ボタンのクリック感も気持ちいい。

息子がViper V2 Proを握っているところ
息子は手でマウス全体を覆うスタイルでプレイするが、サイズもちょうどよさそうだ
使い始めて数日後の感想

 大分慣れたと思う。以前のマウスに比べて軽いので、長時間プレイしても楽だ(筆者注:「VALORANT」は先に13勝したチームが勝ちなので、決着がつくまで1時間近くかかることもある)。リフトオフディスタンスは、少し短めにした方が、マウスを浮かして動かすときのズレが少なくなって使いやすかった。持ったときの感触もいいね。ベタベタしないし、快適。

 「Apex Legends」もマウスは800DPIのままだけど、ゲームの設定で感度を少し下げてやってる。「VALORANT」はハイセンシで、「Apex Legends」の方はミドルセンシにしてる。普段は遊んでいる机が狭くて、マウスの動くスペースがあまりないからってのもあるけど。Razer製の大きなマウスパッドも試してみたけど、これは「Viper V2 Pro」との相性もとてもいい感じで使いやすかった。サイドボタンも押しやすかった。

2週間使った後の感想

 前から無線マウスを使っていたんだけど、やっぱり無線マウスは線が邪魔にならないので好きだな。このマウスは、最初はちょっと軽すぎるかなと思ったんだけど、数日で慣れてむしろ使いやすくなった。「VALORANT」では、30キル超えも達成できた。平均キル数も上がったんじゃないかな。机の上でも、マウスパッドの上でもどこでも快適に使えるのもよかった。このマウスはレインボーに光ったりはしないみたいだけど、正直マウスが光る必要ないと思うし。プロのeスポーツ選手の意見を聞いて作られたらしいけど、確かに使いやすくていいマウスだと思う。エイミングの精度も上がったような気がする。これからはこっちをメインに使っていきたいな。

Razer製マウスパッドとの相性は最高だ
「VALORANT」の戦績も向上したそうだ

 息子は「Viper V2 Pro」に変えてエイミング精度が上がったようだと言っていたが、実際に精度が上がったのか、「VALORANT」の戦績トラッカー「Blitz」を確認してみた。まず、直近20試合のヘッドショット率に注目したところ、確かに息子が言っていたとおり、少しずつだが右肩上がりでヘッドショット率が向上している。また、MVPを獲得した試合もいくつかあり、使い始めて10日後くらいのときの試合は、キルアシ1.90(36キル/22デス/5アシスト)、スコア369とかなりの好成績を記録している。「VALORANT」の勝敗はマッチングされる味方の腕に大きく左右されるが、息子が「Viper V2 Pro」に変えてから、戦績が上がっているといってよさそうだ。息子と「Viper V2 Pro」の相性もよかったようだ。

「Blitz」で息子の戦績を確認したところ、確かにヘッドショット率が少しずつ着実に向上している。グラフに表示されているのは直近20試合だが、そのうちの直近18試合が「Viper V2 Pro」でプレイしたものである
下から2番目に表示されている試合では、息子がMVPを獲得しており、キルアシも1.90と健闘している
その試合の詳細結果。スコア369は、敵味方10人の中でトップだ

FPSに本気で取り組みたいゲーマーには特におすすめ

 息子の評価からもわかると思うが、Viper V2 Proは58gという圧倒的な軽さがウリの無線マウスであり、トラッキング精度も高いため、精密なエイミングと素早い視点移動が要求されるFPSプレイヤーには特におすすめだ。サイズも、大きすぎず小さすぎずという感じで、中学生の息子の手にもフィットしていたが、大人の筆者にもちょうどいい。Razerのゲーミングマウスの中でもフラッグシップ的な存在の製品であり、同社がこれまでに培ってきた技術の集大成ともいえる。

 性能や精度に対する要求がシビアなゲーム用途で使えるということは、その他の作業を行なうにももちろん快適だ。デザイナーやCADオペレーターなど、細かなマウス操作を行なうことが多い人にもおすすめできる。少し贅沢だが、軽さを活かして、出張時などに軽量モバイルノートPCと一緒に持っていくという用途も考えられるだろう。これまで無線マウスに不満があった人も、一度本製品を試してみてはいかがだろうか。きっと無線マウスに対する認識が変わるはずだ。