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「RPGタイム!」がTaipei Game ShowのINDIE GAME AWARDグランプリを受賞
すでにカルチャライズ込みで繁体中文も実装済み! しかしゲームの完成は2019年も危うい!?
2019年1月26日 01:54
Taipei Game Showのメインテーマの1つとなっているインディゲーム。年々規模を拡大しながら、今年もアジア各地から有望なインディタイトルが集められ、ゲームクリエイターのタマゴ達が熱心に自作のゲームをアピールする姿が見られた。それと同時に、出展タイトルの中から、特に優れたインディゲームを選ぶINDIE GAME AWARDも行なわれているが、今年は2018年にインディ関連の賞を総なめにしたといっても過言ではない「RPGタイム!~ライトの伝説~」(DeskWorks)が、Best Innovation、Best Mobile Game、そしてグランプリを受賞した。筆者自身も今回ようやく直接触る機会を得たので、インプレッションをお届けしたい。
「RPGタイム!」は、“ゲームクリエイターを夢見る少年が手作りした大作RPG”というキャッチコピーそのままの遊び心、クリエイティビティ満載のRPG。プランナーの藤井トム氏と、アーティストの南場元樹氏のほぼ2人で6年以上掛けて制作されている。
インディゲームの分野は、数年に一度、メジャー(大手ゲームデベロッパー)の価値観を根底からひっくり返すような大作が生まれる。筆者が特に印象に残っているタイトルだけでも、「UNDERTALE」(Toby Fox)、「This War of Mine」(11 bit studios)、「INSIDE」(Playdead)、「Cuphead」(Studio MDHR)などなど、小さいながらもゲーム史に大きく名を残したタイトルが数多く誕生してきた。「RPGタイム!」は、間違いなくその偉大な系譜に名を連ねると確信を持って言えるAAAクラスのインディタイトルだ。
小学生が友達に遊んで貰うためにノートに作った自作のRPGを、小学生になりきってチャレンジするというそれだけのゲームだが、そのすべてが上質で、オリジナリティに溢れている。大前提として、「勇者のくせになまいきだ。」(SIEジャパンスタジオ)のような無数のRPGに対するリスペクトがあり、「Cuphead」のカートゥーンという手法にこだわりぬいてシューティングゲームを作り上げたのと同じアプローチで、“手書きノート”にこだわりぬいて1つのRPGを作っている。それでいてデジタルゲームならではのインタラクティブ性をフル活用して、テーブルトークRPGのように作り手が積極的にゲームに介入してくる。ノートのイラストに手を加えてマップを変えたり、時にはルールを変えたりする。そのひとつひとつが楽しい。
マンガ風だったり、アニメ風だったり、カットシーンの見せ方も様々で、ページごとに挿入されるミニゲームも、双六や謎解き、アクションゲーム風など様々だ。その1つ1つが練り込まれており、わずか10分ほどの試遊は素晴らしいひとときだった。
驚かされたのは、今回インディブースに出展されていたのが繁体中文版だったことだ。このゲームでは、ダイアログ内のテキストを除いて、ほぼすべてのテキスト情報が手書きで構成されており、繁体中文版をリリースするためには、ノート内のテキスト情報をほぼすべて書き直さなければならないのだが、その作業がすでに完了していたのだ。
すっかりファンになってしまった筆者としては、多言語に対応する前に、早くゲームそのものを完成させて欲しいと思ってしまうが、藤井氏としては日本のみならず、世界中のゲームファン、RPGファンに遊んで欲しいという想いがあり、現在、日本語、英語、繁体中文、簡体中文、ハングル、スペインの6カ国語の開発を同時に進めているという。
肝心のストーリーやミニゲームの開発はほぼ完成しているということで、藤井氏によれば“泣けるストーリー”になっているということで、「UNDERTALE」のような奥深いストーリーが期待できそうだ。気になる発売時期については、「2019年中か、ひょっとしたら2019年には出せないかもしれない」ということで、とにかくすでに制作に6年も掛けているだけに、満足いくまで磨き込みに時間を掛けたいという。
発売プラットフォームは現時点では、モバイルおよびSteamを予定しているが、パブリッシャー探しがうまくいけば、PS4やNintendo Switchなどコンソールゲームでも遊べるようにしたいという。実際、4Kのような高解像度でも遊べるように、手描きイラストなどはかなりの高解像度でデータ化しているということで、うまくいけば「UNDERTALE」のようにあらゆるゲームプラットフォームで遊べるゲームになるかもしれない。ゲームの完成までもうしばらく時間が掛かりそうだが、純国産の超大型インディタイトルとしてぜひ注目したいところだ。